FXニュース:日銀が円安要因の大規模緩和金融政策の維持を決定

2022年10月28日
FXニュース:日銀が円安要因の大規模緩和金融政策の維持を決定

 

東西FXニュース – 2022年10月28日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 最新の米GDPは2.6%増加したが米個人消費は鈍化懸念
  • 日銀の黒田総裁の発言と米長期金利の回復傾向でドル再上昇
  • 欧中銀(ECB)が+0.75%の大幅利上げ発表後の市場反応とは

今日2022年10月28日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値の147円29銭前後から高値145円99銭前後の値動き幅が約1円30銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は147円6〜7銭前後で、前日同時刻の前東京終値比で約1円35銭の大幅な円安ドル高であった。

また、今夜その後の英国ロンドン外国為替市場では、18時台後半に一時147円84〜85銭付近に円安ドル高が進行していた。

原因はまず、昨夜の欧州英国市場では欧州中央銀行(ECB)政策理事会が通常の3倍の+0.75%の大幅利上げを決定したが、公表文に「3回連続の大幅利上げにより、欧州中央銀行政策理事会は金融緩和からの撤退を相応に進められた」との報告があったことから、欧州中央銀行(ECB)も今後の利上げ幅を減速させるのではないかという市場予想が浮上し、一時はドルとパリティ(等価)以上に上昇していたユーロが利益確定で売られ始め、再び安全資産のドルが買われてドル高が進み、他の主要通貨であるユーロに対するドル高が円相場にも波及し、ドルが再び上昇を始めた。

ただし、その後の昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場で発表された最新の米国重要経済指標の7~9月期の米国実質国内総生産(GDP)は、3四半期ぶりのプラスに転じて前期比年率で2.6%上昇したものの、米個人消費が鈍化しており、米個人消費の減速懸念から安全資産の米国債が買われて債権価格が上昇する一方で米長期金利の指標となる米10年債の利回りが低下し、利上げ抵抗要因の米景気減速懸念で来月11月の利上げ後には米連邦準備制度理事会(FRB)が12月の米国連邦公開市場委員会(FOMC)で大幅利上げ減速を協議する市場予想もあることで、米長期金利が4%を下回ったことでは、日米金利差縮小時のドル売り円買いが起きた。

そのため、今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場の終値は146円25~35銭付近で、前日同時刻比では約10銭の円高ドル安であった。

しかし、その後に始まった今日の日本の東京外国為替市場では、今日の日本銀行(日銀)金融政策決定会合で、金利抑制の大規模金融緩和維持の市場予想が優勢で、円売りドル買いが起き始めた。

今朝は日本の最新の経済指標が発表され、10月の東京都の消費者物価指数(CPI)は生鮮食品を除いた総合が前年同月比で3.4%上昇していたが、日本の場合はインフレ抑制の利上げの可能性が少ないことから市場での反応は薄かった。

また、今朝10時頃の仲値決済に向けては、日本企業の輸入実需で円売りドル買いが起き、再びドルが上昇した。

ただし、その後には今朝の高値圏のドルの利益確定売りと、日本の輸出企業のドル売り円買いが一時抵抗となった。

今日は正午前から日本銀行(日銀、BoJ)の新政策金利と声明の発表があり、続いて日銀の経済・物価情勢の展望レポート公開と、15時半から日銀の黒田東彦総裁の定例記者会見があった。

日銀はかねてからの円安要因であった金利抑制の大規模緩和金融政策を現状維持することを決定した。欧米英がインフレ対策で利上げ継続方向の金融政策であることと比較して、主要通貨の中で日本だけが方向性の違う金利抑制方向であることで、日本と他の主要通貨との金利差拡大予想が継続し、円売りドル買いが再び強まった。

日銀の発表直後には、円相場は一時下落後に反発し、一時145円97銭付近に急騰した時間もあったが、原因は日銀が上場投資信託(ETF)購入に関しての銘柄の見直しをするニュースを受けてのアルゴリズムの設定変更で円買いドル売りが入り、自動売りのストップロス(損切り)に引っかかった円の買い戻しが入ったと報道された。

今日発表された最新の日銀の経済・物価情勢の展望リポートでは、今年度の物価の見通しを、前年比率で前回7月に発表していた2.3%増から2.9%増に上方修正した。

しかし、金融政策の先行きを示す指針であるフォワード・ガイダンスには特に変更点がなく、日本では欧米の様なインフレ対策の利上げの予定はなく、今後も金利抑制の現在の大規模緩和金融政策を現状維持の予定であると市場で受け止められたことでは、円安要因の日米金利差拡大予想が継続し、再び円売りドル買いが優勢になった。

加えて、日銀金融政策決定会合後の定例記者会見で黒田東彦総裁が、「今すぐ金利引き上げとか、出口が来るとは考えていない」と発言し、午後からの欧州英国市場の参入で、日銀の金利抑制継続を受けて、円安要因の日欧米英金利差拡大予想の継続により、円売りドル買いの勢いが増し、一時下げていた米長期金利も回復してきたことも相乗効果となり、円安ドル高が進行し、ドル円は再び147円台にシフトした。

そのため、今夜17時の今日の日本の東京外国為替市場のドル円相場の終値は147円6〜7銭付近で、前日17時の前東京終値比で約1円35銭の大幅な円安ドル高になった。

また、17時台には日銀が国債買い入れで金利抑制をしている公開市場操作の指し値オペの運営方針を発表し、今後の購入を増やすという更なる金利抑制姿勢を示したことで、今夜その後の欧州英国市場では円相場が続落し、18時台には147円台後半になっている。

今夜この後にも最新の米国重要経済指標などの発表が継続し、日本時間21時半に9月の米個人所得、米個人消費支出(PCE = Personal Consumption Expenditures)、米PCEデフレーター、米PCEコア・デフレーターと、第3四半期米雇用コスト指数、23時には米中古住宅販売保留指数と米ミシガン大消費者信頼感指数(確報値)が発表される予定で、今後の為替相場の値動き予想のためのファンダメンタル分析材料として、世界のFXトレーダーや投資家達が注目している。

一方、今日のユーロは、前述の昨夜の欧州中央銀行(ECB)の利上げ後の高値圏からのユーロの利益確定売りと、今日は今後のECBの利上げ減速予想からユーロ売りドル買いが優勢で、安全資産のドルに続く低リスク通貨の円に対してもユーロ安が波及し、今夜17時の日本の東京外国為替市場のユーロ円の終値は146円31~36銭付近で、前日同時刻比で約38銭の円高ユーロ安であった。

しかし、今夜その後の欧州英国市場では円安要因の日欧金利差拡大や、最新の欧州経済指標を受けてのユーロの買い戻しも入り、19時頃には円安ユーロ高に転じていた。

前述のユーロドルは、17時の今日の日本の東京外国為替市場の終値は0.9949~0.9951ドル付近で、前日同時刻の前東京終値比で約1.17セントのユーロ安ドル高で、ユーロは再び1ドル1ユーロ以下のパリティー(等価)割れに戻していた。

今日は欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのフランス中央銀行のビルロワドガロー総裁が、「今後の利上げは大幅なものになるとは限らない」と発言したことも話題になった。

ただし、今日は欧州ユーロ圏の最新経済指標の発表もあり、午後のフランスの9月の仏卸売物価指数(PPI)の前月比は低下していたが、10月の仏消費者物価指数(CPI)の速報値は前回と市場予想以上に上昇していた。

東京終値と同じ17時に発表されたドイツの7〜9月期の独国内総生産(GDP)の速報値は、季調前の前年同期比は前回の1.8%と市場予想の0.7%に対して1.1%の増加で、季調後も前回ほどの増加ではないが低めの市場予想ほどではなかった。ただし、前期比では、前回の0.1%と市場予想の-0.2%に対し0.3%で上昇していたことでは、円相場ではユーロの買い戻しが入り、円安ユーロ高に転じた。

今夜18時に発表された欧州ユーロ圏の10月の欧消費者信頼感の確定値は、前回と市場予想と同じ横ばいで、同時発表の10月の欧消費者信頼感は前回の93.7と前回改訂93.6に対して市場予想通りの92.5に低下していたことでは、ドルに対しては特にユーロが今日の下げ幅を超えるほどの買い戻しはされなかった。

今夜この後にも日本時間22時頃に欧州ユーロ圏主要国のドイツの最新経済指標の10月消費者物価指数(CPI)の発表が予定されており、市場が注視している。

英国ポンドは、今夜17時の今日の日本の東京外国為替市場の円相場の終値は169円34〜40銭付近で、前日同時刻比で約21銭の円安ポンド高であった。原因は、今日の日銀の金利抑制の大規模緩和金融政策の継続決定で、円安要因の日英金利差拡大予想が優勢であった。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年10月28日の日本時間(JST)19時18分(英国夏時間(GMT+1)11時18分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:18の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 147.57 〜 147.58 +1.86(円安)
ユーロ/円 146.88 〜 146.90 +0.19(円安)
ユーロ/ドル 0.9951 〜 0.9953 -0.0115(ドル高)
英ポンド/円 170.24 〜 170.30 +1.11(円安)
スイスフラン/円 148.36 〜 148.42 +0.79(円安)
豪ドル/円 94.66 〜 94.70 +0.27(円安)


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