FXニュース:日米金利差拡大で今日再び125円台の日銀黒田ラインの円安ドル高に

2022年4月11日
FXニュース:日米金利差拡大で今日再び125円台の日銀黒田ラインの円安ドル高に


東西FXニュース – 2022年4月11日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 今日の日銀の黒田総裁発言も金融緩和継続と追加予定で円安止める要因減
  • 米連邦準備理事会(FRB)積極的金融引き締め予想で米金利上昇圧の円安ドル高
  • 仏大統領選挙第一回マクロン現政権優勢で安堵のユーロ買いが今日の為替相場に影響

今日2022年4月11日の東京外国為替市場の円相場の為替レートは続落しており、東京外為取引時間の9時から17時の安値は125円43銭前後から高値は124円29銭前後で、今夜17時の東京終値は125円26〜27銭で前日比1円22銭の大幅な円安ドル高であった。そして、今夜の東京外為の後の19時に時差で朝の欧州ロンドン市場でも、125円台の円安ドル高が継続している。

主な原因は、前回もお伝えした通り、米連邦準備理事会(FRB)が米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨やFRB関係者の相次ぐタカ派発言などで、米インフレ対策の量的引き締め(QT)加速等の積極的な金融引政策のニュースで上昇圧のあった米長期金利が、先週末のニューヨーク市場で一時2.7%前半に上昇し、日米金利差でのドル買い円売りが優勢となっていたことが大きい。今日の日本時間の取引でも一時2.7%台後半に進み、日米金利差拡大と今後の拡大予想も強まった。

更に、今日の日本銀行支店長会議で黒田総裁が、コロナ禍での消費減が規制緩和で和らいでいく中で、資源高の影響を受けながらも景気は回復していくという見解を示し、消費者物価指数(CPI)はエネルギー価格高騰などで上昇はするであろうが日銀としては2%の物価安定を目標に、必要な時点まで長短金利操作付きの量的金融緩和を継続する姿勢を示した。また、必要があれば追加の緩和までするという、日米金利差で円安要因となっている大規模緩和の金融政策の継続や追加を強調し、政策金利に関しても今の長短金利の水準かそれ以下の水準で推移することを想定しているとし、日米金利差拡大予測を強める発言となった。

今日はまた、連日の円安に伴い、今朝10時の仲値決済後から輸入企業の実需増加による円売り外貨買いがあり、夕方にも時差で早朝の欧州からの日米金利差予想での円売りドル買いも入ったために、通称「黒田ライン」と呼ばれる125円台の高水準の円安ドル高となった。

一方、欧州連合(EU)ユーロ圏では、先週はフランス大統領戦前の先行き不透明な政情不安がリスクと見做されて投資家にユーロが売られることもあったが、昨日の第一回投票ではマクロン現大統領が1位でリードし、2位の極右政党国民連合(RN)のルペン候補との決戦が24日に決定した。そのため、リスク軽減の安堵感からユーロが買われ、持ち高調整やリスクオンのユーロ買いが今日は優勢となり、今日の東京終値17時のユーロの円相場は、136円64〜65銭前後で前日比1円85銭の円安ユーロ高であった。 同じ理由でユーロは対ドルでも反発し、東京終値17時は1.0907~8ドルと、前日比0.41セントのドル安ユーロ高になっていた。

ただし、今回のフランスでの投票率は72%で、その内の開票率97%の時点の27%と24%の差で決まったものなので、24日の決勝戦前の支持率や世論による今後の値動きへの影響にも注意が必要である。

マクロン現仏大統領は、ウクライナでの停戦に向けロシアのプーチン大統領と何度も電話会談するなどの外交姿勢が評価されて高い支持を得ていたが、ウクライナ危機が長期深刻化するにつれて支持率が横ばいになり、仏定年退職年齢の引き上げ公約の現状では有権者の反感から支持率が低下しており、対抗するルペン候補は人種差別排除が評価され、最近はインフレ物価上昇問題で国民の生活水準向上のための家計支援策が支持されており、先週の投票前の支持率ではマクロン現大統領との接戦が予想されていた。

今日発表の英国のGDPはわずか0.1%の伸びで、米ドルに対しては下がっていた英ポンドだが、日英金利差でポンドが買われやすくなっていたために、日本円に対しては英ポンドも上昇し、今日の東京17時の終値は163円18〜24銭で前日比1円19銭の円安ポンド高だった。

ジョンソン英首相は先週9日、ウクライナの首都キーウを訪問し、ゼレンスキー大統領と会談した。英国は武器提供での支援の他にも、世界銀行の融資に向けての追加支援を発表。石炭輸入禁止等の対露制裁を引き続き強化する方針も示した。ウクライナのゼレンスキー大統領は同日の演説で、ロシアの侵略はウクライナだけにとどまらず、欧州全域が標的であると指摘し、ロシア産エネルギーの完全輸入禁止とウクライナへの武器供与支援を要請していた。また、「ロシアの武力行使は、最終的には全ての人々への打撃となる惨劇」であるとした。

ウクライナ長期深刻化での脱ロシアの金融制裁は世界金融市場にもダメージを与える恐れがあるために、和平交渉や支援への期待などでリスクオフとリスクオンの為替変動が起きることもあり、特に地政学的リスクやエネルギー依存あるユーロ対安全資産のドルや低リスク通貨としての日本円の動向にはニュースと関連性が高いので今後も注意が必要である。

今日は日本が輸入をしている資源国のオーストラリアドルも、金融政策の違いや円安の影響から輸入実需増加で買われており、今夜17時の東京外為終値では93円16〜20銭で45銭の円安豪ドル高であった。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年4月11日の日本時間(JST)19時10分(英国夏時間(GMT+1)11時10分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:10の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 125.36 〜 125.37 +1.32(円安)
ユーロ/円 134.95 〜 134.96 +2.19(円安)
ユーロ/ドル 1.0876 〜 1.0878 +0.0060(ドル安)
英ポンド/円 161.81 〜 161.87 +1.60(円安)
スイスフラン/円 132.68 〜 132.74 +1.21(円安)
豪ドル/円 92.56 〜 92.60 +0.75(円安)


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