FXニュース:米原油備蓄放出の原油先物価格下落で低リスク通貨の円買い再開

2022年3月31日
FXニュース:米原油備蓄放出の原油先物価格下落で低リスク通貨の円買い再開


東西FXニュース – 2022年3月31日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 二兆円規模超えの日銀連続指し値オペ円安と岸田首相の発言の円高転換
  • ウクライナ和平期待値減退のリスク回避のドル買いの為替影響
  • 今夜発表予定の米国景気経済指数に投資家の動きが反映

今日2022年3月31日の東京外国為替市場の円相場の為替レートは、17時の終値が、121円73~75銭で前日比13銭の円高ドル安であった。東京外為取引時間の9時から17時の一日の値幅は1円11銭程で、東京前日比で円安と円高に転じる値動きもあった。

今朝未明には、昨夜からのニューヨーク市場での米国の国内総生産(GDP)の低下と米長期金利一時低下の影響でドル売り円買いの円高から始まっていたが、東京市場での午前中には期末前の日本の輸入企業の大量の円売り円安や、昨日も約2兆3000億円規模に達していた日銀の連続指し値オペなどで、午前から15時前には円安ドル高に転じる時間帯もあった。

しかし、午後には岸田首相の発言の「為替相場の急速な変動は望ましくない」という政府の意向が円買いドル売りの円高ドル安を促し、また米国の原油備蓄放出による原油価格下落に伴い、低リスク通貨の円が買われやすくなったことから、午後から夕方には円高方向に転じて、東京17時の終値を前日比の円高ドル安で迎えた。

ただし、今夜の東京市場17時の後に時差で朝の欧州市場では、ロシアとウクライナの和平交渉の難航や、ロシア軍の軍事縮小や撤退はなく再配置という戦争状態の継続から、昨日までのウクライナ和平への期待値が後退しており、再びリスクオフで流動の高いドルが買われた影響を受けて、再び円安ドル高に反転する現象も起きた。

そのため、東京終値の後の17時20分には121円93〜95銭で前日比7銭の円安ドル高に転じ、17時32分には121円86〜89銭で前日比0銭のレンジに戻ったが、17時40分には121円95〜96銭で再び円安ドル高に転じ、その後の18時12分にも122円9〜11銭で前日比23銭の円安ドル高が、時差で朝の欧州市場で進んでいた。

ユーロ対ドルも、東京終値17時では1.1148〜1.1150ドルで前日比0.20セントのドル安ユーロ高だったが、その後の欧州市場で18時までにドル高ユーロ安に転じており、18時12分には、1.1117〜1.1119ドルで、前日比0.11セントのドル高ユーロ安である。

尚、ユーロは円に対しては、東京17時の終値でも135円64〜67銭で前日比3銭の円安ユーロ高で、18時を過ぎの欧州の朝市場でも円安ユーロ高がしばらく継続していた。

理由は日欧金融政策の違いが大きく、昨夜発表の3月のドイツの消費者物価指数(CPI)が前回と予想を大きく超えており、早急なインフレ対策の必要性から欧州中央銀行(ECB)も早期の利上げ予想が高まって、日欧金利差拡大予想でユーロが買われたことが大きい。

加えて、欧中銀(ECB)理事会メンバーのオーストリア中銀総裁の発言もあり、欧中銀も金融政策の正常化を進める予想が強まって、日欧の金融政策の差でもユーロ買いが起きた。

しかし、今夜の欧州市場で19時を過ぎると、ウクライナ情勢による欧州のエネルギー・インフレ懸念などから、ドルに続く安全資産として、ドルに続いて「低リスク通貨」の円も買われ始めたので、再び円高ユーロ安に転じており、19時3分には、135円47〜50銭で前日比14銭の円高ユーロ安になっている。

英国ポンドも、東京17時の終値では159円78〜84銭で前日比22銭の円高ポンド安だったものが、その直後の欧州の朝市場では日英金利差や金融政策の違いが欧米で意識されているために、18時までに円安ポンド高に転じており、18時35分には160円1〜7銭で前日比1銭の僅差の円安ポンド高であった。それが、ユーロと同じ動きで、19時3分には朝の欧州市場で159円95銭〜160円01銭の円高ポンド安に転じている。

今夜はこの後に、米連邦準備理事会(FRB)が重視している米国の物価指標の個人消費支出(PCE)デフレーターの2月分の発表が予定されており、投資家の慎重な見守り姿勢が伺える。前回は約40年ぶりの記録的な伸びを記録したため、更に加速しているとFRBの積極的な対応を更に後押しする予測もあることから、結果によっては金融政策や為替などの値動きに影響を及ぼす可能性があるので、今後も重要な景気経済指数などのニュースには注意が必要である。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年3月31日の日本時間(JST)19時24分(英国夏時間(GMT+1)11時24分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:24の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 121.91 〜 121.93 +0.05(円安)
ユーロ/円 135.37 〜 135.38 -0.24(円高)
ユーロ/ドル 1.1102 〜 1.1104 -0.0026(ドル高)
英ポンド/円 159.98 〜 160.04 -0.02(円高)
スイスフラン/円 131.87 〜 131.93 -0.07(円高)
豪ドル/円 91.32 〜 91.36 -0.16(円高)


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