FXニュース:一時146円98銭付近の1998年8月以来の円安記録を更新

2022年10月13日
FXニュース:一時146円98銭付近の1998年8月以来の円安記録を更新

 

東西FXニュース – 2022年10月13日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 最新の9月米卸売物価指数(PPI)前月比が市場予想以上の上昇
  • 米インフレ対策で連邦準備理事会(FRB)大幅利上げ継続予想
  • 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨も積極的利上げ姿勢
  • 過度な変動の度合いのボラティリティーが為替介入警戒要因に

今日2022年10月13日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時の外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値が146円91銭前後から高値146円72銭前後の値動き幅約19銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の円相場の終値は146円84〜85銭前後で、前日同時刻の前東京終値比較では約68銭の円安ドル高であった。

また、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では、一時146円98銭付近の1998年8月以来の約24年ぶりの円安ドル高の記録を更新した。

原因はまず、昨日の東西FXニュースでもお知らせしていた通り、昨夜から今朝の米国ニューヨーク外国為替市場で最新の米国重要経済指標の9月の米卸売物価指数(PPI)が発表され、前月比で市場予想の0.2%を超えた0.4%の上昇率で、想定以上の米インフレ圧の強さを示すデータであったことなどから、インフレ対策で米連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げ継続が長期化するという予想が強まり、日米金利差拡大予想によるドル買い円売りで、一時146円98銭付近の1998年8月以来の約24年ぶりの円安ドル高の記録を更新した。

ただし、147円が目前になると、日本政府と日本銀行(日銀、BoJ)の再度の為替介入への警戒から、高値のドルの利益確定と安値の円の持ち高調整の抵抗が入り始めた。また、市場後半に公開された前回9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨は、米国市場の予想通りの利上げ継続の内容であったことでは、やや横ばいに近い動きにもなった。

そのため、今朝6時までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場の終値は146円85~95銭付近で、前日同時刻比では約1円05銭の円安ドル高であった。かねてから円安要因であった日米金利差拡大などで、5営業日連続での円相場の続落になり、円安ドル高が進行した。

しかし、今朝8時台には日本の最新経済指標も速報値で発表され、9月の日本の企業物価指数は116.3で、前年同月比で9.7%上昇し、市場予想を大きく上回った。原因は、ロシアのウクライナ侵攻による資源やエネルギー価格の高騰と、円安も日本の物価高を押し上げたことなどから、石油危機の影響があった1980年以来となる高い上昇率であったことでは、この時間にはやや円買いの円安抵抗も入った一方で、インフレ景気懸念の円売りもあった。

その市場の流れとトレンドを受け継いで始まった今日の日本の東京外国為替市場でも、146円台後半の円安ドル高トレンドが継続したものの、日本市場では「急速な円安は良くない」という日本政府と日本銀行(日銀)」の再度の為替介入への警戒感から、投資系では高止まりで横ばいに近い「急速で過度な変動の度合い(ボラティリティー)」に注意した慎重な取引が行われた。

ただし、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨の中で、「金融引き締めが甘過ぎるのと厳し過ぎるのでは、前者(甘過ぎる)の方がコストが高くつく」と多数の参加者達が強調していたことなどが世界のFXニュースで話題になり、米国の高インフレ抑制で次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)でも米連邦準備制度理事会(FRB)は通常の3倍の0.75%の積極的な大幅利上げを継続するという日米金利差拡大予想は優勢で、ドルの高止まりは続いた。

しかし、今朝10時前の仲値決済に向けては、日本企業の輸入実需による円売りからのドル買いオーダーがまとまって入ったために、再び146円90銭付近に円相場が下落した。直後には輸出企業のドル売り円買いなどの抵抗が入ったものの、昼頃にも再び同様のレベルに再び達し、午後には146円91銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値も記録した。

日本政府の松野博一官房長官も今日の記者会見で、現在進行中の円安ドル高に関して、「過度な変動(ボラティリティー)に対しては、適切な対応を取りたい」と発言しており、お昼のニュースでは鈴木俊一財務相も、「投機による過度な変動(ボラティリティー)は容認できない。為替市場の動向を高い緊張感を持って注視している」と発言したことで、特定の価格水準というよりは「急速で過度な市場変動の度合い(ボラティリティー)」が日本政府の為替介入の引き金となることが警戒された。

午後になり、時差で朝の欧州英国市場の参入でも、今夜この後に発表予定の最新の米国重要経済指標の9月の米消費者物価指数(CPI)のイベントの持ち高調整の後の様子見や買い控えが始まり、比較的安定したドルの高止まりと横ばいに近い値動きが継続した。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は146円84〜85銭付近で、前日同時刻の前東京終値比較で約68銭の円安ドル高であった。

今夜この後には、最新の米国経済指標の発表予定が続き、世界のFX投資家達が今後の為替相場の値動きの予想材料として注目している。日本時間での発表スケジュールは、今夜21時半に9月の米消費者物価指数(CPI)と、前週分の米新規失業保険申請件数と米失業保険継続受給者数、深夜0時に週間米原油在庫、翌朝2時には米30年債の入札などが予定されており、今週の金曜には米小売売上高の発表予定もあり、米連邦準備制度理事会(FRB)も最新の景気経済に関するデータを注視している。

今日のユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の円相場の終値は142円47~49銭付近で、前日同時刻比で約59銭の円安ユーロ高であった。

主な原因は、ドルに対する円安が、他の主要通貨であるユーロにも波及したことに加えて、欧州中央銀行(ECB)も大幅利上げ継続予想が優勢で、日欧金利差拡大予想でも円安ユーロ高になった。ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は0.9702~0.9703ドル付近で、前日同時刻の前東京終値比では約0.04セントのユーロ安ドル高だった。

理由は、欧州中央銀行(ECB)による大幅利上げ継続で、欧州エネルギー問題などのある欧州ユーロ圏の景気減退(リセッション)懸念への警戒で、ユーロリスク売りと安全資産のドル買いが優勢になったことに加えて、ウクライナ情勢が悪化しており、今日はロシア連邦安全保障会議のアレクサンドル・ベネディクトフ副書記が、国営タス通信のインタビューで、「ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟は第3次世界大戦を引き起こす」と発言したことなどで、ウクライナと隣接地域がある欧州連合(EU)の地政学的リスク回避でもユーロが売られて世界的に流動性が高い安全資産のドルが買われたことなどが影響した。

また、現在ウクライナで多数の民間人死傷者を出しているロシアのドローン攻撃が、欧米で「神風(Kamikaze)ドローン」と呼ばれていたことなどもあり、今日のウクライナ情勢のリスク回避の安全資産では、世界的に流動性が高い基軸通貨のドルの方が低リスク通貨の円よりも好んで買われた。

今日の午後15時には、欧州ユーロ圏のドイツの最新経済指標の発表があり、9月の独消費者物価指数(CPI)の改定値は、前回と市場予想通りの横ばいであったことから、米国と比較すると欧州主要国ドイツのインフレの高止まりが見られた。

今日の英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は162円79〜85銭付近で、前日同時刻比で約23銭の円高ポンド安であった。

ただし、昨夜の英国ロンドン外国為替市場では英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)の市場安定のための英国債の臨時買い入れオペの期限が今週いっぱいの金曜で終了予定であることに対して、ベイリー総裁が予定通りの終了についての発言をした一方で、英経済紙のフィナンシャル・タイムズ(FT)が延長の可能性についてのニュースを流したことに対して、英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)の広報担当者は「ベイリー総裁の先日の発言通り、一時的かつ対象を絞った英国債の買い入れは、予定通りに今週金曜の10月14日で終了する」と昨夜に発表したことでは市場安定性への懸念から、リスク回避のポンド売りと安全資産のドル買いが優勢になった。

今日は英国の最新経済指標の発表もあり、9月の英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)住宅価格指数は、前回の53(改定51)と市場予想の45に対し32に低下していた。

ただし、今夜その後の今夜18時台の英国ロンドン外国為替市場では、現時点ではまだ買い入れ続行中の英国債の英長期金利が大幅に低下したことに伴い、米長期金利も上昇幅を縮めたために、高値のドル売りで安値のポンド買いが入り、対ドルの英ポンドがこれまでの下げ幅を縮め、1.10ドル台から1.11ドル台へ大幅に上昇した。

その影響で、元欧州連合(EU)の英国ポンドの上昇に連動し、欧州ユーロも対ドルで下げ幅を縮めて上昇し、今夜19時台には前日終値比ではユーロ高ドル安にも転じている。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年10月13日の日本時間(JST)19時17分(英国夏時間(GMT+1)11時17分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:17の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 146.80 〜 146.81 +0.64(円安)
ユーロ/円 142.84 〜 142.86 +0.96(円安)
ユーロ/ドル 0.9729 〜 0.9731 +0.0023(ドル安)
英ポンド/円 163.80 〜 163.86 +0.78(円安)
スイスフラン/円 147.06 〜 147.12 -0.16(円高)
豪ドル/円 92.27 〜 92.31 +0.10(円安)


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