FXニュース:日本政府と日銀が再度のドル売り円買いの為替介入を実施

2022年10月24日
FXニュース:日本政府と日銀が再度のドル売り円買いの為替介入を実施

 

東西FXニュース – 2022年10月24日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 為替介入の影響でドル円が一時151円94銭から144円50銭付近にも
  • 米長期金利が一時4.335%台の2007年以来の高水準を記録後に
  • 米経済紙の米利上げ幅の今後の縮小協議案予測に関する報道も影響
  • ドル売り円買いの再介入後の一時円高の影響が対ユーロにも波及

今日2022年10月24日月曜日の日本の東京外国為替市場の17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、今朝8時台後半の円の安値の145円49銭前後(市場開始時の9時頃には147円70銭前後)から高値149円70銭前後の値動き幅が8時台を含めると約4円21銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は149円25〜27銭前後で、前営業日同時刻の前東京終値比で約1円22銭の大幅な円高ドル安であった。原因は、日本の再度のドル売り円買いの為替介入の影響が最も大きかった。

先週末の金曜の夜から土曜の朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では、日本時間23時台の現地早朝には米連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げ継続予想などで米長期金利が上昇し、一時4.335%台の2007年以来の高利回りを記録したことで、かねてからの円安要因であった日米金利差拡大によるドル買い円売りが加速し、ドル円は一時151円94銭付近の1990年7月以来の約32年ぶりの円安ドル高を記録した。

しかし、それ以前の日本市場では150円付近だった対ドル円相場が海外市場で152円台目前に急落したことが原因で、「1日で1円も2円も変動するボラティリティー」が日本政府と日本銀行(日銀、BoJ)の再度の為替介入の引き金(トリガー)となり、日本時間の金曜のよる23時台後半に再度のドル売り円買い為替介入が実行された。前回と同じ金曜の夜で、翌日すぐに値戻りしにくい為替介入の効果が映える週末市場を狙ったものと考えられる。

為替介入では、前回も約5円近く対ドルの円相場が急騰したが、今回は為替介入前に発表された金曜の米経済紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の電子版に、ニック・ティミラオス記者が、「米連邦準備理事会(FRB)は来月11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では通常の3倍の0.75%の利上げ継続を決めるが、12月には0.5%に利上げペースを落とすかどうかを協議する公算が大きい。一部の当局者は米景気悪化を警戒し、利上げ減速を求める可能性もある」と指摘したことがきっかけとなり、米利上げ減速予想で米長期金利が低下し始めた際のドル売りと、為替介入でストップロスを引っ掛けたドミノ崩し的な自動売りが混ざった相乗効果などで、対ドルの円相場は前回の為替介入以上に急騰した。

米連邦準備理事会(FRB)の米サンフランシスコ連銀のデイリー総裁も、「利上げ速度を緩める時期に近づいている可能性」についての発言をしていたこともドル売りを加速させ、また、決済発表期の米株式市場で株上昇時のリスクオンのドル売りが入ったことも影響した。

ただし、大きな流れとしての日米金利差拡大による円安トレンドで安値のドル買いも入ったために、先週土曜の朝6時の米国ニューヨーク市場では147円75~85銭付近の前日同時刻比で約2円35銭の円高ドル安で終値をつけた。

対ドルの円相場は、為替介入の影響などで金曜の夜から土曜の朝までのニューヨーク外国為替市場で一時151円94銭付近から一時146円23銭付近に急騰したほか、その後の今朝早朝にも一時145円49〜50銭付近を記録し、今日までに約7円近い値動きが話題となった。

チャートには残りにくいローソクチャートのヒゲの伸びの瞬時売買記録では、一時144円50銭付近の一時円高ドル安の記録もあったとも言われた。

今日早朝8時台にも、日米金利差拡大の円安要因により安値のドル買いで再び149銭70銭付近の150円台目前に達したが、再び為替介入警戒で一時145円49〜50銭付近にドルが一時急落した。

その後の今朝9時から始まった今日の日本の東京外国為替市場では、日本の輸入企業による輸入実需の円売りドル買いがあり、147円台だったドル円は再び149円台に戻していった。

金曜の夜の為替介入については、日本政府からの発表があったものの、今朝8時の値動きについては、財務省の神田真人財務官は、「介入の有無については一切コメントしない」としたものの、「24時間365日、過度な変動(ボラティリティー)に対しては、適切な対応を取る」と発言したことで、日本市場では再び円安牽制と受け止められて、再度の為替介入に警戒した持ち高調整などで、過度なボラティリティーに注意した市場に戻していった。

鈴木俊一財務相も、今日の午後の参院予算委員会で、「円の為替レートが安定的になるのが望ましい。過度な変動は断じて容認できない」との発言した。

日本銀行(日銀)の黒田東彦総裁も、今日の参院予算委で円安ドル高の進行について発言していたが、円安要因の金利抑制の金融政策への変更については言及しなかったことでは、再び日米金利差拡大予想での円売りドル買いも入っていた。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は149円25〜27銭付近で、前営業日同時刻の前東京終値比で約1円22銭の円高ドル安になった。

今夜この後には最新の米国経済指標の発表が予定されており、日本時間22時45分に米国の10月の製造業・サービス部門・総合の購買担当者景気指数(PMI)が注目されている。また、以前にイエレン財務長官とバイデン政権のドル高許容発言後にドル高が急速に進んだ経緯から、今夜の深夜24時のイエレン米財務長官の発言にも注意が払われている。

米株式市場でも、主要企業の決算発表が継続しており、今週は明日の火曜日にナズダックのマイクロソフトやグーグルのアルファベット社などの決算報告がある予定で、米株式市場のリスクオンやリスクオフのトレンドも、米長期金利同様に今後のドルクロスの為替相場に影響を与える可能性があるので注意が必要である。

今日のユーロは、対ドルの為替介入による一時円高の影響があり、今夜17時の今日の東京外国為替市場の円相場の終値は146円72~75銭付近で、前営業日同時刻の前東京終値比では約55銭の円高ユーロ安であった。

ユーロドルも同様に、為替介入による主要通貨の円相場の一時ドル安の影響の波及などで、17時の今日の東京外国為替市場の終値は0.9829~0.9830ドル付近で、前営業日同時刻比では約0.42セントのユーロ高ドル安になった。

先週末の欧州英国市場では、それまではユーロは欧州株安時に下落していたが、その後の前述の米国市場での、他の主要通貨である円相場での為替介入のドル安の外貨への波及で、ユーロ安ドル高からユーロ高ドル安へと市場反転が起きた。

加えて、米国市場での米長期金利の一時低下や、決算期の米株式市場では、米株価の上昇時にリスク選好(リスクオン)のユーロ買いでドル売りが入ったことなども影響した。

しかし、今日の午後に発表された欧州ユーロ圏の購買担当者景気指数(PMI)が市場予想を下回っていたことではユーロは今日の上げ幅を縮小し、為替介入後の影響はあってもユーロドルでは大幅なユーロ高にはならなかった。

今日の英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の円相場の終値は169円2〜8銭付近で、前営業日同時刻比で約2円16銭の大幅な円安ポンド高になった。

英国の新首相を決める保守党(トーリー)党首選の議員投票の結果発表を今夜に控え、玉の輿億万長者で有名な政治家のスナク氏が現在優勢であることなどで英政治懸念や財政懸念が後退してきており、英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)の利上げ予想の日英金利差拡大予想なども今日のポンド買いの値動きに影響を及ぼした。

ただし、今夜17時半に発表された英国の最新経済指標の10月製造業の英購買担当者景気指数(PMI)の速報値は前回の48.8と市場予想の48.0に対して45.8に低下しており、またサービス部門の英PMIも前回の50.0と市場予想の49.0に対して47.5に低下していたことでは、英国景気懸念も継続しており、ポンドの上昇率はやや減速し始めた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年10月24日の日本時間(JST)19時29分(英国夏時間(GMT+1)11時29分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:29の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 149.34 〜 149.36 -1.13(円高)
ユーロ/円 146.79 〜 146.80 -0.48(円高)
ユーロ/ドル 0.9828 〜 0.9829 +0.0041(ドル安)
英ポンド/円 169.26 〜 169.32 +2.40(円安)
スイスフラン/円 149.10 〜 149.16 +1.10(円安)
豪ドル/円 94.05 〜 94.09 -0.19(円高)


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