FXニュース:今日は147円台後半の1990年8月以来の円安記録を更新

2022年10月14日
FXニュース:今日は147円台後半の1990年8月以来の円安記録を更新

 

東西FXニュース – 2022年10月14日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 最新の9月米国消費者物価指数(CPI)が市場予想以上の8.2%上昇
  • 米連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げ継続予想で日米金利差拡大
  • 米長期金利が一時4.08%に上昇し、約14年ぶりの高利回りを記録
  • 日本政府と日本銀行の再度の為替介入の警戒対策のトレードも

今日2022年10月14日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時の外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値が147円62銭前後から高値142円9銭前後の値動き幅約53銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の円相場の終値は147円50〜52銭前後で、前日同時刻の前東京終値比では約67銭の円安ドル高であった。

昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では一時147円66銭付近を記録し、また今夜その後の欧州英国市場でも、18時40分頃には東西FXでも扱うスプレッドの狭い海外FXでは、一時147円75〜76銭台付近の1990年8月以来の円安記録をさらに更新している。

原因はまず、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場で発表された米連邦準備制度理事会(FRB)と市場が注目の米インフレ関連の最新米国重要経済指標の9月の米消費者物価指数(CPI)が、前年同月比で8.2%上昇し、今年6月に記録した約40年ぶりの歴史的な9.1%からは3カ月連続でやや減少はしたものの、高止まりに近い高水準が継続しており、米消費者物価指数(CPI)のエネルギーと食品を除くコア指数も、市場予想の6.5%を上回って前年同月比で6.6%上昇し、約40年ぶりと言われる高水準だった。

米国のインフレ圧の高さからインフレ対策で米国連邦準備制度理事会(FRB)が大幅利上げの継続と長期化をする予想が市場で優勢となり、金利抑制方向の大規模緩和継続の日本銀行(日銀、BoJ)との金融政策の方向性の違いから、かねてからの円安要因であった日米金利差拡大予想による円売りドル買いの勢いが増し、米長期金利は一時4.08%付近の約14年ぶりの高利回りに上昇し、日米金利差拡大による円売りドル買いが加速し、ドル円は米消費者物価指数(CPI)発表前の146円台から147円台に跳ね上がり、一時147円66銭付近の1990年8月以来の約32年ぶりの円安ドル高を記録した。

ただし、急な値動きでは為替介入への警戒売りも起きるほか、利益確定の自動売りや仕掛け売りなどのトリガーも引きやすいため一時的な反発も加わったが、ドル円はそれまでの146円台から147円台へとボラティリティーの高い値動きで着実にシフトしてからは、より安定した値動きで上昇する様になった。

米ニューヨーク市場に参加中であった投資系では、米連邦準備理事会(FRB)が、来月11月に予定されている次回の米国連邦公開市場委員会(FOMC)の会合と、その次の12月の会合でも、通常の3倍の0.75%の大幅利上げを継続するという相場予想が強まっていた。

また、株式市場では米大幅利上げに警戒の株売りとドルの買い戻しなどが入ったほか、経済大国である米国のインフレは、世界経済のインフレや景気懸念も意識させるために、世界的に流動性が高い安全資産としてのドル買いによるリスク回避も起きやすくなっていた。

そのため、今朝6時までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドルの円相場は6営業日連続の続落となり、147円15~25銭付近の前日比で約30銭の円安ドル高で市場終値をつけた。

その後に始まった今日の日本の東京外国為替市場でも、今朝は日米金利差拡大による円安ドル高のトレンドを引き継いではいたが、米ドルイベントでボラティリティーの高いお祭り騒ぎだったニューヨーク市場と比較すると、日本政府と日本銀行の為替介入に警戒した比較的ボラティリティーは低めの安定した円安ドル高のドルの上昇トレンドを形成し、急激な値動きを避ける様に午前の147円台前半から午後に147円中盤に近い後半へと移行していた。

昨夜は主要20カ国・地域(G20)議長国のインドネシアのスリ・ムルヤニ・インドラワティ財務相が、「G20はウクライナでの戦争を含む地政学的な分裂を巡っては大きな溝を抱えているが、多くの金融課題では引き続き一致している」と発表したが、米国ワシントンで開かれていたG20財務相・中央銀行総裁会議は共同声明なしで終了した。今朝は、そのG20財務相・中央銀行総裁会議後の日本の記者会見で、鈴木俊一財務相が円安ドル高について、「投機による過度な変動(ボラティリティー)は容認できない。適切な対応を取りたい」と発言したことが、急な価格変動のボラティリティーを抑制した一因とも考えられる。

一方で、世界の中央銀行の利上げ方向に足並みを揃えていないことが円安要因なのではという疑問を持たれていた日本銀行(日銀)の黒田東彦総裁は、「経済と物価に対して、最も適切な政策を考えれば、利上げは適切ではない」と発言しており、金利抑制の大規模緩和継続による円安ドル高要因の日米金利差拡大は、当面続くという予想が引き続き優勢であった。

今朝は日本の最新経済指標の発表もあり、9月のマネーストックM2は前回と市場予想の3.4%に対し3.3%で、前週分の対外対内証券売買契約等の状況の対内株式は、前回の-5018億円に対して1兆3939億円のプラスに転じて改善されたが、対外中長期債は、前回の-8863億円に対して-1兆7137億円であった。

今朝は10時の仲値決済に向けては、明日の15日は土曜日であるために、今日が実質的な5と10のつく日で、日本の貿易企業の決済日の集中しやすい五十日であったことから、円安継続による輸入実需の増加の円売りドル買い注文で円相場が下落したが、輸出企業のドル売り円売りと高値のドルの利益確定売りが急激な値動きを抑えていた。

今日の日本市場でも午後から参入の欧州英国市場でも、市場予想以上の9月の米消費者物価指数(CPI)の上昇率を受けての日米金利差拡大予想が優勢で、日本政府と日銀の為替介入のトリガー(引き金)となる急激な変動のボラティリティーに注意しながらの、円売りドル買いが継続し、円安ドル高が進行した。

欧州市場では、ドルの上昇トレンドにおいて、日本市場の様な為替介入警戒の調整を加えてというよりは、米国の記録的な高インフレの継続と大幅利上げ継続の景気懸念により、高値になったドルを売って市場実需がある欧州通貨が時々買い戻される動きが混ざることが、急激な価格変動を抑える抵抗要因にもなっていた。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は、147円50〜52銭付近で、前日同時刻の前東京終値比で約67銭の円安ドル高であった。

今夜この後にも最新の米国重要経済指標の発表予定が続き、米連邦準備制度理事会(FRB)がデータとして注視しており、世界のFX投資家達が注目している。日本時間の今夜21時半に、9月の米小売売上高、米輸入物価指数、米輸出物価指数、23時には8月の米企業在庫と、10月の米ミシガン大学消費者態度指数が発表予定である。

今日のユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の円相場の終値は144円4~7銭付近で、前日同時刻比では約1円54銭の大幅な円安ユーロ高であった。

原因は、今日は欧州ユーロ圏の最新経済指標の発表があり、ドイツの9月の独卸売物価指数(WPI)が前月の0.1%に対して1.6%に上昇し、欧州中央銀行(ECB)の大幅利上げ継続予想と日欧金利差拡大予想が強まり、円売りユーロ買いの要因となった。

また、日欧金利差拡大予想の円売りユーロ買いや、株上昇時のリスクオンのユーロ買い、ドルの様に介入懸念のない円売りユーロ買い、そして、今日の円のドルに対する円安と、ユーロのドルに対するユーロ高が相乗効果で円相場に波及していた。

一方で、ユーロはドルに対しては、英国ポンドに時折連動する様な形で抵抗と反発を加えており、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値の頃には0.9765~0.9766ドル付近で、前日同時刻比では約0.60セントのユーロ高ドル安だった。ただし、長期的に見れば、ユーロは今でもドルに対しての等価割れを続けている。

英国ポンドは、昨夜の英国ロンドン外国為替市場で、リズ・トラス英新政権がポンド安の要因となった大規模減税策の見直しと修正を議論しているというニュースで英財政懸念が一時的に緩和されたことから、元欧州連合(EU)の英ポンドが対ドルで大幅に上昇したことで、今でも経済的な関係性のある欧州通貨のユーロも対ドルで連れ高になった。

ただし、昨夜の欧州英国市場の後半から始まった米国ニューヨーク市場で米長期金利上昇した際には、欧米金利差拡大予想のユーロ売りドル買いがあり、英国ポンドもつられて売られる動きを見せた。米英金利差は競合的な利上げ合戦が続いているが、今日は欧米英の株式市場が一時大幅高になった時などに、株高時のリスクオン(リスク選好)のユーロ買いとポンド買いでドル売りが入った。

しかし、今日の日本市場の午後には、英国景気懸念などで前日までに高値圏になったポンドの利益確定売りで基軸通貨のドル買いが優勢になり、ポンド売りドル買いが強まり、昨日のドルに対するポンド高の反発で、今日の欧州英国市場ではポンド売りで安全資産のドルと低リスク通貨の円が買われた動きで、17時の今日の東京外国市場の英国ポンドの円相場の終値は166円75〜81銭付近で、前日同時刻比では約4銭の円高ポンド安になった。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年10月14日の日本時間(JST)19時22分(英国夏時間(GMT+1)11時22分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:22の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 147.64 〜 147.66 +0.81(円安)
ユーロ/円 143.75 〜 143.77 +1.25(円安)
ユーロ/ドル 0.9735 〜 0.9737 +0.0030(ドル安)
英ポンド/円 166.11 〜 166.17 -0.68(円高)
スイスフラン/円 147.26 〜 147.32 +0.20(円安)
豪ドル/円 92.88 〜 92.92 +0.19(円安)


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