FXニュース:最新米ISM製造業景況感指数が低下

2023年4月04日
FXニュース:最新米ISM製造業景況感指数が低下

 

東西FXニュース – 2023年04月04日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米景気懸念で米長期金利も一時低下
  • 原油先物高騰で資源国通貨一時上昇
  • 豪準備銀行 (RBA) が利上げを停止

今日2023年4月4日火曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値132円21銭前後から高値132円98銭前後の値幅約77銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は132円63~64銭付近で、前日17時の前東京終値比では約90銭の円高ドル安であった。

また、今日の日本市場の開場前の今朝8時台のアジア・オセアニアの世界市場では、一時132円17銭付近の円高ドル安も記録していた。

今日のドル円の為替相場の値動きの要因と市場トレンドの動きの分析は、まず昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場で発表された最新米国経済指標が軒並み市場予想よりも弱く、米国景気懸念による安全資産の米国債買いで利回りが指標となる米国長期金利が低下し、日米金利差縮小時の円買いドル売りが影響を及ぼした。

日本時間で昨夜22時45分の欧州英国市場の現地午後と米国ニューヨーク市場の現地朝の時間帯に発表された最新の米国経済指標の3月製造業購買担当者景気指数 (PMI) の改定値が前回と市場予想の49.3に対し49.2に低下し、続いて23時に発表された2月の米国建設支出も前月の-0.1%と市場予想の0.0%に対し-0.1%と市場予想以下であった。

そして、この日の米国経済指標の中で最も重要度が高かった昨夜23時発表の3月の全米供給管理協会 (ISM) 製造業景況指数も前回の47.7と市場予想の47.5に対して46.3の市場予想以下で、好景気と不景気の境目である50を5ヶ月連続で下回って悪化したことから、米国景気懸念によるリスク回避で安全資産の米国債が買われて債券価格は上昇する一方で利回りは低下し、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が低下し、日米金利差縮小時の円買いドル売りに繋がった。

また、前回の東西FXニュースでもお伝えした通り、サウジアラビアなどの産油国の石油輸出国機構 (OPEC) に非加盟産油国を加えたOPECプラスによる原油価格安定のための原油減産の発表を受けて、昨日の日本市場と昨夕の欧州市場の現地午前には原油高時の日本の貿易赤字リスク増加への懸念から円が売られていたが、その後の昨夜の欧州英国市場と米国市場では、産油国であるノルウェーやオーストラリアやカナダなどの資源国通貨が買われて上昇し、米国経済指標を受けた米国景気懸念もあってドルが売られたため、資源国通貨に対する一時大幅なドル安も円相場にドル安として波及した。

米国もテキサス州などで一応原油を産出してはいるのだが、米国のインフレで人件費が高騰した上に、米国のコロナ禍以来の現場の人手不足で深刻だったのがエネルギー産出業界の現場とも言われており、人件費や採掘コストが高すぎて利益薄になるために増産が難航しており、結果的に車大国の米国では安い原油を国外から輸入している経緯があったことなどで、円売りの後には景気懸念のドル売りで産油国を含む資源国通貨が買われる動きになった。そのため、前述の米国経済指標を受けたドル売りと相まって、ドル円は昨夜の米国市場で一時132円21銭付近と、3月30日以来の円の高値でドルの安値を記録した。

ただし、原油先物価格上昇から予測可能な原油高は、車社会の大国の米国の今後の物価インフレにも影響を及ぼす可能性が高いため、利上げ抵抗要因の景気懸念の一方では、米国のインフレ継続による米国利上げ継続の可能性への市場予想も高まることなどから、市場安値からはドルを買い戻す抵抗も混ざった。

また、昨日のニュースでも予定をお知らせしていた通り、日本時間で昨夜29時15分頃の今朝未明には、米国ミシガン大学経済学部のイベントで米国連邦準備制度理事会 (FRB) のクック理事が発言し、米国のインフレは鈍化し始めたものの、労働市場の需給は逼迫を続けており、人材費の高騰などによるインフレ圧が生じていることなどを指摘した上で、「そこから生じるインフレを今後も体験するであろうが、賃金上昇率にも相当の鈍化が見られる。」、「労働市場は順調と見受けられるため、高インフレに重点的に対応している。」「ディスインフレのプロセスは進行中だが、まだ道半ばである。」など、まだ利上げ終了の段階には至っていないことを示唆したことなどでは、ドルが買い戻される抵抗もあった。

そのため、今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場は、円の高値132円21銭前後から安値133円17銭前後の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値を132円45~46銭付近の前営業日同時比で約40銭の円高ドル安でつけていた。

今朝8時39分頃の早朝には、アジア・オセアニアの世界市場でも、昨夜の米国重要経済指標の米国ISM製造業景況指数が市場予想以下であった景気懸念を受けて米国長期金利が低下していたことなどの影響の日米金利差縮小時の円買いドル売りで、ドル円は一時132円17銭付近の円高ドル安を記録した。

今朝8時50分には日本の最新経済指標の3月マネタリーベースの前年同月比が発表され、前回の-1.6%に対し-1.0%に下げ幅を縮めて改善されていた。

今朝9時からの日本の東京外国為替市場でも、昨夜の米国経済指標による景気懸念で時間外の債権市場でも米国長期金利が一時低下していたことなどもあり円が高く始まったため、今朝9時3分頃に今日の日本市場の円の高値でドルの安値の132円21銭付近を記録した。

ただし、今朝の仲値決済に向けては日本企業の輸入実需の円売りドル買い需要があり、また投資系でも高値の円の利益確定もあってドルが上昇し、円相場は今朝の上昇幅を縮め始めた。

日本時間の取引では、時間外の米国債市場で米国長期金利の低下が一服してきたことも、円売りドル買いに繋がったが、昨夜17時の東京終値付近では前日の原油高の影響などで円安ドル高が進んだ後であったために、前日比ではまだ円高ドル安の範囲内で、ドルが今朝の下げ幅を縮める形になった。

昼過ぎには時間外の米国10年債の利回りがさらに上昇し3.43%台をつけ、日米金利差拡大時の円売りドル買いで、14時45分頃には一時132円98銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。この時間は、欧州英国市場の参入が始まってきた頃であった。

また、昼下がりにはオーストラリアの中央銀行にあたる豪準備銀行 (RBA) が利上げ見送りを発表したことや利上げ停止だけでなく終了の可能性もあることで、昨夜の欧州英国市場の後半と米国市場では一時はドルに対して買われて上昇後の資源国通貨の豪ドルが売られた影響で、ドルが買い戻された影響の波及もあった。ただし、この豪ドル売りではドルだけでなく円も買われたため、ドル円では日米金利差の影響の方が顕著であった。

その後には、再び高値からのドルの利益確定売りなども入り、また今朝の一時大幅な円高ドル安の影響も残っていたことなどから、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は132円63~64銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約90銭の円高ドル安になった。

今夜この後にも最新の米国経済指標の発表予定や、米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の発言予定などがあり、日本時間での今夜のスケジュールは、23時に2月の米国製造業新規受注数と2月の米国雇用動態調査 (JOLTS) 求人件数、26時半頃からは再び次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) のクック理事の発言予定、26時45分から米国ボストン連銀のコリンズ総裁の発言予定などが今夜の為替相場の値動き予想材料としてFXトレーダー達が注目している。

また、今週には欧米のイースターホリデー前に、米国雇用統計などの発表予定などもある。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は144円89~91銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約17銭の円安ユーロ高であった。

原因は、米国景気懸念の米長期金利低下時にドルに対してユーロが一時大幅に上昇し、そのユーロ高の影響が円相場にも波及したが、円もドルに対して前日比円高であったために比較的小幅な円安に留まっていた。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0923~1.0925ドル付近で、昨夜17時の前東京終値比で約0.85セントのユーロ高ドル安だった。

主な原因には、昨夜の米国経済指標の発表を受けた米国景気懸念で今朝の米長期金利低下時には、ユーロに対してもドルが売られた影響などがあった。また、一時の多数の資源国通貨に対するドル売りや、円に対するドル売りの影響もユーロドルの相場に波及していた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は165円37~43銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約1円0銭の大幅な円安ポンド高であった。

原因は、日英金利差拡大予想に加えて、投資関連の英ポンド買いなどもあった。また、先述の米国経済指標発表後の資源国通貨買いでは、英国にも北海油田の再開発計画などがあり、欧州付近の産油国のノルウェーと海の下の北海油田の原油源が繋がっているという観測もあり、資源国通貨買いの影響も受けていた。英国内では高インフレと高コストや環境団体の反対などで原油増産計画は米国同様に難航しそうだが、北海油田近辺の海上の原油採掘のライセンスを貸して収入を得る一方で、海外からの投資により人材を確保しての再開発をする計画などがあったことでも、金融街のあるロンドン外国為替市場には投資関連のポンド買いは以前からも時々入っていた。

オーストラリアの豪ドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の豪ドル円相場の終値は89円59~63銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約24銭の円高豪ドル安であった。

原因は、昨夜の米国ニューヨーク市場では資源国通貨として買われて上昇後であった豪ドルだが、今日のオセアニア市場と日本市場で日本時間の13時半にオーストラリアの中央銀行にあたる豪準備銀行 (RBA) 理事会が新政策金利と声明を発表し、今回の利上げは予想通りに政策金利が3.60%に据え置かれ、声明文に「インフレがピークに達した」とあったことで、利上げ停止に加えての利上げ終了の可能性も示唆されて豪ドルが売られ、日豪金利差縮小予想による円買い豪ドル売りで円高豪ドル安になった。

豪準備銀行 (RBA) 理事会の声明では、今後の追加利上げが必要になる可能性に関する文章が、以前までの「必要になるであろう (will be) 」から、今回は「必要になるかもしれない (may be) 」に変更されたことで、利上げ終了の可能性が指摘されている。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年4月4日の日本時間(JST)19時31分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時31分)の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:31の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 132.86 〜 132.87 -0.67 (円高)
ユーロ/円 145.19 〜 145.20 +0.47 (円安)
ユーロ/ドル 1.0927 〜 1.0928 +0.0089 (ドル安)
英ポンド/円 166.22 〜 166.28 +1.85 (円安)
スイスフラン/円 145.73 〜 145.79 +0.69 (円安)
豪ドル/円 89.74 〜 89.78 -0.09 (円高)


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