FXニュース:今週の米大幅利上げ継続予想で日米金利差拡大の円安に

2022年10月31日
FXニュース:今週の米大幅利上げ継続予想で日米金利差拡大の円安に

 

東西FXニュース – 2022年10月31日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 金利抑制の日銀と利上げ継続予想の米連邦準備理事会(FRB)
  • 高インフレ圧と堅調な米経済指標で米大幅利上げ予想が再燃
  • 今週は米連邦公開市場委員会(FOMC)と英金融政策委員会(MPC)
  • 前回の日本政府と日銀の円買い為替介入の規模は6兆3,499億円

今日2022年10月31日月曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値の148円28銭前後から高値147円75銭前後の値動き幅が約53銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は148円1〜2銭前後で、前営業日同時刻の前東京終値比では約94銭の円安ドル高であった。

また、今夜その後の英国ロンドン外国為替市場では、19時頃までに米長期金利が4.06%付近に再上昇し、20時台前半には148円68銭付近に円安ドル高が進行している。

今日の為替相場の値動きの原因はまず、先週末の金曜の夜から土曜の朝までの米国ニューヨーク外国為替市場で21時半に発表された最新の米国経済指標の9月の米個人消費支出(PCE)の前月比が、前回と市場予想の0.4%に対し0.6%に増加し、同時発表の米個人所得の前月比も前回と市場予想の0.3%以上の0.4%の上昇率で、米大幅利上げ抵抗要因の米景気懸念が緩和された。

同日発表の7~9月の米雇用コスト指数の速報値も市場予想の範囲内で、利上げ継続要因の米インフレの高止まりを示す結果と受け止められ、23時に発表のされた10月の米ミシガン大学消費者態度指数の確報値も、前回と市場予想の59.8を上回る59.9で、堅調な米景気を背景に米利上げ継続予想が優勢で、金利抑制の大規模緩和金融政策を継続の日本銀行(日銀)との金融政策の方向性の違いから、日米金利差拡大による円安ドル高要因となった。

そして、先週の日本市場では日本銀行(日銀、BoJ)が金利抑制の大規模緩和金融政策継続の決定を発表し、今週の明日11月1日と明後日2日に予定されている米国連邦公開市場委員会(FOMC)では、米国連邦準備制度理事会(FRB)が前回に続いて通常の3倍の0.75%の大幅利上げを継続する市場予想が優勢であることから、その次の12月には利上げ幅縮小協議の市場予想も出ていたが、今週に迫った目前のFOMCでの米大幅利上げ継続予想により、かねてからの円安要因であった日米金利差拡大による円安ドル高が再燃した。

そのため、先週末の土曜の朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場の終値は147円40~50銭付近で、前日同時刻比で約1円15銭の大幅な円安ドル高であった。

そのトレンドを引き継いで始まった今週の日本の東京外国為替市場でも、今日は明後日に迫った米連邦公開市場委員会(FOMC)での米連邦準備制度理事会(FRB)の新政策金利発表を控え、今日は利上げ継続予想の米国と金利抑制の日本との日米の金融政策の方向性の違いが意識されやすく、日米金利差拡大予想による円安ドル高の市場トレンドが継続した。

今朝の日本市場では、以前に12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げ幅の縮小についての協議をするのではないかという市場予想の一因となった記事を載せた米経済紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が、今朝の最新号では米連邦準備理事会(FRB)は高過ぎる米インフレ抑制のために、更に高い政策金利の検討が必要になるかもしれないという記事を載せていたことから、日米金利差拡大予想による円売りドル買いが起きていた。

今日は日本の最新経済指標の発表もあり、9月の鉱工業生産の速報値は、前月の3.4%と市場予想-0.8%に対し、-1.6%に減少していたことも円売りの一因となった。

今朝の仲値決済では輸入実需の円売りドル買いもあったが、早朝に今日の日本市場の円の安値圏の148円28銭付近をつけていたことでは、輸出企業のドル売り円買いや米ドルの新政策金利発表イベント前の持ち高調整や、日本の為替介入警戒などの市場抵抗も入り始め、午後には今日の日本市場の円の高値の147円77銭付近を一時記録した。

しかし、日本市場の午後15時頃からは時差で朝の欧州英国市場が本格的に参入し、再び米大幅利上げ継続予想で米長期金利が4%台に上昇しており、日米金利差拡大予想による円売りドル買いが優勢になり、円相場は再び148円台に下落して今日の日本市場での円の安値を記録した。

そのため、今夜17時の今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は148円1〜2銭付近で、前営業日同時刻の前東京終値比では約94銭の円安ドル高になった。

今夜19時には日銀が令和4年9月29日~10月27日の外国為替平衡操作額を発表し、前回の為替介入の規模は6兆3,499億円で、まだ為替介入にすぐに使える外貨預金の予算内であることから、再々度の日本の為替介入への警戒も市場では念頭に置かれていた。

今夜この後にも米経済指標などの発表予定があり、日本時間で22時45分に10月の米シカゴ購買部協会景気指数が予定されており、今後の値動き予想材料として世界のFXトレーダー達が注目している。

一方、今日のユーロの円相場は、今夜17時の日本の東京外国為替市場の終値は147円0~2銭前後で、前営業日同時刻の前東京終値比で約73銭の円安ユーロ高であった。

ユーロドルの今日の日本市場の17時の終値は0.9931~0.9932ドルと、前終値比で約0.14セントのユーロ安ドル高だった。

先週末の欧州英国市場と米国市場では、金利抑制の大規模緩和金融政策の維持を決めた日銀に対し、欧州中央銀行(ECB)の大幅利上げによる日欧金利差拡大で、ユーロが円相場で上昇し、円安ユーロ高になっていた。

その一方で、欧州中央銀行(ECB)の大幅利上げ後に、今後の利上げ減速予想が優勢となり、一時はドルと等価(パリティ)を超えていたユーロが利益確定などで売られてドルが買われたために、ユーロドルは再び等価割れのユーロ安ドル高であった。

そのトレンドを受けて始まった今日の日本市場でも、利上げの欧州と金利抑制の日銀の金融政策の違いにより、日欧金利差拡大による円安ユーロ高が継続していた。

ただし、ユーロドルは、イベント前のユーロドルの持ち高調整などがあり、今朝は一時前営業日比でユーロ高ドル安にも転じていた。今日発表された欧州ユーロ圏主要国のドイツの最新経済指標の9月の独小売売上高が前年比ではマイナスが継続したが、前月比が前回と市場予想のマイナスからプラスに転じていたことも持ち高調整のユーロ買いの一因となった。

しかし、夕方の米長期金利の再上昇を受けて、欧米金利差拡大予想などで再びドルが買われてユーロが売られ、17時の今日の日本の東京終値では再びユーロ安ドル高に転じた。

今夜19時には欧州ユーロ圏の最新重要経済指標の10月の欧州ユーロ圏の消費者物価指数(HICP)速報値の発表があり、前年同月比では前回の10.0%と市場予想の10.3%を超えた10.7%に欧州インフレが悪化していた。HICPコア指数の速報値も、前年同月比が前回の4.8%と市場予想の4.9%に対して5.0%で、市場予想以上の高インフレにより欧州中央銀行(ECB)がインフレ対策の利上げを継続する可能性もあることから、日欧金利差拡大予想で円に対してはユーロが買われる一方で、ドルに対してはユーロ買いの後には欧州景気懸念でユーロが売られてドルが買われる機会もあった。

欧州ユーロ圏の7〜9月期四半期域内総生産(GDP)の速報値も同時発表され、前年同期比で前回の4.1%に対し、市場予想通りの2.1%に低下していた。ただし、前月比では、前月の0.8%と市場予想の0.1%に対して0.2%であった。

英国ポンドの円相場は、17時の今日の日本市場の終値は171円30〜36銭付近で、前営業日同時刻比では約9銭の円安ポンド高であった。

原因は、先週末の英国ロンドン外国為替市場で、英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)も今週に予定されている英国金融政策委員会(MPC)での大幅利上げ継続予想が優勢になり、金利抑制の日銀との金融政策の違いから、日英金利差拡大予想によるポンド買いが起きており、円相場ではもちろん、対ドルでも英国ポンドが上昇していたことなどが影響した。

今日の日本市場の円相場の終値は、豪ドルやスイスフランに対しても他の主要通貨のドルやユーロやポンドに対する金利差拡大の円安の影響が波及しており、今夜17時の日本市場の終値は豪ドルの円相場が94円84〜88銭付近で、前営業日同時刻比で約32銭の円安豪ドル高だった。また、今日のスイスフランの円相場の17時の市場終値も148円8〜14銭で、前営業日同時刻比で約2銭の円安フラン高で、日銀の大規模緩和継続による円安傾向が観測された。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年10月31日の日本時間(JST)20時6分(英国時間(GMT)11時6分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:06の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 148.56 〜 148.58 +1.49(円安)
ユーロ/円 147.63 〜 147.64 +1.36(円安)
ユーロ/ドル 0.9936 〜 0.9937 -0.0009(ドル高)
英ポンド/円 171.66 〜 171.72 +0.45(円安)
スイスフラン/円 148.53 〜 148.59 +0.47(円安)
豪ドル/円 95.04 〜 95.08 +0.52(円安)


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