FXニュース:今夜の米中間選挙イベント前のドルの持ち高調整売り

2022年11月08日
FXニュース:今夜の米中間選挙イベント前のドルの持ち高調整売り

 

東西FXニュース – 2022年11月8日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 今週10日の米消費者物価指数(CPI)発表前の持ち高調整も
  • 米長期金利は一時4.2%台付近に高止まりし日米金利差は拡大
  • 日本政府と日銀の7〜9月の為替介入は9月22日だけと判明
  • 欧ECB総裁発言と株高時リスクオンでユーロ等価回復後の動き

今日2022年11月8日火曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値の146円93銭前後から市場高値の146円32銭前後の値動き幅約61銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は146円72〜73銭付近で、前日同時刻の前東京終値と比較すると約79銭の円高ドル安であった。

また、今夜その後の欧州英国市場では、前日比1円超のより大幅な円高ドル安も記録した。

今日の為替相場の値動きの原因は、日本時間で今夜から明日の米国現地時間8日の米国中間選挙の投開票の米国重要イベント前で、また今週10日の重要米国経済指標の米国消費者物価指数(CPI)発表前のイベントリスクもあり、米ドルの持ち高調整売りが優勢であった。

市場トレンドの動向では、まず昨夜の欧州市場で米国イベント前の調整と、欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁が昨夜のデジタルユーロのカンファレンスで「インフレを2%に戻さなければならない」と、大幅利上げ継続に積極的な発言をしたことで、タカ派と受け止められ、欧州株高時のリスクオンもあり、ユーロ買いやポンド買いのドル売りが優勢になり、他の主要通貨へのドル安が円相場にも波及していた。

続いて、昨夜の欧州市場後半から始まった今朝までの米国ニューヨーク外国為替でも、今夜8日からの米国中間選挙や、10日の米消費者物価指数(CPI)発表など、今週の重要イベントを前にしたドル買い円売りの持ち高調整の動きが継続した。

今後の米国政治によっては、米国連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策や米大幅利上げ減速予想などにも影響を与えるため、米長期金利が一時低下し、日米金利差縮小時のドル売り円買いも起きており、一時は146円10銭付近に円相場が上昇していた。

しかし、その一方で大きな市場トレンドとしての最終的な高金利の米国のターミナルレートを見据えた米利上げ継続予想も継続しており、その後に米長期金利が再び上昇に転じた時間には、再びドルが買われて円が売られており、146円73銭付近にドルが再上昇した。

また、欧米株高に続いて米国ニューヨーク株式市場でも米株高時のリスク選好市場になり、リスクオンのユーロ買いで安全資産のドルや低リスク通貨の円も売られたために、対ユーロではドル安と円安になり、ユーロはドルとパリティ(等価)回復付近で推移していた。

そのため、今朝早朝の米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場の終値は、146円60~70銭付近で、前日同時刻の前ニューヨーク終値比では約0銭の横ばいレンジ付近であった。

今朝8時半の世界市場では、日本の最新経済指標の発表があり、総務省が発表した9月の全世帯家計調査・消費支出の前年同月比は、前回の5.1%と市場予想の2.6%に対して2.3%で、物価高による節約や買い控えの消費停滞が観測されたが、同時発表の9月の毎月勤労統計調査・現金給与総額の前年同月比は、前回と市場予想の1.7%に対して2.1%に上昇しており、インフレ対応の企業による給与増額も見られたために、やや円が買われていた。

8時50分には日本の10月末時点での外貨準備高が発表され、前回の1兆2381億ドルに対して1兆1946億ドルに減少していた。外貨資金の使用用途の一因としては、日本政府と日本銀行(日銀/BoJ)によるドル売り円買いの為替介入資金が考えられたが、公表された7~9月の外国為替介入実績・日次ベースでは、日本政府と日銀の為替介入は9月22日分だけで、特に公費では覆面介入は行われていなかったことが判明した。ただし、日銀の為替介入前のレートチェックなどで、銀行や企業等がまとまったドル売りをした可能性はある。日本政府と日銀にはまだ為替介入を実行可能な資金があるため、為替介入警戒も継続した。

日本銀行(日銀)は10月27~28日開催分の「金融政策決定会合における主な意見」も公開し、「現在の金融緩和策を、継続することが適当」とする意見や、日本の消費者物価のインフレ上昇率の見通しは、「来年度以降に2%を下回る」などの意見があり、日銀が現在の大規模緩和の金融政策を継続する市場予想が強まる一方で、物価高懸念はやや減退した。

今朝9時から始まった今日の日本の東京外国為替市場でも、日本時間で今夜から明日に迫った米国の重要イベントの米国中間選挙前の持ち高調整のドル売りに加えて、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策に影響を与える可能性の高い重要米国経済指標の10月の米消費者物価指数(CPI)発表を今週木曜日の夜に控えてのドル円の持ち高調整が起きていた。そのため、今朝9時台には一時146円32銭付近に円相場が上昇した。

ただし、今朝10時頃の仲値決済に向けては、日本企業の輸入実需の円売りドル買いにより、ドルは今朝の下げ幅を回復して一時上昇した。

また、米長期金利が4.2%台付近で高止まりしていたことでは、日米金利差拡大よるドル買い円売りも起きており、持ち高調整ドル売りと相殺されて横ばいに近い動きになった。

午後14時頃には日本の最新経済指標の9月の景気先行指数(CI)の速報値が発表され、前回の101.8に対して市場予想通りの101.1であったが、9月の景気一致指数(CI)速報値は、前回の101.3と市場予想の97.8に対し97.4で市場予想を下回り、発表後にドル買い円売りが一時強まる時間もあった。

午後15時台には日本の株式市場も前日比株高で大引けしたためにリスクオンの円売りがあり、また時差で朝の欧州英国市場の参入では米長期金利の指標となる米10年債の利回りが4.24%台に上昇していたために一時ドル買い円売りが起き、16時台には一時146円93銭付近の今日の日本市場時間のドルの高値で円の安値を記録した。

しかし、その後には今夜からの米国重要イベントリスクの持ち高調整のドル売りや、今日の高値圏のドルが利益確定など売られたために再び下げており、17時の東京外国為替市場のドル円相場の終値は146円72〜73銭付近で、前東京終値比で約79銭の円高ドル安になった。

今夜この後には米国重要イベントの注目の中間選挙があるために、経済指標の発表予定は特にないが、結果が分かるまでのドルにはイベントリスクによる買い控えも入っている。米債券市場では明日未明3時に米国3年債の入札予定があり、また米国ニューヨーク株式市場では米主要企業の決算発表が継続する予定である。市場ではその先の今週10日に発表予定の米国消費者物価指数(CPI)発表に向けた持ち高調整なども入っている。

一方、今日のユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の円相場の終値は146円70~73銭付近で、前日同時刻比で約28銭の円安ユーロ高であった。ただし、その後の欧州英国市場では高値のユーロの利益確定が入り、今夜20時台には円高ユーロ安にも転じている。

今日のユーロドルはパリティ(等価)を一時回復しており、17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0000~1.0001ドル付近で、前日同時刻比で約0.75セントのユーロ高ドル安だった。

原因は、昨夜の欧州市場からの前述通りの欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁のタカ派発言による欧州債利回り上昇と欧州株高時のリスクオンのユーロ買いと、米国連邦準備理事会(FRB)大幅利上げペース減速予想のドル売りや米国中間選挙や今週の米消費者物価指数(CPI)などの発表前の持ち高調整のドル売りなどが入っており、リスクオンのユーロ買いで安全資産のドルや低リスク通貨の円が下げていた影響が今日の日本市場でも観測された。

ただし、今日の午後の米長期金利の4.24%台の上昇時には、米欧金利差拡大により、早朝の欧州市場で再び一時ユーロがドルの等価以下になった時間もあったが、今夜のドルのイベントリスクでその後に今日の高値圏のドルの利益確定売りが入り、ユーロドルは等価以上に戻していた。

しかし、その後の今夜の欧州市場では、イベントリスクのない円に対しては、高値圏のユーロの利益確定売りなどが入り、20時台には前日比で円安ユーロ高から円高ユーロ安にも転じていた。

英国ポンドは、昨夜の英国ロンドン外国為替市場では、欧州ユーロに連動するように対ドルで一時上昇していた。英国は欧州連合(EU)離脱のブレキジット(Brexit)の後でも、特に米国市場では元欧州として欧州ユーロ圏との経済的な関係が意識されやすく、昨夜の欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁のタカ派発言を受けての欧州債の利回り上昇時には、英国債の利回りも上昇しており、ポンド買いドル売りが優勢でドル安ポンド高になっていたが、今日の日本市場の午後の米長期金利上昇時にはドルに対してポンドが売られて、また今日は対円などでも前日上昇分のポンドの利益確定売りなどが入り、今日の日本市場の円相場では前日比でポンドは下げに転じていた。

今日発表の英国の最新経済指標の10月の英小売連合(BRC)小売売上高調査の前年同月比では、英国の高インフレや景気懸念の影響などで前回の1.8%から1.2%に低下していたことも、今日の円相場でのポンド売りの一因となった。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円の終値は168円31〜37銭付近で、前日同時刻比では約39銭の円高ポンド安になった。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年11月8日の日本時間(JST)20時33分(英国時間(GMT)11時33分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:33の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 146.26 〜 146.27 -1.25(円高)
ユーロ/円 146.27 〜 146.29 -0.15(円高)
ユーロ/ドル 1.0001 〜 1.0005 +0.0076(ドル安)
英ポンド/円 167.72 〜 167.78 -0.98(円高)
スイスフラン/円 147.77 〜 147.83 -0.51(円高)
豪ドル/円 94.79 〜 94.83 -0.13(円高)


注意:

本ウェブサイトに記載されている全ての情報またリンク先を含めた情報は、情報提供を目的のみとしており、取引投資決定、及びその他の利用目的のために作成されたものではありません。取引投資種、外国為替取引業者の選択、売買価格投資等の全ての最終決定については、利用者ご自身のご判断において行われるようお願い致します。

当社は、当サイトに掲載した情報によって万一閲覧者が被った直接・間接的に生じた損失に関して一切責任を負わないものとします。また、当社および当社に情報を提供している第三者は一切責任を負うものではございませんので ご了承ください。万が一、当サイトの提供情報の内容に誤りがあった場合でも、当社は一切責任を負いません。当社はこのウェブサイトの掲載内容を予告なしに変更または廃止することがございますので、あらかじめご了承おきください。