FXニュース:OPEC+減産で原油高時の円リスク

2023年4月03日
FXニュース:OPEC+減産で原油高時の円リスク

 

東西FXニュース – 2023年04月03日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米個人消費支出物価指数PCEは鈍化
  • 四半期末のドル需要と持ち高調整
  • 日大企業製造業業況判断指数が低下
  • 欧ユーロ圏消費者物価指数が鈍化

今日2023年4月3日月曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値133円75銭前後から高値132円83銭前後の値幅約92銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は133円54~55銭付近で、前営業日17時の前東京終値比で約42銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの要因と市場トレンドの動きの分析はまず、日本時間で先週金曜の夜の欧州英国市場では欧州ユーロ圏消費者物価指数 (HICP) の上昇率が前月比で鈍化し、インフレ抑制のための欧州中央銀行 (ECB) 大幅利上げ長期化予想がやや減退していた。

また先週金曜の夜から土曜の朝までの米国ニューヨーク外国為替市場でも、金曜の夜21時半に発表された最新の米国経済指標の中でも重要度の高いインフレ関連の2月の米国個人消費支出 (PCEデフレーター) の前年同月比が前回の5.4%と前回修正の5.3%と市場予想の5.1%に対して5.0%の鈍化を示し、食品とエネルギーを除いたPCEコア・デフレーターの前年同月比も前回と市場予想の4.7%に対し4.6%に低下し、前月比でも前回の0.6%と前回修正の0.5%と市場予想の0.4%以下の0.3%に鈍化し、2月の米国個人消費支出のPCEの前月比も前回の1.8%と前回修正の2.0%と市場予想の0.3%に対し0.2%の上昇と、米国のインフレ関連の指標の鈍化を示したことでは、米国連邦準備制度理事会 (FRB) のインフレ抑制のための利上げの停止時期が近くなる可能性から円安要因の日米金利差拡大予想が一時減退し、円が買われてドルが売られていた市場時間もあった。

ただし、同時発表だった2月の米国個人所得の前月比では、前回の0.6%と市場予想の0.2%に対して0.3%と市場予想以上の増加を示していたことでは、米国の賃金上昇に伴うサービスインフレの根強さも示しており、3月末の四半期末のドル需要もあってドルが買い戻された。

続いて22時45分に発表された最新米国経済指標の景気関連の3月の米国シカゴ購買部協会景気指数は前回の43.6と市場予想の43.4に対し43.8に上昇したものの50以下であったことや、23時に発表された3月の米国ミシガン大学消費者態度指数の確報値は前回の63.4と市場予想の63.2に対し62.0と弱かったことでは、ドルが売られる機会もあった。

しかし、金曜の深夜24時頃には、米国ニューヨーク市場と市場の後半が重なって進行していた英国ロンドン市場のロンドン・フィキシングで3月末の四半期末のまとまった大規模なドル需要があり、主要通貨に対して実需勢のドル買いが優勢になり、一時133円30〜31銭付近の円安ドル高を記録した。

ただし、ロンドン・フィキシングの後には、再び高値のドルが利益確定で売られる機会もあり、ドル円は28時前には一時132円62円付近の抵抗も入った。

また、28時5分頃からは前回の東西FXニュースでも予告していた通り、米国連邦準備制度理事会 (FRB) の高官で次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁の発言があり、米国の金融政策は経済データに基づいて決定し、米国景気の先行きが不透明であることも考慮していることに言及した一方で、先ほどの経済指標を受けて、「インフレは緩和傾向だが、依然として目標の2%を上回っている」と発言したことでは、早期の米国利上げ停止予想がやや後退したことでは、再びドル買いにつながった。

そして、日本では今朝早朝のニュースになったが、日曜日頃に世界的な産油国のサウジアラビアが、「石油市場の価格安定を支えるための予防的措置」と称して、今年5月から2023年末にかけて原油を自主的に日量50万バレル減産することを噂のリーク後に発表し、石油輸出国機構 (OPEC) にロシアなどを含めた非加盟産油国を加えたOPEC+ (プラス) と協調した日量約100万バレルの追加減産予定になり、OPECプラスが昨年11月から継続中の日量200万バレルの減産に加えての供給不足への懸念から、米国市場でもコモディティの原油先物が買われて原油価格が上昇した。

国際指標となる北海ブレント原油先物は、3月の欧米金融不安と緩和の影響などで一時は安値の1バレルが70ドル付近に急落していたが、このOPECプラスの原油追加減産の影響などによる原油供給不足への懸念や価格上昇予想などから買われて、先週末にはバレル80ドル付近に上昇したことで、原油高は日本の貿易赤字リスク増加の懸念材料になるため、低リスク通貨の円の原油高時のリスク増加による円売りも起き始めた。

そのため、先週末の土曜の朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場の終値は132円85~86銭付近で、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約16銭の円安ドル高で先週末の取引を終えていた。

週が明けて始まった今朝早朝の世界市場のアジア・オセアニア市場でも、前述のOPECプラスの原油減産のニュースが伝わり、米国ニューヨーク・マーカンタイル取引所 (NYMEX) の原油先物相場がさらに上昇し、期近の5月物が一時バレル81ドル台後半付近に高騰したことで、8時台に低リスク通貨の日本円の貿易赤字リスク増加による原油高時の円売りがあった。

今朝8時50分には、日本銀行 (日銀 /BoJ) の日本の最新経済指標の発表があり、1~3月四半期の日銀短観の大企業製造業業況判断 (DI) は、前回の7と市場予想の3に対し1と、5四半期連続で悪化した。原因には、原材料やエネルギーの価格上昇や、新型コロナの影響などを含めた海外の経済減速と半導体需要減退や、国内でも設備投資等の需要減少などの影響で幅広い業種が悪化したことで、企業への貸付ローン金利などを抑制する日銀の大規模緩和の金融政策の早期修正予想が減退した。

ただし、その一方で、日本の日銀短観の大企業非製造業業況判断 (DI) は前回の19に対して市場予想通りの20に改善し、観光支援策などの効果もあってコロナ禍以前の2019年12月以来の高水準を記録したことでは、強弱入り混じる結果となったが、先行きでは前回の11と市場予想の16に対し15に留まっていた。

今朝9時から始まった今日の日本の東京外国為替市場では、決算期末後の新年度はじめで仲値決済では円需要や持ち高調整の円買いの抵抗もあり、10時台には132円83銭付近の今日の日本市場での円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、その後には先述の欧米トレンドで再び原油高時の円売りドル買いが起き、今日の米国長期金利が一時3.51%台付近に上昇したことなどでも、日米金利差拡大時の円売りドル買いが続き、午後には欧州英国市場の参入や、日経株価上昇時の円売りもあり、一時133円75銭付近の今日の日本市場での円の安値でドルの高値を記録した。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は133円54~55銭付近で、前営業日の先週金曜17時の前東京終値比で約42銭の円安ドル高になった。

今夜この後にも最新の米国経済指標の発表予定などがあり、日本時間で今夜22時45分に3月の米国製造業購買担当者景気指数、23時に3月の米国ISM製造業景況指数と2月の米国建設支出、29時15分頃からは米国連邦準備制度理事会 (FRB) のクック理事の発言予定もある。

また今週の欧米市場では、今週金曜からの春の復活祭 (イースター) ホリデー前のポジション調整等の値動きの影響などにも注意が必要である。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ相場の終値は144円73~74銭付近で、前営業日の先週金曜17時の前東京終値比で約18銭の円高ユーロ安であった。

原因はやはり、先述の欧州中央銀行 (ECB) の大幅利上げ長期化予想の減退が影響を及ぼし、日欧金利差縮小予想のユーロ安に転じていた。

ユーロドルも同様で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0837~1.0838ドル付近で、前営業日の先週金曜17時の前東京終値比で約0.48セントのユーロ安ドル高になった。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド相場の終値は164円57~63銭付近で、前営業日の先週金曜17時の前東京終値比で約84銭の円安ポンド高であった。

こちらの原因も、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) が先日発表された10.4%の英国の高インフレを受けて、利上げが長期化する可能性が指摘されたで日英金利差拡大予想の円売りポンド買いが影響を及ぼしていた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年4月3日の日本時間(JST)19時31分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時31分)の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:31の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 133.28 〜 133.30 +0.16 (円安)
ユーロ/円 144.79 〜 144.81 -0.12 (円高)
ユーロ/ドル 1.0862 〜 1.0864 -0.0023 (ドル高)
英ポンド/円 164.65 〜 164.71 +0.92 (円安)
スイスフラン/円 145.41 〜 145.47 +0.32 (円安)
豪ドル/円 89.51 〜 89.55 +0.74 (円安)


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