FXニュース:米景気懸念の利上げ減速予想と為替介入警戒の円安抵抗

2022年10月25日
FXニュース:米景気懸念の利上げ減速予想と為替介入警戒の円安抵抗

 

東西FXニュース – 2022年10月25日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米連邦準備理事会(FRB)の年末利上げ幅減速予想が浮上
  • 米長期金利の4.24%台上昇時には日米金利差拡大の円安要因も
  • 欧PMI低下の一方で10月独IFO企業景況感指数は市場予想以上
  • 英新首相のスナク元財務相の英財政と市場安定期待のポンド買い

今日2022年10月25日火曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値の149円6銭前後から高値148円50銭前後の値動き幅が約56銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は148円88〜90銭前後で、前日同時刻の149円25〜27銭付近の前東京終値と比較すると、今日は前日比約37銭の円高ドル安であった。

今日の日米金利差拡大の円安抵抗原因としては、日本政府と日本銀行(日銀、BoJ)の再度の為替介入の影響と警戒が一因になり、加えて最新の米国経済指標の米購買担当者景気指数(PMI)による米景気懸念から、米大幅利上げ幅減速予想が浮上したことなども影響した。

市場の流れとしては、昨夕の欧州英国市場で発表された最新の欧州経済指標の10月の欧州ユーロ圏の製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値が、前月の48.4と市場予想の47.9を下回る46.6に低下したことなどを受けて、欧州景気後退(リセッション)懸念のユーロ売りが起き、世界的に流動性の高い安全資産のドル買いが買われた影響で、円相場でもドルが一時上昇し、昨夜19時台にドル円が149円台半ばになると、20時台に再び日本の為替介入懸念のドル急落が起き、148円台に下げたところで、現在サマータイムで22時半(標準時表示では23時半)からの米国ニューヨーク市場が始まった。

昨夜から今朝までの米国ニューヨーク市場では、22時45分頃に前述の最新の米国経済指標の米購買担当者景気指数(PMI)の速報値が発表され、サービス部門は前回の49.3と市場予想の49.6以下の46.6で、総合も前回の49.5と市場予想の49.3以下の47.3に低下し、最も堅調だと思われていた10月の製造業の米購買担当者景気指数(PMI)も、前回の52.0と市場予想の51.0に対して49.9で、2020年6月以来の好景気と不景気のボーダーラインの50を下回るという米景気懸念を促す結果であった。

それが原因となり、米大幅利上げ継続の抵抗要因であった米景気懸念が強まり、米連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げ継続が企業ローン金利上昇などの景気懸念に繋がる警戒から、今後の大幅利上げの継続が難しくなるのではという市場予想が起き、米利上げ幅の減速予想によるドル売りが入った。

米国市場では、欧州市場からのトレンドで再び価格変動率のボラティリティーが高まってきていたことから、先週金曜の夜の米ニューヨーク市場で起きた推定5兆円規模の過去最大規模ともいわれる日本政府と日本銀行(日銀、BoJ)の再度の為替介入に続き、同日にも小規模なステルスのドル売り円買いの再介入が起きた可能性が一部で指摘されており、再々度の為替介入のドル急落への警戒感と、円急騰時の利益確定の期待感から、円の安値圏では持ち高調整のドル売り円買いも入った。

一方で、大きなトレンドとしての円安要因の金利抑制の日本銀行の大規模緩和金融政策と、例え12月に利上げペースの減速があったとしても依然として利上げ継続方向の米連邦準備理事会(FRB)との日米の金融政策の方向性の違いから、かねてからの日米金利差拡大予想は優勢で、米長期金利が4.24%台も上昇していたことでは、再び円売りドル買いが優勢になった。

そのため、今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のサマータイムで5時(標準6時)頃の終値は149円0~10銭付近で、先週末の為替介入の影響で一時大幅な円高ドル安になっていた前営業日同時刻比では、約1円25銭の大幅な円安ドル高に転じていた。

ただし、その後に始まった今朝早朝のアジア・オセアニアの世界市場では、米景気懸念と日本の為替介入警戒などで、一時149円台になっていたドルは利益確定売りで148円台後半に下げた。

続いて始まった今朝の日本の東京外国為替市場では、今日は25日で日本の貿易企業の決済日が集中しやすい5と10のつく日の五十日で、9時台の市場開始時に148円台で安値感があり、為替介入警戒域から一時離れていたドルが、今朝10時頃の仲値決済に向けて輸入実需などで円から買われて上昇し、一時149円6銭付近の今日のドルの市場高値を記録した。

しかし、今朝も、日本政府の鈴木俊一財務相が、円安牽制で、「投機による過度な変動(ボラティリティー)は容認出来ない」と再び発言しており、世界一の対外純資産国の日本の外貨準備の資金力から、まだ何回も実行可能な日本政府と日銀の為替介入への警戒感が市場で高まった。

日本市場では為替介入への警戒から、149円台に近づくと、輸出企業のドル売り円買いや、投資系のドルの早めの利益確定売りや、米利上げ減速予想での持ち高調整なども入り、日本政府と日銀の為替介入のトリガー(引き金)と考えられている急速な円安の価格変動のボラティリイティーに注意した148円台後半付近の取引がされた。

午後からの欧州英国市場の参入では、一時149円台をタッチしながらも、昨日のステルス介入疑惑から148円台に戻す動きが今日の円安抵抗となり、17時の今日の東京外国為替市場の対ドルの円相場の終値は148円88〜90銭付近で、前日17時の前東京終値比では約37銭の円高ドル安に転じた。

今夜この後にも、最新の米国経済指標の発表スケジュールがあり、今夜の日本時間22時に8月の米住宅価格指数とケース・シラー米住宅価格指数、23時に10月の米消費者信頼感指数と米リッチモンド連銀製造業指数の発表予定がある。明朝2時頃には米2年債の入札も予定されており、米主要企業の決算報告も市場に影響を与える可能性があることから、世界のFXトレーダー達が市場予想材料として注目している。

一方、今日のユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の円相場の終値は146円84~89銭付近で、前日同時刻比で約6銭の円安ユーロ高であった。昨夜の欧州英国市場では欧州景気懸念のユーロ売りがあったが、その後には米連邦準備理事会(FRB)の利上げ幅の減速予想から安値のユーロ買いとドル売りがあり、また今日の日本市場では日経平均株価が上昇し、27,250円28銭の前日比275円38銭高で午後に大引けしたことから、リスクオンのユーロ買いも起きていた。ドル円の為替介入警戒でドルが買いにくくなると、代わりに円から欧州ユーロや英国ポンドなどが買われるという投資分散戦略などもあった。

ユーロドルも、17時の今日の東京外国為替市場の円相場の終値は0.9863~0.9865ドル付近で、前日同時刻比で約0.29セントのユーロ高ドル安だった。

今日は17時の日本時間の終値とほぼ同時に、欧州ユーロ圏主要国のドイツの最新経済指標の発表があり、10月の独IFO(Institute for Economic Research = 経済研究所)企業景況感指数は、前回の84.3と市場予想の83.3に対して84.3で、前回と横ばいではあるが低下予想だった市場予想よりも良かったことはやや好感され、今夜の欧州市場でもユーロ買いが継続し、円とドルに対するユーロ高は18時台にも継続していた。

今週は木曜に欧州中央銀行(ECB)も新金融政策の発表を予定しており、欧州の利上げ継続予測などから、日欧金利差拡大予想のユーロ買いも入っていた。

今日の英国ポンドは、今夜17時の東京外国為替市場の円相場の終値は168円20~26銭付近で、前日同時刻比で約11銭の円安ポンド高であった。

原因は、英国の新首相にリシ・スナク元財務相の就任が決定し、英国の政治懸念の後退と、英トリプル安の後の金融市場の安定と英国財政再建への期待感などから、ポンド買いが優勢になった影響があった。英国初のインド系(現地では「アジア系」と日本人も一緒にまとめられてしまっているが)の首相となるスナク氏は、今日から42歳の最年少英首相になり、英国で最もリッチな政治家としても有名で、元投資系の金融機関勤務歴とインドのIT系大企業の筆頭株主の億万長者の妻がいることで経済センスが知られており、財政建て直しと市場安定の期待感などから、今日の午後の欧州市場での金融市場の反応はポンド上昇であった。

加えて、明日の水曜日には、英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)の新金融政策の発表予定があり、利上げ継続予想が優勢であることから、日英金利差拡大予測による円売りポンド買いの円安ポンド高も観測されている。

また、今日は為替介入警戒で円からドルが買いにくくなった時に、代わりにユーロや英ポンドを買うというリスク分散の投機系の動きなども見られた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年10月25日の日本時間(JST)19時17分(英国夏時間(GMT+1)11時17分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:17の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 148.90 〜 148.92 -0.35(円高)
ユーロ/円 146.93 〜 146.95 +0.15(円安)
ユーロ/ドル 0.9866 〜 0.9868 +0.0032(ドル安)
英ポンド/円 168.75 〜 168.81 +0.66(円安)
スイスフラン/円 148.50 〜 148.56 -0.40(円高)
豪ドル/円 93.91 〜 93.95 -0.15(円高)


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