FXニュース:米連邦準備理事会(FRB)関係者達の発言で米利上げ予想が優勢に

2022年8月03日
FXニュース:米連邦準備理事会(FRB)関係者達の発言で米利上げ予想が優勢に

 

東西FXニュース – 2022年8月3日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米長期金利の上昇で円安ドル高要因の日米金利差拡大予想が再浮上
  • 米ペロシ下院議長の台湾訪問の米中対立で中国実弾軍事演習リスクも
  • 英中銀金融政策委員会が今日と明日の会合後に新政策金利発表予定

今日2022年8月3日水曜日の東京外国為替市場のFXの対ドル円相場の為替レートは、9時から17時の東京外為取引時間の円の安値が133円89銭前後から高値132円30銭前後の値動き幅約1円59銭で、17時の今日の東京外国為替市場の終値は133円27〜28銭前後で、前日同時刻の前東京終値比では約2円45銭の大幅な円安ドル高であった。

原因はまず、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場で、米連邦準備理事会(FRB)関係者達の相次ぐタカ派発言が影響し、米長期金利が急上昇し、かねてからの円安要因であった日米金利差拡大予想が再燃したことが影響した。

市場の流れとしては、昨日の日本市場や欧州英国市場では、それまでの米経済指標を受けた米景気後退懸念の債権買いと米利上げ減速予想で米長期金利が2.5%台に低下してドル売りが起きており、またペロシ米下院議長の台湾訪問に中国が猛反対をしていたことからも、米中対立での地政学的リスク回避で低リスク通貨の円買いが起きており、ドルの円相場は一時130円台だったが、昨夜にペロシ米下院議員が無事に台湾に到着したニュースで巻き戻しがあったところに、前述の今朝までの米国ニューヨーク市場時間の米連邦準備理事会(FRB)高官達の米利上げ継続予想に繋がる発言の四連発があり、米長期金利は一時2.77%付近に急上昇し、円安要因の日米金利差拡大予想が再び優勢となり、133円18銭付近に円が売られ、130円台から133円台へのボラティリティの大きいFX市場となった。

米連邦準備理事会(FRB)関係者達の発言の詳細は、まず、米サンフランシスコ連銀のデイリー総裁が、記録的な米国のインフレ抑制の物価目標に向けた金融政策は、「まだ、終わりには程遠い」と発言し、来年の利下げも考えていないとの見解を示した。

続いて、米シカゴ連銀のエバンス総裁も「9月の会合では0.5%の利上げ幅が適切だとは思うが、0.75%でも問題はない」と発言し、「9月以降も、来年上期くらいまでは0.25%の追加利上げの継続を期待している」とも表明した。

米クリーブランド連銀のメスター総裁も、「(米国の)インフレはまだ落ち着いてきてはいない。(買い控えなどがあっても)我々はまだ実質的なリセッションに陥っているとは考えていない。我々(FRB)はインフレ抑制の方に、コミットするべきだろう」とも発言した。

そして、米セントルイス連銀のブラード総裁総裁も、「インフレ抑制の目標にコミットする」と発言をしており、また、利上げ継続でもソフトランディングは可能で、米国の実質的なリセッションを避けられる公算があることも主張していた。

米連邦準備理事会(FRB)の利上げ継続予想が優勢となり、金利抑制の日本銀行(日銀)との日米の金融政策の方向性の違いからも日米金利差拡大予想で米長期金利も上昇し、ドル買い円売りが強まり、今朝のニューヨーク外国為替市場の円相場の終値は、133円15~25銭で、前日同時刻の前ニューヨーク終値比でも約1円60銭の大幅な円安ドル高だった。

そのトレンドを受け継いで始まった今日の世界市場と日本の東京外国為替市場でも、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ継続予想が強まり、日米金利差拡大予想で円売りのドル買いがまず優勢になった。

日本時間の早朝に世界のFXニュースでも翻訳されて、今朝までに米連邦準備理事会(FRB)関係者達の発言があったことも話題になり、米セントルイス連銀のブラード総裁がニューヨーク大学で講演をした際に、「米国のインフレ高進が継続するようであれば、より長期に渡り米政策金利を高水準で維持する必要がある」とも発言していたことが報道され、日米金利差拡大予想のドル買い円売りで、今朝の円は朝9時台に一時133円89銭付近に売られ、前日比で3円以上の大幅な円安ドル高になっていた。

猛暑と節電やコロナ再流行などの時短や、8月に入ってから同時間帯のアジアでは夏休みのトレーダーも増え、市場のトレーディング・ボリュームの流動性が減ってきたことも、値動きに影響が出やすくなってきているとの市場分析もあった。

しかし、今日のドルの高値を記録した後には、利益確定のドル売りに加えて、11時半過ぎにペロシ米下院議長が台湾の蔡英文総統と会談し13時ごろに共同記者会見が予定されたというニュースがあり、米中関係の緊張と中国軍が動き始めるとの懸念から、米中問題の地政学的リスクで、安値になっていた低リスク通貨の円がリスク回避で買われたことで、11時頃には133円台後半だった円相場は、12時過ぎには132円台後半に反発した。

13時頃にペロシ米下院議長は共同記者会見で「一つの中国」政策を尊重する一方で、台湾との連帯はこれまで以上に重要だとの認識を示したことで、132円30銭付近の今日の日本市場でのドルの安値に低リスク通貨の円が買われたが、昨日の中国政府の「中国軍も黙ってはいない」の言葉通り、台湾周辺の海域を取り囲む様に中国軍が明日から実弾を使った軍事演習を開始するというニュースが続いて伝わり、日本近海の海域も含まれているために、地理的に近い日本にも地政学的リスクの懸念も浮上したことから、リスク回避では低リスク通貨の他にも、世界的な安全資産のドルなども買われる様にもなり、午後には欧州市場の参入もあり、日米金利差拡大予想のあったドルが133円台に戻した。

日本政府の松野博一官房長官は今日の記者会見で、中国軍はペロシ米下院議長の台湾訪問の報復で、明日から数日間に渡り、実弾を使った軍事演習を台湾周辺の海域で実施し、それには日本の排他的経済水域(EEZ)も含まれることを指摘していた。

リスク回避姿勢の安全資産のドルや円を買う動きの中でも、今日の日経平均株価は回復上昇し、15時台に27,741円90銭で前日比147円17銭増で大引けしており、株式市場ではそれまでの株安時に買われていた低リスク通貨の円が持ち高調整で売られる機会もあり、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は133円27〜28銭付近で、前日同時刻の前東京終値比では約2円45銭の大幅な円安ドル高だった。

今日のユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は135円71~73銭で、前日同時刻比で約1円94銭の大幅な円安ユーロ高であった。ユーロにも今日のドル高トレンドが波及していたことが原因で、ユーロ対ドルも17時に1.0182~1.0184ドルで、前日比で約0.43セントのドル高ユーロ安であった。

昨夜の欧州英国市場では、ペロシ米下院議長の台湾訪問の米中対立の緊張でリスク回避市場でユーロに対して買われやすい安全資産のドルや低リスク通貨の円を買う動きがあったところに、米国ニューヨーク市場で米連邦準備理事会(FRB)の利上げ継続予想が優勢になり、ユーロは円や対ドルで下落していた。米長期金利の上昇で米欧金利差拡大予想も強まった。

英ポンドも、昨夜の英国ロンドン市場でユーロに連動する様な値動きで対ドルで下落していたが、今日から英中銀金融政策委員会(MPC)で、現地時間で明日の会合後に新英政策金利の発表予定がある。英国も西欧最悪のインフレ率への対策で英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)の利上げ継続予想があるために、日英金利差拡大予想が優勢で、また今日の日米金利差の円安の影響もあり、今夜17時の今日の東京外国為替市場での終値は162円37〜43銭で、前日比で約50銭の円安ポンド高であった。

今夜この後にも米国経済指標の発表が予定されており、20時のMBA住宅ローン申請指数、22時45分の7月サービス部門購買担当者景気指数と7月総合購買担当者景気指数、23時の7月ISM非製造業景況指数と6月製造業新規受注などが、今後の為替相場に影響を与える可能性から世界のFX投資家達に注目されている。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年8月3日の日本時間(JST)19時18分(英国夏時間(GMT+1)11時18分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:18の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 133.31 〜 133.32 +2.49(円安)
ユーロ/円 135.85 〜 135.86 +2.08(円安)
ユーロ/ドル 1.0189 〜 1.0191 -0.0036(ドル高)
英ポンド/円 162.43 〜 162.49 +0.56(円安)
スイスフラン/円 138.90 〜 138.96 -0.12(円高)
豪ドル/円 92.36 〜 92.40 +0.27(円安)


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