FXニュース:パウエル議長発言で日米金利差拡大予想の円安ドル高が120円台に

2022年3月22日
FXニュース:パウエル議長発言で日米金利差拡大予想の円安ドル高が120円台に


東西FXニュース – 2022年3月22日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 日米欧英の金融政策の違いで今日は全般的な円売り円安傾向の為替相場
  • ロシアのウクライナ戦争長期化でリスク回避の安全資産のドル買いも
  • 原油原料高で実需の外貨買いと貿易赤字継続予測の円売りも円安要因に

今日2022年3月22日の東京外国為替市場の対ドルの円相場は、終値17時に120円45〜46銭で、前取引日と比較しても、1円60銭の大幅な円安ドル高であった。十日連続の円安ドル高の続伸で、2016年2月以来の記録的な安値である。

主な原因は、日本時間で昨夜深夜過ぎの午前1時から今朝未明に、米国時間で21日のニューヨーク外国為替市場時間中に、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が全米企業エコノミスト協会(NABE)の会合で講演をして、「今後の米連邦公開市場委員会(FOMC)での政策金利の引き上げ幅を0.25%よりも大きくして、より積極的に動くことが適切であると判断した場合にはそうする」と語り、質問回答でも0.5%の大幅利上げの可能性も、「必要であればする」と示唆したことで、日米金利差拡大予想での円売りドル買いが強まって、円安ドル高を加速したことが大きい。

パウエル議長は、米国のインフレ抑制に重点を置き、金融引き締めに対して敏速な行動が必要があることを強調し、米景気についても、「インフレは高すぎるが、米労働市場は好調」とポジティブな見解を示したことで、日米金利差拡大予測に加えて、機敏で積極的な米金融政策と米景気への期待値が高まり、円売りドル買いの円安ドル高に拍車をかけた。

米連邦準備理事会(FRB)は、先週の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の政策金利の利上げを発表したが、米国の記録的なインフレ抑制の為に、その0.25%を一回目として今年七回と来年にも三回から四回の利上げを計画しており、今後の利上げ幅やスピードについて、世界の投資家達が注目していた。

先週は英国中央銀行(BoE)も0.75%に利上げを発表し、一時的に海外投資を集めて注目されたが、米金利が競合性を持つ期待が更に強まったので、同時刻から円だけでなく、英ポンドやユーロに対してもドルが買われ、全般的なドル高傾向になっていた。

そのニューヨーク市場の後に連休明けの東京外国為替市場が始まると、日米金利差拡大予想や日米金融政策の方向の違い、そして、原油原料の高騰で輸入大国である日本の貿易収支の赤字継続予測とインフレ懸念から、日本国内からも円売りドル買いが更に進んだ。

投資関係の他にも、今朝9時の始業から10時の東京外為の仲値決済に向けて、円安のためにより多くの決済用のドルや外貨を準備しなくてはいけなくなった日本の輸入貿易企業の実需があり、連休明けに入ったドル買い注文とまとまって、今朝10時頃に120円台の円安ドル高になった。

その後、利益確定売りもあり、一時は120円台から119円台後半に戻していたが、13時過ぎに再び120円を超える円安ドル高になった。理由は、FRBのパウエル議長とは対照的に、日銀の黒田総裁が、今日の参院予算委員会で、インフレ2%の物価安定目標には遠いとは言いながらも、粘り強い金融緩和を続ける必要があると先週に円売りされた時と同じ姿勢を貫いており、日米の金融政策の違いから、円売りとドル買いが今日も再び進み、今日の13時過ぎから再び120円台の円安ドル高に達した。

ユーロ対ドルに関しても、グリニッジ標準時(GMT)前日終値が1.10ドルであったが、ロシアが要求した全面降伏をウクライナが拒否したニュースの後のウクライナ戦争の長期深刻化の懸念と、ロシアと米欧日の関係悪化の報道もあり、バイデン米大統領の中国との交渉も成果が見られず、米欧首脳会談でも目立った解決策が出ていない市場不安から、リスク回避のユーロ売りと安全資産のドル買いが、ニューヨーク市場でも入っていたところだった。

今夜、東京外為の後に時差で朝のロンドンや欧州市場が始まると、米欧金利差のドル買いとリスクオフのユーロ売りで市場開始時にユーロ安ドル高が進んでいたが、日銀とは違って欧州中央銀行(ECB)でも早期の金融政策が期待されている為に、英国と欧州時間の朝に安値でのユーロ買いドル売りの抵抗があり、円に比べるとユーロ安ドル高の下げ幅は狭まった。

今日の東京のニュースでは、先日の福島付近の地震による火力発電所破損の影響で、東京都を含めた地域で電力供給不足懸念があり、政府から節電のお願いが出ていたが、今日の午後に萩生田経済産業相が緊急記者会見で、午後3時から午後8時に更に5%分にあたる毎時200万キロワットの節電が必要と、一層の節電協力を要請し、その後の夕方の時間帯には日本企業側からは大きな取引が控えられた印象があり、東京外為終値付近から時差で朝のロンドンと欧州市場が参入するまでは円安になったまま数時間ほど横ばいに近い状態も見られた。

その後に今夜、欧州市場での為替レートの値動きに移ってからは、欧州でもドルが買われて、さらに円安ドル高が進み、日本時間19時26分(英国時間10時26分)には、一瞬121円にも達した円安ドル高が見られた。今日のチャート画像はその瞬間のドル円である。利益確定もあり、直後には120円台後半に戻ったが、全般的な円安傾向は継続している。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年3月22日の日本時間(JST)20時1分(英国時間11時1分)付近の、クロス円を中心とした東京前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:01の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 120.86〜120.87 +2.01(円安)
ユーロ/円 133.00 〜 133.01 +1.34(円安)
ユーロ/ドル 1.1003 〜 1.1005 -0.0075(ドル高)
英ポンド/円 159.68 〜 159.74 +2.38(円安)
スイスフラン/円 129.23 〜 129.29 +1.27(円安)
豪ドル/円 89.74 〜 89.78 +1.35(円安)

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