FXニュース:米トランプFRB議長報道
2025年7月17日
東西FXニュース – 2025年07月17日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米PPI減も前回上方修正
- 米政治圧中銀独立性懸念
- 日参院選控えた財政警戒
- 日経平均株価高値大引け
- 今夜の米小売売上高控え
- 豪失業率が想定外に増加
今日2025年7月17日木曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の147円98銭付近から、円の安値でドルの高値の148円81銭付近の値幅約83銭で、今日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は148円74銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の148円88銭付近の前東京終値比で約14銭の円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、昨日の夕方16時50〜51分頃に時間外の米国債券市場で一時4.494%付近に上昇していた米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が昨夜20時10分頃の一時4.474%付近に向けて上昇幅を縮小していた債券利回りの金利差トレードの影響などがあり、昨夜20時2分頃にはドルも円相場で一時148円63銭付近に下落していたため、昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時148円77銭付近の始値と前東京終値よりも円相場が反発していた。
米国市場では、昨夜21時30分に最新米国経済指標の6月米国卸売 (生産者) 物価指数 (PPI / Producer Price Index) の発表があり、前月比は前回の0.1%と前回上方修正の0.3%と市場予想の0.2%に対し0.0%に鈍化し、前年同月比も前回の2.6%と前回上方修正の2.7%と市場予想の2.5%を下回る2.3%で、食品とエネルギーを除く6月米国PPIコア指数も、前月比が前回の0.1%と前回上方修正の0.4%と市場予想の0.2%を下回る0.0%で、前年同月比も前回の3.0%と前回上方修正の3.2%と市場予想の2.7%に対し2.6%と、今回分がいずれも前回と市場予想を下回ったことではドル売りが起き、発表時の昨夜21時30分にドルは円相場で一時148円47銭付近に下落した。
しかし、米国内の生産者物価指数である米国卸売 (生産者) 物価指数は、輸入品などを使用しない場合には関税の影響が少ない可能性もあることや、前回分が全て後から上方修正されたことから後日に再び修正が出る可能性などへの警戒もあり、前日に発表されたより重要度が高いインフレ指標の6月米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) がインフレ兆候を示していた印象は完全には払拭されずに今後に関税インフレの影響が出てくる可能性からはドルは円相場で買い戻されて反発し、続いて昨夜22時15分に発表された6月米国鉱工業生産の前月比が前回の−0.2%と前回上方修正の0.0%と市場予想の0.1%を上回る0.3%に上振れし、同時発表だった6月米国設備稼働率も前回と市場予想の77.4%と前回上方修正の77.5%を上回る77.6%に上昇しており、堅調な米国景気要因のインフレ圧も考えられることでは、昨夜22時50分頃にはドルは円相場で一時148円93銭付近と、米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
ただし、深夜24時前頃に、米国3大テレビ放送ネットワークの一つである米国CBS (Columbia Broadcasting System) ニュースが、「先日、米国政府のドナルド・トランプ大統領は、米国連邦下院共和党議員達に対し、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のジェローム・パウエル議長の業績への不満を理由に解任するべきかどうかを尋ねた。関係筋によると、会合に出席した議員達の大半がこの考えを支持し、ドナルド・トランプ大統領は近いうちに解任を検討する可能性を示唆した」と報じたことが話題になり、米国政治圧による中央銀行の独立性への懸念から世界的な米国信任悪化のドル売りが起きてドルが低リスク通貨の円に対して大幅に下落し、深夜24時31分頃にはドルは円相場で一時146円91銭付近と、先ほどの市場高値付近からわずか1時間半強ほどで2円近くも急落していた。
米国信任懸念では米国債も売られたため、米国CBSニュースの観測報道が話題になる直前の昨夜23時40分頃には、米国PPI鈍化を受けた今年年内の米国利下げの可能性から一時4.442%付近に低下していた米国長期金利が反発し、米国債券価格低下に伴う利回り上昇が起きて、深夜24時30分頃には一時4.483%付近に戻しており、米国売りに焦りを感じたのかドナルド・トランプ大統領は記者会見を開き、FRB議長解任示唆の報道について米国CBSだけでなく米国ブルームバーグ通信 (Bloomberg) なども「ドナルド・トランプ大統領が近くジェローム・パウエル議長を解任する可能性が高い」と報じていたことに対し、「その可能性は低い」と否定したが、解任の可能性を完全に排除するのかどうかという質問への回答では、「不正行為の様な理由で辞任しなければならない場合を除き、可能性は非常に低い」と含みを持たせて完全には可能性を否定はしなかった。
また、ドナルド・トランプ大統領は「何かをするつもりはない」と発言し、来年5月までのFRB議長任期中の解任報道についてはやや否定的ではあったものの、「後任には、低金利志向の人物を指名する」としており、第二次ドナルド・トランプ米国政権によるFRBへの政治圧が、世界の金融市場への混乱や投資家達の米国資産離れを招く可能性への警戒感が燻った。
ドナルド・トランプ大統領によれば、米国現地時間の7月15日の夜に米国共和党議員との会合でジェローム・パウエル議長解任の可能性について話し合い、「ほぼ全員が解任に賛成した」のは事実としたが、一方で自らが解任文書を作成して会合で提示した様な一部の報道内容については否定していた。
とはいえ、火のない所に煙は立たないのではないかという疑惑は世界市場で燻っており、一部のメディアの続報では、匿名希望という米国ホワイトハウス高官が、「ドナルド・トランプ大統領は、近くFRB議長に対して何らかの動きを見せる見通し」と語っていたなどと報じられたほか、正当な理由があれば、議長解任の可能性を完全には排除していない点について、前日にもドナルド・トランプ大統領が、「FRBは金利を3%下げなければならない。年間1兆ドルを節約できるだろう」と3%の利下げにより年間約1兆ドルの米国債利子払い負担を減らせる可能性を示唆する発言をしていたが、米国首都ワシントンにあるFRB本部改修工事費用が25億ドル (約3700億円) 規模にかさんでいる件なども非難しており、ジェローム・パウエル議長がこのFRB本部改修工事費用について内部監察官に調査を正式要請したニュースも話題になった。
米国債券売りが入っていたことから、午前1時20分頃には米国債券価格低下に伴う利回り上昇により米国長期金利が一時4.485%付近に再上昇したこともあり、ドナルド・トランプ大統領がFRB議長解任示唆報道について一部否定したことではドルの買い戻しも入り、深夜24時55分頃にはドルは円相場で一時148円40銭付近に下げ幅を縮小した。
一方で、今後は低金利志向の次期議長任命が示唆されるなど、政治的圧力により今後のFRBの独立性が脅かされることへの警戒感も燻ったことでは、安全資産の米国債にも買い戻しが入り始めた中ではドルの買い戻しは鈍くなり、年内の米国利下げの可能性が再び意識され、米国長期金利が午前2時45分頃に一時4.452%付近に再低下すると、午前2時49分頃にはドルは円相場で一時147円49銭付近に再下落した時間もあった。
しかし、午前3時にはFRBが米国地区連銀経済報告のベージュブック (Beige Book) を公表し、「米国経済活動はわずかに拡大した」が、「不確実性は依然として高く、企業の慎重な姿勢が続いている」と報告されており、物価について、「全地区で上昇した」、「今後の数カ月間はコストの上昇圧が高まった状態が続くと予想し、夏の後半までに消費者物価が急上昇し始める可能性が高まっている」と警告していたことでは、不確実性が高い米国関税政策によるインフレ圧が再び意識されたことでは、前日の米国CPIのインフレ兆候や先ほどの米国PPI上方修正により今後も上昇修正が出てくる可能性も意識されたため、米国政策金利予想値で有名な米国フェドウオッチ (FedWatch) では、今日の時点でも次回7月29〜30日の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の米国政策金利据え置き予想値が一時97.4%付近に上昇したままで高止まりを続けており、当面の間の日米金利差予想の影響もあって、市場終盤の午前5時51分頃にはドルは円相場で147円91銭付近に下落幅を再び縮小していた。
また、米国ニューヨーク株式市場では、米国主要企業の決算報告予定への期待感などもあり、米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) と米国S&P500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) が揃って前日比で小幅高の終値をつけて大引けしており、低リスク通貨の円買いも鈍かったが、米国ニューヨーク債券市場では米国長期金利の終値が4.456%付近と前日よりも低下し、その後の今朝早朝のニューヨーク終値の頃の時間外の米国債券取引でも米国長期金利は4.463%付近と前日よりもまだ低かったことでは、前ニューヨーク終値比では円高ドル安のニューヨーク終値に向けた。
このため、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の148円93銭付近から、円の安値でドルの高値の146円91銭付近の値幅約2円2銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は147円88銭付近と、前営業同時刻の148円88銭付近のニューヨーク終値比で約1円の大幅な円安ドル高をつけた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場では、今朝8時50分頃に発表された日本の最新経済指標の6月日本貿易統計の通関ベースが、季調前は前回の−6376億円と前回修正の−6386億円と市場予想の3539億円に対し1531億円で、季調済は前回の−3055億円と前回修正の−2916億円と市場予想の−2747億円に対し−2355億円と、日米関税交渉の不透明感も意識される中で、今朝8時52分頃にはドルは円相場で148円7銭付近に買い戻されていたため、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時148円0銭付近の始値となり、この今朝9時0分の1分間の値動きの中で瞬時に記録していた一時147円98銭付近が今日の日本市場の円の高値でドルの安値となり、日本市場でもドルの買い戻しが円相場で入り始めた。
日本市場では、今週末の7月20日の日曜日に投開票予定の日本の参議院議員通常選挙を目前とした警戒感が高まっており、最近の世論調査では自民党と公明党の両党が、非改選を合わせた過半数維持に必要な50議席を獲得できるかどうかについて「微妙な情勢」と報じられており、与党の過半数割れになれば国内政治の不透明感が増すことや、財源不明瞭な票稼ぎのための現金給付のバラマキ合戦選挙や消費税減額などの財政拡張的政策の公約が実現すれば財政悪化の可能性への警戒感があり、政治不安による円売り要因となった。
また、日本市場では、今朝9時55分の仲値決済に向けた日本企業の輸入実需と、前日には一時は150円手前で買いにくかったドル準備金が手頃になったこともあり、円売りドル買いが優勢で、仲値後の今朝10時7分頃にドルは円相場で一時148円49銭付近に上昇した。
今日の東京株式市場では、今朝はマイナス圏から始まった日経平均株価が下げ幅を縮小し、昼休みの後の午後の部はプラス圏に転じて始まり、プラス圏の推移を続けたことも株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) による国内第一安全資産の低リスク通貨の円売りに繋がったため、午後15時30分に今日の日経平均株価が3万9901円19銭の終値をつけて前日比237円79銭高の+0.60%と高値の大引けを見せると勢いが増し、午後15時35分にドルは円相場で一時148円81銭付近と、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、午後からの欧州市場と英国ロンドン外国為替市場の参入では、日本市場の時間外の米国債券取引で、午後15時43分頃には一時4.489%付近に上昇していた米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が今夜17時頃の一時4.481%付近に反落を始めた影響もあり、市場高値後のドルの利益確定売りや持ち高調整の抵抗も入り、今日の日本市場ではドルは円相場で今朝までの米国市場での下げ幅は縮小したものの、前東京終値比では小幅な円高ドル安の東京終値に向けていた。
そのため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は148円74銭付近で、昨夜17時の148円88銭付近の前東京終値比では約14銭の円高ドル安になった。
今夜この後の米国市場では、最新米国重要経済指標の発表予定や次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官達の発言予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールでは、今夜21時30分に米国景気関連の重要経済指標の6月米国小売売上高と、6月米国輸入物価指数と6月米国輸出物価指数と、前週分米国新規失業保険申請件数と前週分米国失業保険継続受給者数と、7月米国フィラデルフィア連銀製造業景気指数が同時発表されるイベント時間があり、続いて、今夜22時15分頃から次回のFOMC投票権を持つFRBのアドリアナ・クーグラー理事の発言予定と、今夜23時に5月米国企業在庫と7月米国NAHB (National Association of Home Builders / 全米住宅建設業者協会) 住宅市場指数、26時30分頃から次回のFOMC投票権を持つFRBのリサ・クック理事の発言予定と、29時に5月対米証券投資などが発表される予定である。
また、今夜の米国株式市場の株引け後には米国ネットフリックス (Netflix) の決算報告予定があるなど、世界の株式市場や債券市場と原油先物価格などのコモディティ市場などの為替相場への影響と、日本や欧州などの各国との米国関税交渉の続報や、世界情勢などのニュースではロシアとウクライナ情勢を含めた世界の政治経済の影響に加え、ドナルド・トランプ大統領や政府および中銀高官などの要人発言屋日本の国内政治関連などのファンダメンタルズ分析のニュースは、最新経済指標データやテクニカル分析と共に世界のFXトレーダー達の値動き予想材料になっている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は172円40銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の172円98銭付近の前東京終値比で約58銭の円高ユーロ安であった。
主な要因は、前日の日本市場ではユーロ円は一時173円24銭付近と今年最大の円安ユーロ高を更新後であったことから高値後の欧州ユーロの利益確定売りや持ち高調整が入りやすく、ドル円などの外貨影響による円相場の上昇圧も波及していた。
ユーロドルも、今日17時の東京外国為替市場の終値は1.1591ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.1619ドル付近の前東京終値比で約0.28セントのユーロ安ドル高だった。
主な要因は、欧州ユーロに対してもドルの買い戻しがあった影響に加えて、今朝10時にオセアニア市場で発表された中国や欧州を主要取引先に持つオーストラリアの最新経済指標の6月豪州失業率が前回と市場予想の4.1%よりも悪化した4.3%であった影響も波及していた。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は199円9銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の199円42銭付近の前東京終値比で約33銭の円高ポンド安だった。
主な要因は、今日の午後15時に発表された最新英国経済指標の国際労働機関(ILO / International Labour Organisation) 方式の5月英国失業率が、前回と市場予想の4.6%よりも軟化した4.7%であったことが英国ポンド売りに影響を及ぼしたが、別方式の6月英国失業率は前回と横ばいの4.5%で、6月英国失業保険申請件数は前回の3.31万件よりも改善された2.59万件であったことではポンド円は小幅域に留まっていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年7月17日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の20時9分(チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場時間の12時9分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されたことには注意が必要である。
通貨ペア | JST 20:09の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 148.60 〜 148.61 | −0.28 (円高) |
ユーロ/円 | 172.20 〜 172.22 | −0.78 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.1586 〜 1.1588 | −0.0033 (ドル高) |
英ポンド/円 | 199.11 〜 199.17/td> | −0.31 (円高) |
スイスフラン/円 | 184.80 〜 184.86 | +0.98 (円安) |
豪ドル/円 | 96.05 〜 96.09 | −1.10 (円高) |
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