FXニュース:世界株安時の低リスク通貨

2023年11月28日
FXニュース:世界株安時の低リスク通貨

 

東西FXニュース – 2023年11月28日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 日米欧英株安でリスク回避
  • 欧米長期金利低下で円買い
  • 米新築住宅販売数想定以下
  • 米国債入札受け利回り低下
  • 月末前の輸出企業の円買い
  • 今夜米FRB高官の発言控え

今日2023年11月28日火曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の147円97銭前後から円の安値でドルの高値の148円55銭前後の値幅約58銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は148円51~53銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の149円4~6銭付近の前東京終値比で約53銭の円高ドル安であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨日午後の日本の東京外国為替市場では、東京株式市場の日経平均株価 (Nikkei 225 / JP225) の大幅反落やアジアの主要株安などを受けたリスク回避のリスクオフによる低リスク通貨の円買いが起きていたが、その後の昨夜の欧州英国市場でもドイツの主要株価指数の独DAX (Deutsche Aktienindex) や英国ロンドン証券取引所(LSE / London Stock Exchange)の英FTSE (Financial Times Stock Exchange) 100株価指数などが低下したため、昨夜19時10分頃には欧州通貨に対する安全資産でもあるドルは円相場で一時149円33銭付近まで買い戻されたが、昨夜22時頃からの連休明けの米国ニューヨーク外国為替市場でも、米国ニューヨーク株式市場で米国主要株価三指数が軒並み下げ始め、世界的な株安時のリスク回避が強まり、安全資産の欧米国債買いにより欧米債券価格上昇に伴う利回り低下の影響で欧米長期金利が低下し、世界株安時の低リスク通貨の円買いに加えて、日米欧金利差縮小時の円買いにより、ユーロやドルなどの主要通貨に対して円相場が上昇した。

昨夜23時頃から欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会のラガルド総裁の発言があり、欧州議会で新型コロナウイルスの流行期に購入した1兆7000億ユーロ (およそ277兆円相当) の債券について、「我々は少なくとも2024年末までは再投資を続けると表明してきた。これは遠くない将来に政策委員会で議論や検討される問題で、恐らく見直すことにはなるが」と発言していたことでも欧州国債買いが継続しており、債券価格上昇に伴う利回り低下で欧州長期金利が低下したほか、「欧州雇用市場の伸びが、今年の年末にかけて失速する可能性を示す兆しが幾つかある」と言及したことでも、前回までの欧州インフレ圧への警戒の発言では欧州利上げ長期化予想で買われたユーロが安全資産のドルや低リスク通貨の円に対して売られていた。

また、ラガルド総裁は先日にインタビューで息子が仮想通貨に投資し、リスクについて何度も警告したが無視されて彼は投資額をほぼ全額失ったとややハイリスク投資への牽制的な話をしていたが、今回は欧州景気懸念の再燃に繋がる発言もあったために、欧州株安時には低リスクの安全資産の欧州債券買いが起きやすかった。

昨夜から今朝までの米国市場で深夜24時に発表された最新米国重要経済指標の10月の米国新築住宅販売件数は、年率換算件数が前回の75.9万件から前回71.9万件に下方修正され、市場予想の72.3万件に対し67.9万件と前回下方修正後と市場予想よりも低下し、前月比も前回プラス圏だった12.3%と前回下方修正の8.6%と市場予想の-4.8%に対しマイナス圏の-5.6%と大幅に低下したことで、米国高金利による住宅ローンへの影響や米国景気減速懸念が起き、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が来月の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) で米国政策金利の据え置き予想による米国利上げ終了予想が強まったほか、米国利下げ時期に関する市場予想が浮上した影響などで、米国長期金利が更に低下を続けたが、欧州長期金利の方が低下していた欧州英国市場と重なる午前2〜3時頃までは対ユーロでのドル買い需要もあったため、円相場ではドル下落には抵抗も入っていた。

同時進行していた米国ニューヨーク債券市場では、午前1時半に米国2年債の入札があり、欧州英国市場でのドルの買いも入っていた午前1時35分頃にはドルは円相場で一時149円8銭付近の米国市場での円の安値でドルの高値を記録したが、米国債の入札は堅調であったため、米国長期金利は低下を続けており、日米金利差縮小時の円買いドル売りも継続した。

欧州英国市場の終了後の午前3時にも米国市場では米国5年債の入札があり、世界的な安全資産でもある米国債の入札が世界株安時のリスクオフムードで堅調な結果であったことから他の種類の米国債券価格も連れ高になり、米国債の債券価格上昇時の利回り低下の影響により、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は低下を続け、昨夜22時頃の米国市場開場時には一時4.461%付近だった米国長期金利は、米国市場終盤の午前6時頃には一時4.384%付近に向けて大幅に低下していたため、欧州英国市場終了後でドル買い抵抗の減ったドルは円相場で日米金利差縮小による円買いドル売りの影響で、午前4時45分頃に一時148円54銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

米国ニューヨーク株式市場では、米国主要株価指数が軒並み下落し、米国ダウ工業株30種 (DJI / Dow Jones Industrial Average) が終値35,333.47ドルで前営業日比56.68ドル安、S&P500 (Standard and Poor’s 500) も終値4,550.43で前営業日比8.91ドル安、ナスダック総合指数 (NASDAQ Composite / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) も終値14,241.023と前営業日比9.832ドル安で終了した。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の149円8銭前後から円の高値でドルの安値の148円54銭前後の値動きで、今朝7時頃のニューヨーク終値は148円69銭付近と前営業日同時刻の前ニューヨーク終値(149.40円)と比べて約71銭の円高ドル安をつけていた。

今朝9時頃からの今日の日本の東京外国為替市場は148円41銭付近から始まったが、今朝の日本市場の仲値決済では、今週に月末決算を控えた日本の輸出企業の円買いドル売りが優勢で円相場が上昇し、また今朝9時半過ぎの時点でも米国長期金利が4.395%付近と日米金利差縮小時の影響が続いていたことや、今日の日経平均株価が続落方向でリスク回避の低リスク通貨の円買い需要が続いたことに加えて、日本市場と時間帯の近いアジア市場でもアジア株安懸念の一方で中国人民銀行が今朝の対ドル人民元の売買の基準レートを前日比で元高ドル安に設定した影響の外貨へのドル安圧の波及もあり、午前11時40分頃にドルは円相場で一時147円97銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、一時147円台後半の日本市場の安値を記録後にはドルの買い戻しが進んだほか、昼の13時頃には米国長期金利も低下幅を縮めて一時4.411%付近に日米金利差拡大したため、ドルは円相場で反発して下げ幅を縮め始めた。

前日は大幅安で終値をつけていた続落懸念のあった日経平均株価も、一時プラス圏に上昇したほか、午後15時15分に3万3408円39銭と前営業日比で39円28銭安の小幅安に留まったことでも、リスク回避で買われていた低リスク通貨の円の利益確定売りや安値からのドル買いやユーロ買いなどの持ち高調整が進んだ。

午後からの欧州英国市場の参入でも、午後16時に発表された欧州ユーロ圏の主要国ドイツの最新経済指標の12月の独GFK消費者信頼感調査が発表され、前回の-28.1と前回修正の-28.3と市場予想の-27.9に対し-27.8と前回と市場予想よりも改善したほか、16時45分発表のフランスの11月の仏消費者信頼感指数も前回と市場予想の84に対し87に上昇したことでも、低リスク通貨の円の利益確定売りでユーロが買い戻されて下げ幅を縮めた影響も波及しており、午後16時59分頃にはドルは円相場で一時148円55銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値まで下げ幅を縮めた。

また、米国利上げ終了後の利下げ時期に関する市場予想が高まっていたが、今夜この後には米国連邦準備制度理事会 (FRB) の高官達の発言予定が相次ぐことや、欧州中央銀行 (ECB) 理事会のラガルド総裁の再発言予定などもあることから、イベントを控えた持ち高調整も影響を与えた。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は148円51~53銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の149円4~6銭付近の前東京終値比で約53銭の円高ドル安になった。

今夜この後には、最新米国経済指標や米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の発言予定と米国債入札予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜23時に9月のS&Pとケース・シラーの米国住宅価格指数と 7〜9月の第3期四半期の米国住宅価格指数、深夜24時に11月の米国消費者信頼感指数と11月の米国リッチモンド連銀製造業指数、同じく深夜24時頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 投票権を持つ米国シカゴ連銀のグールズビー総裁の発言予定、24時5分頃から同じくFOMC投票権を持つFRBのウォラー理事の発言予定、24時45分頃から同FOMC投票権を持つFRBのボウマン理事の発言予定、27時に米国7年債の入札予定、27時5分頃から同FOMC投票権を持つFRBのバー副議長の発言予定と29時半頃からも再発言予定などがあり、今後のドル円の値動き予想材料として市場で注目されている。

また、欧州英国市場でも、今夜25時頃から欧州中央銀行 (ECB) のラガルド総裁の再発言予定などが注視されている。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は162円40〜42銭付近と、日本市場の前営業日同時刻にあたる昨夜17時の163円16〜18銭付近の前東京終値比で約76銭の円高ユーロ安であった。

主な要因は、前述の昨夜の欧米株安時のリスク回避や、欧州長期金利低下時の日欧金利差縮小の欧州ユーロ売りで、低リスク通貨の円が買われた影響が残った。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0935〜1.0937ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.0946〜1.0948ドル付近の前東京終値で約0.11セントのユーロ安ドル高であった。

主な原因は、円と同じく昨夜の欧州株安時のリスクオフのユーロ売りで世界的に流動性が高い安全資産でもあるドルが買われたほか、米国長期金利の低下よりも欧州長期金利の低下幅の方が大きかった時にもユーロに対してドルが買われていた。

しかし、今夜の英国ロンドン外国為替市場では、欧州と米国の利下げ時期に関する市場予想の影響もあり、今日の夕方に米国長期金利が一時4.376%付近に低下した影響もあり、対ドルで欧州ユーロが買い戻されて、今夜20時台には前東京終値比で小幅なユーロ高ドル安にも転じている。また今夜の要人発言予定が注目され、持ち高調整なども進んでいる。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンドの円相場の終値は187円32〜38銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の187円98銭〜188円4銭付近の前東京終値比で約66銭の円高ポンド安であった。

主な要因は、欧州ユーロ圏経済の影響を受けやすい英国ポンドも、昨夜の英国主要株価低下時のリスク回避で、低リスク通貨の円に対して売られていたことなどが影響していた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年11月28日の日本時間(JST)20時40分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の午前11時40分頃。なお、サマータイム制のある米国市場も現在冬時間で、日本との時差が14時間遅れのJST-14 / GMT-5になっている) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:40の為替レート 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比
ドル/円 148.51 〜 148.52 -0.53 (円高)
ユーロ/円 162.69 〜 162.71 -0.47 (円高)
ユーロ/ドル 1.0954 〜 1.0955 +0.0008 (ドル安)
英ポンド/円 187.50 〜 187.56 -0.48 (円高)
スイスフラン/円 168.56 〜 168.62 -0.60 (円高)
豪ドル/円 98.28 〜 98.32 +0.14 (円安)


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