FXニュース:米債務上限問題警戒の円買い

2023年5月09日
FXニュース:米債務上限問題警戒の円買い|

 

東西FXニュース – 2023年05月09日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米株安時のリスク回避の円買いも
  • 米国債入札前の売りで利回り上昇
  • 日銀植田新総裁の発言で修正期待
  • 3月独鉱工業生産指数が大幅低下

今日2023年5月9日火曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値135円32銭前後から高値134円73銭前後の値幅約59銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は134円79~80銭付近で、昨日17時の前東京終値比では約23銭の円高ドル安であった。

今日の為替相場の値動きの要因とFX取引市場および世界市場のトレンド動向の分析は、まず昨夜から今朝までの米国ニューヨーク (NY) 外国為替市場では、今週は多数の米国債の入札予定を控えているために米国債売りが入っており、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が3.51%台付近に上昇し、日米金利差拡大時の円売りドル買いが先行したことでは、昨夜21時台に一時135円23銭付近を記録していた。

しかし、昨日の日本市場のドルの高値で円の安値の135円30銭に近くに迫ったことでは、高値のドルの利益確定売りと安値の円買いの持ち高調整などが入り始めた。

また、米国連邦準備制度理事会 (FRB) が、今年2023年の第1四半期の米国融資担当者調査 (SLOOS) の結果を発表し、市場での懸念通り、米国金融システム不安の影響を受けた米国内の銀行や金融機関の融資基準の厳格化と、商業や産業向けの貸し渋りの傾向が報告されたことで、企業などへの米国銀行や金融機関の貸し渋りによる景気や経済への影響の懸念などから決算報告期の米国株式市場では株価が下落し、米株安時のリスク回避でも低リスク通貨の円が買われた。

米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国シカゴ連銀のグールズビー総裁も米国債務上限の問題について、「米国金融市場に異常事態を引き起こす可能性があることから、特に注意する必要がある」と発言し、米国債務上限問題への警戒感からも米国株式市場ではリスク回避のリスクオフが強まり、米国ダウ平均株価は一時160ドル以上も大幅に下落し、米株安時のリスクオフの低リスク通貨の円買いの勢いが強まって一時134円66銭付近を記録した。

ただし、テクニカル分析では昨日のドルの円相場での日通し安値の134円64銭付近や、先週末の米国市場のドルの円相場での安値の134円63銭付近に下値支持線のサポートラインがあったため、そこからは安値のドルの買い戻しや高値の円の利益確定売りが優勢になり、再び米国債券市場での債券売りの米国長期金利上昇による日米金利差拡大時の円売りドル買いが入って135円18銭付近にドルが反発し、そこからはやや横ばいに近い動きに転じた。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場は、円の安値135円23銭前後から高値134円66銭前後の値動で、今朝6時頃のニューヨーク終値を135円10銭付近の前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約30銭の円安ドル高でつけていた。

今朝8時半には日本の最新経済指標の3月の全世帯家計調査・消費支出の前年同月比が発表され、前回の1.6%と市場予想の0.4%に対し-1.9%であった。同時発表の3月の毎月勤労統計調査・現金給与総額の前年同月比は、前回の1.1%と前回修正の0.8%と市場予想の1.0%に対し0.8%だった。

その後の今朝9時から始まった今日の日本の東京外国為替市場でも、米国長期金利上昇を受けた日米金利差拡大時の円売りドル買いが先行し、今朝9時14分頃に一時135円32銭付近の今日の日本市場での円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、そこからは高値のドルの利益確定売りの抵抗が入り始めたことと、今朝9時28分頃にも再びダブルトップの135円30銭付近が前回の上昇を超えられなかったことで高値のドルの利益確定売りと安値の円買いの持ち高調整が入り始めた。

ただし、9時55分頃の今日の日本市場の仲値決済に向けては、日本企業の輸入実需の円売りドル買い需要があり、9時54分頃には一時135円30銭付近に一時再上昇したが、輸出企業の円買いドル売りも続いたことでは、そこからは円相場が上昇した。

また、短期のドルの利益確定売りと円の買い戻しも入った原因には、米国債務上限問題などへの警戒に加えて、明日に米国連邦準備制度理事会 (FRB) も注目している最新の重要米国経済指標の4月の米国消費者物価指数 (CPI) の発表イベントの予定を控えていることから、米ドルのイベントリスクによるイベント前の持ち高調整や、ドルの買い控えや様子見なども為替相場の値動きに影響を与えた。

今朝10時54分頃には対ドルの円相場は一時134円93銭付近に円相場が一時急伸したが、これは今朝の衆院財務金融委員会で日本銀行 (日銀 / BoJ) の植田和男新総裁が、「インフレ期待も含めて、基調的なインフレ率には、ある程度良い芽が出てきている」と発言したことがニュースになり、日銀の大規模金融政策修正期待の円買いが入った影響と言われている。

また、日本時間で明日の早朝午前5時頃に、米国のバイデン大統領と議会指導部との債務上限に関する協議の開催予定が伝わったことで警戒感もあり、イベントリスクの低リスク通貨の円売りドル売りが続き、午後15時45分頃には今日の日本市場での円の高値でドルの安値の一時134円73銭付近を記録した。

なお、中国や欧州の株式市場の下落時にも、低リスク通貨の円が買われていた。

しかし、今日は15時台に日経平均株価が前営業日比で大幅上昇して大引けしたこともあり日本の株式市場ではリスクオンの低リスク通貨の円売りが入ったことや、午後からの欧州英国市場の本格参入では、今日の日本市場のドルの安値からは日米金利差拡大の影響もあって安値のドル買いと高値の円の利益確定の抵抗もあった。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は134円79~80銭付近で、昨日17時の前東京終値比では約23銭の円高ドル安になった。

今夜この後には日本時間で今夜21時半頃から米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェファーソン理事の発言予定と、25時5分頃からは米国ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁の発言予定があり、両者とも次回のFOMC投票権を持つことから注目度が高い。また、26時には米国3年債の入札予定があり、明日には最新米国重要経済指標の米国消費者物価指数 (CPI) の発表予定がある。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は147円97~99銭付近で、昨日17時の前東京終値比では約1円22銭の大幅な円高ユーロ安であった。

主な原因は、欧米金融システム不安の燻りなどから決算報告期の欧米株価下落時の低リスク通貨の円買いによるユーロ売りのリスク回避の影響や、米国市場での米国長期金利上昇時のドル買いユーロ売りの影響が円相場にも波及していた。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0977~1.0979ドル付近で、昨日17時の前東京終値比では約0.72セントのユーロ安ドル高であった。

原因は、前述の通り、債券市場での米国債売りで米国長期金利上昇時の米欧金利差のドル買いユーロ売りが為替相場の値動きに影響を及ぼしていた。

また、昨日に発表された3月のドイツの鉱工業生産指数の前月比が前回の2.0%と市場予想の-1.3%に対し-3.4%と大幅に低下したことでも、ユーロ売りドル買いが優勢で、主要通貨に対するユーロ安は円相場など他の主要通貨に対してもユーロ安として波及した。

ただし、今日の午後15時45分に発表された欧州ユーロ圏のフランスの最新経済指標の3月仏貿易収支では、前回の-99.04億ユーロと市場予想の-93.00億ユーロに対し-80.23億ユーロに赤字額が減っており、同時発表の3月仏経常収支も前回の-30億ユーロに対し14億ユーロに改善されたことでは、ユーロの買い戻しの抵抗も入った。

今日の夕方には、欧州中央銀行 (ECB) 高官のラトビア中銀のカザークス総裁が、「欧州の利上げは、7月で終わらない可能性がある」とタカ派の発言をしたニュースを受けて、次回で米国利上げ停止予想のあるドルに対してのユーロの買い戻しの抵抗も入っていた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は169円90~96銭付近で、昨日17時の前東京終値比では約58銭の円高ポンド安であった。

昨夜の英国ロンドン外国為替市場や英国株式市場は祝日休場であったが、今日は低リスク通貨の円買いの影響などで円相場がドルやユーロなどの他の主要通貨に対して円高であったために、対英ポンドの円相場にも影響が波及した。

ただし、日本時間の今朝8時過ぎに発表された英国の最新経済指標の4月の英国小売連合(BRC)・小売売上高調査の前年同月比は、英国の高インフレにも関わらず前回の4.9%から5.2%に上昇していたことなどでは、今日の英ポンドには円相場での抵抗要因もあった。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年5月9日の日本時間(JST)19時11分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時11分)の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:11の為替レート 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比
ドル/円 134.86 ~ 134.87 -0.16 (円高)
ユーロ/円 148.09 ~ 148.10 -1.10 (円高)
ユーロ/ドル 1.0979 ~ 1.0981 -0.0070 (ドル高)
英ポンド/円 170.16 ~ 170.22 -0.32 (円高)
スイスフラン/円 151.21 ~ 151.27 -0.63 (円高)
豪ドル/円 91.20 ~ 91.24 -0.40 (円高)


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