FXニュース:米長期金利上昇後のドル利確

2024年1月18日
FXニュース:米長期金利上昇後のドル利確

 

東西FXニュース – 2024年1月18日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米小売売上高が市場予想以上
  • 米欧英の早期利下げ予想後退
  • 日経株価リスク回避と円調整
  • 来週日銀会合を控えた調整も
  • 欧中銀ラガルド総裁慎重発言

今日2024年1月18日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の148円25銭付近から円の高値でドルの安値の147円68銭付近の値幅約57銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は147円76~78銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の147円81~82銭付近の前東京終値比で約5銭の小幅な円高ドル安であった。

昨夜の欧米市場では一時148円台の大幅な円安ドル高が進行したが、今日の日本市場では昨年も2年連続で1京円規模に達したという日本の個人のFX取引額や、日系大手輸出企業を含めた世界三大市場の1つの日本市場の値動きで来週の日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) 金融政策決定会合イベントリスクを控えたリスク回避の円の買い戻しや持ち高調整で円相場が反発した。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨夜の米国ニューヨーク外国為替市場では22時半に最新米国重要経済指標の先月12月の米国小売売上高が発表され、前月比は前回の0.3%と市場予想の0.4%に対し0.6%に上昇し、自動車を除いたコアな前月比も、前回と市場予想の0.2%に対し0.4%と前回と市場予想を上回ったことで、堅調な米国消費を背景としたインフレ圧が意識され、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の今年3月の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) で早期の米国利下げを開始する市場予想が更に後退し、金利先物データを基に市場予想値を算出することで有名な米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) グループのフェドウォッチ・ツール (FedWatch Tool) で確定値と考えられている70%を下回る50〜60%台で推移を続けていたことなどから、米国長期金利が上昇し、日米金利差拡大に加えた主要通貨に対するドル買いの影響で、ドルは円相場で一時147円98銭付近と148円台に向けた上昇を始めた。

同時発表だった最新米国経済指標の先月12月の米国輸入物価指数も、前月比が前回の-0.4%と前回修正と市場予想の-0.5%に対して0.0%に上昇したが、同12月の米国輸出物価指数の前月比では前回の-0.9%と市場予想の-0.6%に対し-0.9%の横ばいだったことでは、148円台手前付近では利益確定や持ち高調整の抵抗もやや入ったが、続いて昨夜23時15分の12月の米国鉱工業生産の前月比も、前回の0.2%が0.0%に下方修正されたものの市場予想の0.0%を上回る0.1%と堅調で、12月の米国設備稼働率は前回の78.8%と前回修正の78.6%と市場予想の78.7%に対し78.6%の前回修正後の横ばいだった。

昨夜23時頃からは、今年の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官のバー副議長とボウマン理事の発言があり、全米商工会議所の演説で、ボウマン理事は銀行監督担当のバー副議長が主導し、資本金の上積み幅などが論争になっている昨年の米国金融不安後の米国大手銀行に対する資本要件引き上げなどの規制強化案について、大幅な変更が必要ではあるが、問題点が改善されて幅広い支持が得られる様にFRBが取り組むことに「慎重ながらも楽観的」で、最終決定に向けて歩み寄って前進することが可能として米国金融業界側の懸念に対応しており、堅調な米国経済指標による景気懸念の緩和に続いて米国金融不安に関する懸念も緩和され、安全資産の米国債が売られて利回りが上昇し、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は上昇を続けた。

深夜24時には最新米国経済指標の1月の米国住宅建設業者協会 (NAHB / National Association of Home Builders) 住宅市場指数が発表され、前回の37と市場予想の39を上回る44に上昇したことでも、米国経済の強さによるインフレ圧を示したことで、早期の米国利下げ予想が一段と後退し、深夜24時台には米国ニューヨーク債券市場で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は一時4.12%台に上昇した。

深夜24時半前頃には、米国長期金利の上昇が一時4.128%付近のピークに達したため、円安要因の日米金利差拡大による円売りドル買いが強まり、深夜24時56分頃にドルは円相場で一時148円52〜53銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

また、深夜24時15分頃からは欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) のラガルド総裁の発言があり、前日にも欧州インフレへの警戒感を持っていることに言及していたが、欧州のインフレ率が目標の2%の水準で持続的に推移するとの確信が得られるまでは、「欧州政策金利を、金融引き締め的な水準にしておく必要がある」と改めて語り、欧州利下げに関しては、今後の経済データを踏まえて「慎重に」進めたいとしており、他の欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank)理事会メンバーのオランダ中銀のクノット総裁も、米国のメディアで「慎重に」なる必要があると話していたことなどから、市場での早期の欧州利下げ予想が後退したことで、欧州政策金利の見通しの影響を受けやすい欧州ユーロ圏主要国ドイツの独2年債の利回りも一時2.7%付近と、昨年12月中旬以来の高水準に上昇し、欧州ユーロに対しても日欧金利差により円が売られた影響が、他の主要通貨に対しても波及していた。

しかし、同時進行していた米国ニューヨーク株式市場では、米国主要企業の決算報告が続いていたため、米国政策金利の高止まりによる企業ローンへの決算影と株価などへの警戒感があり、米国主要株価三指数が揃って前日比の下落を見せたため、リスク回避のリスクオフ (Risk-off) で安値圏からの安全資産の米国債買いや低リスク通貨の円買いの抵抗が入り始めた。

午前3時には米国ニューヨーク債券市場で米国20年債の入札があり、他の種類の米国債も買われた影響でも、米国長期金利がピーク後の低下を見せたため、日米金利差縮小時の低リスク通貨の円買いの抵抗があった。

また、午前4時に米国連邦準備制度理事会 (FRB) が米国地区連銀経済報告 (ベージュブック) を発表し、底堅い米国消費に支援される形で米国経済は前進を続け、製造業などで見られた弱さが相殺されたと指摘したが、米国企業は調査期間中に米国インフレ圧が緩和されているとの見解を示し、価格に対する消費者感度の高まりにより、小売業者は利幅縮小を求められて値上げの動きに抵抗があったため、多くの地区で価格が横ばいもしくは下落しているという企業の例から物価高抵抗によるインフレ鈍化が示唆されたほか、多くの地区で企業は今後1年間の賃上げ鈍化を予想していたことなども、一時50%台に低下していた今年3月の早期の米国利下げ予想が60%台前半に反発するなど、米国長期金利上昇後の低下と、上昇時に買われたドルの利益確定売りの一因となり、昨夜の欧米市場で進行した大幅な円安ドル高の下げ幅を円相場が縮小し始めた。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、米国市場開始直後の円の高値でドルの安値の147円67銭付近から円の安値でドルの高値の148円53銭付近の値動きの後の抵抗で、今朝6時55分頃のニューヨーク終値は148円16銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の147円19銭付近と比べて約97銭の円安ドル高をつけていた。

今朝9時頃に148円15銭付近から始まった今日の東京外国為替市場では、今朝9時55分頃の日本市場の仲値決済に向けた日本企業の輸入実需の円売りドル買いもあり、今朝9時40分頃にはドルは円相場で一時148円25銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、輸入実需の後には、国内輸出企業の円買いドル売りが続いたほか、今朝に一時148円台の円安ドル高が進行後の高値のドルの利益確定売りや安値の円の持ち高調整などが入り始めて、円相場が147円台に向けた反発を始めた。

また、今朝8時50分に発表されていた日本の最新経済指標の11月の日本機械受注が、前月比で前回の0.7%と市場予想の-0.8%に対し-4.9%に低下し、前年同月比も前回の-2.2%と市場予想の0.2%に対し-5.0%だった一方で、日本の前週分の対外対内証券売買契約等の状況は1兆円台の規模に倍増していたため、株式市場からの値動きの影響も強まっており、今日の日経平均株価が先日までの大幅続伸と反落後に今日は小幅な低下に向かったため、株価リスク回避のリスクオフで、国内第一安全資産の低リスク通貨の円が買われて上昇した。

日本市場では、来週に日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の日銀金融政策決定会合のイベントを控えており、今年元旦の石川県能登半島地震以来は日銀の早期のマイナス金利解除予想は大幅に後退しているものの、今年の春闘の様子見も踏まえたイベント前の高値圏からのドルの利益確定売りと持ち高調整の円の買い戻しなどが続いた。

日本市場時間の今日の時間外の米国債券市場でも、今朝は一時4.10%台だった米国長期金利が低下し、午後からの欧州市場が参入すると一時4.07%台に向かったため、日米金利差縮小時の円買いドル売りの影響もあり、午後15時15分に今日の日経平均株価が前日比で小幅安の終値をつけた後の午後15時54分頃に低リスク通貨の円買いが続き、ドルは円相場で一時147円68銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録し、前東京終値比で円高ドル安に市場転換した。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は147円76~78銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の147円81~82銭付近の前東京終値比では約5銭の小幅な円高ドル安になった。

今夜この後には、最新米国経済指標の発表予定や米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の発言予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時半頃から米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を今年から持つことになる米国連邦準備制度理事会 (FRB) の米国アトランタ連銀ボスティック総裁の発言予定、今夜22時半には1月の米国フィラデルフィア連銀製造業景気指数と、前週分の米国新規失業保険申請件数と米国失業保険継続受給者数、12月の米国建設許可件数と12月の米国住宅着工件数が同時発表されるイベント時間があり、25時に週間の米国原油在庫、25時30分頃から米国アトランタ連銀のボスティック総裁の再発言予定があり、昨年はハト派発言がとても多かったが、今年は投票権を持つためか、やや慎重な中立的な意見も述べ始めていることなどが注目されている。

なお、今夜の米国ニューヨーク株式市場でも、米国主要企業の決算報告期の影響などには注意が必要である。

一方、今日の欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は160円89〜90銭付近と、昨夜17時の160円69〜70銭付近の前東京終値比で約20銭の円安ユーロ高であった。

主な要因は、前述の通り、昨夜の欧州中央銀行 (ECB) 理事会のラガルド総裁や高官の発言を受けて、早期の欧州利下げ予想が後退し、日欧金利差による欧州ユーロに対する円安が進行した影響が残ったが、今日はドルだけでなくユーロ円の低リスク通貨の円買いがあったため、小幅域になった。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0886〜1.0888ドル付近で、昨夜17時の1.0870〜1.0872ドル付近の前東京終値比で約0.16セントのユーロ高ドル安であった。

主な要因は、米国長期金利上昇後の反落により、主要通貨に対して一時ドル高を記録した後の利益確定売りの調整の影響が今日はあったことに加えて、昨夜の欧州中央銀行 (ECB) 理事会メンバー達の発言により、今年の早期の欧州利下げ予想も後退していたことが影響を及ぼしていた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は187円66〜72銭付近で、昨夜17時の186円98銭〜187円4銭付近の前東京終値比で約68銭の円安ポンド高であった。

主な要因は、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) のベイリー総裁の楽観的な英国インフレ鈍化予想に反して、昨夕の英国消費者物価指数 (CPI) が上昇し、英国の早期利下げ予想も後退し、英国長期金利も上昇していたため、日本との金利差により円売りポンド買いが為替相場に影響を及ぼしていた。

加えて、今朝9時1分頃に発表された最新英国経済指標の先月分の12月の英国王立公認不動産鑑定士協会 (RICS / Royal Institution of Chartered Surveyors) 住宅価格指数も、前回の-43.0%と前回修正の-41.0%と市場予想の-37.0%に対して-30.0%と、英国住宅インフレも英中銀や市場の想定以上に根強いことを示していたこともポンド買いに繋がった。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年1月18日の日本時間(JST)21時8分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の12時8分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 21:08の為替レート 昨日の日本時間JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 147.77 〜 147.78 -0.04 (円高)
ユーロ/円 160.96 〜 160.97 +0.27 (円安)
ユーロ/ドル 1.0891 〜 1.0893 +0.0021 (ドル安)
英ポンド/円 187.45 〜 187.51 +0.47 (円安)
スイスフラン/円 170.87 〜 170.93 -0.49 (円高)
豪ドル/円 97.13 〜 97.17 +0.28 (円安)


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