FXニュース:米消費者物価指数下振れ
2025年6月12日
東西FXニュース – 2025年06月12日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米中合意成立表明と続報
- 米トランプ関税不透明感
- 米中関税55%対10%に
- 「一方的に米関税率設定」
- 中東情勢警戒リスク回避
- 日米欧主要株価指数下落
- 今夜米卸売物価指数控え
今日2025年6月12日木曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の144円35銭付近から、円の高値でドルの安値の143円64銭付近の値幅約71銭で、今日17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は143円90銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の145円14銭付近の前東京終値比で約1円24銭の大幅な円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、米中通商協議が以前にスイスのジュネーブで合意した枠組みの実施で合意したという報道を受けた米中貿易摩擦懸念後退の影響では、昨夜20時51分頃にドルは円相場で一時145円34銭付近に上昇していたため、昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時145円28銭付近の始値となり、昨夜21時5分頃に対ドル円相場は一時145円47銭付近と、昨夜の米国市場の円の安値でドルの高値を記録していた。
米国政府のドナルド・トランプ大統領も、自己運営のソーシャル・ネットワーキング・サービス (SNS / Social Networking Service) のトゥルース・ソーシャル (Truth Social) で、「中国とのディール (Deal /合意) が成立した」と表明したが、「習近平中国国家主席と私が最終承認すれば、中国との合意は完了する」とし、「レアアース (Rare-Earth / 希土類) は中国が先行して供給する」、「米国関税率は合計55%、中国は10%になる」などと発言していた。
米国市場では、昨夜21時30分に米国インフレ関連の最新米国重要経済指標である5月米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の発表イベントがあり、前月比が前回と市場予想の0.2%を下回る0.1%に下振れして鈍化しており、前年同月比は前回の2.3%に対し市場予想通りの2.4%であったが、物価基調の米国CPIコア指数も、前月比が前回の0.2%と市場予想の0.3%を下回る0.1%に下振れし、前年同月比も市場予想の2.9%に対し前回と同じ2.8%に留まったことを受けては、米国関税インフレが市場予想ほどの上昇を示さなかったサプライズを受けて、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が発表前の昨夜21時頃の一時4.507%付近から発表後の昨夜21時45分頃の一時4.430%付近に向けて大幅に急落し、債券利回りの日米金利差縮小時の円買いドル売りと、今年9月頃からの米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の年内の追加利下げ予想が意識され、主要通貨に対するドル売り影響などにより、昨夜21時36分頃にドルは円相場で一時144円32銭付近に下落し、昨夜の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
ただし、4月に米国相互関税が発動後も、各国との米国通商交渉のための猶予期間があったことや前倒し輸入分の在庫の影響なども残る期間であったことなどが指摘され、来週の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) における米国政策金利の据え置き予想値は今日の時点でも99.8%付近と、市場で確定値と考えられている70%を超え続けており、7月も同様に81.3%付近で推移しており、また、これらの米国CPIデータに対し、「エコノミストが、FRBが重視している米国PCE (Personal Consumption Expenditures / 個人消費支出) 価格指数は、前回から上昇が見込まれると推計した」ことが話題になり、次回0.2%と7月が0.1%などのわずかではあるが米国追加利上げ予想が浮上し、市場安値後のドルの買い戻しが入ったことでは、昨夜22時45分頃にドルは円相場で一時145円19銭付近に買い戻されて反発した。
しかし、これまでにも二転三転してきた米国関税政策については依然として警戒感も燻っており、続報となる一部報道では、「中国のレアアース輸出規制緩和は、6カ月の期間限定」と報じられ、他の各国との米国関税交渉への警戒感も燻り、米国ニューヨーク株式市場では、市場前半には米中貿易摩擦警戒感の緩和により揃ってプラス圏で推移していた米国主要株価三指数が、市場後半の反落に向け始めた。
さらに、イランをめぐる中東情勢のニュースがあり、「米国政府は、中東地域の緊張が高まる中で、米国兵の扶養家族の自主的な退去を許可した」ことや、「米国が中東地域から政府職員などの退避を始めた」という一部報道を受け、中東情勢緊迫への警戒感が市場で高まり、原油価格が一時5%近く高騰する一方で、米国主要株価三指数が揃ってマイナス圏に反落し、地政学リスク回避と株価リスク回避のリスクオフ (Risk-off) で安全資産の米国債が買われて米国長期金利が午前2時の米国10年債入札後の午前2時20分頃と午前3時10分頃にも一時4.413%付近と一段と低下し、債券利回りの日米金利差縮小時の円買いドル売りと、株価下落時のリスクオフでも低リスク通貨の円がドルに対して買われて上昇し、午前3時13分と17分頃にドルは円相場で一時144円33銭付近に再び下落した。
また、午前3時に発表された5月の米国月次財政収支の影響もあり、前回プラス圏の2584億ドルと市場予想の−-3145億ドルを下回る−3160億ドルと、マイナス圏で下振れしていた。
米国ニューヨーク株式市場では、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) と米国S&P 500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) が揃って前日比で安値引けした。
このため、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の145円47銭付近から、円の高値でドルの安値の144円32銭付近までの値幅約1円15銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は144円56銭付近と、前営業日同時刻の144円87銭付近の前ニューヨーク終値比で約31銭の円高ドル安をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場では、ドナルド・トランプ米国大統領が、「2週間以内に一方的に米国関税率を設定する」ことや、「米国貿易交渉の期限延長の用意はあるが、必要とは考えていない」などの発言をしたことから、交渉がまだまとまっていない各国への米国関税政策への警戒感が高まり、今朝8時6分頃にドルは低リスク通貨の円に対し一時144円11銭付近に下落したため、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時144円17銭付近の始値となった。
ただし、今朝8時50分に発表されていた日本の最新経済指標の4〜6月第2四半期日本法人企業景気予測調査は、大企業全産業業況判断指数(BSI)が前回プラス圏の2.0からマイナス圏の−1.9に低下し、大企業製造業業況判断指数(BSI)も前回の−2.4から−4.8へと低下幅を広げており、円売りドル買いの抵抗が入ったほか、今朝9時55分の日本市場の仲値決済に向けた日本企業の輸入実需の円売りドル買いも入ったことでは、今朝9時14分頃に対ドル円相場は一時144円35銭付近と、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、いまだに米国との関税交渉がまとまっていない国に対し、「2週間以内に一方的に米国関税率を設定する」とのドナルド・トランプ米国大統領の発言を受けては、日米関税交渉の難航を受けて日本も対象国と考えられることへの警戒感が高まり、今朝の東京株式市場では、今日の日経平均株価がマイナス圏に低下して始まり、下落幅を拡大したため、株価下落時のリスク回避のリスクオフで国内第一安全資産の低リスク通貨の円が買われて、対ドルの円相場が上昇した。
米国ブルームバーグ通信 (Bloomberg) などの主要メディアも、ドナルド・トランプ米国大統領が、「今後1〜2週間以内に貿易相手国に対して一方的な関税率を設定して手紙を送る」ことを報じており、また、7月9日が期限となっている米国相互関税の猶予期間を延長する用意はあったものの、ドナルド・トランプ米国大統領が、「必要性は感じない」と延長否定の発言をしたことが世界的なニュースになり、米国関税政策への警戒感による主要通貨へのドル売りが起きており、ドルに対して低リスク通貨の円相場が上昇した。
午後15時30分には、今日の日経平均株価がマイナス圏の推移を続けたまま、3万8173円9銭の終値をつけ、前日比248円10銭安の-0.65%で大引けし、株価下落時のリスク回避のリスクオフの低リスク通貨の円買いの影響が続き、午後15時38分頃にはドルは円相場で一時143円64銭付近と143円台に下落しており、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
午後からの欧州市場と夕方からの英国ロンドン外国為替市場の参入後には、市場安値後のドルの買い戻しも混ざり、また国際ニュースで「南アフリカが、米国が国際刑事裁判所 (ICC / International Criminal Court) の4人の判事に制裁を下す決定をしたことに対して懸念を表明した」という一部報道を受けて、南アフリカと米国との関係悪化への警戒感からエキゾチック通貨の南アフリカランドが売られてドルに対して急落した外貨影響の波及などもあり、市場安値後のドルは円相場で下げ幅を縮小し、夕方の16時47分頃にはドルは円相場で一時144円14銭付近に反発した。
とはいえ、欧州市場では中東情勢の緊迫化を受けて、米国国務省が米国政府職員にイラクからの退避を命じるなどの地政学リスクが意識される中で、産油国通貨がドルに対して買われたほか、欧州周辺の永世中立国で第三の安全資産と呼ばれるスイスフランも対ドルで上昇しており、「イラン革命防衛隊が、いかなるシナリオにも対応する準備ができている。軍事戦略もある」と発言したニュースが話題になり、対ドルのスイスフラン買いなどの外貨影響が対ドル円相場に波及し、ドルは円相場で再び143円台に下落した。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は143円90銭付近で、昨夜17時の145円14銭付近の前東京終値比では約1円24銭の大幅な円高ドル安になった。
今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標の発表予定や米国債入札予定などを控えており、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に米国インフレ関連の経済指標の5月米国卸売 (生産者) 物価指数 (PPI / Producer Price Index) と、米国雇用関連の経済指標の前週分米国新規失業保険申請件数と前週分米国失業保険継続受給者数が同時発表され、続いて、26時に米国30年債入札を控えている、また、世界の株式市場や債券市場やコモディティ市場などの為替相場の影響と、各国との米国関税交渉なども含めた政治経済の影響に加え、世界情勢と要人発言などのファンダメンタル分析向けのニュースも、最新経済指標データやテクニカル分析と共に世界のFXトレーダー達の値動き予想材料になっている。
なお、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官達は来週のFOMCを控えたブラックアウト期間入りをしており、今夜の発言予定は特に予定されていない。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は165円85銭付近で、昨日の夜17時の165円73銭付近の前東京終値比で約12銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、今日も先日の欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) のクリスティーヌ・ラガルド総裁やECB理事会メンバーの「欧州利下げサイクルが終わりに近づいた」との発言後の影響が続いたが、今日の日経平均株価下落を受けたリスク回避のリスクオフでは低リスク通貨の円買いもあり、小幅域になったが、今日の主要通貨に対するドル売りでは欧州ユーロが買われた外貨影響の波及では、小幅な円安ユーロ高の東京終値になっていた。
今日のユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.1526ドル付近と、昨夜17時の1.1419ドル付近の前東京終値比で約1.07セントの大幅なユーロ高ドル安であった。
主な要因は、昨夜の米国インフレ指標の下振れを受けたドル売りや米国関税政策への警戒感でも、交渉がまだまとまっていない国は日本だけでなく欧州連合 (EU / European Union) も同様で警戒感によるドル売りで欧州ユーロが買われたほか、主要通貨に対するドル信任低下による米国売りや外貨影響のドル下落圧もあり、大幅なユーロ高ドル安になった。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は194円86銭付近と、昨日の夜17時の195円65銭付近の前東京終値比で約79銭の円高ポンド安だった。
主な要因は、今日の午後15時に最新英国重要経済指標の発表があり、4月月次英国国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) の前月比が、前回プラス圏だった0.2%と市場予想の−0.1%を下回る−0.3%に下振れし、英国景気懸念による低リスク通貨の円に対する英国ポンド売りの影響があった。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年6月12日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の19時32分(チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場時間の11時32分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されたことには注意が必要である。
通貨ペア | JST 19:32の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 143.51 〜 143.52 | −1.63 (円高) |
ユーロ/円 | 166.33 〜 166.34 | +0.60 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.1589 〜 1.1590 | +0.0170 (ドル安) |
英ポンド/円 | 194.88 〜 194.94 | −0.77 (円高) |
スイスフラン/円 | 176.63 〜 176.69 | +0.20 (円安) |
豪ドル/円 | 93.48 〜 93.52 | −1.02 (円高) |
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