FXニュース:一時137円75銭付近の1998年以来の円安ドル高記録更新後

2022年7月12日
FXニュース: 一時137円75銭付近の1998年以来の円安ドル高記録更新後

 

東西FXニュース – 2022年7月12日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 円安問題で鈴木財務相とイエレン米財務長官が会談後には円買いも
  • 欧州エネルギー景気懸念のユーロ売りドル買いで等価近くに
  • 英政治の先行き不透明感から英ポンド売りドル買いも波及
  • 豪貿易先の中国コロナ景気懸念の豪ドル売りドル買いも影響

今日2022年7月12日火曜日の東京外国為替市場のFXの対ドル円相場の為替レートは、9時から17時の東京外為取引時間の円の安値が137円53銭前後から高値137円3銭前後の値動き幅約50銭で、17時の今日の東京外国為替市場の終値は137円29〜30銭前後の、同時刻の前日比で約49銭の円安ドル高であった。

ただし、昨夜から今朝までの英国ロンドン市場と米国ニューヨーク市場では、一時137円75銭付近の円の安値をつけ、1998年9月以来の約24年ぶりの円安ドル高の昨日の記録を連日で更新した。

原因は、日米金利差拡大予想の円売りドル買いの他にも、世界的に流動性の高い安全資産のドルがリスク回避で多通貨に対して買われ、欧州エネルギー懸念のユーロ売りドル買いや、英国政治不安の英ポンド売りドル買いと、オーストラリアの貿易先の中国で再びコロナ景気不安が拡大していることで豪ドルが売られてドルが買われるなど、多通貨に対するドル高が、ドルに続く安全資産として同じく買われていた低リスク通貨の円相場にも波及した。

また明日発表予定の最新米景気指標の米消費者物価指数(CPI)6月分のイベント前で、米国市場では米連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げ予想に繋がりそうな市場予想もあったことから、ドル買いの円売りが優勢であった。

しかし、今朝までの米国市場の後に始まった今日の日本の東京市場では、早朝に日本銀行(日銀)が速報で発表した日本の最新経済指標の企業物価指数6月分が2020年平均値の100に対して113.8で、前年同月比で9.2%も上昇をし続けていた。ロシアのウクライナ侵攻の影響などで原油を含むエネルギーや資源価格が世界的に高騰して、高止まりをしてきており、長期化する円安で日本では輸入価格も上昇したために、市場予想を超えていたことから、今朝の日本市場では円安懸念の持ち高調整の安値での円の買い戻しも入り、対ドルの円は今朝までの下げ幅をやや縮めていた。

ただし、ロシアから欧州への天然ガス供給パイプの検査停止問題等で、欧州ユーロ圏のエネルギー問題による景気悪化予想のユーロ売りのドル買いは継続しており、他通貨へのドル高は円相場にも波及していた。その一方で、今朝は原油先物価格が1バレル100ドル以下で推移していたために、原油価格低下時の低リスク通貨の日本円の貿易赤字継続リスク減で、ドルに続く安全資産の低リスク通貨の円もユーロや豪ドルに対してのリスク回避で買われており、安全資産同士のドルと円が他通貨に対して上昇し、もみ合うような値動きも見られた。

今日は米国政府のイエレン財務長官が来日しており、午前中は日銀の黒田総裁と会談し、午後には日本政府の鈴木財務相と会談し、日米で世界的な食糧安保問題や対ロシア制裁と日米の為替問題についても協議すると伝えられていたことから、今日の日本市場ではドル円に関しては夕方の日米共同声明まではやや様子を伺うような形で動き、午後の日米会談を前に鈴木財務相が今朝の閣議後記者会見で、「最近、急速な円安進行が見られ、憂慮している」と再び発言していたことから、持ち高調整での円買いも入っていた。

その一方で、明日発表予定の米消費者物価指数(CPI)の市場予想では、今日の日本市場でも今朝までの米国ニューヨーク市場と同様に、米物価高のインフレ対策で米連邦準備理事会(FRB)が大幅利上げを継続する予想が優勢で、日米金利差拡大予想でのドル買い円売りも起きていた。

そのため、午後には欧州市場の参入もあり、米10年債利回りの米長期金利が2.97%台付近まで回復してきたことから、昨日も日銀の黒田総裁が金利抑制の大規模緩和の金融政策を継続する発言をしていたことから、日米金利差拡大時のドル買い円売りで一時137円53銭付近にまで円が売られ、今日の東京市場時間内での安値を記録した。

しかし、日米の株価は世界景気不安で低迷しており、午後15時15分には今日の日経平均株価が前日比で475円64銭も下落した26,336円66銭で大引けしており、低リスク通貨の円買いも入ったために、その後の円は下げ幅を縮めた。

今日の午後の会談を終えた日米財務相の共同声明では、「G7とG20のコミットメントに沿って引き続き為替市場に関して緊密に協議し、為替問題で適切に協力する」と発表され、この最新のニュースを受けて、今後の為替介入の可能性も考えられることから、持ち高調整で円が137円台前半まで円が買われ、17時に137円29~30銭の前日比で約49銭の円安ドル高で今日の東京外国為替市場の終値をつけた。また、今夜その後の欧州市場でも、円相場は19時頃までに対ドルの下げ幅をより縮めていた。

ユーロは、ロシアからドイツに天然ガスを輸送するパイプラインが定期検査で昨日より停止中で、今後も復旧しない可能性もあることから、欧州ユーロ圏のエネルギー供給問題などの欧景気懸念のユーロリスクで、ユーロが売られて安全資産のドルや低リスク通貨の円が買われた影響で、今日は円相場でも下落しており、対ドルに関しては約20年ぶりの1ユーロ=1ドルのパリティ(等価)に近づいた。

そのため、ユーロ対円の17時の今日の東京終値は137円39~41銭で、前日比で約93銭の円高ユーロ安であった。ユーロ対ドルは、今夜17時には1.0007~08

ドルで、前日比1.04セントのドル高ユーロ安の東京終値だった。しかし、17時過ぎには、時差で朝の欧州英国市場で一時1.0002ドル付近の、2002年12月以来のドル高ユーロ安記録を更新し、ほぼ等価(パリティ)になっていた。しかし、一旦記録的な安値に達したユーロには、直後の高値のドルの利益確定売りや、現地実需や持ち高調整で買い戻される抵抗も入った。

また、明日の米消費者物価指数(CPI)発表前で、欧州中央銀行(ECB)の利上げ速度が米連邦準備理事会(FRB)よりも遅れる可能性から、米欧金利差拡大予想もドル買いユーロ売り要因になっていた。

英ポンドも、ボリス・ジョンソン辞任後の英保守党(トーリー)党首の後任がまだ決まらず、英国の政治の先行き不透明さや記録的なインフレによる景気懸念などから、英国ポンドが売られて安全資産のドルや低リスク通貨の円が買われた影響で、ドルに対して記録的なドル高ポンド安になっており、また円に対しても下げたことから、今夜17時の東京終値は、162円60〜66銭の前日比で約79銭の円高ポンド安であった。

豪ドルも、オーストラリアの貿易先の中国のコロナ情勢の悪化による世界景気懸念リスクなどで安全資産のドルや円に対して売られており、17時の東京終値は92円30〜34銭で、前日比で約24銭の円高豪ドル安だった。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年7月12日の日本時間(JST)19時19分(英国夏時間(GMT+1)11時19分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:19の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 136.89 〜 136.90 +0.09(円安)
ユーロ/円 137.09 〜 137.12 -1.23(円高)
ユーロ/ドル 1.0014 〜 1.0016 -0.0097(ドル高)
英ポンド/円 162.09 〜 162.15 -1.30(円高)
スイスフラン/円 138.95 〜 139.01 -0.80(円高)
豪ドル/円 92.13 〜 92.17 -0.41(円高)


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