FXニュース:米欧早期利下げ予想後退続く

2024年1月19日
FXニュース:米長期金利上昇後のドル利確

 

東西FXニュース – 2024年1月19日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 堅調な米雇用と経済指標影響
  • 米アトランタ連銀総裁慎重に
  • 日米欧金利差拡大時の円安圧
  • 日全国消費者物価指数が鈍化
  • 日経平均株価反発上昇円売り
  • 鈴木財務相が円安牽制の発言
  • 欧英景気懸念の低リスク通貨

今日2024年1月19日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の147円93銭付近から円の安値でドルの高値の148円80銭付近の値幅約87銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は148円27~29銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の147円76~78銭付近の前東京終値比で約51銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨夜の米国ニューヨーク外国為替市場で昨夜22時30分に同時発表された多数の最新米国経済指標うち、1月の米国フィラデルフィア連銀製造業景気指数だけは前回の-10.5と前回修正の-12.8と市場予想の-7.0に対し-10.6と低調であったものの、前回修正後よりも改善していたことに加えて、他の最新米国経済指標が軒並み堅調な強い結果であったことからインフレ圧が意識され、米国の中央銀行制度にあたる米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の今年3月の米国連邦公開指標委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) での早期の米国利下げ予想値が50%台と更に後退し、発表時に一時147円92銭付近だったドル円は、最新米国経済指標の発表後には米国長期金利の上昇と共に、日米金利差拡大による円売りドル買いで148円台にドルが円相場で上昇した。

昨夜22時30分に同時発表された米国雇用市場関連の最新米国経済指標の前週分の米国新規失業保険申請件数は、前回の20.2万件と前回修正の20.3万件と市場予想の20.7万件に対し18.7万件に改善され、前週分の米国失業保険継続受給者数も前回の183.4万人と前回修正の183.2万人と市場予想の184.5万人に対し180.6万人と前回と市場予想よりも堅調で、米国雇用市場の強さが意識された。

同じく発表された最新米国経済指標の先月12月の米国住宅着工件数も、年率換算件数が前回の156.0万件と前回修正の152.5万件ほどではないものの市場予想の142.5万件を上回る146.0万件で、前月比も前回の14.8%と前回修正の10.8%ほどではなかったが市場予想の-8.7%よりも強い-4.3%で、12月の米国建設許可件数に至っては年率換算件数が前回の146.0万件と前回修正の146.7万件と市場予想の147.6万件を上回る149.5万件に上昇し、前月比では前回の-2.5%と前回修正の-2.1%と市場予想の0.6%に対し1.9%と前回のマイナス圏から市場予想を超えたプラス圏に大幅に改善されていた。

堅調な米国経済指標の数々を受けたインフレ圧が意識され、早期の米国利下げ予想が一段と後退した影響もあり、米国ニューヨーク債券市場では米国債が売られて米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が経済指標発表前の一時4.08%台付近から4.12%台付近に上昇し、為替市場では日米金利差拡大による円売りドル買いで昨夜22時47分頃にドルは円相場で一時148円30銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

ただし、同時進行していた今週に米国主要企業の決算報告が相次いでいた米国ニューヨーク株式市場では、今年早期の米国利下げ予想後退により、米国の高金利の影響が今後の企業ローン金利などから決算に影響を与える警戒感が一時的に高まり、安全資産の米国債が買われた抵抗もあり、上昇トレンドだった米国債の利回りに一時抵抗が入り、一時的に4.10%付近に押し戻された時間には、ドル円にもテクニカル分析的な前日高値の148円52銭付近手前のレジスタンスラインが意識されており、市場高値後のドルの利益確定売りや安値の低リスク通貨の円の持ち高調整の抵抗が強まり、昨夜23時32分頃にドルは円相場で一時147円85銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、米国主要株価三指数は、堅調な米国経済指標を受けた景気好感により、揃って上昇し、米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) やナズダック平均 (NASDAQ Composite) が前日比で大幅高になったほか、S&P500 (Standard and Poor’s 500) も前日比で小幅高と好調であったため、ブル・マーケット (Bull Market / 強気市場) 特有のリスク選好のリスクオン/ Risk-on) により、安全資産の米国債や低リスク通貨の円に価格上昇後の早期の利益確定売りが入り始めたため、ドルは円相場で反発し再び上昇を始めた。

午前1時半頃からは、米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の発言があり、昨年はハト派で有名だったが今年から米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を有することになり、今年に入ってから慎重な発言が増えてきていた米国アトランタ連銀のボスティック総裁が、慎重な中道派寄りの早期の米国利下げ予想の牽制発言と、ややタカ派とも取れる再利上げの可能性に言及したサプライズがあり、ボスティック総裁は米国アトランタ商工会議所理事会メンバー向けの講演で「現在の私の見通しでは、今年第3四半期のどこかから利下げを開始するのではないかと思っている。米国インフレのデータが、どのような進展になるかを見極める必要がある」、「米国のインフレ率が、目標の2%への軌道に乗っているというより多くの証拠を確認したい」と慎重なデータ重視姿勢を強調したほか、「最悪の結果は、利下げしてから再び利上げしなければいけないこと」で、インフレが鈍化してもしばらくは高金利を維持する必要性があることなど、市場の早期利下げ予想を牽制する発言と受け止められた。

米国ニューヨーク債券市場では、米10年債の利回りが指標となる米国長期金利は、午前2時台に一時4.15%台に上昇し、昨年12月13日以来の今年の高水準を記録し、ドル円は再び148円台に戻していた。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は円の安値でドルの高値の148円30銭付近から円の高値でドルの安値の147円85銭付近の値動きで、今朝7時前の6時55分頃のニューヨーク終値は148円16銭付近と前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の148円16銭と同じ横ばいレンジをつけていた。

今朝早朝のアジア・オセアニア市場時間の8時30分に、日本政府の総務省が日本の最新経済指標の先月12月の日本全国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) を発表し、前年同月比は前回の2.8%と市場予想の2.5%に対しの2.6%の上昇率であったが、天候条件などで価格変動が大きい生鮮食品を除いた物価基調のコア指数は、前年同月比が前回の2.5%から市場予想通りに2.3%の上昇率に鈍化し、2022年6月の2.2%以来の18カ月ぶりの低水準になり、食品とエネルギーを除くコアコア指数も前回の3.8%から市場予想通りの3.7%に鈍化し、来週の日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の日銀金融政策決定会合での早期の修正予想は既に大きく減退していたが、先日発表された日本の実質賃金鈍化に加えたインフレ鈍化による修正圧の弱まりで大規模緩和金融政策継続予想が意識された。

今朝9時頃からの今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時148円13銭付近から始まったが、来週に日銀金融政策決定会合のイベントを控えている日本市場では、今朝の148円台では持ち高調整の抵抗が入ったほか、今朝9時55分頃の仲値決済に向けても148円台の円安感から輸入実需の円売りドル買いよりも輸出企業による円買いドル売りが優勢で、今朝9時32分頃に対ドルの円相場が反発し、一時147円93銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、今朝の日本市場時間の時間外の米国債券取引でも米国長期金利が再び上昇し、一時4.14%台付近への抵抗後には一時4.17%台付近になり、日米金利差拡大を受けた円売りドル買いでドルが円相場で反発し、再び148円台に上昇した。

ただし、日本政府の鈴木財務相が閣議後の記者会見で、最近の円安について、「為替の動向は、注意深く見守っている。為替相場は、ファンダメンタルズを反映して、安定的に推移することが重要だ」と円安牽制の発言をしたことで、再び円相場にはやや抵抗が混じる時間もあった。

一方で、今日の東京株式市場では、昨日までは数日伸び悩んだ日経平均株価が再び反発し、前日比で大幅な上昇に転じたことでは、再び株価上昇時のリスク選好のリスクオンで国内第一安全資産の低リスク通貨の円売りでドル買いやユーロ買いなどが入り、午後15時15分に今日の日経平均株価は3万5963円27銭の終値と、前日比497円10銭高の大幅高で大引けした。

その日経平均株価大幅高を受けた日本市場のリスク選好の低リスク通貨の円売りに加えて、午後からの欧州本土市場の参入開始時には米国長期金利が一時4.173%付近に上昇していたこともあり、日米欧の金利差による円売りとドルやユーロ買いが合わさり、ドルは円相場で上昇し、午後15時31分頃に一時148円80銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、市場高値後には利益確定売りや持ち高調整の抵抗が強まったほか、午後16時に欧州ユーロ圏主要国のドイツの最新経済指標の先月12月の独生産者 (卸売) 物価指数 (PPI / Producer Price Index) の前月比が前回と市場予想の-0.5%に対し-1.2%にインフレ鈍化したことで、日米欧金利差縮小で欧米通貨に対する円の買い戻しが入ったほか、欧州本土から1〜2時間の時差がある英国ロンドン外国為替市場が夕方16時頃に本格参入し、欧州と同時発表された最新英国経済指標の先月12月の英国小売売上高が悪化したことでも、低リスク通貨の円が買われて市場安値後の円相場の抵抗が強まった。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は148円27~29銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の147円76~78銭付近の前東京終値比で約51銭の円安ドル高になった。

今夜この後には、最新米国経済指標の発表予定や米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の発言予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜24時に 1月の米国ミシガン大学消費者態度指数と、先月12月の米国中古住宅販売件数、25時15分頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国サンフランシスコ連銀のデイリー総裁の発言予定、27時頃から同じくFOMC投票権を持つFRBの米バー副議長の発言予定、30時に昨年11月の対米証券投資などの発表予定がある。

一方、今日の欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は161円29〜30銭付近と、昨夜17時の160円89〜90銭付近の前東京終値比で約40銭の円安ユーロ高であった。

主な要因は、昨夜に欧州中央銀行 (ECB) 理事会の議事要旨が発表された内容で欧州インフレへの警戒感から、しばらくの間は高金利が維持される市場予想が出ており、ラガルド総裁の欧州インフレ警戒の発言の影響もあり、今年早期の欧州利下げ予想が後退していたため、日欧金利差による円安ユーロ高の影響が残ったが、今日の夕方のドイツの生産者物価指数は市場予想よりも鈍化を示したことでは、円の買い戻しの抵抗も入っていたことでは、大幅にはならなかった。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0876〜1.0878ドル付近で、昨夜17時の1.0886〜1.0888ドル付近の前東京終値比で約0.10セントのユーロ安ドル高であった。

主な要因は、先述の堅調な米国経済指標を受けて早期の米国利下げ予想が後退し、米国長期金利の上昇時には、欧州景気懸念も燻る欧州ユーロに対してもドルが買われていたが、欧州中央銀行 (ECB) 理事会の今年の早期の欧州利下げ予想も後退していたため、小幅域に留まった。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は187円99銭〜188円5銭付近で、昨夜17時の187円66〜72銭付近の前東京終値比で約33銭の円安ポンド高であった。

主な要因は、昨夕に発表された英国消費者物価指数 (CPI) が上昇し、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) の今年早期の英国利下げ予想も後退しており、日英金利差の円売りポンド買いが為替相場に影響を及ぼしていたが、今日の夕方に発表された最新英国経済指標の英国小売売上高は市場予想以上に悪化し、英国景気懸念による低リスク通貨の円買いが抵抗になったことで、今日の東京終値では大幅な円安にはならなかった。

午後16時に発表された最新英国経済指標の先月12月の英国小売売上高は、前月比が前回プラス圏だった1.3%と前回修正の1.4%とマイナス圏の市場予想の-0.5%に対し-3.2%に悪化し、前年同月比も前回の0.1%と前回修正の0.2%と市場予想の1.1%に対し-2.4%に低下したほか、自動車を除いた前月比も前回の1.3%と前回修正の1.5%と市場予想の-0.6%に対し-3.3%で、前年同月比も前回の0.3%と前回修正の0.5%と市場予想の1.3%に対し-2.1%であった。このため、英国ポンドに対する円相場は下げ幅を縮めている。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年1月19日の日本時間(JST)20時41分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の11時41分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:41の為替レート 昨日の日本時間JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 148.05 〜 148.06 +0.29 (円安)
ユーロ/円 161.18 〜 161.19 +0.29 (円安)
ユーロ/ドル 1.0885 〜 1.0887 -0.0001 (ドル高)
英ポンド/円 187.75 〜 187.81 +0.09 (円安)
スイスフラン/円 170.41 〜 170.47 -0.46 (円高)
豪ドル/円 97.64 〜 97.68 +0.73 (円安)


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