FXニュース:原油安で低リスク通貨の日本円がドルに続く安全資産に復活

2022年4月04日
FXニュース:原油安で低リスク通貨の日本円がドルに続く安全資産に復活


東西FXニュース – 2022年4月4日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 政府の急激な価格変動は望ましくない発言で緊急金融政策に期待の円買いレンジに
  • 米雇用統計でFRB利上げ予測強まり日米金利差拡大予想のドル買いも
  • ウクライナ情勢継続で欧州ユーロ圏エネルギー問題懸念のリスクオフの安全資産買い

今日2022年4月4日の東京外国為替市場の円相場の為替レートは、円安要因と円高要因の複合レンジ市場があり、9時から17時の円の高値が122円28銭前後から安値は122円80銭前後の一日の値動きの値幅が52銭程度で、17時の東京終値は122円62~63銭で、前取引日比がわずか1銭の僅差のレンジに近い円高ドル安であった。しかし、欧州市場で19時29分には僅差2銭の円安ドル高にも戻るレンジ付近の市場である。

理由は、今日は先週までに急激に円安が進んでいたことから利益確定や持ち高調整売りのドル売りが出た他にも、今朝は原油先物相場が一時1バレル98ドル台まで下がっており、安全資産としての低リスク通貨の日本円のリスクとされてきた原油価格高騰による日本の貿易赤字懸念が減少し、安値圏での円買いも入り、午前中の仲値決済10時前には122円台前半の円高ドル安だった。今朝は日経株価が高止まりして一時下がった時にも一時円買いが起きていた。円安と株安が重なることは、良くない円安とされているために、円を買う動きも加わった。

ただ、今朝の東京外為市場以前の先週末の前取引日のニューヨーク市場では、米国の景気経済指数の米国雇用統計の期待でドルが買われており、大きな流れとしてドルが買われていた。結果の米雇用統計では、非農業部門雇用者数は減っていたが、米国の失業率や平均賃金が改善されてきており、米連邦準備理事会(FRB)が今後も積極的な金融引き締めの0.5%の利上げを続けるのではないかという予想が強まり、金融緩和継続の日銀が金利抑制の債権購入額を増額したこともあり、日米金利差拡大予測でのドル買いの円安要因も相変わらず根底では継続していた。

しかし、米国内ではその直後に発表された3月の米製造業景況指数(ISM)では思わしくない数値も出たことからドルを売り、ドルに続く安全資産の低リスク通貨の日本円を安値で買う動きとの複合的な相場の市場になっていた。そして、そのレンジに近い複合市場の影響は、日本市場の夕方からの今夜17時以降に時差で朝の欧州市場でも東京終値から1時間後の朝のサージの後でも続いており、18時20分になっても、122円61〜62銭で前日比2銭の僅差の横ばいに近い円高ドル安が継続していた。

日本銀行は金利抑制のための債権買い入れ額を増額しているが、日銀の考える一部の大手輸出企業の海外価格競合性による利益での日本経済にとっての「良い円安」と、輸入コストの増加による物価上昇が一般市民の生活にインフレ懸念を与える「悪い円安」に転じてきているという指摘もあり、岸田政権は「悪い円安」の物価高に対応可能な緊急経済対策を今月中にでもまとめる要望に取り組む期待が寄せられている。そのため、首相の「急激な円安は良くない」という観点から、先日に米国との円安問題の話し合いもあったことから、今後緊急経済政策が発表される可能性もあるので、投資家に過剰な円売りが今日は控えられているという専門家の指摘があった。

先週の日銀の連続指し値オペで長期金利の上昇は一時抑えられたものの、イールドカーブ・コントロール(YCC)の対象外の超長期債の利回りは上がっており、日銀は今月も国債関連のオファーを多数出しているが、超長期金利などの影響でいつまで日銀が金利抑制をコントロールできるかを疑問視する専門家もおり、海外金利や政府の対策も踏まえてレンジ市場で見守り姿勢に入る投資家もいた。

今日は円安問題で岸田首相が先日発言した「為替の安定は重要であり、急速な変動は望ましくないと考えている。引き続き、米国等の通貨当局と緊密な意思疎通を図りつつ、為替政策に適切に対応していく。」という言葉がある意味で反映された東京市場であった。

このことで、今後、欧米の利上げなどで日米欧英の金利差で円安が再加速した場合にも、政府が緊急金融政策などで為替市場の安定に介入する可能性を持たせた市場心理が伺えた。

ウクライナ情勢は長期深刻化しており、2日にウクライナ首都のキーウ(ウクライナ語でのキエフを日本政府が呼び方を「キーウ」に統一した)をウクライナ軍がロシアから奪回したが、市民への被害も大きく、戦争犯罪とも受け取れる悲惨な戦状が伝えられた他にも、ロシアからロシア通貨払いでガス代が要求されている天然ガス依存率の高い欧州ユーロ圏のエネルギー問題やインフレ懸念もある中で、今日の原油安で低リスク通貨としての円がドルに続く安全資産としてリスク回避で再び買われたことなどから、今日の東京終値の17時のユーロは135円22~24銭で前日比31銭の円高ユーロ安で、今夜18時過ぎの欧州市場では更に円高が進んだ。

同じ理由で、第一安全通貨のドルは対ユーロで続伸しており、今夜の東京終値17時に1.1027~28ドルで前日比0.25セントのドル高ユーロ安であったが、今夜の18時過ぎの欧州市場では更にドル高ユーロ安のトレンドが継続した。

今日の東西F Xニュース執筆終了時の2022年4月4日の日本時間(JST)19時34分(英国夏時間(GMT+1)11時34分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:34の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 122.66 〜 122.68 +0.03(円安)
ユーロ/円 135.03 〜 135.06 -0.50 (円高)
ユーロ/ドル 1.1007 〜 1.1009 -0.0045 (ドル高)
英ポンド/円 160.82 〜 160.88 +0.18 (円安)
スイスフラン/円 132.28 〜 132.34 -0.04 (円高)
豪ドル/円 92.06 〜 92.10 +0.39 (円安)


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