FXニュース:米失業率低下と賃金上昇
2025年2月10日
東西FXニュース – 2025年02月10日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米NFP下振れと上方修正
- 米長期金利一時4.5%台
- 米株下落時のリスク回避
- 米トランプ相互関税警戒
- 鉄鋼アルミに米関税25%
- 中15%対米報復関税発動
- 日欧米株価下落後の反発
今日2025年2月10日月曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の151円62銭付近から、円の安値でドルの高値の152円22銭付近の値幅約60銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は152円17〜19銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の151円83〜84銭付近の前東京終値比で約34銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、先週金曜日17時の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、夕方に米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.459%付近に上昇し、債券利回りを受けた金利差トレードによる日米金利差拡大時の円売りドルの買い戻しが入り、先週に日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の早期の追加利上げ予想による円高が進行した後の円の利益確定売りや持ち高調整も入ったため、先週金曜日の夜21時13分頃にドルは円相場で一時152円25銭付近に上昇し、先週木曜日17時の152円50銭付近の前東京終値比で下げ幅を縮小していた。
その影響から欧州市場と英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる先週金曜日の夜22時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時152円1銭付近の始値であったが、米国市場では先週金曜日の夜22時30分に最新米国重要経済指標の1月の米国雇用統計の発表があり、1月米国非農業部門雇用者数変化 (NFP / Non-Farm Payrolls) の前月比が前回の25.6万人と市場予想の17.0万人を下回る14.3万人に下振れしたことを受けては、発表時の22時30分に瞬時のドル売りで対ドル円相場は一時151円33銭付近に一時急落したが、1月米国失業率は前月と市場予想の4.1%よりも堅調な4.0%に改善され、さらに1月米国平均時給も前月比が前回と市場予想に0.3%を上回る0.5%で、前年同月比も前回の3.9%が前回4.1%に上方修正された上で市場予想の3.8%を上振れする4.1%に上昇し、米国雇用市場は市場予想以上に堅調であると受け止められたことでは、すぐにドルの買い戻しで反発上昇し、直後の先週金曜日の夜22時31分頃にドルは円相場で一時152円43銭付近と、米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官達の中でも市場への影響力が特に強いジェローム (ジェイ) ・パウエル議長が毎回重視して引用していることで知られる米国失業率が市場予想よりも堅調であったことや、市場予想を上回る賃金上昇分の価格転嫁によるインフレ率への注目から明後日の2月12日の水曜日の最新米国重要インフレ指標の1月の米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) への注目度が高まる中で、米国関税影響などもあり米国政策金利の先高観が再燃し、米国ニューヨーク債券市場では米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が上昇し、先週金曜日の23時15分頃には一時4.502%付近と4.5%台に達していた。
深夜24時に発表された2月の米国ミシガン大学消費者態度指数の速報値は、前回と市場予想の71.1以下の67.8に低下していたが、併せて発表された米国消費者による1年先の期待インフレ率が前月の3.3%から4.3%に大幅に上昇したほか、同時に発表された12月の米国卸売売上高の前月比も前回の0.6%と市場予想の0.5%を倍近く上回る1.0%に上昇したため、米国インフレ再燃への警戒から、次回3月の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) における米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の金利据え置き予想値が一時92%付近と、市場で確定値と考えられている70%を大幅に上回る優勢さを見せ、それに対する一部の早期の米国追加利下げ予想値は一時8%付近に後退しており、その後の5月でも米国金利据え置き予想値が74%付近と市場確定値超えの推移を見せ、米国ニューヨーク債券市場では米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は、深夜24時20分頃には一時4.511%付近に上昇していた。
しかし、米国ニューヨーク株式市場では、米国政策金利の先高観を受けた金利警戒感のリスク回避の株売りで反応し、米国主要株価三指数の中でも金利に敏感な米国ダウ工業株 (Dow Jones Industrial Average) が大幅に下落したほか、米国主要企業の決算報告期の影響もあって敏感だった米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) も大幅に下落し、米国S&P 500種株価指数 (Standard and Poor’s 500 index) も反落するなど、米国主要株価三指数が揃って前日比で安値の終値に向けたことでは、米国主要株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) では、低リスク通貨の円が買われたため、市場安値後の買い戻しが日銀の早期利上げ予想の影響でも入りやすかった円相場が反発上昇し、安全資産の米国債にも買い戻しが入ったため、午前1時35分頃には米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利も一時4.486%付近に戻した債券利回りの日米金利差縮小時の円買いドル売りも入り、午前1時45分頃には一時150円93銭付近と、米国市場の円の高値でドルの安値を記録し、昨年2024年12月10日以来の150円台になった取引時間もあった。
ただし、先週金曜日の夜には、米国ワシントンで日本政府の石破茂首相と米国政府のドナルド・トランプ大統領の日米首脳会談が注目されていたが、ドナルド・トランプ大統領が石破茂首相と初の会談の冒頭で、「相互関税の導入計画を来週公表する予定だ」と発言したとのニュース報道が話題になったほか、一部観測リーク報道では即時発動の可能性について言及された影響もあり、米国関税を巡る米国インフレ再燃の警戒感が高まり、市場高値後の円の利益確定売りと市場安値後のドルの買い戻しが入り始めた。
また、午前2時頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のアドリアナ・クーグラー理事の発言もあり、米国フロリダ州マイアミの講演で、この日に発表された1月の米国雇用統計について、「軟化や過熱のいずれの兆候もみられない健全な米国労働市場と整合している」と指摘し、同時に米国インフレ率は2022年半ばのピーク時からは大幅に低下しているものの、このところの進展は緩やかかつ不均一で、目標に対して米国インフレ率は高止まりしており、米国新政権の関税政策が経済に与える影響の不透明さも背景にあることなどから、「米国政策金利をしばらくの間据え置き、状況の推移を注視することが賢明」であると、米国追加利下げを急いでいないとタカ派寄りの発言をしていた。
午前2時16分頃にはドルは円相場で一時151円85銭付近に反発し、米国ニューヨーク債券市場でも、午前3時頃には米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は一時4.502%付近と再び4.5%台に乗せたが、同時進行中だった米国株式市場で株価下落時のリスク回避のリスクオフでは世界的な安全資産である米国債買いの影響で米国債券価格上昇時の利回り低下は抵抗要因となり、また米国主要株価三指数が揃って前日比で安値の終値をつけるなど、主要通貨に対する低リスク通貨の円買いの抵抗も続いていた影響では、対ドル円相場は152円台には上抜けせずに151円台と前ニューヨーク終値と同レベルに留まった。
なお、この日に発言のあった次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官達の中でもタカ派で知られるミシェル・ボウマン理事は、米国カンザス銀行協会のハロルド・ストーンズ政府関係会議向けの講演で、米国債券市場にストレスのかかる時期に流動性を高められる様に銀行規制を改正することなどの別のテーマの言及が主だった。
このため、先週金曜日の夜22時頃から先週土曜日の朝6時55分頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の152円43銭付近から、円の高値でドルの安値の150円93銭付近の値幅約1円50銭で、先週土曜日の朝6時55分頃のニューヨーク終値は151円41銭付近と、前営業日同時刻の151円41銭付近の前ニューヨーク終値と同じ横ばいレンジ圏をつけ、週末を迎えていた。
今朝早朝の週明けのアジア・オセアニア市場の対ドル円相場は、週末の日米首脳会談のニュースで相互関税については話題になったが、特に円安牽制などの発言が出なかった影響もあり、対ドル円相場は今朝7時頃に一時151円31銭付近から始まり、今朝8時50分に発表された日本の最新経済指標の12月の日本国際収支の貿易収支は、前回の979億円と市場予想の2277億円を大幅に下回る623億円に黒字額が縮小していた影響などで、今朝8時59分頃には一時151円88銭付近にドルが円相場で買われたため、今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時151円89銭付近の始値であった。
週末のニュースでは、先週金曜日の日米首脳会談後に石破茂首相が今後の日本の対米投資額を1兆ドル(約150兆円)規模に引き上げると表明したことについて、人工知能(AI)や半導体、自動車が中心で、酒造業や食品業も例示するなど「互いの利益になることが大事だ」とウィンウィン (Win-win) を示唆したが、日本製鉄によるUSスチール買収計画について買収でなく投資になるなどが伝わったものの、ドナルド・トランプ米国大統領が週末に、「日鉄がUSスチールに対し、過半出資をすることはない」と発言するなどしていたことに対し、日鉄幹部は「把握していない」と話したとの報道が話題になっており、年内の来日が計画される中で、日米関係の不透明さが燻っていた。
また今朝のニュースでは、ドナルド・トランプ米国大統領が米国に輸入される鉄鋼・アルミ製品に25%の関税を課すと明らかにし、米国時間で今夜10日頃に詳細を表明する予定としたが、対象国を指定しておらず、日本も対象になる公算が大きいことへの警戒感からは、今朝の日経平均株価は先物から下落して始まり、今朝9時10分頃に一時大幅安の底値になった影響では低リスク通貨の円買いの影響などで、今朝9時19分頃の一時151円62銭付近が今日の日本市場の円の高値でドルの安値となったが、その後には安値からの株の買い戻しが入り始めて反発して小幅高に向け始めたことでは、低リスク通貨の円の利益確定売りや持ち高調整が入り始めた。
日本市場では、今日は10日で日本の貿易企業の決済日が集中しやすい5と10が付く日の五十日 (ごとおび / ゴトーび) である上に、明日の2月11日は日本市場が建国記念日の祝日休場予定であるものの取引先の米国市場は平日であることもあり、今朝9時55分の日本市場の仲値決済では日本企業の輸入実需と準備金などのドル需要による円売りドル買いが強まり、先述の米国関税に絡む米国政策金利の先高観の影響も続き、今朝11時33分頃にドルは円相場で一時152円22銭付近と再び152円台に上昇し、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
ただし、時間帯が近いアジア市場では、今日から中国が対米報復関税を発動し、米国から中国が輸入する石炭や液化天然ガス(LNG / Liquefied Natural Gas)などに最大15%の追加関税を課し始めたことでは、米国関税政策を巡るリスク回避のリスクオフの影響も燻り、今日の午後15時30分に日経平均株価は3万8801円17銭の終値をつけ、前営業日比で14円15銭高と、反発上昇後も小幅高に留まったことでは、上昇後のドルには利益確定売りと持ち高調整で円の買い戻しの抵抗も入っていた。
今日の日本市場時間の時間外の米国債券市場で今朝9時台前半の日経平均株価の一時の大幅下落時には、世界的な安全資産の米国債買いの影響で一時4.482%付近まで低下していた米国10年債の利回りが指標の米国長期金利が午後の小幅高を受けて反発し、夕方からの欧州市場の参入では欧州主要株価が堅調で米国主要株価先物も反発上昇を見せた影響では、リスク選好のリスクオン (Risk-on) で米国債が売られた影響で、今夜17時頃からの英国ロンドン外国為替市場参入後の今夜17時23分頃には米国長期金利は一時4.511%と再び一時4.5%台に向けていたことでは、日本市場終了後の今夜17時34分頃にはドルは円相場で一時152円54銭付近と、日本市場の高値を円相場で更に上抜ける方向に為替相場が動いていたが、日本市場ではその前の今夜17時に今日の東京終値をつけていた。
そのため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は152円17〜19銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の151円83〜84銭付近の前東京終値比では約34銭の円安ドル高となった。
今夜この後には、最新米国経済指標の発表予定はないものの、明日と明後日に米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の中でも市場への影響力が強いジェローム・パウエル議長の要人発言予定があるほか、明後日の水曜日の最新米国重要インフレ指標の1月米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の発表イベントが注目されている。
また、世界の株式市場と債券市場やコモディティ市場などの為替相場への影響と、米国関税ディール政策や中東情勢などが引き続き注視される中で、世界情勢や政治要因や最新経済指標データなどを含めたファンダメンタルズの影響や要人発言なども世界のFXトレーダー達が注目している。
なお、今夜この後の欧州市場では、今夜23時頃から欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) のクリスティーヌ・ラガルド総裁の要人発言予定を控えている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は156円92〜93銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の157円71〜76銭付近の前東京終値と比べると約79銭の円高ユーロ安であった。
主な要因は、欧州追加利下げ予想が市場で優勢である一方で、先週の日銀の早期の追加利上げ予想による円高の影響が、景気懸念も燻る欧州ユーロや英国ポンドに対して続いたほか、米国関税を受けたリスク回避のリスクオフ後では、欧州ユーロや英国ポンドは低リスク通貨の円や世界的に流動性が高い安全資産でもあるドルに対して下落していた。
そのため、英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は188円75〜81銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の188円91〜97銭付近の前東京終値比では16銭の円高ポンド安であった。
また、ユーロドルも、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0310〜1.0312ドル付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の1.0387〜1.0389付近の前東京終値と比べると約0.77セントのユーロ安ドル高であった。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年2月10日の日本時間(JST)20時55分(チャート画像の時間帯は2025年3月最終日曜日まで日本から時差9時間遅れの英国冬時間の標準時間 (GMT / Greenwich Mean Time) の英国ロンドン外国為替市場時間 (GMT / JST-9) の11時55分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。米国市場も2024年11月の第1日曜日から2025年3月の第2日曜日まで米国冬時間 (EST / Eastern Standard Time / GMT-5 / JST -14) にあたるため、現在の世界市場では欧州・英国・米国市場共に冬時間で日本と標準時差になっている。
通貨ペア | JST 20:55の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 152.14 〜 152.15 | +0.31 (円安) |
ユーロ/円 | 157.10 〜 157.12 | −0.61 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0325 〜 1.0326 | −0.0062 (ドル高) |
英ポンド/円 | 188.61 〜 188.67 | −0.30 (円高) |
スイスフラン/円 | 167.14 〜 167.20 | −0.40 (円高) |
豪ドル/円 | 95.47 〜 95.51 | ±0.00 (レンジ) |
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