FXニュース:今夜の米連邦準備理事会(FRB)注目の米雇用統計予想でドル買い進む

2022年4月01日
FXニュース:今夜の米連邦準備理事会(FRB)注目の米雇用統計予想でドル買い進む


東西FXニュース – 2022年4月1日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 日米の金融政策の違いと金利差拡大予想での円売りドル買い円安傾向再び
  • 今朝の日銀経済指数悪化発表後に鈴木財務相と岸田首相が円安問題に言及
  • 欧州エネルギー問題リスク回避ユーロ売りドル買いに原油安で低リスク円も

今日2022年4月1日の東京外国為替市場の円相場の為替レートは、取引時間の9時から17時の高値が121円76銭で安値が122円73銭前後の値動き幅97銭ほどで、今夜17時の東京外為終値は、122円68~69銭で前日比1円5銭前後の円安ドル高であった。

主な理由は、今日は朝から日本の輸入企業の実需のドルや外貨買いによる円売りの他にも、米国で今夜発表予定の米雇用統計を控え、米連邦準備理事会(FRB)が積極的な金融引き締めを加速させるとの予想が強まっていたために、午前中の東京市場でも特にドル買い円売りが優勢であったことが大きい。

今朝は、日銀が景気経済指数の3月の全国企業短期経済観測調査を発表し、製造業の大企業の業況判断指数(DI)が+14で、コロナ禍で悪化の予想があったために予想よりは良かったが、前回からは3ポイント悪化したことも円売りに繋がった。

また、債券市場でも米長期金利が今朝からの東京市場の取引で上昇し、正午までには米長期金利が2.39%に上昇し、日米金利差拡大もドル買い円売りに通じた。

しかし、昨夜から今朝未明の欧州とニューヨーク外為市場では、米国の脱ロシア救済の原油価格安定のための米原油備蓄連日放出による原油安で、日本の輸入コストに関する貿易赤字懸念は軽減されて低リスク通貨の円が買われた他にも、ガソリン需要の高い車社会の米国でもインフレ加速が放出中に一時減速する予測から、ニューヨーク市場では米長期金利が一時低下してドル売り円買いが優勢な時間帯があったのだが、今日の東京外為時間の取引で米長期金利が上昇して相場が変動した。

そのため、昨夜から今朝未明のニューヨーク市場の後の早朝には121円台後半から始まったのが、今日の日本時間の正午には先述の円売りドル買い要因で122円台後半の円安ドル高になり、それをピークに利益確定売りや調整などが入って午後15時頃までは少し戻したが、16時を過ぎると時差で早朝の欧州市場でも再び流動性の高いドルが買われたので、再び円安ドル高の方向に進んだまま、東京17時の終値を迎えた。

今日は、鈴木俊一財務相と岸田文雄首相が午前からの参院本会議で、最近の円安問題に関して言及し、「為替の安定は重要で、急速な変動は望ましくない」と発言したことがお昼のニュースで流れ、直後に僅かながらも円が買い戻される円安是正方向への動きもあったが、昨日の黒田日銀総裁との岸田首相会談後に政府は特に何もしないとすでに伝わっていたので、円相場での反応は一時的で限られていた。

一方、ユーロは、ロシアのウクライナ侵攻長期化での脱ロシアの欧州ユーロ圏のエネルギー問題やインフレ懸念と、ウクライナ和平交渉に時間がかかることで期待値が減退しており、地政学リスク回避もあっての安全資産買いで、ユーロが売られて流動性の高いドルが買われ、ドルが高くなると原油安でリスクの下がった低リスク通貨の円も買われたので、今日の東京17時の終値ではユーロ対ドルは1.1048〜1.1050ドルで前日比1.02セント前後の大幅なドル高ユーロ安、引き続いてユーロ対円も135円54〜56銭で前日比8銭前後の円高ユーロ安であった。

昨夜の欧州市場からも、欧州ユーロ圏で依存率の高いロシア産の天然ガス供給の先行き不透明感から、欧州の景気経済への悪影響を懸念してのユーロ売りと安全資産のドル買いが優勢となっていた。そして、ドルが高くなりすぎると、原油安で低リスク通貨に復帰した円も安全通貨として買われ始めていた。

原因は、ロシアのプーチン大統領が、米欧英日などのロシアへの経済制裁に加担した「非友好国」が今後天然ガスを購入する場合には、ロシア通貨ルーブルの価値を上げるために、外貨からルーブルを買ってルーブルで支払わなければ、ガス供給を停めるという大統領令に昨日正式に署名したためである。しかし、それはロシア側からの一方的要求であり、ドイツのリントナー財務相などがユーロでの支払いを続ける意向で対立しており、特に欧州で依存率の高かったロシア産天然ガスの供給問題が先行き不透明感になった。その景気経済不安で欧州の主要株価指数も下がったので、投資家達にリスク回避姿勢が強まり、ユーロ売りで安全通貨のドルや円が買われた。

今日は、先日空間線量の上がる火災のあったチェルノブイリ原発からロシア軍が撤退したニュースもあったが、詳細が分かるまでは為替市場への影響はまだ限定的である。なぜなら、以前のロシア軍のキーフ(キエフがロシア語の発音であることから、脱ロシア支援で呼び方をウクライナ語の発音にキーフにする動きがあるので、ウクライナの首都のことである)撤退が、実は再配置だと後から米国に指摘されたことがあり、チェルノブイリ原発撤退も単に周囲の空間線量が上がって危険なのでロシア軍が別の場所に避難や移動をしただけの可能性もあるからである。

欧米市場でのドル買いの影響は他通貨にも及び、欧州連合(EU)離脱後も欧州と地理的に近く経済的な結びつきもあることなどから、インフレ懸念もあって英国ポンドもドルに対して売られていたが、英国はロシア産エネルギー依存率が低く、また昨日発表の英国の国内総生産(GDP)が上昇していたことなどから、今朝の日本市場の日本円売り外貨買いの際にはドルだけでなく英ポンドも買われたことなどから、英ポンドの対円チャートはドルと同じ形で上昇カーブと高止まりを描いており、今夜17時の東京終値では160円92〜98銭で1円2銭前後の円安ポンド高であった。

今日の円相場の東京17時の終値では、スイスフランも132円71〜77銭で前日比86銭前後の円安スイスフラン高、オーストラリアドルは輸入貿易の実需もあり、91円89〜93銭で前日比85銭前後の円安豪ドル高だった。

なお、今夜はこの後に日本時間21時半頃から、既に期待値からも対ドルの為替市場への反応が出ている米国の雇用統計や失業率や平均時給などの重要な景気経済指数が発表される予定なので、今後もニュースによる為替相場の値動きの影響には注意が必要である。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年4月1日の日本時間(JST)19時0分(英国夏時間(GMT+1)11時0分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:00の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 122.48 〜 122.49 +0.85(円安)
ユーロ/円 135.42 〜 135.44 -0.20(円高)
ユーロ/ドル 1.1055 〜 1.1057 -0.0095(ドル高)
英ポンド/円 160.80 〜 160.86 +0.90(円安)
スイスフラン/円 132.53 〜 132.59 +0.68(円安)
豪ドル/円 92.06 〜 92.10 +1.02(円安)


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