FXニュース:米長期金利上昇4.3%台
2025年9月03日
東西FXニュース – 2025年09月03日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米欧英財政懸念国債売り
- 自民党総裁選前倒し観測
- 米国ISM製造業予想以下
- 米トランプ関税最高裁へ
- 日銀総裁石破首相と会談
- 日銀植田総裁利上げ言及
- 金利警戒で日米株価下落
今日2025年9月3日水曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の148円49銭付近から、円の安値でドルの高値の149円14銭付近の値幅約65銭で、本日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は148円71銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の148円62銭付近の前東京終値比で約9銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、昨日の日本市場の日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の氷見野良三副総裁の発言を受けた円売りに続き、自民党の森山裕幹事長と小野寺五典政調会長と鈴木俊一総務会長と木原誠二選挙対策委員長の4名が辞意を表明し、「進退を石破茂首相に一任」し、石破茂首相は「来るべき時に決断する」までは改めて続役の意を表明し、「森山裕幹事長も続投させて、政策課題に対処するのが責任」としたが、総裁選挙管理委員会が総裁選の前倒しを要求する議員に9月8日の文書提出を求めたことに対し、昨夜に毎日新聞などが「自民党の麻生太郎最高顧問が総裁選の前倒しを求める意向を表明することが分かった」と報じるなど日本の政治懸念による円売りが燻っていた。
また、昨日の日本国債入札を受けた日本国債買いで債券価格上昇時の利回り低下が起きていた新発10年物の日本国債利回りが指標となる国内長期金利低下に対し、先日8月29日に米国連邦巡回区控訴裁判所が米国政府のドナルド・トランプ大統領の国際緊急経済権限法 (IEEPA / International Emergency Economic Powers Act) 適用の上乗せ関税は大統領の権限を越えた違法行為とした米国際貿易裁判所の判断を支持した件についての米国財政懸念などもあり、これに対してドナルド・トランプ大統領は最高裁に上告する予定と報じられたが、先日に欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) のクリスティーヌ・ラガルド総裁が米国政治圧による米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の独立性への警戒感を示していたことなども意識され、米国債売りの影響による米国債券価格低下時の利回り上昇が続き、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は昨夜17時7分頃に一時4.281%付近に上昇したため、債券利回りの日米金利差拡大による円売りドル買いにより昨夜17時7分頃のドルは円相場で一時148円80銭付近に上昇した。
また、昨夜には英国ロンドン外国為替市場でも、英国財政懸念を受けた英国債売りにより英国債利回りが急騰したことから警戒感による英国ポンド売りで世界的に流動性が高いドル買いが入り、英国ポンドがドルに対して一時急落した外貨影響も対ドル円相場に波及していた。
ただし、昨夕に欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) のイザベル・シュナーベル専務理事が、「欧州インフレ率はなお予想を上回る可能性がある」と警戒感を示し、「これ以上の欧州利下げをする理由は見当たらない」と発言した後の昨夜18時の8月欧州消費者物価指数 (HICP / Harmonised Index of Consumer Prices) 速報値が市場予想を上振れし、次回の欧州金利据え置き予想が上昇したことでは、9月8日の仏国民議会下院の内閣信任投票実施を控えている欧州ユーロ圏のフランスの政治懸念の中でも欧州ユーロの買い戻しの抵抗の影響が対ドル円相場に波及し、昨夜21時頃から時差で始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時148円62銭付近の始値となっていた。
米国市場でも前述の米国債売りの影響は続き、米国債券価格低下に伴う利回り上昇により、昨夜21時20分頃から米国長期金利は一時4.300%を超えており、昨夜21時32分頃には一時4.307%付近と更に上昇し、昨夜21時56分頃までは米国長期金利は一時4.3%台の高止まりを見せていたことから、債券利回りの日米金利差拡大時の金利差トレードの影響で、昨夜21時51分頃にドルは円相場で一時148円94銭付近に上昇し、昨夜の米国市場における円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、昨夜22時30分頃から始まった米国ニューヨーク株式市場では、先行していた欧州株式市場でフランスの政治懸念に続き、9月再開の英国議会でも財政懸念や増税警戒などが起き、欧州主要株価指数の独DAX (Deutscher Aktien-index) が大幅安になったほか、英国主要株価指数の英FTSE100 (Financial Times Stock Exchange 100 Index) も安値の終値に向けていた影響に加えて、米国長期金利上昇を受けた金利警戒感が起き、米国政治圧が米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の議長や高官達だけでなく米国最高裁の裁判官などにも及ぶことへの市場警戒感などの米国売りも燻り、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) と米国S&P500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) が揃って下落したため、欧米株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) では安全資産の米国債の買い戻しと低リスク通貨の円買いが入り始めたことでは、米国ニューヨーク債券市場では米国長期金利は上昇幅を縮小し、市場高値後のドルも円相場で上昇幅を縮小し始めた。
また、米国市場では最新米国経済指標の発表が始まり、昨夜22時45分の8月米国製造業購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) 改定値が前回速報値と市場予想の53.3を下回る53.0に下方修正されたほか、続いて発表された今夜23時の最新米国重要景気指標の8月米国ISM (Institute for Supply Management / 全米サプライマネジメント協会) 製造業景況指数も前回の48.0と市場予想の49.0を下回る48.7と市場予想以下であったことを受けた米国景気懸念のドル売りが起き、安全資産の米国債の買い戻しに伴う債券価格反発時の利回り反落により昨夜23時21分頃には米国長期金利も一時4.268%付近に反落したことから、債券利回りの日米金利差縮小時の円買いドル売りも入り、昨夜23時25分頃にドルは円相場で一時147円94銭付近に反落し、昨夜の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
とはいえ、8月米国ISM (Institute for Supply Management / 全米サプライマネジメント協会) 製造業景況指数は、市場予想以下ではあったものの前回よりも改善されており、個別項目では新規受注が上昇していたことなどから、米国株式市場では株の買い戻しが入り始めたことでは一時の下落幅を縮小したことで、市場高値後の低リスク通貨の円の利益確定売りや持ち高調整のドルの買い戻しが一時147円台からは入りやすくなり、ドルは円相場で反発して148円台を回復し、午前3時58分頃には一時148円53銭付近に再上昇した。
米国追加関税差し止めの可能性による米国財政懸念に対しても、米国政府のドナルド・トランプ大統領が、「連邦高裁の判断がそのまま維持されれば、我が国にとって壊滅的なものになる」と述べた上で、「明日 (9月3日) にでも最高裁に上告する。迅速な判断を求めるつもりだ」と公式に発言したほか、他にも合法的な関税導入手段が複数残されていることを示唆し、国家安全保障上の脅威とみなされる輸入品の規制を認める通商拡大法第232条に基づいて半導体や医薬品などに関税を課す方法や、米国の権利を侵害する行為に対抗する通商法301条を基に米国通商代表部 (USTR / United States Trade Representative) に関税賦課を指示する方法などが報じられたことなどからドルの買い戻しが入っていた。
米国主要株価三指数が揃って安値の終値をつけたことはやや抵抗となったが、日本の政治懸念による低リスク通貨の円のリスク増加警戒感による円売りの影響も残っていたため、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の148円94銭付近から、円の高値でドルの安値の147円94銭付近の値幅約1円0銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は148円36銭付近と、前日同時刻の147円18銭付近の前ニューヨーク終値相当時間比で約1円18銭の大幅な円安ドル高をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場では、今朝6時1分頃にドルは円相場で一時148円28銭付近に下押ししたが、昨夜の日本語の新聞の自民党総裁選の前倒しの可能性についての一部報道が今朝の世界市場の英訳の国際ニュースで話題になったことから、日本の政治先行き不透明感への警戒感による円売りが再燃し、世界的に流動性が高いドルが買われたため、今朝8時46分頃に対ドルの円相場は一時148円59銭付近に下落しており、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時148円58銭付近の始値であった。
日本市場でも、石破茂政権継続ついての国内政治不透明感が燻り、今朝の日本の金融市場では日本株安と国債安と円安のトリプル安への警戒感があり、円売りが先行したことでは、午後13時2分頃にドルは円相場で一時148円93銭付近と、昨夜のニューヨーク高値手前付近に再上昇した。
ただし、今日の東京株式市場では、今朝までの欧米株価下落の影響もあり、今日の日経平均株価がマイナス圏で始まり、マイナス圏の推移の中で午後の部が始まると下落幅を拡大した株価リスク回避のリスクオフでは国内第一安全資産の低リスク通貨の円の買い戻しの抵抗が入ったほか、国内債券市場でもトリプル安警戒の国債売りにより、債券価格低下時の利回り上昇が起きたため、新発30年物の国債利回りが過去最高水準を記録するなど、債券利回りの日米金利差縮小時の金利差トレードの円買いも入っていたことでは、円相場が下げ幅を縮小する時間があった。
また、今日の昼に日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の植田和男総裁が日本政府の石破茂首相と会談し、「経済・物価情勢・市場動向等について意見交換した」と説明し、会談では「為替の話も出た」と発言したことでは、大幅な円安が進行すれば日銀の早期の追加利上げを検討する可能性について観測報道が出たほか、市場で為替介入への警戒感なども燻ったことなどでは円相場は下げ幅を一時縮小し、金利警戒感で日経平均株価が下落幅を拡大した影響も相まって、午後14時24分頃にドルは円相場で一時148円49銭付近と、今日の日本市場における円の高値でドルの安値を記録した。
午後からは欧州市場の参入があったことでは、時間外の米国債券取引で米国債売りの影響により米国長期金利が再び上昇を始めたことでは米国長期金利上昇時の日米金利差を受けたドル買いが再開し、午後15時30分に今日の日経平均株価が4万1938円89銭の終値をつけて前日比371円60銭安の-0.88%の安値で大引けした後には株価影響による低リスク通貨の円買いが弱まったこともあり、夕方から世界最大規模の英国ロンドン外国為替市場の参入により米国長期金利が更に上昇し、夕方16時19分頃に米国長期金利は一時4.303%付近と再び4.3%台に上昇したことから、債券利回りを受けた金利差トレードの日米金利差縮小時の円売りドル買いや日本の政治先行き懸念の円売りの影響もあり、夕方16時23分頃二ドルは円相場で一時149円14銭付近と、一時149円台の今日の日本市場の円の安値でドルの高値をつけた。
一時149円台の高値からはドルの利益確定売りや持ち高調整で日本市場終盤の円の買い戻しも入りやすくなったことでは、ドルは円相場で148円台に戻したが、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は148円71銭付近で、昨夜17時の148円62銭付近の前東京終値比では約9銭の円安ドル高になった。
今夜この後の米国市場では、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の発言予定と最新米国経済指標の発表予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜22時頃から米国セントルイス連邦準備銀行 (連銀) のアルベルト・ムサレム総裁の発言予定と、今夜23時に金曜日の米国雇用統計を前にして注目度が増えている米国雇用関連の経済指標の7月米国雇用動態調査 (JOLTS / Job Openings and Labor Turnover Survey) 求人件数の発表があり、同時刻に7月米国製造業新規受注と27時にFRBの米国地区連銀経済報告のベージュブック (Beige Book) の公開予定なども控えている。
また、世界の株式市場と債券市場と金 (ゴールド) や原油先物価格などを含むコモディティ市場などの為替相場への影響と、ウクライナや中東などの世界情勢や政治経済のニュースと要人発言などのファンダメンタルズの分析は、最新経済指標データやテクニカル分析と共にFXトレーダー達の値動き予想材料となっている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は173円6銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の173円9銭付近の前東京終値比では約3銭の小幅な円高ユーロ安であった。
主な要因は、日経平均株価下落を受けた低リスク通貨の円の買い戻しがあったほか、欧州ユーロ圏のフランスの政治先行き懸念や財政警戒による欧州ユーロ売りの影響や外貨影響の波及などがあり、前東京終値比では小幅な円高ユーロ安の今日の東京終値になった。
そのため、ユーロドルも、今日17時の東京外国為替市場の終値は1.1638ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.1647ドル付近の前東京終値比では約0.09セントのユーロ安ドル高であった。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は198円84銭付近で、昨夜17時の199円25銭付近の前東京終値比で約41銭の円高ポンド安であった。
主な要因は、欧州ユーロ同様に日経平均株価下落を受けた低リスク通貨の円の買い戻しの影響があったほか、9月からの英国議会で英国秋季予算などを前にした英国政府のキア・スターマー政権の財政赤字懸念により昨日も英国債が売られており、英国債券価格の一時急落への警戒感を受けて上昇後の英国ポンドも売られたことから、昨夜にも英国ポンドが対ドルなどで一時急落し、昨夜の東京終値後にも円高ポンド安への市場反転も見せていたが、日本の政治先行き不透明感などの円売りの要因があったことでは小幅域に留まり、その後の今夜20時台の英国市場では英国ポンドは円相場で横ばいレンジ圏付近にも反発している。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年9月3日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の20時24分(チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場時間の12時24分頃) の人気のクロス円を中心とした為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されたことには注意が必要である。
通貨ペア | JST 20:24の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00前東京終値比 |
ドル/円 | 148.68 〜 148.69 | +0.06 (円安) |
ユーロ/円 | 173.11 〜 173.13 | +0.02 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.1642 〜 1.1643 | −0.0005 (ドル高) |
英ポンド/円 | 199.25 〜 199.31 | ±0.00 (レンジ) |
スイスフラン/円 | 184.73 〜 184.79 | −0.22 (円高) |
豪ドル/円 | 97.10 〜 97.14 | +0.43 (円安) |
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