FXニュース:日米欧金融政策の方向性
2025年12月02日
東西FXニュース – 2025年12月02日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- ドル円一時154円台記録
- 米製造業PMIは上方修正
- 米ISM製造業予想届かず
- 日経平均株価先物の反発
- 米10年債利回り一時4.1%
- 日10年債利回り1.880%
- 日財務相も日銀手法支持
- 日銀「利上げ後も緩和的」
今日2025年12月2日火曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の155円46銭付近から、円の安値でドルの高値の155円84銭付近の値幅約38銭で、本日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は155円78銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の155円37銭付近の前東京終値比で約41銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と市場時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場でも、昨日の日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の植田和男総裁のタカ派発言を受けた次回12月18〜19日の日銀金融政策決定会合における早期利上げ予想による円買いドル売りが進み、昨夜21時59分頃には対ドル円相場は一時154円77銭付近と、先月11月17日以来の154円台に円相場が上昇していた。
来週12月9〜10日の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) では米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の米国利下げ予想が優勢であった影響もあって、時差先行の欧州英国市場の後半にあたる昨夜22時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場の始値も一時154円79銭付近と154円台で、昨夜22時44分に対ドル円相場は一時154円67銭付近と、昨夜の米国市場における円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、先週の米国感謝祭のホリデー明けの月初めの米国市場では、現地ドル需要が回復しており、市場安値後のドルの買い戻しが入り始めた。
また、米国債券市場では、英国債券売りの影響などを受けた米国債売りによる利回り上昇が波及し、前週に英国政府のキア・スターマー政権のレイチェル・・リーブス財務相が英国秋季予算案を発表した際に、説明用に同時に発表する予定だったその予算案に基づく英国経済と財政の見通しを英国予算責任局 (OBR / Office for Budget Responsibility) が「技術的なミス」により予定よりも早くリークしてしまい、英国債券市場などに一時的混乱を起こした問題の責任を取ってリチャード・ヒューズOBR局長が昨日辞表を提出したニュースなどが市場で話題になり、英国野党による同予算案への批判の継続などもあって政治や財政への警戒感が燻ったことなどから英国国債が売られ、日本政府の高市早苗政権の拡張された予算案による財政警戒感もあって日本の国債にも売りが入っていたが、昨日の日銀の早期利上げ予想の上昇を受けた利回り上昇圧があった後に、欧英国債や米国債にも売りが波及していた。
米国ニューヨーク債券市場では、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利の上昇がより顕著になり、昨夜23時44分頃には一時4.089%付近に上昇しており、債券利回りの金利差トレードを受けたドルの買い戻しが入っていた、昨夜23時45分には、米国景気関連の最新米国経済指標の発表があり、11月米国製造業購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers Index) 改定値が、以前の速報値の51.9を上回る52.2に上方修正されていたことも、世界的な安全資産の米国債売りに影響を与え、昨夜23時50分頃に米国長期金利は一時4.097%付近に上昇した。
続いて、深夜24時に発表された最新米国重要経済指標の11月米国ISM (Institute for Supply Management / 米国サプライマネジメント協会 / 全米供給管理協会) 製造業景況指数は、前回の48.7と市場予想の49.0に対し48.2と、前回と市場予想に届かず、9カ月連続で好景気と不景気を分ける景気ボーダーライン (Borderline / 境界線) の50以下となり、個別項目で新規受注や雇用が低下したことを受けては、マイナス圏から始まったものの一時反発していた米国主要株価三指数が一時反落し、株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) で低リスク通貨の円や安全資産の米国債が買い戻されたことは、やや抵抗になった。
ただし、米国債券市場では米国債売りの影響が続いていたことでは債券利回りの金利差トレードの円売りドル買いも抵抗となり、月初めのロンドン・フィキシングに向けた主要取引通貨のドル買い需要もあった影響では、ドルは円相場で155円台に買い戻されていた。
昨日の日本市場時間には、日銀の早期利上げ予想を受けて大幅な下落を見せていた日経平均株価の先物に、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) と米国S&P500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) が揃って下落していたこともあって買い戻しが入って反発した株価影響もあり、世界的な安全資産としても米国債売りが入った影響などもあった。
米国債券市場では、午前2時1分頃に米国長期金利は一時4.100%付近と4.1%台に乗せ始めた上昇を見せ、午前2 時49分頃には一時4.101%付近に上昇し、米国主要株価三指数にも株の買い戻しが入り下げ幅を縮小していた午前4時台にも一時4.1%付近で高止まりしていたことから、米国長期金利上昇時の債券利回りの金利差トレードのドル買い影響では、午前4時10分頃から4時19分頃までドルは円相場で一時155円52銭付近の高止まりを見せ、昨夜から今朝までの米国市場における円の安値でドルの高値を記録した。
午前5時48分頃にも、米国長期金利は一時4.101%付近に向けて再上昇するなど高止まりしていたため、午前5時41〜42分頃にかけてドルも円相場で一時155円52銭付近と米国市場における円の安値でドルの高値を再記録したが、今月の米国利下げ予想に対して日銀の早期利上げ予想が浮上し、欧州金利据え置き予想の影響もあって、日米欧の金融政策の方向性の違いが意識されていたことでは、ドルは円相場で二度目の高値を上抜けしなかったことから、テクニカル分析的なダブルトップ (Double Top) からの反落に転じた。
また、先日に米国ブルームバーグ通信 (Bloomberg) が、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の次期議長候補に、アメリカ合衆国国家経済会議(NEC / National Economic Council) のケビン・ハセット委員長が最有力候補とみられていると、事情に詳しい複数の関係者筋情報話として報じていたことが話題になったが、その後に米国政府のドナルド・トランプ大統領も次期FRB議長候補が米国利下げに動くとの見通しを示し、「誰を選ぶか分かっている」と発言しており、自身では名前は「今後、正式に発表することになる」と伏せていたものの、観測報道を否定しなかったことなどもあり、来年5月のジェローム・パウエル議長の任期満了後のFRBがハト派に傾くことへの警戒感も為替市場で燻っていた。
米国政府のドナルド・トランプ大統領の依頼を受けて次期FRB議長の選考プロセスを担当しているスコット・ベッセント財務長官は、先日に、「ドナルド・トランプ大統領は、12月25日のクリスマス前に次期FRB議長の候補者を発表する可能性がある」とも話したが、次期FRB議長の候補達にはこのケビン・ハセットNEC委員長の他にも、これまでFRBのクリストファー・ウォラー理事とミシェル・ボウマン副議長やケビン・ウォーシュ元FRB理事とブラックロック幹部のリック・リーダー氏などが挙がっていたが、今回の最有力候補の報道を受けたケビン・ハセットNEC委員長が、「次期FRB議長に指名されれば、はいと答えるだろう』と発言した続報などもあり、米国大統領による選考後にも米国議会などの承認が必要になる見通しではあるが、ハト派の次期FRB議長候補が中心で日米欧の金融政策の方向性の違いが意識されていた。
このため、昨夜22時頃から今朝7時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場の値動きは、円の高値でドルの安値の154円67銭付近から、円の安値でドルの高値の155円52銭付近の値幅約85銭で、今朝7時頃のニューヨーク終値は155円46銭付近と、前営業日同時刻の156円18銭付近の前ニューヨーク終値比で約72銭の円高ドル安をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場では、今朝7時49分頃にドルは円相場で一時155円43銭付近に下げたが、世界的な主要取引通貨のドルの円相場での買い戻しが入り始めたことでは、今朝8時57〜58分頃にはドルは円相場で一時155円58銭付近に反発上昇を始めていたため、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時155円56銭付近であった。
国内債券市場では、日本政府の高市早苗政権の財政拡張に伴う債券発行への警戒感や日銀の早期利上げ予想を受けて昨日にも上昇していた新発10年物の日本国債の利回りが指標となる国内長期金利が、今朝は2008年6月以来の高利回りとなる一時1.880%付近に向けて上昇したため、債券利回りの金利差トレードの円買いも入った時間があった影響では、今朝9時3〜4分頃にドルは円相場で一時155円46銭付近に下押しし、今日の日本市場における円の高値でドルの安値をつけた。
また、昨日の日本政府の木原誠二官房長官の発言に続き、今朝は片山さつき財務相も、金融政策についての「具体的な手法は日銀に委ねられるべきだというのが原則で、私もその様に考えている」と支持する姿勢を見せていた。
しかし、日本市場では、昨日の日銀の植田和男総裁の発言後にも、「利上げ後も緩和的」という市場予想が優勢であったことでは、今月の利上げ後の連続での追加利上げは難しいのではないかという穏やかな金利上昇予想が優勢であったことは、主要通貨に対する円の上値を抑えており、高値後の円の利益確定売りや持ち高調整の一因となっていた。
今朝までの米国市場で記録したドルの円相場での安値を下抜けしない底堅さを見せたことでは持ち高調整もあってドルは円相場で反発し、また先週は一時156円台だったドルが円相場で昨夜には一時154円台を記録したという報道を受けた日本企業の輸入実需や準備金などの円売りドル買い注文が入ったことなどもあり、その後のドルは円相場で155円台で反発上昇を続けた。
今朝10時頃から米国スタンフォード大学の講演で次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のの米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) 高官達の中でも市場への影響力が強いジェローム・パウエル議長の要人発言があったが、来週12月9〜10日に次のFOMCを控えるため、実質的には金融政策に関する発言を自粛するブラックアウト (Blackout) 期間に入っていたことから、今回は米国経済や金融政策には言及しなかった。
一方、今朝の東京株式市場では、ナイトセッションの先物から買い戻しが入っていた今日の日経平均株価がプラス圏から始まって上昇した株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) の国内第一安全資産の低リスク通貨の円売りも為替相場に影響を及ぼしており、今朝10時台に前日比で一時333円51銭高付近にまで上昇したため、今朝10時13〜14分頃にドルは円相場で一時155円78銭付近と155円台後半に上昇し、前東京終値比で円安ドル高に転じていた。
今朝の午前の部で今日の市場高値を記録後の日経平均株価には利益確定や持ち高調整の抵抗も入り上昇幅を縮小したことは抵抗となり、昼の13時8分頃には低リスク通貨の円に買い戻しが混ざったことではドルは円相場で一時155円55銭付近に下押ししたが、今朝は一時1.880%付近に上昇後の新発10年物の日本国債の利回りが指標となる国内長期金利も財務省の10年利付国債入札が高利回りにより市場予想よりも堅調に終わったことを受けては日本国債価格上昇時の利回り低下が起き、債券利回りの金利差トレードの円売りも入ったことでは、午後15時30分に今日の日経平均株価は上昇幅を縮小しつつも4万9303円45銭の終値をつけ、前日比17銭高の小幅高で大引けしたことでは低リスク通貨の円買い要因は弱く、時間外の米国債券取引で今朝には一時4.086%付近まで反落していた米国長期金利が一時4.09%台に反発上昇した影響などもあり、ドルは円相場で再び上昇を始めた。
夕方からの欧州市場の参入後の午後16時台には米国長期金利は一時4.092%付近に再上昇したため、午後16時24分頃と16時35〜36分頃にドルは円相場で一時155円84銭付近と、今日の日本市場における円の安値でドルの高値を記録したほか、今夜17時頃からの英国ロンドン外国為替市場の参入後には、再び一時4.1%台に向け始めたことでは、今夜その後のドルは円相場で一時156円台にも向けている。
このため、今日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は155円78銭付近で、昨日17時の155円37銭付近の前東京終値比では約41銭の円安ドル高になっていた。
今夜この後の米国市場では、特に注目度が高い最新米国経済指標の発表予定などはなく、来週12月9〜10日の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) を控えて米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の高官達も金融政策に関する発言を自粛するブラックアウト期間に入っているが、世界の株式市場と債券市場と金や原油先物などを含むコモディティ (商品先物) 市場などの為替相場への影響や、中東やウクライナ情勢などの世界情勢に加えて、世界政治経済のニュースや要人発言などのファンダメンタルズニュース分析は、最新経済指標データやテクニカル分析と共に世界のFXトレーダー達の値動き予想材料となっている。
一方、欧州ユーロは、今日17時の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は180円94銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の180円32銭付近の前東京終値比で約62銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、昨日には日銀の植田和男総裁のタカ派発言を受けた早期利上げ観測報道の影響により、ドルだけでなく欧州ユーロや英国ポンドなどの主要通貨に対しても円買いが入っていたが、欧州金利据え置き継続予想に対して日銀には今月の早期利上げ後の連続利上げ予想は意識されていなかったことから、高値後の円の利益確定や持ち高調整の買い戻しが入り、今日の日経平均株価が小幅高で大引けしたことでも低リスク通貨の円買い需要が弱くなり、前東京終値比で欧州ユーロや英国ポンドが円相場で買い戻されて反発した。
そのため、英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は205円88銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の205円35銭付近の前東京終値比では約53銭の円安ポンド高になった。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.1614ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.1606ドル付近の前東京終値比では約0.08セントのユーロ高ドル安であった。
主な要因は、次回12月18日の欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会では欧州金利据え置き予想が市場で優勢であることに対し、来週12月9〜10日の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) では米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の米国小幅利下げ予想が優勢さを保っており、今日の夕方にも米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) グループのフェドウオッチ (FewWatch) ツールで一時87.2%付近と、市場で確定値と考えられている70%を超える欧米金利差予想がユーロドルの為替相場に影響を及ぼしていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025月12月2日の日本時間(JST / Japan Standard Time) の21時27分(チャート画像の時間帯は英国冬時間 (GMT / Greenwich Mean Time / JST-9) の英国ロンドン外国為替市場時間の12時27分頃) の人気のクロス円を中心とした為替レートは下表の通りである。なお、米国市場も2025年11月2日から米国冬時間 (EST / Eastern Standard Time / GMT-5 / JST-14) になっており、欧米のサマータイム終了後の日本時間との時差調整があったことには注意が必要である。
| 通貨ペア | JST 21:27の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00前東京終値比 |
| ドル/円 | 155.96 〜 155.97 | +0.60 (円安) |
| ユーロ/円 | 181.13 〜 181.15 | +0.83 (円安) |
| ユーロ/ドル | 1.1613 〜 1.1615 | +0.0009 (ドル安) |
| 英ポンド/円 | 205.98 〜 206.04 | +0.69 (円安) |
| スイスフラン/円 | 193.86 〜 193.92 | +0.58 (円安) |
| 豪ドル/円 | 102.17 〜 102.21 | +0.46 (円安) |
注意:
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