FXニュース:米国雇用動態調査求人件数が減少

2023年4月05日
FXニュース:米国雇用動態調査求人件数が減少

 

東西FXニュース – 2023年04月05日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米景気懸念で長期金利とドル下落
  • 日経平均株価大幅下落の円買いも
  • 新中銀大幅利上げでNZドル上昇
  • 英中銀金融政策委員がタカ派発言

今日2023年4月5日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値131円84銭前後から高値131円30銭前後の値幅約54銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は131円38~39銭付近で、前日17時の前東京終値比では約1円22銭の大幅な円高ドル安であった。

今日のドル円の為替相場の値動きの要因と市場トレンドの動向の分析はまず、昨夜20時半前の欧州英国市場では米国連邦準備理事会 (FRB) 高官の米国クリーブランド地区連銀のメスター総裁のタカ派発言の影響もあり、ドルは円相場で一時133円17銭付近の昨日高値を記録したが、その米国ニューヨーク外国為替市場では、昨夜23時に発表された最新米国経済指標の2月の米国雇用動態調査 (JOLTS) 求人件数が前回の1082.4万件と前回修正の1056.3万件と市場予想の1040.0万件に対し993.1万件に減少し、同時発表だった2月の米国製造業新規受注の前月比も前回の-1.6%と前回修正の-2.1%と市場予想の-0.5%に対し-0.7%と市場予想よりも悪化し、先日発表された3月の全米供給管理協会 (ISM) 製造業景況感指数に続き米国製造業受注が2ヶ月連続で悪化したことを受けて、米国景気懸念が強まって米国長期金利が低下し、日米金利差縮小時の円買いドル売り要因になった。

2月の全米雇用動態調査 (JOLTS) 求人件数の想定外の低下により、今週発表予定の最新の米国雇用統計が注目される一方で、これまで堅調だった米国労働市場の引き締まりを受けて継続されてきたインフレ抑制のための米国利上げ停止予想が強まり、米国連邦準備理事会 (FRB) の早期の利上げ停止予想や、利下げに転換する時期が市場予想よりも早まる可能性などの一部の市場予想の日米金利差縮小予想も浮上し、米国景気懸念のリスク回避の米国債買いで米国10年債の利回りが指標となる米長期金利が低下し、一時3.33%付近の先週までの米国金融システム不安時以来のおよそ1週間ぶりの低利回りを記録し、日米金利差縮小時の円買いだけでなく欧州英国通貨などの主要通貨に対してもドル売りが進み、一時131円52銭付近にドルが大幅に急落した。

米国の金融政策動向に関する市場予測値を示すことで有名なシカゴ・マーカンタイル取引所 (CME) グループのフェッドウォッチ・ツール (FedWatch Tool) では、次回5月2~3日に予定されている米国連邦公開市場委員会 (FOMC) で米国フェデラルファンド (FF) 政策金利の据え置きの利上げ停止の予測値が前営業日の43%付近から60%付近に上昇する一方で、次回0.25%の追加利上げの予測値は40%付近に低下し、まだいずれも70%超えの確定値には至ってはいなかったものの、米国の早期の利上げ停止予想の予測値が増加したことでも、日米金利差縮小予想による円買いドル売りが優勢になったほか、米長期金利の低下と他通貨との金利差予想により、主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスが一時101.46の2月2日以来の安値を記録した。

また、米国景気減速懸念によるリスク回避の米株売りで、安全資産の米国債だけでなく、低リスク通貨の円が買われた影響もあった。

ただし、今夜23時には最新の米国経済指標の3月の全米供給管理協会 (ISM) 非製造業景況指数の発表予定を控えており、また今週には米国雇用統計の発表なども控えていることでは、先日の製造業の悪化に対する非製造業の景況指数や、より重要度の高い最新の米国雇用統計の発表予定も注目されており、安値圏からのドルの買い戻しの抵抗もやや入った。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場は、円の安値133円6銭前後から高値131円52銭前後の値動きをし、今朝6時頃のニューヨーク終値は131円71銭付近で、前日同時刻の前ニューヨーク終値比で約75銭の円高ドル安であった。

今朝9時から始まった今日の日本の東京外国為替市場でも、早朝には米国トレンドの影響を引き継ぎ、日米金利差縮小予想による円買いドル売りでドルは円相場で低く始まり、今朝9時5分頃に今日の日本市場での円の高値でドルの安値の一時131円30銭付近を記録した。

ただし、今朝9時55分頃の日本市場の仲値決済では、今日は5日で日本の貿易企業の決済日が集中しやすい「5と10のつく日の五十日 (ゴトービ) 」であったことで、日本企業の輸入実需のまとまった円売りドル買い注文があり、また安値での円からのドル買い需要などもあったことではドルが今朝までの下げ幅を縮め、昼の12時25分頃には一時131円84銭付近の今日の日本市場での円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、かつては「アメリカが風邪を引くと、日本がくしゃみをする」と言われていたこともあり、日本の主な貿易相手の米国の景気懸念は日本経済にも懸念材料となるため、今日は日本でもリスク回避の株売りがあり日経平均株価が大幅に下落したことでは、日本株安時の安全資産の低リスク通貨の円買い需要もあり、特に15時15分に今日の日経平均株価が27,813円26銭の前日比474円16銭安の1.68%の大幅下落で大引けしたことでは円相場が再び上昇した。

午後からは欧州英国市場の参入も加わり、日米金利差縮小予想の円買いドル売りが続き、今夜17時25分頃には一時131円23銭付近の今日の日本市場時間での円の高値でドルの安値の記録を更新する勢いの途中で、今夜17時の日本市場の東京終値をつけた。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は131円38~39銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約1円22銭の大幅な円高ドル安になった。

ただし、今夜17時半過ぎからは高値の円の利益確定売りと安値からドルが買われる機会があり、今夜18時台の英国ロンドン外国為替市場では、対ドルでユーロや英国ポンドも利益確定売りなどで下げたため、ドル円も131円台後半付近にドルが下げ幅を縮めている。

その一因には、今夜この後にも最新の米国経済指標の発表予定などがあり、また今週発表予定の重要度の高い米国雇用統計なども注目されており、結果によっては再び市場予想に影響を及ぼす可能性があるため持ち高調整が入ったことや、キリスト教国が多い欧米市場では今週金曜のグッドフライデーからのイースター・ホリデーの連休前の持ち高調整なども入っていることでも、高値圏からの利益確定売りが入りやすくなっている。

今夜この後の米国経済指標の発表スケジュールは、日本時間の今夜20時に米国MBA住宅ローン申請指数、21時15分にADP全米雇用報告、21時半の米国貿易収支、22時45分に3月のサービス部門と総合の米国購買担当者景気指数 (PMI) の改定値、23時に3月の全米供給管理協会 (ISM) 非製造業景況指数、23時半に週間の米国原油在庫などが、今夜の値動き予想材料としてFXトレーダー達に注目されている。

欧州ユーロも、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は143円77~79銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約1円9銭の大幅な円高ユーロ安であった。

基軸通貨のドルに対する今日の大幅な円高は、他の主要通貨であるユーロにも波及した。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0948~1.09ドル付近で、昨日17時の前東京終値比で約0.24セントのユーロ高ドル安であった。

昨夜の欧州英国市場でも、市場予想以下だった2月の米国雇用動態調査 (JOLTS) 求人件数などの米国経済指標の発表を受けた米国景気懸念などで米国長期金利が低下したことや、米国利上げ停止予想の増加などにより、米欧金利差予想によるユーロ買いドル売りが優勢で、今日の日本市場にもユーロ高ドル安の影響を残していた。

また、今日の午後には欧州ユーロ圏の最新経済指標の発表もあり、15時に発表されたドイツの2月独製造業新規受注は前年同月比と前月比共に前回と市場予想よりも上昇していたことなども影響を及ぼした。ただし、続いて16時55分に発表されたドイツの3月の独サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の改定値は、前回と市場予想の53.9に対し53.7の市場予想以下であった。

15時45分のフランスの2月の仏鉱工業生産の前月比も前回と市場予想以上に改善されていたが、続いて16時50分に発表された3月の仏サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の改定値は前回と市場予想の55.5に対し53.9の市場予想以下で、17時に発表された欧州ユーロ圏総合の3月の欧サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の改定値も前回と市場予想の55.6に対し55.0の市場予想以下で、その後のユーロの利益確定売りの一因となっている。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英国ポンド円相場の終値は164円3~9銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約68銭の円高ポンド安であった。

欧州ユーロ同様に、ドルに対する今日の大幅な円高の影響は他の主要通貨である英国ポンドにも波及していたが、昨夜の英国ロンドン外国為替市場では、英国中央銀行にあたるイングランド銀行 (BoE) のチーフ・エコノミストのピル金融政策委員が講演で、「現在10.4%の英国の総合的なインフレ率は、ベース効果とエネルギー価格下落により、今年中に大幅下落するであろうが、国内事情で発生しているインフレは継続する可能性があるため、英国のインフレ見通しの評価には依然として注意が必要だ」と発言し、英国の高インフレへの警戒を強調したことで、タカ派発言によるポンド買いドル売りが起きており、米国長期金利低下時のポンド買いドル売りもあって、ポンドドルは昨夜に一時1.2515ドル付近の2022年6月以来10カ月ぶりのポンド高ドル安水準を記録しており、その後の高値圏からのポンドの利益確定売りはあったものの、この影響は円相場にも波及していたため、今日の円高トレンドの中でも、英国ポンドはユーロよりも円相場での下げ幅が小さくなっていた。

また、今夜17時半に発表された最新英国経済指標の3月の英サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の改定値も、前回と市場予想の52.8に対し52.9の市場予想以上であった点も、前述の市場予想以下だったユーロのPMIの改定値と比較できる点である。

オセアニアのオーストラリアの豪ドルも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の豪ドル円相場の終値は88円13~17銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約82銭の円高豪ドル安であった。

ただし、オセアニアのニュージーランドの新ドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の新ドル円相場の終値は83円23~27銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約9銭の円安新ドル高であった。

原因は、今日は日本市場時間の午前11時に、sニュージーランドの中央銀行にあたるニュージーランド準備銀行 (RBNZ) の新政策金利と声明の発表があり、市場予想の0.25%を上回る0.50%の大幅の追加利上げを決定し、ニュージーランドの新政策金利をトータルで5.25%にしたことで、日本銀行 (日銀 / BoJ) が金利抑制方向の日本円を始め、主要通貨に対してニュージーランドドルが一時上昇したことが影響していた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年4月5日の日本時間(JST)19時21分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時21分)の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:21の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 131.65 〜 131.66 -0.95 (円高)
ユーロ/円 144.10 〜 144.13 -0.76 (円高)
ユーロ/ドル 1.0951 〜 1.0953 +0.0027 (ドル安)
英ポンド/円 164.19 〜 164.25 -0.52 (円高)
スイスフラン/円 145.47 〜 145.53 +0.09 (円安)
豪ドル/円 87.96 〜 88.00 -0.99 (円高)


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