FXニュース:明日日銀発表控えた円相場

2023年7月27日
FXニュース:明日日銀発表控えた円相場

 

東西FXニュース – 2023年07月27日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米FOMCが0.25%の利上げ
  • 米FRBパウエル議長の発言
  • 米NYダウ工業株13日続伸
  • 今夜の欧ECBも利上げ予想

今日2023年7月27日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値140円48銭前後から円の高値でドルの安値139円38銭前後の値幅約1円10銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は139円95~96銭付近と、前日同時刻の昨夜17時の140円67~68銭付近の前東京終値比では約72銭の円高ドル安であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場で、日本時間の今朝未明の午前3時頃に発表された米国連邦準備制度理事会 (FRB) の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の結果発表では、米国新政策金利が市場予想通りに0.25%利上げされ、前回は利上げを見送ったものの、2022年3月から通算11回目の利上げにより、米国フェデラルファンド (FF) 政策金利目標はトータルで5.25%~5.5%に引き上げられた。

同時発表の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の声明文では、今回の米国利上げ再開の理由について、「最近の米国経済指標は、経済活動の緩やかなペースの拡大を示し、米国雇用の伸びは堅調で失業率も低いままであるが、米国インフレ率は高止まりの傾向がある。米国の金融システムは健全かつ強固だが、家計や企業の信用状況の引き締まりは、経済・雇用・インフレの重しになる可能性があり、引き続きインフレのリスクを注視する必要がある。米国連邦公開市場委員会 (FOMC) は、米国雇用の最大化と長期的な2%のインフレ率の達成を目標とし、その目標達成を支援するために、米国フェデラルファンド (FF) 金利の目標誘導レンジを5.25〜5.50%に引き上げることを決定した」した。

また、次回の利上げについては、「追加のデータ (情報) と金融政策への意味を、米国連邦公開市場委員会 (FOMC) は引き続き評価する。徐々に米国インフレ率を目標の2%に達成するために、適切とみられる追加の金融引き締めの程度を決めるにあたり、金融政策の度重なる引き締めが経済活動に及ぼす影響や、インフレ率に反映されるまでの期間、そして米国経済と金融の動向を考慮する」と前回同様のデータ重視の内容を繰り返した。

しかし、「米国のインフレ率を、2%の目標に戻すことに強く取り組む」とする一方で、「金融政策の適切さを評価するにあたり、今後の経済見通しに関するデータの意味を引き続き注視する。もし、委員会の目標達成を妨げる可能性があるリスクが生じた場合には、金融政策の姿勢を適切に調整する準備がある。米国労働市場の状況、インフレ圧、インフレ期待、米国金融および世界経済の動向を含めた、幅広いデータを考慮する。」と、今後のデータを重視し、データ次第では今後の金融政策に変更の可能性があることを示唆した。

この声明発表の30分後の今朝3時半頃からライブ中継で始まった米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長の定例記者会見でも、声明文と同じ内容が繰り返され、前回同様の「今後のデータ次第で、毎回ライブで決める」という中道の姿勢が強調されたことでは、市場では一部のタカ派の米国利上げ継続による長期化予想が減退し、米国長期金利が低下し、ドル売りで反応したために、会見開始時の発言前の今朝3時半頃には一時140円69銭付近だったドルは、円相場で今朝4時頃には一時139円93銭付近に急落した。

ライブ中継ではパウエル議長は、先日に鈍化を示した最新の米国消費者物価指数 (CPI) に関しても、「1ヶ月だけの鈍化では分からない。もっと、継続した今後のデータが必要だ」としており、「次回9月の利上げは、今後のデータ次第で、利上げするかもしれないし、しないかもしれない」という中道的な表現をしていたのであるが、米国経済ニュース専門チャンネルの米国CNBCのアプリ速報通知では、「パウエル議長が、次回の利上げは『しないかもしれない』と発言」いうハト派の部分が取り沙汰され、米国株式市場では、金利上昇警戒感の緩和から株価が上昇し、米国ニューヨーク (NY) ダウ工業株30種平均 (DJI) が1987年1月以来のおよそ36年半ぶりの13営業日連騰記録を続伸し、昨年2022年2月以来の約1年5カ月ぶりの高値記録を更新し、強気 (ブル) マーケットのリスクオン市場になったことでは、低リスク通貨の円が売られる抵抗が入った。

また、パウエル議長は、記者達のソフトランディングなどに関する質問に答えるなかで、今後の米国の利上げ停止後の利下げの時期については、「2%のインフレ目標には、2025年頃までは到達しない可能性が高いと思うが、2%のインフレ目標の達成に近づいてきたら」と、あくまでインフレ抑制を意識した発言をしており、データ次第では追加利上げの可能性を排除せず、利上げ停止後の早期の利下げ予想が後退したことでは、米国金利の高止まりの可能性があることからドルの買い戻しも入った。

しかし、米国債券市場では米国の金融政策の影響を受けやすい米国2年債が買われた影響は強く、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利も低下し、日米金利差縮小による円買いドル売りが対ドルの円相場に影響を及ぼした。

今夜この後には欧州中央銀行 (ECB) の新政策金利発表イベントも予定されているが、欧州利上げ予想が優勢で、米国利上げ長期化予想の一時減退により米国長期金利低下時に主要通貨に対してドルが売られた影響もあり、市場終盤には主要通貨に対するドル指数は1.1093付近と前日比で約0.345%低下した影響も、円相場に波及した。

一方で、日本銀行 (日銀 / BoJ) も今日から明日の日銀金融政策決定会合を控えており、結果が分かるまでの様子見の値動きも入り始めた。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場は円の高値でドルの安値139円93銭前後から円の安値でドルの高値の140円70銭前後の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値を140円24銭付近と、前日同時刻の前ニューヨーク終値比で約66銭の円高ドル安でつけていた。

今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場でも、米国市場でトレンドを引き継ぎ、米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長に特に次回利上げに関するタカ派の発言が出なかったことを受けた米国利上げ長期化予想の減退による円売りドル買いが継続しており、また今日から日本でも日銀金融政策決定会合が開催されることもあり、イベント前の持ち高調整では円の買い戻しも入り、対ドルの円相場が上昇した。

ただし、今朝9時55分の日本市場の仲値決済に向けては、日本企業の輸入実需の円売りドル買いの抵抗があった関係もあり、今朝9時33分頃の一時140円48銭付近が今日の日本市場の円の安値でドルの高値になった。

しかし、その後には再び米国債の利回り低下の影響による日米金利差縮小時の円買いドル売りや、米国長期金利低下時の主要通貨に対するドル売りが続き、午前11時13分頃には一時139円38銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

また、日本市場と時間帯の近いアジア市場では、中国人民銀行が人民元取引の基準値を前日比で元高ドル安に設定したことも、他の通貨に対するドル下落圧を与えていた。

しかし、今日の日本の株式市場では、米国株式市場の株高の影響もあり、日経平均株価が大幅に上昇したことでは、リスク選好のリスクオン市場による低リスク通貨の円売りが抵抗要因となり、今日の日本市場で高値を記録後の円には利益確定売りも増え始め、安値後のドルの140円台前半に向けた買い戻しも始まった。

一因は、今夜この後にも、「今後のデータ次第」のドルの米国重要経済市場の「データ」の米国雇用関連の週間データや4〜6月四半期の米国実質国内総生産 (GDP) 速報値の発表予定などがあり、堅調な米国雇用市場と経済データが出た場合には、今後の米国インフレ指標次第では、現在後退している米国利上げ長期化の可能性は排除されていないからである。

午後15時15分に今日の日経平均株価は3万2891円16銭の前日比222円82銭の大幅高で大引けしたことも、リスクオンの低リスク通貨の円売りの一因となった。

夕方からの欧州英国市場の本格参入では、今夜この後の21時15分に欧州中央銀行 (ECB) 理事会の新政策金利の発表予定があり、欧州利上げ予想が優勢だが、イベント前の持ち高調整の後の様子見の値動きも入り始めたことでは、やや横ばいに近い動きも混ざり始めた。

日本市場でも明日に発表を控えた日銀金融政策決定会合の結果待ちの様子見の値動きも市場終盤には強まった。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は139円95~96銭付近で、昨夜17時の140円67~68銭付近の前東京終値比で約72銭の円高ドル安になった。

今夜この後にも、最新の米国経済指標の発表予定などがあり、日本時間の今夜21時半に米国雇用関連の前週分の米国新規失業保険申請件数と米国失業保険継続受給者数、そして同時刻に重要度が高い4〜6月四半期の米国実質国内総生産 (GDP) と、GDP個人消費、コアPCEのいずれも速報値が発表される。21時半には6月米国卸売在庫と 6月米国耐久財受注も同時発表され、続いて23時に6月の米国住宅販売保留指数、26時に米国7年債の入札予定などもある。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は155円71~72銭付近で、昨夜17時の155円71~73銭付近の前東京終値比とほぼ同じ横ばいレンジ付近で、僅差で約0〜1銭の円安ユーロ高であった。

主な要因は、ユーロ円には今夜と明日の日欧金融政策の発表を控えた様子見の動きが強くなっていることが影響を与えていた。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.1125~1.1127ドル付近で、昨夜17時の1.1067~1.1069ドル付近の前東京終値比では約0.58セントのユーロ高ドル安だった。

主な原因は、前述の米国利上げ長期化予想の後退に対し、今夜この後の欧州中央銀行 (ECB) 理事会は欧州利上げ継続予想で、昨夜に欧州の主要国債利回りが上昇したほか、その後のラガルド総裁の発言ではタカ派発言が期待されていたことも影響を与えていた。

今夜この後には、日本時間21時15分に欧州中央銀行 (ECB) 理事会の新政策金利と声明の発表予定があり、続いて21時45分頃からラガルド総裁の定例記者会見での発言予定のイベントが市場で注目されている。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は181円72~78銭付近で、昨夜17時の181円50~56銭付近の前東京終値比で約22銭の円安ポンド高であった。

主な原因は、日銀の大規模緩和金融政策の継続予想による日英金利差拡大予想の影響や、今日の日米の株式市場のリスクオン市場では低リスク通貨の円が売られる一方で、イベントリスクのあるユーロの代わりにポンドが買われた影響もあった。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年7月27日の日本時間(JST)19時35分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替市場時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時35分) の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:35の為替レート 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比
ドル/円 140.02 〜 140.04 -0.65 (円高)
ユーロ/円 156.11 〜 156.12 +0.40 (円安)
ユーロ/ドル 1.1147 〜 1.1149 +0.0080 (ドル安)
英ポンド/円 181.58 〜 181.64 +0.08 (円安)
スイスフラン/円 163.66 〜 163.72 +0.41 (円安)
豪ドル/円 95.19 〜 95.23 +0.02 (円安)


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