FXニュース:米FRBが注視する最新米国雇用統計発表を今夜に控え

2022年11月04日
FXニュース:米FRBが注視する最新米国雇用統計発表を今夜に控え

 

東西FXニュース – 2022年11月4日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米英大幅利上げで金利抑制の日本と金利差拡大
  • 日米欧英の最終的な政策金利水準の違いに注目が
  • タカ派の米FRBとハト派の欧ECBと英BoEと日銀
  • 英政策金利0.75%大幅利上げ後のベイリー総裁発言

今日2022年11月4日金曜日の日本の東京外国為替市場の17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、開場前の早朝の円の安値の148円40銭前後から市場高値の147円70銭前後の値動き幅が約70銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は147円77〜79銭付近で、昨日の文化の日の祝日前の前営業日17時の前東京終値の147円32〜33銭付近と比較すると、約47銭の円安ドル高であった。

ただし、日本市場が祝日休場中だった昨日の海外FX市場での日本時間17時の147円91〜92銭付近と比較すると、約15銭の円高ドル安になる。

原因はまず、昨日までの東西FXニュースでもお伝えした通り、今週の米国連邦公開市場委員会(FOMC)で通常の3倍の0.75%の米大幅利上げ継続後の米国連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の発言で、堅調な労働市場と米景気の強さを背景としたインフレ対策で最終的な米国政策金利のターミナルレートの金利水準の引き上げの可能性と、高金利が長期化する可能性についても言及されたことで、かねてからの円安要因であった日米金利差拡大予想の円安ドル高のトレンドに転じていた。

市場予想でも米政策金利の最終的なターミナルレートは、以前の予想値よりも高い4.75%から5%の予想値が優勢になってきており、米長期金利は一時4.2%付近に上昇し、日米欧英金利差も拡大していた。資産運用は高金利の方が利益を出しやすいために、金利差拡大時には海外投資も増えて、主要通貨でドルが買われやすくなっていた。

しかし、昨夜の米国ニューヨーク外国為替市場で日本時間21時半に発表された最新の米国経済指標の米貿易収支が、前回の-674億ドルと前回修正の-657億ドルと市場予想の-722億ドルに対して-733億ドルと赤字額が悪化しており、また前週分の米失業保険継続受給者数が市場予想ほどではないが前回よりも増え、前週分の米新規失業保険申請件数は市場予想よりは良かったものの前回とほぼ横ばいの状態が続き、米単位労働コストの伸び率も低下していたことなどでは、米利上げ抵抗要因となる米景気懸念でのドル売りも起きた。

ただし、昨晩22時45分に発表された10月の総合の米購買担当者景気指数(PMI)の改定値は、前回と市場予想の47.3を上回る48.2で、サービス部門のPMI改定値も、前回と市場予想の46.6を超える47.8であったことでは、ドルが買い戻されて下げ幅を縮めたが、日本政府と日本銀行(日銀/BoJ)の為替介入への警戒では買い控えも起きていた。

続いて、昨夜23時に発表された重要米国経済指標の10月の米ISM(Institute for Supply Management=全米供給管理協会)非製造業景況指数の総合が、前回の56.7と市場予想の55.5を下回る54.4であったことでは、米利上げ抵抗要因の米景気懸念が強まり、日米金利差拡大の中でも、ややドルがそれまでの上昇幅を縮めていた。

米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は、現実的な最新データを注視しながら、今後の利上げペースを決める姿勢も示していたことから、世界FX市場では最新の米経済指標が注目を集めており、今夜発表予定の重要度の高い最新の米国雇用統計などを見据えた持ち高調整なども入り始めた。

そのため、今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場での対ドル円相場の終値は148円20~30銭付近で、前日同時刻比では約30銭の比較的小幅な円安ドル高であった。

そのトレンドを受けて始まった今日の日本の東京外国為替市場では、今朝9時頃には米大幅利上げ継続予想の米長期金利上昇時の日米金利差拡大による円の今日の日本市場の安値の148円40銭付近から始まったが、米景気懸念のドル売り混在もやや引き継いでいた。

今朝は日本の最新経済指標の前週分の対外対内証券売買契約等の状況が発表され、対内株式で前回のマイナスからプラスに転じていたことではやや円が買われた。しかし、対外中長期債では、逆に前回プラスからマイナスに転じており、大きな円買いにはならなかった。

今朝10時頃の仲値決済では、日本の貿易企業の決済日が集中しやすい明日の5日が土曜にあたるために今日が実質的な五十日で、輸入実需の円売りドル買いと輸出企業のドル売り円買いが交錯し、やや横ばいに近い動きに相殺された。

午後になると、時差で現地朝の欧州英国市場が参入し、日本時間で今夜21時半に最新の重要経済指標の10月の米国雇用統計の発表を控えており、今後の米利上げ予想に影響を与える可能性が高いことから、米長期金利の指標となる米10年債利回りが一時4.12%台へ低下し、イベント前のドルの持ち高調整と、米国景気予想のための結果が分かるまでの買い控えの様子見なども入り始めて、ドルが一時下げ始めた。

また、日本市場と時間帯の近いアジア市場では、今日の午後はゼロ・コロナ緩和予測による上海や香港での中国株上昇により、オフショアで元高ドル安になったことの影響もあり、外貨に対するドル安が他の主要通貨である円相場にも波及していた。

これらの影響が、日本市場と海外市場の前日比で円安ドル高と円高ドル安のボーダーラインをまたがる今日の東京終値付近の値動きの原因となった。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は、147円77〜79銭付近になった。

今夜この後には、前述の米国連邦準備制度理事会(FRB)も今後の金融政策決定のためのデータとして注視している米国雇用統計の発表予定があり、日本時間で21時半に米失業率、米平均時給、米非農業部門雇用者数、米製造業雇用者数などが公表される。23時には、米国連邦公開市場委員会(FOMC)の投票権を持つ米ボストン連銀のコリンズ総裁の発言も予定されており、世界のFXトレーダー達が為替相場の値動き予想材料として注目している。

他の値動きに影響を与える可能性のある要因では、米国株式市場では決算報告期が続いており、安全資産のドルのリスクオフやリスクオンの影響等にも注意が必要である。また、米国では来週に中間選挙や、米消費者物価指数の発表なども予定されている。

一方、今日のユーロは、今夜17時の日本の東京外国為替市場の円相場の終値は144円36~39銭付近で、前営業日同時刻の前東京終値比では約1円27銭の大幅な円高ユーロ安であった。ユーロドルも、17時には0.9767~0.9769ドル付近で、前東京終値比で約1.17セントの大幅なユーロ安ドル高であった。

原因は、ターミナルレートが高金利で長期化予想のタカ派の米国連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の発言と比較して、欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁のハト派の発言で、ユーロ売りが起きたことなどが影響を与えていた。

昨夜の欧州英国市場で、ラガルド総裁が「FRBと同じペースで、同じ景気判断のもとでは、進むことは出来ない」と発言した理由には、欧州ユーロ圏の景気悪化懸念の強さなどがあり、欧米金利差拡大予想などからユーロが対ドルで大きく売られた影響で、今日の円相場でも下落していた。

ただし、今夕の欧州英国市場では、今夜の米雇用統計発表前のイベント前の米長期金利の一時低迷時のドルの持ち高調整や買い控えでは、ユーロはドルに対する下げ幅を縮めていた。

また、今日は欧州ユーロ圏の最新経済指標の発表もあり、午後16時のドイツの独製造業新規受注の前年同月比は前回のマイナスからプラスに転じて市場予想を超えて上昇していたが、前月比ではプラスの市場予想に対してマイナスに悪化していた。

ただし、今日の東京終値後の17時50分に発表されたフランスの10月の仏サービス部門購買担当者景気指数(PMI)の改定値が前回と市場予想の51.3に対し51.7に改善されており、17時55分のドイツの10月の独サービス部門購買担当者景気指数(PMI)の改定値も前回と市場予想の44.9に対して46.5に改善し、18時の欧州ユーロ圏総合の10月の欧サービス部門購買担当者景気指数(PMI)の改定値も前回と市場予想の48.2に対して48.6に上昇したことでは、ユーロが買い戻される機会もあり、今夜その後の欧州市場では今日の下げ幅をやや縮めていた。

今夜19時に発表された欧州ユーロ圏の9月の欧卸売物価指数(PPI)の前月比は前回の5.0%と市場予想の1.7%に対して1.6%で、前年同月比では前回の43.3%〜43.4%と市場予想の42.0%に対して41.9%であったことでは、欧州インフレによる景気懸念がやや弱まる一方で、欧州利上げ減速予想も出ていた。

今日の英国ポンドの円相場は、今夜17時の東京終値は165円66〜72銭付近で、前東京終値比では約25銭の円安ポンド高であった。

昨夜、英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)も通常の3倍の0.75%の大幅利上げを継続し、英国の新政策金利を3%にしたが、ベイリー総裁の会見発言では、英国での住宅ローン金利上昇懸念などに対する配慮で、英国では米国よりも最終的な政策金利のターミナルレートが低くなる可能性が言及されたために、今朝までの米国ニューヨーク市場では対ドルでポンド売りが起きてポンドが大きく下げていた。

そのため、今日の日本市場では英国の大幅利上げ後で、日英金利差拡大による円安要因はあったものの、小幅な円安ポンド高に留まった。

ただし、今夕の米長期金利の一時低下時には対ドルでもポンドが一時買い戻され、また今夜18時半に発表された英国最新経済指標の10月の英建設業購買担当者景気指数(PMI)は、前回の52.3と市場予想の50.5に対して53.2であった。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年11月4日の日本時間(JST)20時27分(英国時間(GMT)11時27分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:27の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 147.71 〜 147.73 +0.38(円安)
ユーロ/円 144.73 〜 144.74 -0.90(円高)
ユーロ/ドル 0.9798 〜 0.9800 -0.0086(ドル高)
英ポンド/円 165.53 〜 165.59 +0.12(円安)
スイスフラン/円 146.68 〜 146.74 +0.40(円安)
豪ドル/円 94.28 〜 94.32 +1.02(円安)


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