FXニュース:米長期金利上昇で日米金利差

2024年1月16日
FXニュース:米長期金利上昇で日米金利差

 

東西FXニュース – 2024年1月16日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米FRB高官発言に警戒感続く
  • 日米早期金利修正予想の後退
  • 日経平均株価続伸時の円売り
  • 欧ECB高官が利下げ予想牽制
  • 英賃金上昇率が市場予想以下

今日2024年1月16日火曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の145円58銭前後から円の安値でドルの高値の146円27銭前後の値幅約69銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は146円15~17銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の145円43~44銭付近の前東京終値比で約72銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨日の日本市場では、世界的に著名な米国投資家ウォーレン・バフェット氏の来日以来、円安時に活発になっていた日本株への海外からの大口投資や、日本企業改革への期待感による先物取引および、新NISAなどの新規投資運用の影響に加えて、日銀の早期のマイナス金利解除予想の後退によるローン金利上昇への警戒感の緩和などの影響もあり、1990年2月以来およそ33年11カ月ぶりという日本経済のバブル崩壊後の高値を続伸した日経平均株価の上昇による日本株高時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) の低リスク通貨の円売りのトレンドが起きたが、日本市場終了後の昨夜の英国ロンドン外国為替市場でも、元旦の石川県能登半島地震の影響や日本の実質賃金鈍化継続の経済指標などを受けた日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の今年早期のマイナス金利解除予想の後退により、日米欧英金利差による円売りトレンドが継続していた。

昨夜22時頃からの米国ニューヨーク外国為替市場は祝日休場であったが、市場後半が同時進行中の英国ロンドン外国為替市場では、日本時間で冬時間は午前1時頃にあたるロンドン・フィキシング (London Fixing) までは活発な値動きが続いており、前日の米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の「データ次第」の発言の影響もあり、今年3月の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の早期の米国利下げ予想が確定値と考えられている70%を下回って推移しており、今朝のフェドウォッチ (CME FedWatch Tool) でも、今日の0.25%の小幅利下げ予想値は一時66〜67%台付近に低下している時間があり、米国長期金利上昇時の円売りドル買いがあった。

世界市場の時間外債券市場でも、世界的な安全資産でもある米国債の債券上昇後の売りによる債券価格低下時の利回り上昇の影響で、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が再び4.00%台に上昇しており、日米金利差拡大による円売りドル買いが入っていた。

また、欧州国債市場でも、欧州ユーロ圏主要国のドイツ連邦10年債の利回りが上昇し、日欧金利差拡大による円売りユーロ買いも、主要通貨への値動きに影響を及ぼしていた。

この原因には、昨夜の欧州市場のニュースで、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) のレーン専務理事達が、欧州利下げ転換には「時期尚早で、我々はまだ次の段階に進むのに十分な証拠を得ていない」と、今年早期の欧州利下げ予想に対する慎重な発言をしたニュースを受けて、欧州長期金利が上昇したことなども影響を及ぼしていた。

欧州中央銀行 (ECB) 理事会メンバーのオーストリア中銀のホルツマン総裁も、最近の中東情勢に緊張感を持っており、地政学リスクから欧州物価上昇圧の可能性があることを指摘し、欧州インフレ警戒感から早期の利下げには慎重な意見を述べていたことが現地の経済ニュースになり、欧州政策金利予想の影響を長期債よりも受けやすいと考えられているドイツの2年債の利回りも上昇していたことが、他の年度の債券利回りにも影響し、日欧金利差による円売りユーロ買いがあり、日米欧の金利差による円安圧を強めていた。

また、時間外のナイト・セッションの日経平均株価先物も続伸し、一時3万6170円付近に上昇するなど堅調なブル・マーケット (強気市場) だったことも、日本市場で起きたリスク選好のリスクオンの低リスク通貨の円売りや安全資産の国債売りのトレンドを継続させた。

そのため、昨夜の英国ロンドン外国為替市場と米国ニューヨーク外国為替市場相当時間の世界FX市場の対ドル円相場は、昨日の日本市場でつけた円の高値とドルの安値を下抜けることはなく、その一方で、日米欧金利差による円売りの影響などで昨夜23時34分頃に一時145円94銭付近の欧米市場の円の安値でドルの高値は上抜けて記録し、今朝7時頃前のニューヨーク終値相当時間は145円73銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の144円88銭付近と比べて約85銭の円安ドル高をつけていた。

今朝早朝のアジア・オセアニア市場でも、日米金利差もあって世界的に流動性が高いドルが買われたため、今朝9時頃からの今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は、一時145円79銭付近の始値となった。

ただし、日本市場では、円安ドル高の進行を受けた利益確定や持ち高調整が一時先行したため、今朝9時13分頃に一時145円58銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

この原因には、今朝8時50分頃に発表されていた日本の最新経済指標の先月12月の日本国内企業物価指数が、前月比は前回の0.2%と前回修正の0.3%と市場予想の0.0%に対し0.3%と前回修正と横ばいで市場予想を上回ったことが影響したが、前年同月比では前回の0.3%と市場予想の-0.3%に対し0.0%と、市場予想は上回ったものの前回よりは鈍化が見られたことも為替相場に影響を及ぼしていた。

しかし、今日の日経平均株価が続伸したことを受けた日本市場では、再びリスク選好による低リスク通貨の円売りドル買いが入り始めたことや、今朝の仲値決済に向けた日本企業の輸入実需の円売りドル買い需要に加えて、日本市場時間の時間外債券市場でも米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が4%台付近に上昇して推移した日米金利差などから、今日の日本市場でもドルが円相場で再び上昇を続けた。

また、世界ニュースで米国大統領選挙に関する報道でも安全資産の米国債売りがあったことが一部で指摘されており、野党の共和党の候補者指名のための初戦にあたる米国アイオワ州の党員集会でトランプ前大統領が勝利したが、米国政治に関して市場予想通りの分かりやすい進展があったため、リスク回避のリスクオフ (Risk-off) の時には買われやすかった安全資産の米国債に、リスク選好のリスクオン (Risk-on) 時の売りが入りやすかった。

一方で、今夜この後に連休明けの米国市場では、米国連邦準備制度理事会 (FRB) のウォラー理事が、米国経済と金融政策の見通しについて講演する要人発言予定のイベントなどがあり、利益確定や持ち高調整はやや抵抗要因となっていたが、日経平均絵株価の大幅続伸を受けた低リスク通貨の円売りや、4%台付近の米国長期金利上昇を受けた日米金利差拡大時の円売りドル買いが継続し、午後14時43分頃にドルは円相場で一時146円27銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

午後からの欧州英国市場の参入では、今日の欧州英国経済指標の発表予定を控えたイベント警戒感があったが、16時の欧州ユーロ圏主要国ドイツの12月の欧州消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の改定値は、前月比が前回と市場予想通りの0.1%の横ばいで、前年同月比も前回と市場予想一致の3.7%の横ばいであった。

しかし、夕方から本格参入の英国ロンドン外国為替市場では、午後16時に同時発表された注目の最新英国雇用統計は、12月の英国失業率が前回と同じ4.0%の横ばいで、12月の英国失業保険申請件数は前回の1.60万件と前回修正の0.06万件に対し1.17万件であったが、2023年9〜11月期のボーナスを含んだ3カ月平均の英国週間賃金上昇率は、前年同期比が前回の7.2%と市場予想の6.8%を下回る6.5%に鈍化したことを受けて、英国賃金インフレ圧の鈍化から今年の英国利下げ時期に関する市場予想が高まり、英国ポンドがドルに対して売られて下落したことも、対ドル円相場でのドルの上昇圧として波及した。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は146円15~17銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の145円43~44銭付近の前東京終値比で約72銭の円安ドル高になった。

今夜の英国ロンドン外国為替市場では、米国長期金利が4.00%台から4.01%台に上昇したことを受けて、19時49分頃にさらに日米金利差の円安ドル高が進行し、一時146円74〜75銭付近も記録している。

今夜この後には、連休明けの米国市場で最新米国経済指標の発表予定や要人発言予定があり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜22時半に1月の米国ニューヨーク連銀製造業景気指数と、25時頃から米国連邦準備制度理事会 (FRB) のウォラーFRB理事の発言予定が注目を集めている。

また、今夜の米国株式市場に向けて、米国主要企業の決算報告の予定が続き、今夜21時頃から米国金融大手のモルガン・スタンレーの決算報告や22時間頃から投資系大手のゴールドマン・サックスの決算報告なども発表される予定で、日米の株式市場の値動きが、為替相場へのリスクオフやリスクオンで影響を及ぼす可能性があることには注意が必要である。

一方、今日の欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は159円55〜56銭付近と、昨夜17時の159円33〜34銭付近の前東京終値比で約22銭の円安ユーロ高であった。

主な要因は、前述の通り、日経平均株価が、バブル崩壊後の高値続伸後の今日も前日比大幅高で大引けしており、日本株高時のリスク選好のリスクオン市場では低リスク通貨の円売りで、ドルや欧州ユーロが買われやすかったほか、日欧金利差なども影響を及ぼしていた。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0914〜1.0916ドル付近で、昨夜17時の1.0955〜1.0956ドル付近の前東京終値比で約0.41セントのユーロ安ドル高であった。

主な要因は、先述の米国長期金利上昇時の主要通貨に対するドル買いの影響が見られた。

なお、今夜の英国ロンドン外国為替市場では最新欧州経済指標の発表が続いていたが、今夜19時に発表された欧州ユーロ圏総合の1月の欧州ZEW (Zentrum fur Europaische Wirtschaftsforschung / 欧州経済研究センター) 景況感調査は、前回の23.0に対し22.7に低下しており、欧州景気懸念もやや燻っている。

ただし、同時発表だったドイツの最新経済指標の1月の独ZEW欧州景況感調査の期待指数は、前回の12.8と市場予想の12.0に対し15.2に上昇していた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は185円21〜27銭付近で、昨夜17時の185円34〜40銭付近の前東京終値比で約13銭の円高ポンド安であった。

主な要因は、先述の今日の夕方の最新英国雇用統計の賃金上昇率が、市場予想よりも鈍化を示したことで、今年の英国利下げ予想が高まり、英国ポンドがドルなどの主要通貨に売られて下落した影響が、円相場にも波及した。

今夜の英国市場では今夜この後の深夜24時頃から英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) のベイリー総裁の発言予定が注目されている。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年1月16日の日本時間(JST)20時43分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の11時43分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:43の為替レート 昨日の日本時間JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 146.61 〜 146.62 +1.18 (円安)
ユーロ/円 159.70 〜 159.71 +0.37 (円安)
ユーロ/ドル 1.0891 〜 1.0893 -0.0064 (ドル高)
英ポンド/円 185.32 〜 185.38 -0.02 (円高)
スイスフラン/円 170.42 〜 170.48 +0.06 (円安)
豪ドル/円 96.80 〜 96.84 -0.20 (円高)


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