FXニュース:強弱混合の米雇用統計と米中間選挙前の持ち高調整

2022年11月07日
FXニュース:強弱混合の米雇用統計と米中間選挙前の持ち高調整

 

東西FXニュース – 2022年11月7日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米雇用者数は非農業部門が市場予想以上で一時ドル買い
  • 米失業率3.7%と米平均時給上昇率の鈍化ではドル売りが
  • 米FRBの利上げ幅減速予想と米中間選挙前ではドル売りも
  • 欧英株上昇時のリスクオンのユーロとポンド買いも影響

今日2022年11月7日月曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値の147円55銭前後から市場高値の146円70銭前後の値動き幅約85銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は147円55〜56銭付近で、前営業日同時刻の前東京終値と比較すると約33銭の円高ドル安であった。

今夜その後の欧州英国市場では、19時台に米長期金利の指標となる米10年債の利回りが4.13%台に低下したこともあり、日米金利差縮小時のドル売りなどで前東京終値比で1円超の円高ドル安の1ドル146円台の値動きになっている。

原因は、今日は米国現地時間で明日8日に投票日を迎える米国の中間選挙を控えたイベント前の持ち高調整のドル売りと低リスク通貨の円買いが入ったことに加えて、先週末の米国ニューヨーク市場で発表された米国連邦準備制度理事会(FRB)も注目の最新米国雇用統計の強弱混合の結果を受けて、米利上げ幅の減速予想による持ち高調整のドル売りと、欧州株上昇時のリスクオンのドル売りのユーロとポンド買いが入っていたことなどが影響している。

時間に沿った市場トレンドの動きとしては、まず日本時間で先週の金曜の夜から土曜の朝までの米国ニューヨーク外国為替市場に向けて21時半に発表された最新米国重要経済指標の10月の米雇用統計で、非農業部門雇用者数変化の前月比が前回の26.3万人と前回修正の31.5万人と市場予想の20.0万人に対して26.1万人の市場予想以上の増加であったことでは、一時はドル買いでドル円が148円台になっていたが、前月や前回の上方修正と比較をするとほぼ横ばいから下げていたために、同時発表の重要指標の失業率等が注目された。

その注目の米大幅利上げ継続後の10月の米国失業率は、前回の3.5%と市場予想の3.6%に対して3.7%に悪化していたことからは、米連邦準備理事会(FRB)が次回12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で今後の利上げ幅縮小について協議する可能性が強まり、米利上げ減速予想による持ち高調整のドル売りが優勢になった。

また、10月の米平均時給の前月比は前回と市場予想の0.3%に対し0.4%であったが、前年同月比では前回の5.0%に対して市場予想通りの4.7%で、上昇率の鈍化が指摘されたことなどから、米大幅利上げ継続の抵抗要因の景気懸念が浮上し、また明日の米中間選挙で激戦予想のニュースが流れると、米国景気懸念に加えての政治イベントのリスク要因でも、米大幅利上げ継続予想で買われていた余剰なドルの持ち高調整のドル売りが起き始めた。

一方、後半が米国市場と同時進行であった欧州英国市場では、欧州株上昇を背景としたリスクオンのユーロ買いやポンド買いでも、以前のリスク回避で買われていた安全資産のドルがイベントリスクなどの持ち高調整で売られており、ユーロなどの他の主要通貨に対するドル安が円相場にも波及したことに加えて、世界的に流動性の高いドルに続く安全資産である低リスク通貨の円が買われる動きもあった。

そのため、先週末の土曜の朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場の終値は146円60~70銭付近で、前日同時刻比で約1円60銭の大幅な円高ドル安であった。

週が明け、その後に始まった今日の日本の東京外国為替市場では、強弱混合の最新の米雇用統計の結果を受けて米長期金利の上昇が一段落していたことなどでは146円台後半の比較的小幅な値動きから始まったが、今朝10時前の仲値決済に向けては、今朝のドルの割安感から日本企業の輸入実需の円売りドル買いや輸入資金調達が優勢になり、ドルが再び上昇して下げ幅を縮め、10時台には147円台に円相場が下落した。

また、世界一の対外純資産国は日本だが、2位は欧州ユーロ圏主要国のドイツで、ユーロ圏ではスペインなどは中国からの輸入依存率が高いのだが、今日の中国の最新経済指標の10月貿易収支が市場予想以下であったことやゼロコロナ継続予定に関するニュースからは、安全資産のドルが買われる抵抗もあった。

しかし、その後には再び先週末の米雇用統計を受けての持ち高調整や、明日に迫った米国の中間選挙の激戦予想で、イベント前の米国政治懸念でのドルの持ち高調整売りなどで、ほぼ横ばいに近い値動きにもなったが、日本時間の午後が時差で朝の欧州英国市場が参入すると、17時前の今日の日本市場の円の安値でドルの高値の147円55銭付近に達してからは、再びリスクオンのユーロ買いとポンド買いでドル売り優勢に転じて円相場が上昇した。

そのため、17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は147円55〜56銭付近で、前営業日同時刻の前東京終値と比較すると約33銭の円高ドル安だった。

今夜その後の欧州英国市場では、19時台には米長期金利が4.13%台に低下したこともあり、金利差縮小時のドル売りで円やユーロやポンド買いの起きた影響が出ており、前東京終値比で1円超の円高ドル安の146円台の値動きになっている。

米国では明日の中間選挙が最も注目されているが、明朝5時頃にも最新の米国経済指標の9月の米消費者信用残高の発表予定があり、その40分後には米連邦準備制度理事会(FRB)の米クリーブランド連銀のメスター総裁と米ボストン連銀のコリンズ総裁の発言予定があり、両者は次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)でも投票権を持っていることで、パウエル議長は先週のFOMC後の会見発言では利上げ幅減速には否定的であったものの、今後の米利上げ幅の市場予想材料として、世界のFXトレーダー達に注目されている。

一方、今日のユーロは、前述の先週末の欧州市場からの欧州株高時のリスクオンのユーロ買いドル売りの影響や、米国大幅利上げ減速予想や米国中間選挙イベント前リスクのドルに対するユーロの上昇幅の波及などで、今夜17時の今日の東京外国為替市場の円相場の終値は146円47~49銭付近で、前営業日同時刻比では約2円6銭の大幅な円安ユーロ高になった。

同様に今日はユーロドルも、17時の東京終値の頃には0.9928~29ドル付近で、前東京終値比では約1.63セントの大幅なユーロ高ドル安になっていた。

また、今日の午後16時には欧州ユーロ圏主要国のドイツの最新経済指標の9月の独鉱工業生産の発表があり、前年同月比と前月比ともに市場予想以上の結果であったことも今日のユーロ買いに影響を及ぼしていた。特に、前月比では前回のマイナスの-0.8〜-1.2%から、市場予想の0.2%を超えて、プラスの0.6%に転じて上昇していた。

尚、今夕は欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁が、デジタル・ユーロのカンファレンスに出席しており、イベント発言が期待されているが、現時点でまだオンラインのライブストリーム中継が進行中である。

今日の英国ポンドは、前述の欧州主要株価上昇時のリスクオンの欧州ユーロ買いでポンド買いも入ってつられ高になっており、今夜17時の東京終値の頃には166円72〜78銭付近で、前東京終値比とほぼ横ばいレンジの僅差の約1銭の円安ポンド高であったが、その後の欧州市場では米長期金利低下時のドル売りポンド買いなどでポンドが上昇し、20時には168円台になり、前東京終値比で1円超えのより大幅な円安ポンド高になった。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年11月7日の日本時間(JST)20時27分(英国時間(GMT)11時27分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:27の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 146.62 〜 146.63 -1.26(円高)
ユーロ/円 146.44 〜 146.45 +2.03(円安)
ユーロ/ドル 0.9987 〜 0.9988 +0.0222(ドル安)
英ポンド/円 168.09 〜 168.15 +1.38(円安)
スイスフラン/円 148.16 〜 148.22 +0.65(円安)
豪ドル/円 94.72 〜 94.76 -0.18(円高)


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