FXニュース:米中間選挙予想の国債買いで米長期金利低下時のドル円

2022年11月09日
FXニュース:米中間選挙予想の国債買いで米長期金利低下時のドル円

 

東西FXニュース – 2022年11月9日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 明日の米消費者物価指数(CPI)発表前の持ち高調整も継続
  • 午後の北朝鮮の弾道ミサイル発射では有事に備えた円買いも
  • 欧中銀(ECB)利上げ継続予想のユーロ買いドル売りも波及

今日2022年11月9日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値の145円90銭前後から市場高値の145円18銭前後の値動き幅約72銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は145円52〜53銭付近で、前日同時刻の前東京終値と比較すると約1円20銭の大幅な円高ドル安であった。

原因はまず、昨夜の米国ニューヨーク外国為替市場では、米国中間選挙が始まったことで、バイデン米大統領の与党・民主党が上下院共に多数派である現状維持が危ぶまれてきており、もし共和党が多数派になる場合には、任期がまだ2年ほど残っているバイデン大統領の政党と議会の多数党との間でのねじれ現象が生じ、バイデン大統領が推進しようとしている大規模な米財政による景気刺激策などの推進が難しくなる可能性から、米財源となる追加国債数が減少する場合には米国債価格が上昇して米10年債の利回りが指標となる米長期金利が低下する可能性の市場予想から米国債買いが入り、米国債価格が上昇する一方で米長期金利が低下したことで、日米金利差縮小時のドル売りの円買いが起き、円相場が上昇した。

また、明日10日の夜に米国連邦準備制度理事会(FRB)が今後の金融政策の決定のための重要なインフレ指標のデータとしていることで有名な最新の重要米国経済指標の10月の米国消費者物価指数(CPI)の発表を控えており、一部では米大幅利上げ減速予想なども出ていたことから、米ドルのイベントリスク回避の持ち高調整によるドル売りも継続していた。

米国ニューヨーク株式市場でも、米国主要企業の決算報告期の株高時のリスクオンのドル売りで欧州ユーロや英国ポンドなどが買われており、主要通貨に対するドル安を助長した。

そのため、今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場の終値は、145円65~75銭付近で、前日同時刻比で約95銭の円高ドル安であった。

その世界トレンドを受けて始まった今日の日本の東京外国為替市場では、開場10分前の8時50分に日本の最新経済指標の発表があった。

日本の最新経済指標の9月の国際収支・経常収支は、季節調整前が前回の589億円と市場予想の2345億円に対して9093億円で、季節調整済も前回の-5305億円と前回修正の-1048億円と市場予想の0億円を上回り、6707億円の黒字に転じていた。しかし、9月の国際収支・貿易収支は前回の-2兆4906億円と市場予想の-1兆6837億円に対して-1兆7597億円の赤字で、前回からの赤字改善額は市場予想には届かず、強弱混合の結果となった。

日本市場の今朝10時前の仲値決済に向けては、米国中間選挙などの影響で久々の145円台の円高ドル安感と、日本政府と日本銀行(日銀/BoJ)の為替介入懸念減退から、日本企業の輸入実需や輸入準備資金用の円売りドル買いがあり、10時過ぎには145円86銭付近にドルが買われて上昇し、円相場が一時下落した。

しかし、日本市場でも米国の重要イベント前のリスク回避の持ち高調整があり、ドルが高値圏に達すると利益確定売りが入り始め、12時過ぎには今日のドルの安値で円の高値の145円18銭付近になると、再び安値のドルが買われて午後は上昇したが、15時台には北朝鮮のミサイル発射のニュースを受けた有事に備えた円買いの抵抗も混ざった。

また、14時には日本の最新経済指標の10月の景気ウオッチャー調査が発表され、現状判断(DI)は前回の48.4と市場予想の50.0に対し49.9で、先行き判断(DI)は前回の49.2と市場予想の50.1に対して46.4で、いずれも市場予想以下であったことも、この時間の円売りに影響していた。

日本時間の午後には時差で朝の欧州英国市場の参入があり、開票進行中で激戦予想の米国中間選挙の世界ライブニュースで、バイデン大統領の出身州でもあり、米上院の重要州の一つとして注目されていた米国東部ペンシルベニア州で、現政権の民主党の候補が勝利宣言をしたFXニュースを受けてのドル買いが起き、16時台には今日の日本市場時間でのドルの高値で円の安値の145円90銭付近を記録した。

しかし、前述の米国ニューヨーク市場での市場予想などの影響で、米国債買いによる価格上昇時の利回り低下が今日の欧州英国市場でも入ったことでは、米長期金利低下時に再び高値のドルの利益確定売りが起きてドルが下げ、日米金利差縮小時のドル売り円買いで再び円相場が上昇した。

そのため、今夜17時の今日の日本の東京外国為替市場のドル円相場の終値は145円52〜53銭付近で、前日同時刻比で約1円20銭の大幅な円高ドル安になった。

ただし、その後の欧州英国市場では、18時台後半にドルが145円台前半にまで下げたことでは、安値のドルの買いも入り、19時頃にはドル円は再び145円台後半に戻している。

今夜この後には、現在開票途中である米国中間選挙の結果に注目が集まる一方で、その先の市場予想のために世界のFXトレーダーや投資家達は米国の今後の金融政策に影響を与える可能性から、明日10日の夜の最新の米国重要経済市場の10月の米国消費者物価指数(CPI)の発表を見据えての米ドルイベント前の持ち高調整も進めている。

また、今夜この後にも米国主要企業の決算報告が継続し、米国経済指標などの発表スケジュールもある。日本時間で21時に米国MBA住宅ローン申請指数、深夜0時に9月の米卸売売上高、0時半に週間の米原油在庫、1時に米国連邦準備制度理事会(FRB)関係者の米リッチモンド連銀のバーキン総裁の発言予定、明朝未明3時には米長期金利の指標となる米10年債の入札予定などが予定されている。

一方、今日の欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の円相場の終値は146円48~51銭付近で、前日同時刻の前東京終値比では約24銭の円高ユーロ安であった。

しかし、ユーロドルは、17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0066~1.0067ドル付近で、前日同時刻比で約0.66セントのユーロ高ドル安になった。

原因は、昨夜の欧州英国市場の後半は前述の米国市場の前半と同時進行であったために、欧米株高時のリスクオンのユーロ買いと、米国中間選挙や重要経済指標の米国イベント前の持ち高調整やリスク回避のドル売りや、米債券買いによる米長期金利の低下時の日米欧金利差縮小時のドル売りなどで、ユーロがドルに対して上昇し、ユーロ高ドル安になっていた。

今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では、ユーロドルは一時1.0096ドル付近になり、ユーロはドルに対して9月中旬以来の数ヶ月ぶりの高値も記録していた。

また、欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁が、欧州インフレ対策のタカ派発言をし、欧州ユーロ圏の大幅利上げ継続予想によるユーロ買いドル売りもあった。

ただし、今夜の欧州英国市場では、欧州ユーロの金利上昇予想による企業の懸念等もあり、それまで上昇していた欧州主要株価が下げに転じた際には、今日は安全資産のドルにイベントリスクがあるために買い控えられて、代わりにドルに続く安全資産の低リスク通貨の円やスイスフランが買われた時間もあった。

世界の基軸通貨でもあるドルに対しての今日の大幅な円高ドル安の終値は、他の主要通貨であるユーロに対しても円高としても波及し影響を及ぼしていたことからは、比較するとドル安ユーロ高の方がより小幅な市場価格差であったために、今日の日本市場の円相場ではユーロに対しては、小幅な円高ユーロ安の終値をつけた。

今日の英国ポンドは、今夜17時の東京外国為替市場の円相場の終値は167円69〜75銭付近で、前日同時刻比で約24銭の円高ポンド安になった。

原因は、元欧州連合(EU)の英国ポンドは欧州ユーロにつられやすい値動きをしていたこともあり、今日のドルやユーロなどの主要通貨に対する円高が、英ポンドに対する円高ポンド安としても影響を及ぼしていた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年11月9日の日本時間(JST)20時23分(英国時間(GMT)11時23分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:23の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 145.62 〜 145.63 -1.10(円高)
ユーロ/円 146.47 〜 146.49 -0.25(円高)
ユーロ/ドル 1.0057 〜 1.0059 +0.0057(ドル安)
英ポンド/円 166.97 〜 167.03 -0.96(円高)
スイスフラン/円 148.02 〜 148.08 +0.31(円安)
豪ドル/円 94.31 〜 94.35 -0.37(円高)


注意:

本ウェブサイトに記載されている全ての情報またリンク先を含めた情報は、情報提供を目的のみとしており、取引投資決定、及びその他の利用目的のために作成されたものではありません。取引投資種、外国為替取引業者の選択、売買価格投資等の全ての最終決定については、利用者ご自身のご判断において行われるようお願い致します。

当社は、当サイトに掲載した情報によって万一閲覧者が被った直接・間接的に生じた損失に関して一切責任を負わないものとします。また、当社および当社に情報を提供している第三者は一切責任を負うものではございませんので ご了承ください。万が一、当サイトの提供情報の内容に誤りがあった場合でも、当社は一切責任を負いません。当社はこのウェブサイトの掲載内容を予告なしに変更または廃止することがございますので、あらかじめご了承おきください。