FXニュース:米中関税90日間引き下げ
2025年5月12日
東西FXニュース – 2025年05月12日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米中協議前のイベント調整
- 米中関税協議進展窓開け
- 日経平均株価反落後反発
- 世界景気減速懸念が緩和
- 米長期金利上昇4.4%台
- 今週米重要経済指標控え
今日2025年5月12日月曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の145円72銭付近から、円の安値でドルの高値の147円99銭〜148円0銭付近の値幅約2円27銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は147円88銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の145円19銭付近の前東京終値比では約2円69銭の大幅な円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、先週の日本市場終了後の英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる先週金曜日の夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時145円13銭付近の始値であったが、先週末にスイスで米中関税協議が始まることへの市場期待感の後のイベントリスクの持ち高調整により、プラス圏で始まった米国主要株価三指数が週末を控えた利益確定の影響もあって揃って反落してマイナス圏の推移に転じると、米国主要株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) の低リスク通貨の円買いドル売りが起き、先週金曜日の夜23時27分頃に対ドル円相場は一時144円82銭付近と、米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
ドルの市場安値の原因としては、米国政府のドナルド・トランプ大統領が、自身が運営するトランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ (TMTG / Trump Media & Technology Group)のソーシャル・ネットワーキング・サービス (SNS / Social Networking Service) のトゥルース・ソーシャル (Truth Social) の影響があり、「中国への関税は80%が良さそうだ」と発言したことを受けて、週末の中米関税交渉を前にした市場警戒感が一時再燃した時間があったことなどが影響を及ぼしていた。
米国ニューヨーク債券市場では、安全資産の米国債が買い戻された影響により、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が、先週金曜日の夜21時15分頃には一時4.396%付近に上昇後に反落しており、先週金曜日の夜23時30分頃には一時4.352%付近にまで低下したため、債券利回りを受けた日米金利差縮小時の円買いドル売りも為替相場に影響を与えていた。
しかし、先週金曜日の夜21時30分頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官である米国ニューヨーク連邦準備銀行のジョン・ウィリアムズ総裁の発言があり、 「インフレ期待をしっかりと安定させることの重要性は、FRB関係者達にとって重大な教訓であり、不確実性が非常に高い局面ではとりわけそうである」と、FRBの二大責務の物価安定と雇用最大化の中でもインフレを重視した発言があり、「経済ショックや米国政府政策の変化、グローバル化の進展と後退といった流れにかかわらず、FRBは物価安定の維持こそが自らの責務であると認識している物価安定の守護者だ」と強調し、「物価安定を維持せずして、持続的な完全雇用は達成できない」と以前にジェローム・パウエル議長も述べていた意見に同調していたため、米国関税政策の不確実性が高まる中でもインフレ抑制重視で金利調整を急がない様子見姿勢が市場で意識されたことでは、低下後の米国長期金利が反発して下げ幅を縮小し始めたため、ドルも円相場で買い戻されて下げ幅を縮小し始めた。
また、週末の米中関税交渉には、投資家としても有名なスコット・ベッセント米国財務長官が出席するため、ドナルド・トランプ大統領が、「スコット・ベッセント米国財務長官次第だ」と発言したことも、市場安値後の株やドルの買い戻し要因となり、米国ニューヨーク株式市場では、一時は揃ってマイナス圏になっていた米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) と米国S&P 500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) が下げ幅を前営業日比で小幅安に縮小したほか、米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) はプラス圏に戻して前営業日比で小幅高の終値をつけた影響では、米国ニューヨーク債券市場では安全資産の米国債の利益確定売りや持ち高調整が起き、市場終盤の一時4.389%付近に向けて米国長期金利が下げ幅を縮小していたため、債券利回りの日米金利差を受けてドルも円相場で下げ幅を縮小し、先週土曜日の午前4時35分頃に対ドル円相場は一時145円37 銭付近と、米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
とはいえ、ニューヨーク外国為替市場の終値に向けては、週末を控えた利益確定と持ち高調整に加えて、週末の米中関税交渉を前にしたイベントリスクの影響があり、ドルは円相場で小幅な円高ドル安のニューヨーク終値に向けていた。
このため、先週金曜日の夜21時頃から先週土曜日の朝5時55分頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の144円82銭付近から、円の安値でドルの高値の145円37銭付近の値幅約55銭で、先週土曜日の朝5時55分頃のニューヨーク終値は145円37銭付近と、前営業日同時刻の145円91銭付近の前ニューヨーク終値比では約54銭の円安ドル高をつけて先週末を迎えていた。
週末中のニュースでは、スイスのジュネーブで米中関税交渉の初日の8時間に渡る協議に米国政府のスコット・ベッセント財務長官と米国通商代表部 (USTR / United States Trade Representative) のジェミソン・グリア代表と、中国政府の何立峰副首相が出席し、報告を受けた米国政府のドナルド・トランプ大統領が、「スイスで米国と中国は非常に良い協議ができた。多くのことが議論され、多くの点で合意できた」と発言したほか、スコット・ベッセント財務長官も「非常に重要な貿易協議において大きな進展があったことを報告できて嬉しい」と発言し、「詳細は5月12日に説明する」としたほか、ジェミソン・グリアUSTR代表も「米国の貿易赤字縮小に寄与する中国のパートナーとの合意に至った」と述べ、中国政府の何立峰副首相も「大きな進展を遂げ、重要なコンセンサスに達した」と述べ、李成鋼中国商務次官も「共同声明には世界にとっての朗報が含まれる」とし、米中貿易戦争の世界経済への影響懸念の緩和を受けて、週末も開場中の中東バーレーン市場などでドルが買われて上昇を始めた。
その影響から、週明けの今朝早朝の今週のアジア・オセアニア市場では、ドルは円相場で今朝6時頃に一時146円25銭付近と、先週末の一時145円台から大きな窓開けを見せて始まった。
なお、今日のアジア市場では、シンガポールとインドが祝日休場で市場流動性の減少も影響を及ぼし、今朝早朝にドル円が一時146円台へとドルが高騰していたことでは、利益確定売りや持ち高調整の抵抗が入りドル円は一時145円台に戻したほか、今朝8時50分に発表された日本の最新経済指標の3月日本国際収支の貿易収支は前回の7129億円と市場予想の5477億円を下回る5165億円の黒字額であったが、3月日本国際収支の経常収支は、季調前は市場予想以下であったが季調済は市場予想以上と強弱混合だった影響などもあり、今朝9時頃からの今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時145円84銭付近の始値と、先週金曜日の夜の前東京終値比では小幅域の円安ドル高から始まっていた。
日本市場では、日本時間の今日の夕方16時頃に、米中関税交渉の「詳細は5月12日に説明する」としていた米中共同声明のイベントに向けた持ち高調整と様子見の影響があった時間があり、また今週は最新米国重要経済指標の4月米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) と4月米国小売売上高などの発表イベントも控えるため、イベントリスクの警戒感が燻ったことでは、週明けの東京株式市場で今朝はプラス圏から始まっていた日経平均株価が一時反落してマイナス圏に向けた時間があり、今朝11時30〜33分頃と昼の13時0分と13時5〜6分頃にかけて、低リスク通貨の円買いドル売りが為替相場に影響を及ぼし、ドルは円相場で一時145円72銭付近と、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、米国関税交渉への期待感もあり、今日の日本市場時間の時間外の米国債券取引では安全資産の米国債売りの影響などにより、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が4.4%台に上昇しており、債券利回りを受けた日米金利差拡大時の円売りドル買いの影響もあったことでは、ドルは円相場で底堅い値動きを見せていた。
また、一時反落後の日経平均株価に午後の買い戻しが入り、再びプラス圏に戻し始めたことでは、市場安値後のドルが円相場で何度も下抜けできなかった底堅さもあって反発し、今日の午後15時30分に今日の日経平均株価が3万7644円26銭の終値をつけ、前営業日比140円93銭高で大引けし、低リスク通貨の円売りドル買いが入った。
今日の夕方16時頃には、「米国は中国製品への関税を90日間145%から30%に大幅に引き下げ、中国も米国製品への関税を125%から10%へ大幅に引き下げる」との米中共同声明のニュース報道があり、関税影響の世界経済減速懸念緩和を受けて米国主要株価指数先物や米国長期金利が大幅に上昇し、欧州市場と英国ロンドン外国為替市場参入の影響も相まってドルが円相場で大幅に上昇したほか、ドルが他の主要通貨に対しても上昇した外貨影響の対ドル円相場への波及もあり、夕方16時58分頃にドルは円相場で一時147円99.5銭と、147円99銭〜148円0銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は147円88銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の145円19銭付近の前東京終値比では約2円69銭の大幅な円安ドル高になった。
今夜17時頃の東京終値の頃の時間外の米国債券市場では、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利一時4.451%付近に上昇していたが、今夜その後の英国ロンドン外国為替市場では、その後の今夜17時台に一時4.456%付近へと更なる上昇も見せたため、今夜17時20分頃にはドルは円相場で一時148円23銭付近と、日本市場での円の安値でドルの高値を上抜けしており、今夜19時41分頃にも一時148円59銭付近への続伸を見せている。
今夜この後の米国市場では、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 理事の発言予定と最新米国経済指標の発表などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜23時頃からFRBのアドリアナ・クーグラー理事の発言予定と、27時に4月米国月次財政収支の発表などを控えている。
また、世界の株式市場と債券市場や商品先物市場などの為替相場への影響や、中国以外にも日本や欧州など各国の米国関税交渉の行方と世界経済と政治影響に加えて、世界情勢と要人発言などのファンダメンタル分析向けのニュースは、テクニカル分析と共に世界のFXトレーダー達の値動き予想材料となっている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は164円26銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の163円34銭付近の前東京終値比では約92銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、米国関税政策の経済への影響の様子見姿勢もあり、当面の間の米国政策金利維持予想の一方で日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の早期の追加利上げ予想が後退していたため、米国長期金利上昇時の円売りドル買いの外貨影響が欧州ユーロや英国ポンドなどの他の主要通貨に対する円相場にも円安圧として波及しており、また日本市場の今日の午後の日経平均株価の反発上昇を受けた株価影響のリスク選好のリスクオン (Risk-on) の低リスク通貨の円売りも相まって、円安ユーロ高や円安ポンド高になっていた。
そのため、英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は194円80銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の192円53銭付近の前東京終値比で約2円27銭の大幅な円安ポンド高であった。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.1108ドル付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の1.1250ドル付近の前東京終値比で約1.42セントの大幅なユーロ安ドル高であった。
主な要因は、米中関税交渉の共同声明を受けた主要通貨全般に対するドル買いに対し、米欧関税交渉には難航時の報復リストの不確実性が燻ったことに加え、経済への様子見から早期の米国政策金利の利下げ予想が後退して米国長期金利が上昇しており、それに対する欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) は欧州追加利下げ継続予想が優勢であったことなどから、ユーロドルには欧米金利差予想のユーロ売りドル買いの影響が続いていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年5月12日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の19時41分(チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場時間の11時41分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されたことには注意が必要である。
通貨ペア | JST 19:41の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 148.57 〜 148.59 | +3.38 (円安) |
ユーロ/円 | 164.59 〜 164.60 | +1.25 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.1076 〜 1.1077 | −0.0174 (ドル高) |
英ポンド/円 | 195.44 〜 195.50 | +2.91 (円安) |
スイスフラン/円 | 175.33 〜 175.39 | +0.53 (円安) |
豪ドル/円 | 94.84 〜 94.88 | +1.79 (円安) |
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