FXニュース:日米金利差拡大のドル買い円売りが124円台の円安ドル高要因に

2022年4月08日
FXニュース:日米金利差拡大のドル買い円売りが124円台の円安ドル高要因に


東西FXニュース – 2022年4月8日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米連邦準備理事会(FRB)の積極的金融引き締め加速予想強まるドル高
  • 米新規失業保険申請件数が16.6万件で前週から予想以上に改善
  • 欧中銀(ECB)金融政策のユーロ買いと欧州ガス懸念のユーロ売り

今日2022年4月8日の東京外国為替市場の円相場の為替レートは、取引時間の9時から17時の安値が124円15銭前後から高値は123円66銭前後の値動き幅49銭程で、今夜17時の東京終値は124円4〜5銭で前日比29銭の円安ドル高であった。

東京外国為替取引開始前の今朝未明までのニューヨーク外国為替市場でも、123円90銭~124円00銭で前日比15銭の円安ドル高トレンドであったトレンドが更新した。また、今夜の東京外為時間後の時差で朝の欧州ロンドン市場でも、ドルに対しては19時になっても同じ円安ドル高トレンドが継続していた。

理由は、連日のニュースや発言で米連邦準備理事会(FRB)の積極的な金融引き締め予想が強まっており、日本と米国の金融政策の違いと、日米金利差拡大予想での円売りドル買いの円安ドル高トレンドが続いていることが大きい。また、一時は米長期金利が2.67%にも達した為に、ドル買いによるドル高が円相場だけでなくユーロや英ポンド等にも及んだ。

東西FXニュースで昨日もお伝えした米連邦公開市場委員会(FOMC)の3月の議事要旨でも、米国保有資産を最高月950億ドル程度まで圧縮する案がおおむね合意されており、米インフレ対策も物価動向次第で0.5%の利上げ加速を数回実施する可能性が明らかになりドル買いが起きた。今日はその後もセントルイス連銀のブラード総裁が、3.5%くらいまで利上げする必要があると発言していたことが報道され、ドル買いによるドル高が進んだ。

また、昨夜発表の米新規失業保険申請件数が、16.6万件と前週から予想以上に改善されており、積極的な金融引き締め加速要素につながり、景気関係でもドルが買われた。

ただし、今日の東京外為取引時間の朝10時の仲値決済頃には、朝から高値になっていたドルが利益確定売りをされ、同時に輸出企業のドル売り円買いの大注文が入って、一時は123円66銭前後まで下げられる大きな反発もあった。

同じく朝10時頃に、日本銀行の早川元理事の「日銀は早ければ夏にでも長期金利変動容認幅の再拡大など、長短金利操作のイールドカーブコントロール(YCC)政策の弾力化に動く」という発言もあり、円買いが起きた可能性がある。また、松野官房長官も、円安が進む中で日銀の金融政策転換の必要性について「具体的手法は日銀に委ねる」と発言していた。

一方、日本も参加している国際エネルギー機関(IEA)が、原油価格安定化の為に加盟国があわせて1億2000万バレルと過去最大規模の追加の原油備蓄放出を行うことで、今日の原油先物は95〜96ドル台で取引されており、また今朝財務省が発表した2022年2月の日本の国際収支統計(速報)でも経常収支が3ヶ月ぶりの黒字で、原油資源高による貿易赤字継続が低リスク通貨の円のリスクになり得るという考えが今日は少し減退し、昨夜の欧中銀(ECB)の金融政策発表で一時値上がりしたユーロに対しても、今日の東京市場では欧州エネルギー景気懸念のあるユーロに対して安全資産のドルに続く低リスク通貨の円が東京市場時間中は買われやすくなっていた。

そのため、欧州連合(EU)の脱ロシア産ガス問題で、ハンガリーが独断でロシアにルーブル払いに応じるなどで歩調の乱れたニュースが流れた後、円はユーロに対しては東京取引時間に続伸しており、東京終値17時には134円79~81銭で前日比6銭の円高ユーロ安であった。

しかし、今夜その後に時差で朝の欧州ロンドン市場では、東京終値17時直後に実需と欧中銀による金融政策への期待からユーロが買い戻されて、17時25分頃から18時半頃まで円安ユーロ高にも転じて、その後に円高に一時再反転した後にも、再び19時過ぎに円安ユーロ高になるという円高の境界レンジ付近での値動きが見られている。

ただし、ユーロは第一安全資産のドルに対しては、米欧金利差や脱ロシア欧州エネルギー問題などで下がり続け、東京終値17時は1.0866~0867ドルで前日比0.31セントのドル高ユーロ安で、18時半にも同じドル高ユーロ安トレンドを継続した。

昨夜の発表の欧州中央銀行(ECB)理事会の3月の議事要旨では、欧州の高インフレ問題への対策で、欧州でも金融政策の正常化が早まるとの予想があり、ユーロ買いが入っていた。しかし、対ロシア追加経済制裁強化では、ドイツやオーストリアやハンガリーなど、ロシア産の天然ガス依存率が高い欧州連合(EU)加盟国を複数持つユーロ経済への懸念から、ユーロ売り安全通貨買いも出やすくなっており、第一安全通貨のドル高で、低リスク通貨の日本円が第二安全通貨として買われる動きもあった。

また、EU主要国の中でもロシア産のエネルギー依存率が低いフランスが、今月10日に大統領選の投票を控えている為、新大統領が決まるまでの期待と不安も影響している。

今日はIEAの原油価格安定化の効果もあり、安全資産の米ドル以外には低リスク通貨の日本円が買われる動きがあった他にも、輸入元のオーストラリアドルに日本側からの輸入コストの実需増加買いが特になく、今日の東京終値17時は92円53〜57銭で前日比18銭の円高豪ドル安となった。

今朝は日英金利差で高くなっていた英ポンドも日本時間に利益確定売りや調整が入り、英国が記録的なインフレの中で4月の電気代54%値上げ後にさらにコストのかかる新原発プランが報道されたリスクで英国ポンドが売られて、低リスク通貨の円が買われた動きがあり、今日の東京終値17時には161円75〜81銭で前日比33銭の円高ポンド安であった。

今夜その後の朝の欧州ロンドン市場でも、英国インフレ景気リスクで、低リスク通貨の円が買われており、19時になっても円高ポンド安のトレンドが継続していた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年4月8日の日本時間(JST)19時27分(英国夏時間(GMT+1)11時27分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:27の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 124.06 〜 124.07 +0.31(円安)
ユーロ/円 134.95 〜 134.96 +0.10(円安)
ユーロ/ドル 1.0876 〜 1.0878 -0.0021(ドル高)
英ポンド/円 161.81 〜 161.87 -0.27(円高)
スイスフラン/円 132.68 〜 132.74 ±0.00(レンジ)
豪ドル/円 92.56 〜 92.60 -0.15(円高)


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