FX週刊ニュース(8月1週)|米ドル/円:米景気減速懸念で円買いの動き強まる。ついに円安終了か?

2022年8月01日
FX週刊ニュース(8月1週)|米ドル/円:米景気減速懸念で円買いの動き強まる。ついに円安終了か?

東西FX週刊ニュース – 2022年8月1日

高田 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米ドル/円:米景気減速懸念で円買いの動き強まる。ついに円安終了か?
  • ユーロ/米ドル :ユーロ、対ドルで下落が続いた1週間。長引くロシアと欧州とのエネルギー問題。
  • 英ポンド/米ドル:様々な問題を抱える英国経済。今後のインフレ政策は一体どうなる?
  • 豪ドル/米ドル:米ドル安豪高の傾向が続くオーストラリア市場。来週発表のオーストラリアの政策金利の影響は?
  • バイデン政権石油2,000万バレルを放出。ガソリン価格の今後の行く末は?
  • 大きな値動きが続く金相場。金は今安産資産として買うべきなのか?

  • 米ドル/円:米景気減速懸念で円買いの動き強まる。ついに円安終了か?

今週米ドル/円相場に大きな動きがあった。長い間続いたドル高円安傾向が一旦収まり、円を買う傾向が久しぶりに大きくなった1週間であった。

週明けの25日から、東京外国為替市場では、アメリカの景気減速への懸念からドルを売って円を買う動きが強まり、円相場は1円以上大きく値上がりした。

先週末に発表された企業の購買担当者の景況感を示す経済指標が市場予想を下回ったことで、景気減速への懸念が広がったことが25日の相場に影響を与え、加えてアメリカの長期金利も低下したことで、日米の金利差の縮小も意識され、ドルを売って円を買う動きが強まった。

翌日26日は若干持ち直し、午後5時現在1ドル=136円65銭〜前後で取引が行われ、27日は、若干前日より円安が進み午後5時現在1ドル=136円98円〜前後で取引を終えた。

28日は、1ドル=135円台半ばで推移したが、アメリカでGPD=国内総生産の伸び率が2期連続のマイナスとなったことで景気後退への警戒感が強まり、ドルを売って円を買う動きが加速した結果、29日の東京外国為替市場でもドル売り・円買いの動きがすすみ、一時、およそ1カ月半ぶりに1ドル=132円台をつけた。市場関係者は「GDPのマイナスを受けてアメリカの長期金利が低下し、日米の金利差の縮小が意識された」としている。

今週は米ドル/円相場が大きく動き、円安が終了したという声もある一方、再度円高が進むという意見もあり、今週の相場の動きにはさらに目が離せない。

  • ユーロ/米ドル:ユーロ、対ドルで下落が続いた1週間。長引くロシアと欧州とのエネルギー問題。

25日、ロンドン外国為替市場でユーロは対ドルで下落し、一時1ユーロ=1.20ドル〜前後になり、前週末と比べて若干のユーロ安・ドル高で推移した。このような動きになった背景として、長引くロシアと欧州とのエネルギー問題が影響をしている。

ロシア国営ガスは25日、ロシアとドイツをつなぐ天然ガスの主要パイプライン「ノルドストリーム」のタービンを停止し、ガス流量を減少させるメンテナンスに着手すると発表し、ガスの流量が減ることが今回の最大の問題である。また、ドイツが発表した独企業景況感指数が88.6と前月から低下し、市場予想も下回ったことも、ユーロ売りに拍車をかけたものと思われる。翌日26日も同様の理由で、ロンドン外国為替市場でユーロは対ドルで下落し、一時1ユーロ=1.0130ドル~前後と、前日よりもさらにユーロ安・ドル高で推移した。

また同日に、欧州連合(EU)が、来月より2023年3月まで天然ガス消費を過去5年平均に比べ15%減らすことで合意したことも原因の一つであると考えられている。

27日もロンドン外国為替市場でユーロは対ドルで下落した。最終日、29日はユーロ圏の4~6月期実質域内総生産(GDP)速報値が前期比0.7%増と、市場予想(0.2%増)を上回ったことでユーロ圏景気への過度な警戒感が和らぎ、ユーロ買い・ドル売りが優勢となり今週の取引を終えた。

天然ガス供給不足による欧州経済の悪化懸念がユーロ相場の問題となっており、今後の欧州経済回復の鍵は欧州とロシアとのエネルギー問題の早期解決であることは間違いない。

  • 英ポンド/米ドル:様々な問題を抱える英国経済。今後のインフレ政策は一体どうなる?

25日、英産業連盟(CBI)は産業動向調査を発表。7月までの3カ月間の英製造業生産の伸びは、1年超ぶりの遅いペースとなった。一方、インフレなどの問題が緩和されている一時的な兆候も示されて、1ポンド=1.204〜前後で取引を終えた。

26日、英ポンドは対ドルで上昇し、1ポンド=1.200ドル前後と前日より若干であるがポンド高・ドル安で推移した。ロシアからの天然ガス供給削減への懸念がユーロ売り・ドル買いにつながった一方、英ポンドには大きな影響はなかった。

27日には、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が会見。「金融政策のスタンスがさらに引き締まるにつれ、利上げペースを緩めていくことが適切となる」と利上げペースの鈍化について言及。結果、米金利の低下で、欧米金利差の縮小を意識したポンド買い・ドル売りが優勢となり、1ポンド=1.2170ドル~前後で推移をした。

今週1週間、英ポンドが対ドルで相場は若干の下落気味であった。エネルギー問題に加え、物価高と景気後退が同時に進む「スタグフレーション」への懸念、そして英国内の政治混乱もポンド相場の重荷となっており、英国経済は大きな問題を抱え続けている。さらにインフレ政策でも国内で様々な意見が出ている。ジョンソン首相の後任選びで、インフレ対応に関する政策でトラス外相が有利になれば、さらに市場に混乱がもたらされると不安視をしている専門家も一定数いる。

  • 豪ドル/米ドル:米ドル安豪高の傾向が続くオーストラリア市場。来週発表のオーストラリアの政策金利の影響は?

今週、豪ドル/米ドル相場は、若干米ドル安、豪高の傾向が見られた1週間であった。

連邦準備制度理事会の利上げに続く国内のインフレ率と米国の GDP の結果が豪ドル/米ドル相場に影響を与えた形である。

25日のシドニー市場では一時平均1米ドル=0.7豪ドル前後で推移をし取引が始まった。27日には、オーストラリア4-6月期消費者物価指数(CPI)が発表、前年比+4.9%と、インフレ率は前期(+3.7%)から急伸し、そのままそのインフレ率が影響をし、28日シドニー外国為替市場のドル相場は平均1米ドル=0.699豪ドル前後で推移した。

国際通貨基金 (IMF) や世界的な格付け大手のムーディーズなどの著名な機関は、今後のオーストラリア国内の景気後退に対する若干の懸念を表明しており、長期的な視線ではあるが豪ドル/米ドルの相場に大きな動きが見られる可能性は非常に高い。さらに、連邦準備制度理事会への懸念もこの見積もりに重くのしかかっている。また、来週はオーストラリアの政策金利が発表され、どちらも0.5%の利上げが予想されている。これがオーストラリア経済にどのように影響を与えるのかが来週のポイントになりそうだ。また米7月雇用統計の発表もあり、専門家の間では25万人と予想されている。これらいくつかの発表がオーストラリア経済に与える影響はどうなるのか。来週も政策前後の相場には注意が必要だ。

  • バイデン政権石油2,000万バレルを放出。ガソリン価格の今後の行く末は?

今週26日米国エネルギー省は石油戦略備蓄(SPR)から最大2,000万バレルの追加売却を行うことを発表した。

2022年3月に発表した、石油戦略備蓄から半年間で1億8,000万バレルを放出する計画を予定通り実施した形である。市場への売却は、合計約1億5,000万バレルに達しており、予定量の8割を超えてきており、専門家のペースよりもかなり早くなっている。

今回の売却入札は8月2日から開始され、最長8月11日まで行われる。入札者には、9月16日から10月21日までの期間に合計で最大2,000万バレルの原油が供給されるとしている。

米WTI原油先物価格は、世界的な景気後退(リセッション)への懸念などを背景に、6月ピーク時の1バレル120ドルから、7月半ばには100ドルを切る水準まで大きく下落している。

結果的に、ガソリンの全米平均小売価格も6月ピーク時の1バレル5ドル超から、7月26日には4.33ドルまで下落した。もちろん日本国内のガソリン相場にも影響を与えている。

これらの傾向に、ジョー・バイデン大統領は「下落しているが、十分ではない」と発言し、11月の中間選挙を前に一つのアピールポイントとして、ガソリン高対策にさらに取り組む姿勢を今回の追加売却発表により示した形だ。

今回の放出により、米国のSPRの総在庫量は約4億8,000万バレルと37年ぶりの低水準まで減少している。これに対しては、バイデン政権は2023年度以降にSPR積み増しのために原油を買い戻す措置をすでに発表しており、今後も引き続きガソリン価格を引き下げるための追加売却など対応を継続することができるとしている。

ガソリン価格が下落し始める中、追加売却が本当にできるのかという懸念そしてどこまでこうした対応を続けるか、11月の中間選挙後のアメリカの石油戦略が世界のエネルギー自助に影響を与えることは間違いなく、今後の政府の対応が注目される。

  • 大きな値動きが続く金相場。金は今安産資産として買うべきなのか?

今年に入って金相場の値動きが著しい。ウクライナロシア問題を発端とする、世界情勢の不安から多くの投資家は金という安全資産の投資に多く流れた。最低値と最高値を比べた際に、3月に、過去最高値付近の2000ドル/oz超えの価格にまで上昇した金は、7月末の執筆時点では約1750ドル/oz付近と合計250/ozの差近く値動きをしている。米国の中央銀行(FRB)は2022年7月までに0.5%の利上げを3回行ない、これからは景気減速を織り込み、上がりすぎた長期金利の修正が起きる可能性は非常に高いと専門家は考えており、当分の間はアメリカ始めとした世界の経済大国で経済成長の低迷や金融市場の混乱など、ネガティブな相場が続きそうだ。

そういった中で金がさらに安全資産として価値が上がる可能性があるとあると多くの専門家は考えており、経済問題が長期化するいま、今後は短期的ではなくより長期的に金相場に着目していく必要があるのかもしれない。

今週の経済指標カレンダー
時間経済指標(イベント)通貨重要度
月曜日 – 2022年8月1日
1日中スイス – 建国記念日祝日
1日中カナダ – 市民の日祝日
07:30AIG 製造業指数 (7月)AUD
07:45建築許可件数 (前月比) (6月)NZD
10:45Caixin(財新)製造業購買者担当者指数 (7月)CNY
15:00小売売上高 (前月比) (6月)EUR
16:00ネーションワイド住宅価格指数 (前月比)GBP
16:15製造業PMI (7月)EUR
16:45イタリア製造業購買管理者指数 (7月)EUR
16:50製造業購買担当者景気指数 (7月)EUR
16:55製造業購買部協会景気指数 (7月)EUR
17:00製造業購買担当者景気指数 (7月)EUR
17:30製造業購買部協会景気指数 (7月)GBP
18:00失業率 (6月)EUR
22:45製造業購買管理者指数 (7月)USD
23:00ISM製造業雇用指数 (7月)USD
23:00ISM製造業購買担当者景気指数 (7月)USD
火曜日 – 2022年8月2日
10:30建築許可件数 (前月比) (6月)AUD
12:3510年物日本国債入札JPY
13:30政策金利発表 (8月)AUD
13:30RBA政策金利声明AUD
15:00ネーションワイド住宅価格指数 (前月比) (7月)GBP
15:00全国的住宅価格指数 (前年比) (7月)GBP
16:00SECO消費者信頼感指数 (Q3)CHF
16:30procure.ch PMI (7月)CHF
17:00スペイン失業変化EUR
23:00JOLT求職 (6月)USD
水曜日 – 2022年8月3日
00:00世界乳製品取引価格指数NZD
05:30米国石油協会 週間原油在庫USD
07:45連邦公開市場委員会メンバー、ダドリー発言するUSD
07:45雇用者数 (前期比) (Q2)NZD
07:45失業率 (Q2)NZD
09:30Nikkeiサービス業PMI (7月)JPY
10:45中国Caixin(財新)サービス業PMI (7月)CNY
15:00貿易収支 (6月)EUR
15:30消費者物価指数 (前月比) (7月)CHF
16:15サービス業PMI (7月)EUR
16:45イタリアサービス業購買管理者指数 (7月)EUR
16:50サービス業購買担当者景気指数 (7月)EUR
16:55サービス業購買部協会景気指数 (7月)EUR
17:00マーケット総合PMI (7月)EUR
17:00サービス業購買部協会景気指数 (7月)EUR
17:30総合PMI (7月)GBP
17:30サービス業購買部協会景気指数 (7月)GBP
18:00小売売上高 (前月比) (6月)EUR
19:00OPEC会議USD
22:45マーケット総合PMI (7月)USD
22:45サービス業購買部協会景気指数 (7月)USD
23:00製造業新規受注 (前月比) (6月)USD
23:00ISM非製造業雇用指数 (7月)USD
23:00ISM非製造業指数 (7月)USD
23:30原油在庫量USD
23:30クッシング原油在庫USD
木曜日 – 2022年8月4日
10:30貿易収支 (6月)AUD
15:00製造業新規受注 (前月比) (6月)EUR
16:30IHS マークイット 建設業購買部協会景気指数 (7月)EUR
17:00欧州中央銀行(ECB)経済報告EUR
17:30建設業購買担当者景気指数 (7月)GBP
19:0010年物スペイン国債入札EUR
20:00金融政策委員会議決削減 (8月)GBP
20:00金融政策委員会議決ハイク (8月)GBP
20:00金融政策委員会 (8月)GBP
20:00政策金利発表 (8月)GBP
20:30BOEベイリー総裁発言GBP
21:30輸出USD
21:30輸入USD
21:30失業保険申請件数USD
21:30貿易収支 (6月)USD
21:30建築許可件数 (前月比) (6月)CAD
21:30貿易収支 (6月)CAD
金曜日 – 2022年8月5日
01:00FOMCメンバー、メスター談話USD
08:30家計調査・消費支出 (前年比) (6月)JPY
08:30消費支出 (前月比) (6月)JPY
10:30RBA金融政策発表AUD
10:30RBA金融政策発表AUD
15:00Halifax住宅価格指数 (前月比) (7月)GBP
15:00ハリファックス社価格指数 (前年比)GBP
15:00鉱工業生産 (前月比) (6月)EUR
15:45非農業部門雇用者数 (前期比) (Q2)EUR
20:15BoEのMPCピル委員発言GBP
21:30平均時給 (前月比) (7月)USD
21:30平均時給(前年比) (前年比) (7月)USD
21:30非農業部門雇用者数 (7月)USD
21:30行動者率 (7月)USD
21:30非農業部門民間雇用者数 (7月)USD
21:30失業率 (7月)USD
21:30雇用者数 (7月)CAD
21:30失業率 (7月)CAD
23:00Ivey購買部協会指数 (7月)CAD
土曜日 – 2022年8月6日
02:00ベーカー・ヒューズ社のリグ・カウントUSD
02:00ベーカー・ヒューズ社のリグ・カウントUSD
02:00ベーカーヒューズ社発表の米石油採掘リグ稼働数USD
04:30米国商品先物取引委員会 英ポンド
投機的ネットポジション
GBP
04:30CFTC原油の投機的なネットポジションUSD
04:30米国商品先物取引委員会 金
投機的ネットポジション
USD
04:30米国商品先物取引委員会 Nasdaq 100
投機的ネットポジション
USD
04:30米国商品先物取引委員会 S&P500
投機的ネットポジション
USD
04:30米国商品先物取引委員会 豪ドル
投機的ネットポジション
AUD
04:30米国商品先物取引委員会 円
投機的ネットポジション
JPY
04:30米国商品先物取引委員会 ユーロ
投機的ネットポジション
EUR


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