FXニュース:米PCE物価指数発表控え
2025年2月28日
東西FXニュース – 2025年02月28日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米Q4コアPCE上方修正
- 米新規失業保険申請増加
- 米トランプ関税発言続く
- 米主要株価三指数が下落
- 米FRB高官と日銀の発言
- 東京都CPI市場予想以下
- 日経平均株価が大幅下落
今日2025年2月28日金曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の149円10銭付近から、円の安値でドルの高値の150円57銭付近の値幅約1円47銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は150円44〜45銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の149円21銭付近の前東京終値比で約1円23銭の大幅な円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、ドナルド・トランプ米国大統領の関税政策によるインフレ懸念で米国政策金利の先高観が高まり、昨夜19時台に時間外の米国債券取引で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.316%付近に上昇し、債券利回りを受けた金利差トレードの日米金利差拡大時の円売りドル買いの影響で、昨夜19時19分頃にドルは円相場で一時149円97銭付近に上昇し、前東京終値比の円安ドル高に転じていた。
欧州市場と英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる昨夜22時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時149円66銭付近の始値であったが、この時間には米国関税政策の経済への影響の懸念などで安全資産の米国債買いが入っていたことでは、米国債券価格上昇に伴う利回り低下が起き、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は一時4.295%付近と4.2%台に反落しことでは、ドルは円相場での上昇幅をやや縮小していた。
米国市場では、昨夜22時30分には最新米国重要経済指標の発表があり、2024年10〜12月第4四半期米国実質国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) 改定値は、前回と市場予想通りの2.3%であったが、同四半期の米国GDP個人消費の改定値は市場予想の4.1%に対し前回と同じ4.2%と市場予想以上で、同四半期米国コアPCE (Personal consumption expenditures / 個人消費支出) は前回と市場予想の2.5%を上回る2.7%に上方修正されていた。
ただし、同時発表の前週分の米国新規失業保険申請件数は前回21.9万件と前回修正22.0万件と市場予想の22.1万件に対し24.2万件に悪化したことを受けては、発表時の昨夜22時30分頃にドルは円相場で一時149円36銭付近に下落し、米国市場の円の高値でドルの安値を瞬時記録した。
しかし、前週分の米国失業保険継続受給者数は前回186.9万人と前回修正186.7万人と市場予想の187.2万人よりも堅調な186.2万人と強弱混合であったことでは、前述の前四半期の米国GDP個人消費の改定値や米国コアPCE (Personal consumption expenditures / 個人消費支出) が市場予想以上であった影響もあり、ドルは円相場で瞬時に反発し、150円台に向けた上昇を始めた。
なお、同じく発表されていた1月米国耐久財受注も、前月比は前回マイナス圏だった-2.2%と前回修正の-1.8%と市場予想の2.0%を上回るプラス圏の3.1%に上振れしたものの、輸送用機器を除くコアな前月比では前回と市場予想の0.3%と前回下方修正の0.1%を下回る0.0%と強弱混合であった。
米国債券市場では、先述の安全資産の米国債買いの影響などにより、昨夜22時50分頃には米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.284%付近に低下していたが、米国債券価格上昇後の利益確定売りや持ち高調整で反発して下げ幅を縮小し、昨夜23時25分頃には一時4.305%付近と再び一時4.3%台の高利回りをつけたことでは、昨夜23時36分頃にドルは円相場で一時150円14銭付近と、150円台への上昇を見せた。
また、米国政府のドナルド・トランプ大統領がトゥルース・ソーシャル (Truth Social) に投稿し、前日などの欧州に対する25%の米国自動車関税についての発言に続き、「発動を延期していたカナダとメキシコへの25%の米国関税を予定通り3月4日から課す」ことや「中国にも10%の米国追加関税を課す」などの発言をしたニュースの話題の影響などもあり、市場では米国インフレ圧が意識され、米国連邦準備制度理事会(FRB / Federal Reserve Board)の米国追加利下げ予想が後退したことも、米国政策金利の先高観による米国長期金利上昇に影響を与えたが、高関税が世界経済に与える影響などへの景気減速懸念も同時に浮上したことでは、再び世界的な安全資産の米国債買いも入り、米国長期金利が再び上昇幅を縮小すると、ドルも円相場で一時149円台後半に戻した時間も観測された。
深夜24時に発表された最新経済指標の1月米国住宅販売保留指数は、前月比が前回マイナス圏の-5.5%は前回-4.1%に上方修正されたものの市場予想の-0.9%を下回る-4.6%に下振れし、前年同月比も前回-2.9%と前回下方修正の-3.1%と市場予想の-1.1%を下回る-5.2%と軟調で、深夜24時1分頃にはドルは円相場で一時149円54銭付近に下押しした。
しかし、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官達の要人発言があり、米国カンザスシティ連邦準備銀行 (連銀) のジェフリー・シュミッド総裁の発言では、米国インフレへの警戒感を示し、「警戒を緩めるべきでない」とタカ派発言をしたことが報じられ、米国インフレ指標は依然としてFRBの目標の2%を上回った推移をしていることや米国消費者のインフレ期待上昇などを指摘し、同時に不確実性の高まりが経済成長の減速につながる可能性もあるがリスクバランスの中でも「インフレに引き続き注目するつもり」としており、「インフレを巡るFRBの信頼性を維持する上で、いかなるリスクも冒すつもりはない」と発言していたことではドルの買い戻しが起き、再び150円台に向けた。
また、世界ニュースでは、南アフリカのケープタウンで開催されたG20 (20カ国・地域) 財務相・中央銀行総裁会議終了後の記者会見で、日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の植田和男総裁の要人発言もあり、「長期金利が急激な上昇という例外的な状況では、機動的なオペを打つことも考える」と発言した影響による国内長期金利抑制予想の円売りがあり、午前1時20分頃にドルは円相場で一時150円16銭付近と米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。なお、米国関税への日本の対応などについては、「まだ不確実なところが非常に大きい、多いと認識」しているとも述べていた。
なお、午前1時45分頃からは次回のFOMC投票権を持つメンバーの中でもタカ派で有名なFRBのミシェル・ボウマン理事の発言もあり、タカ派発言期待によるドル買いも入っていたものの、今回は大学講演のスピーチで銀行に関する話題が多かった。
一方、米国ニューヨーク株式市場では、米国関税政策を巡るインフレ懸念や経済への影響などへの警戒感が高まり、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (Dow Jones Industrial Average) と米国S&P 500種株価指数 (Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) が揃って反落や大幅な下落を見せて、前日比の安値の終値に向けたことでは、安全資産の米国債買いや低リスク通貨の円買いの影響があり、今朝早朝のニューヨーク終値の頃には米国長期金利が一時4.265%付近に上昇幅を縮小し、ドルも円相場で149円台後半に上昇幅を縮小していた。
このため、昨夜22時頃から今朝7時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の149円36銭付近から、円の安値でドルの高値の150円16銭付近の値幅約80銭で、今朝7時頃のニューヨーク終値は149円81銭付近と、前営業日同時刻の149円10銭付近の前ニューヨーク終値比で約71銭の円安ドル高をつけていた。
今朝8時30分のアジア・オセアニア市場時間には、今日の日本市場に先行して日本のインフレ関連の最新経済指標の発表があり、2月日本東京都区部消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の生鮮食料品除くコアの前年同月比は、前回の2.5%と市場予想の2.3%を下回る2.2%に低下したことを受けては、日銀の早期の追加利上げ予想が後退し、円売りドル買いが起き、発表時の今朝8時30分の1分間の値動きの中でドルは円相場で瞬時に149円57銭付近から149円99銭付近に急伸し、150円台への再上昇を始めた。
その影響から、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時150円9銭付近の始値で、この時間の1分間の値動きの中でも一時150円14銭付近に上昇していた。
ただし、日本企業の主要取引先である米国主要企業の株価下落の影響の波及や、米国関税への警戒感による株売りなどもあり、今日の東京株式市場で日経平均株価が大幅な下落を見せると、日米株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) で国内第一安全資産の低リスク通貨の円買いが起きたことでは、今朝11時15分頃にドルは円相場で一時149円10銭付近と今日の日本市場での円の高値でドルの安値を記録した。
また、日銀の内田真一副総裁は午前中の衆院予算委員会で、「基調的な物価は2%に向かって徐々に高まっている」と発言しており、今朝早朝には一時後退した日銀の追加利上げ予想が再び意識されたことも、この時間の円の買い戻しに影響を与えていた。
しかし、世界的に流動性が高い基軸通貨でもあるドルは市場安値後の買い戻しが強まり、円相場で反発上昇を始め、日本市場の時間外の米国債券取引でも世界的な安全資産の米国債買いの影響などで一時4.225%付近にまで低下していた米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が、午後15時30分頃に今日の日経平均株価が3万7155円50銭の終値をつけて前日比1100円67銭安の大幅安で大引けして終了するとリスクオフが弱まり、また夕方からの欧州市場の参入により、米国関税政策による米国インフレに警戒した米国政策金利の先高観が燻っていた米国長期金利が一時4.244%付近に向けて下げ幅を縮小したため、円相場でのドルの買い戻しが勢いを増し、夕方16時54分頃にはドルは円相場で一時150円57銭付近と、今日の日本時間の円の安値でドルの高値を記録し、前日比で大幅な円安ドル高になっていた。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は150円44〜45銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の149円21銭付近の前東京終値比で約1円23銭と大幅な円安ドル高になった。
今夜この後の米国市場では、最新米国重要経済指標の発表予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜22時30分に1月米国個人消費支出 (PCE / Personal Consumption Expenditures) 物価指数のPCEデフレーターとPCEコア・デフレーターとPCE、1月米国個人所得と個人支出および1月米国卸売在庫と、今夜23時45分に2月米国シカゴ購買部協会景気指数などの発表を控えており、経済指標発表のイベントによる値動きには注意が必要である。
また、世界の株式市場と債券市場やコモディティ市場などの為替相場への影響に加えて、世界情勢などの政治ニュースや要人発言なども世界のFXトレーダー達が注視している。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は156円39〜44銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の156円33〜35銭付近の前東京終値比で約6銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、今朝の東京都CPIの下振れを受けて、日銀早期追加利上げ予想がやや後退したことが主要通貨に対する円売りに影響を与えたが、日経平均株価の大幅下落を受けた低リスク通貨の円買いの影響では小幅域になっていた。
英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は189円35〜41銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の188円98銭〜189円4銭付近の前東京終値比で約37銭の円安ポンド高であった。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0394〜1.0396ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の1.0474〜1.0476ドル付近の前東京終値比では約0.80セントのユーロ安ドル高であった。
主な要因は、米国関税インフレ警戒感によるドル買いの影響があった。
ただし、今日の夕方16時に発表された欧州ユーロ圏主要国ドイツの最新経済指標で景気指標の1月独小売売上高は、前月比は前回マイナス圏だった-1.6%が-0.9%に上方修正されてプラス圏に転じたものの市場予想0.5%を下回る0.2%であったが、前年同月比では前回1.1%と前回上方修正2.0%と市場予想の1.7%を上回る3.5%に上振れする強弱混合であった。
同時発表だったドイツの1月独輸入物価指数は、前月比が前回の0.4%と市場予想の0.7%を上回る1.1%で、前年同月比も前回の2.0%と市場予想の2.7%を上回る3.1%に上振れした。
一方、夕方16時45分に発表された欧州ユーロ圏のフランスの最新経済指標の2024年10〜12月第4四半期の仏国内総生産 (GDP) 改定値は、前期比が前回と市場予想通りの-0.1%のマイナス成長に留まったが、同時発表の1月仏消費支出の前月比は前回の0.7%と市場予想の-0.7%に対し-0.5%に低下したものの市場予想ほどは低下しなかったが、同時発表の2月仏消費者物価指数 (CPI) 速報値は、前月比が前回と市場予想の0.2%に対し0.0%に低下し、前年同月比も前回の1.7%と市場予想の1.0%を下回る0.8%に下振れするなど市場予想比では強弱混合であった。
なお、今夜その後の17時55分に発表されたドイツの2月独失業者数の前月比は、前回の1.10万人と市場予想の1.50万人よりも堅調な0.50万人であったが、欧州域内で労働人口が自由に行き来できるという背景があるため、2月独失業率は前回と市場予想通りの6.2%の横ばいであった。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年2月28日の日本時間(JST)20時27分(チャート画像の時間帯は2025年3月最終日曜日まで日本から時差9時間遅れの英国冬時間の標準時間 (GMT / Greenwich Mean Time) の英国ロンドン外国為替市場時間 (GMT / JST-9) の11時27分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。米国市場も2024年11月の第1日曜日から2025年3月の第2日曜日まで米国冬時間 (EST / Eastern Standard Time / GMT-5 / JST -14) にあたるため、現在の世界市場では欧州・英国・米国市場共に冬時間で日本と標準時差になっている。
通貨ペア | JST 20:27の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 150.36 〜 150.38 | +1.15 (円安) |
ユーロ/円 | 156.33 〜 156.34 | ±0.00 (レンジ) |
ユーロ/ドル | 1.0395 〜 1.0397 | −0.0079 (ドル高) |
英ポンド/円 | 189.25 〜 189.31 | +0.27 (円安) |
スイスフラン/円 | 166.54 〜 166.60 | +0.11 (円安) |
豪ドル/円 | 93.45 〜 93.49 | −0.51 (円高) |
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