FXニュース:日米欧英金利差の円安が進行

2024年1月17日
FXニュース:日米欧英金利差の円安が進行

 

東西FXニュース – 2024年1月17日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米FRB理事が「利下げ急がず」
  • 米早期利下げ予想が再び後退
  • 日米株価反落受けリスク回避
  • 米小売売上高発表控え調整も
  • 欧ECB総裁のインフレ警戒感
  • 英CPIが想定以上のインフレ

今日2024年1月17日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の147円10銭付近から円の安値でドルの高値の147円97銭付近の値幅約87銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は147円81~82銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の146円15~17銭付近の前東京終値比で約1円66銭の大幅な円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨夜の欧州市場で米国長期金利の上昇による日米金利差拡大を受けた円安ドル高が進行する中で、昨夜の米国ニューヨーク外国為替市場で22時半に発表された最新米国経済指標の1月の米国ニューヨーク (NY / New York) 連銀製造業景気指数は前回の-14.5と市場予想の-5.0に対し-43.7と大幅に悪化し、米国の非製造業・サービス業の強さに対する製造業の弱さが想定外に示されたことでは一時はドルが売られる抵抗が入り、昨夜22時43分頃に一時146円28銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録したが、米国祝日明けの市場が注目していた午前1時頃からの米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のウォラー理事の「米国利下げを急ぐ理由は見当たらない」という発言により、早期の米国利下げ予想が後退し、米国長期金利が更に上昇し、日米金利差拡大による円安ドル高が再び進行し、ドルは円相場で146円台から147円台に上昇した。

ウォラー理事は、米国ブルッキングズ研究所 (The Brookings Institution) 主催のオンラインイベントで講演し、「米国のインフレが再燃せず、高水準に留まらない限りは、米国連邦公開市場委員会 (FOMC/ Federal Open Market Committee) は米国政策金利のフェデラルファンド (FF / Federal Funds) 金利誘導目標レンジを年内に引き下げることが可能になると私は考えているが、それが可能な適切な時期が来た場合には、秩序を持って慎重に引き下げを開始する必要がある。米国の経済活動や労働市場は堅調さを保っており、インフレ率も漸進的に目標の2%に向けて鈍化しつつあるものの、以前ほど敏速に米国利下げを急ぐ理由は見当たらない」と、過去の経済ショックの具体例を挙げて、米国利下げを急がない理由を説明したため、ウォラー理事の発言を受けて、今年3月のFOMCでの早期の米国利下げ予想が後退し、米国長期金利が上昇し、日米金利差拡大による円安ドル高が再燃した。

なお、ウォラー理事は、以上を踏まえた上で、米国利下げの開始時期と利下げ幅については、「今後発表されるデータ次第」と、「データ重視」姿勢を再び強調していたが、前述の米国経済指標を受けて4%台から一時3.99%台に低下後に反発していた米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は、ウォラー理事の「米国利下げを急がず」の発言後には4.08%台付近に向けて大きく上昇したため、日米金利差拡大の円売りドル買いに加えて、主要通貨に対してもドルが買われた影響も波及したため、ドルは円相場で午前3時46分頃に一時147円31銭付近の米国市場の円の安値で高値を記録したほか、昨年2023年12月7日以来の円安ドル高になった。

また、欧州ユーロなどの主要通貨全般に対するドルインデックス (ドル指数) も、一時103.43付近と、昨年2023年12月13日以来の高値圏を記録した。

ただし、同時進行していた米国主要企業決算シーズンの米国ニューヨーク株式市場では、ウォラー理事の発言を受けた米国政策金利の高止まりによる企業ローン金利が決算に影響を及ぼすことへの警戒感によるリスク回避のリスクオフ (Risk-off) の欧米株売りなどがあり、米国主要株価三指数が低下したことを受けては、安全資産の米国債買いや低リスク通貨の円買いの抵抗もやや入っていた。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の146円28銭付近から円の安値でドルの高値の147円31銭付近の値動きで、今朝7時前の6時55分頃のニューヨーク終値は147円19銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の145円73銭付近と比べて約1円46銭の大幅な円安ドル高をつけていた。

今朝9時頃からの日本の東京外国為替市場のドル円は、早朝のアジア・オセアニア市場の値動きの影響もあり147円25銭付近から始まった。

主な原因は今日の時点でも、米国金利先物動向から市場予想値を示すことで世界的に有名な米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) グループのフェドウォッチ・ツール (FedWatch Tool) での今年3月の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の早期の米国利下げ予想は確定値以下で低下しており、小幅利下げ予想が61.4%付近で大幅利下げ予想は1.6%付近に減退している一方で、米国金利据え置き予想値は37.0%付近に上昇しながら推移をしており、それに対する日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の早期の修正予想も元旦の能登半島地震の影響や日本の実質賃金鈍化による春闘様子見予想などで後退していたため、日米金利差による円売りドル買いトレンドが継続した。

ただし、抵抗要素もあり、日本市場と時間帯の近いアジア市場で午前11時に発表された中国の最新重要経済指標の2023年10〜12月四半期の中国国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) の前期比が前回の1.3%と前回修正の1.5%に対し市場予想通りの1.0%に低下し、前年同期比では前回の4.9%と市場予想の5.3%に対し5.2%と前回よりは上昇したものの市場予想にはやや届かずの影響もあり、今日の中国市場の主要株価の香港ハンセン指数や上海総合指数などが前日比で下落に向かい、株価下落時のリスク回避で安全資産の米国債が買われて米国長期金利が一時4.03%台付近に低下したため、日米金利差縮小時の低リスク通貨の円買い抵抗が入り、午前11時17分頃にドルは円相場で一時147円10銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

一方、東京株式市場でも、今朝もバブル後の高値を続伸後の日経平均株価が再び3万6000円台に乗せて上昇していた時間にはリスク選好のリスクオン (RIsk-on) の低リスク通貨の円売りドル買いが入っていたが、昨夜から今朝までの欧米株価下落や今日のアジア株安の影響などもあり、日経平均株価上昇後の利益確定売りが入り始めて日経平均株価が上昇後の反落に向かい始めたため、リスクオンからリスクオフに転じたことでは、国内第一安全資産の低リスク通貨の円が買われる抵抗も入ったほか、今夜この後の米国最新経済指標の米国小売売上高の発表イベントを控えた利益確定や持ち高調整も入っていた。

しかし、午後からの欧州英国市場の参入もあり、米国長期金利が反発し、再び一時4.08%台に向けて大きく上昇したため、日米金利差拡大による円売りドル買いが再燃し、午後16時47分頃にはドルは円相場で一時147円97銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

また、今日の午後16時頃に時差で朝の英国ロンドン外国為替市場で発表された最新英国経済指標の12月の英国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の前月比は、前回の-0.2%と市場予想の0.2%を上回る0.4%に上昇し、前年同月比は前回の3.9%と市場予想の3.8%に対し4.0%に上昇し、英国CPIコア指数の前年同月比も前回の5.1%と市場予想の4.9%に対し5.1%と、市場予想以上の英国インフレの根強さを示したことや、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会メンバーのフランス中央銀行のビルロワドガロー総裁が昨夜に欧州利下げに言及した時はユーロ売りの一因になっていたが、今日は欧州中央銀行 (ECB) のラガルド総裁が欧州インフレに警戒感を示したニュースがあり、ドルだけでなく英国ポンドや欧州ユーロに対しても日米欧英金利差により日本円が売られた影響がドル円にも波及していた。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は147円81~82銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の146円15~17銭付近の前東京終値比で約1円66銭の大幅な円安ドル高になった。

今夜この後には、最新米国重要経済指標の発表予定や要人発言予定と米国債入札予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時に米国MBA住宅ローン申請指数、22時半に注目度の高い最新米国重要指標の12月の米国小売売上高と、12月の米国輸出物価指数と輸入物価指数が同時発表されるイベント時間があり、23時頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) のバー副議長とボウマン理事の発言予定があり、23時15分に 12月の米国鉱工業生産と、12月の米国設備稼働率、深夜24時に11月の米国企業在庫と、1月の米国住宅建設業者協会 (NAHB / National Association of Home Builders) 住宅市場指数、27時に米国20年債の入札予定、28時に米国地区連銀経済報告 (ベージュブック) 発表、29時頃から米国ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁の発言などが予定されている。

また、今夜の米国ニューヨーク株式市場でも、米国主要企業の決算報告の予定が続く予定である。

一方、今日の欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は160円69〜70銭付近と、昨夜17時の159円55〜56銭付近の前東京終値比で約1円14銭の大幅な円安ユーロ高であった。

主な要因は、前述の通り、日米欧金利差によるドルや欧州ユーロなどへの円安進行の影響が今日のユーロ円の為替相場にも影響を及ぼした。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0870〜1.0872ドル付近で、昨夜17時の1.0914〜1.0916ドル付近の前東京終値比で約0.44セントのユーロ安ドル高であった。

主な要因は、米国長期金利上昇時の主要通貨に対するドル買いの影響があったことに加えて、昨夜は欧州中央銀行 (ECB) 理事会メンバー達が今年の欧州利下げの可能性に言及した発言をしていたことを受けて、先述の米国連邦準備制度理事会 (FRB) のウォラー理事の発言により、米国の早期の利下げ予想で買われたユーロが売られた影響もあった。

ただし、今日の欧州市場のニュースでは、欧州中央銀行 (ECB) のラガルド総裁が欧州インフレの警戒感を弱めていない発言をしたニュースがあり、今夜の深夜の再発言への警戒感もあるほか、今夜19時の英国ロンドン外国為替市場で発表された欧州ユーロ圏総合の最新欧州経済指標の先月12月の欧州消費者物価指数 (HICP / Harmonized Index of Consumer Prices) の改定値は、前年同月比が前回と市場予想通りの2.9%の横ばいで、欧州HICPコア指数改定値の前年同月比も前回と市場予想通りの3.4%の横ばいで欧州インフレの根強さを示しており、米国だけでなく欧州の早期利下げ予想も後退している。

英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は186円98銭〜187円4銭付近で、昨夜17時の185円21〜27銭付近の前東京終値比で約1円77銭の大幅な円安ポンド高であった。

主な要因は、昨夜の英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) のベイリー総裁の発言時点では英国インフレ抑制が見込まれていたが、今日の午後に発表された前述の英国消費者物価指数 (CPI) では英国のインフレは想定以上に根強かったため、早期の英国利下げ予想も後退し、マイナス金利解除に距離のある日本との金利差がしばらく継続する市場予想が高まった。

また、今日の夕方16時に同時発表されていた最新英国経済指標の先月の12月の英国小売物価指数 (RPI) も前月比は前回の-0.1%と市場予想の0.4%に対し0.5%に上昇し、前年同月比では前回の5.3%と市場予想の5.1%に対し5.2%と、前回ほどではないものの市場予想を上回っており、英国インフレ警戒感があった。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年1月17日の日本時間(JST)20時54分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の11時54分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:43の為替レート 昨日の日本時間JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 146.61 〜 146.62 +1.18 (円安)
ユーロ/円 159.70 〜 159.71 +0.37 (円安)
ユーロ/ドル 1.0891 〜 1.0893 -0.0064 (ドル高)
英ポンド/円 185.32 〜 185.38 -0.02 (円高)
スイスフラン/円 170.42 〜 170.48 +0.06 (円安)
豪ドル/円 96.80 〜 96.84 -0.20 (円高)


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