FXニュース:日銀政策金利0.25%維持
2024年9月20日東西FXニュース – 2024年9月20日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米新規失業保険申請数減
- 米連銀製造業景況も改善
- 米ダウ工業株最高値更新
- 国内物価は予想通り上昇
- 日米欧株上昇リスクオン
- 日銀追加利上げを見送り
- 日銀総裁利上げ慎重姿勢
今日2024年9月20日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の141円74銭付近から、円の安値でドルの高値の143円70銭付近の値幅約1円96銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は143円68銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の142円46〜47銭付近と比べると約1円22銭の大幅な円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因は、日本時間の昨日未明の午前3時に米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) で米国新政策金利を4.75〜5.00%に0.5%の米国大幅利下げを決定し、昨日の東京外国為替市場終了後の英国ロンドン外国為替市場では昨夜20時に英国中央銀行のイングランド銀行 (英中銀 / BoE / Bank of England) が英中銀金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) で英国政策金利を5.0%の現状維持で据え置きすることを決定したが、今日の日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の日銀金融政策決定会合では0.25%程度の日本政策金利の現状維持が決定され、市場予想通りに日銀の追加利上げが見送られたが、今後も日銀が目標とする賃金上昇を伴う2%のインフレ実現に向けていけば金融緩和度合いを中立金利に向けて調整していくという今後の日銀の追加利上げへの方向性は示唆されたものの、今日の午後15時30分頃からの植田和男総裁の記者会見では、海外市場の動向や今後のデータを見極めながら会合毎に検証し、追加利上げを急がない慎重な姿勢が示されたことが、今日の日本市場の為替相場と市場予想に影響を及ぼした。
時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の東京外国為替市場終了後の英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時142円92銭付近の始値であったが、先日に米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長が、米国雇用市場が極端に悪化しない限りは大幅な米国追加利下げを急がないことを示唆する発言をしていた後に、米国雇用市場の動向が今後の米国利下げペースに影響を与える可能性が市場で意識されていた中で、昨夜21時30分に発表された最新米国経済指標の前週分の米国新規失業保険申請件数が前回の23.0万件と前回下方修正の23.1万件と市場予想の23.0万件に対し21.9万件と今年5月以来の低水準に改善されたほか、前週分の米国失業保険継続受給者数も前回の185.0万人と前回修正の184.3万人と市場予想の185.4万人に対し182.9万人と想定以上の改善を見せ、同時発表だった9月の米国フィラデルフィア連銀製造業景気指数も前回マイナス圏だった-7.0と市場予想の-1.0を上回るプラス圏の1.7に上振れしたことを受けて、発表時の昨夜21時30分の1分間の値動きの中でドルは円相場で一時142円73銭付近から一時143円35銭付近に急伸した。
米国債券市場では、米国景気懸念の緩和などを受けた安全資産の米国債売りの影響もあり、米国債券価格低下に伴う利回り上昇が起き、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は、最新米国経済指標の発表前の昨夜21時頃の一時3.715%付近から発表後の昨夜21時50分頃には一時3.766%付近に上昇したため、債券利回りを受けた金利差トレードで日米金利差拡大時の円売りドル買いによりドルは円相場で更に上昇し、昨夜22時頃にドル円は一時143円77銭付近と昨夜の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
また、昨夜の米国ニューヨーク株式市場では、米国経済のソフトランディング (Soft landing / 軟着陸) 期待が続く中で、前日には反落していた米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種平均 (Dow Jones Industrial Average) が開場時から大幅に反発上昇して始まり、史上最高値を更新し、世界的なハイテク企業比率の高い米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) も大幅高で堅調な推移を続けており、米国S&P 500種 (Standard and Poor’s 500 index) も揃って上昇したことでも、主要株価上昇を受けたブル・マーケット (Bull market / 強気市場) 特有のリスク選好のリスクオン (Risk-on) で安全資産の米国債売りと共に低リスク通貨の円が売られていたことも、為替相場に影響を及ぼしていた。
ただし、昨夜21時30分に同時発表されていた4〜6月第2期四半期の米国経常収支は、前回の-2376億ドルと前回下方修正の-2410億ドルと市場予想の-2600億ドルを下回る-2668億ドルに悪化していたことなどもあり、安値からの米国債の買い戻しが入ったことでは、上昇後の米国長期金利が上昇幅を縮小したことでは、市場高値後のドルの利益確定売りの抵抗が入り始めたことでは、昨夜に英国政策金利を5.0%で据え置き後の英国ポンドに対してドルが売られていたことや、同時進行中だった欧州市場で欧州主要株価が上昇したことを受けて世界的な流動性の高さから欧州ユーロに対する安全資産でもあるドルが売られた外貨影響など対ドルの円相場に波及し、ドルは円相場で上昇幅を縮め始めた。
続いて、昨夜23時に発表された最新米国経済指標の8月の米国景気先行指標総合指数の前月比は、前回の-0.6%と市場予想の-0.3%を上回る-0.2%に上昇したものの依然としてマイナス圏に留まったことや、8月の米国中古住宅販売件数は、年率換算件数が前回の395万件と前回上方修正の396万件と市場予想の390万件を下回る386万件に低下したほか、前月比が前回プラス圏だった1.3%と前回上方修正の1.5%と市場予想の-1.3%を下回るマイナス圏の-2.5%に低下したことでも米国長期金利が上昇幅を縮め、昨夜23時55分頃には米国10年債の利回りが指標の米国長期金利は一時3.730%付近に戻しており、その後の反発後も再び上昇幅を失い、今朝早朝の米国ニューヨーク債券市場の終値時点の米国長期金利は3.715%付近と、昨夜21時頃の米国ニューヨーク外国為替市場の始値時点の同レベルに戻すという「往って来い」に向けていたこともあり、午前3時33〜35分頃にかけてドルは円相場で一時142円53銭付近まで売られて、今朝までの米国市場での円の高値でドルの安値を記録していた。
しかし、米国主要株価三指数中の二指数の米国ダウとナズダックの二指数が前日比で大幅高の終値をつけたことや、S&P500も上昇して終えるなど米国主要株価三指数が揃って高値で引けた後であったこともあり、米国ニューヨーク債券市場の終値時点の米国10年債の利回りの3.715%付近は、前日比で0.009上昇していたことでは、イベントリスク経過後のドルの底値は固く、今日の日銀金融政策決定会合に向けた円の持ち高調整もあり、ドル円は142円台後半のニューヨーク終値に向けていた。
このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の143円77銭付近から、円の高値でドルの安値の142円53銭付近の値幅約1円24銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は142円63銭付近と、米国市場の前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の142円29銭付近と比べると約34銭の円安ドル高をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場時間には、今日の日本市場と昼頃の日銀金融政策決定会合の新政策金利発表イベントを前にして、日本の最新重要インフレ指標の経済指標の発表があり、8月の日本全国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) は、前年同月比が前回の2.8%から市場予想通りの3.0%に上昇し、生鮮食料品を除くCPIコア指数の前年同月比も前回の2.7%から市場予想通り2.8%に上昇し、生鮮食料品とエネルギーを除くコアコアCPIの前年同月比も前回の1.9%から市場予想通りの2.0%に上昇した。
今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時142円87銭付近の始値であったが、今日の昼頃に日銀金融政策決定会合の日本の新政策金利の発表と、午後15時30分頃から日銀の植田和男総裁の記者会見の発言イベントを控えていたため、日本市場ではイベント前の持ち高調整もあり、自国通貨の円の買い戻しが入り始めたことでは、今朝時点では日本市場の円相場は反発しながら始まっていた。
また、今日の日本市場は20日で、日本の貿易企業の決済日が集中しやすい5と10が付く日の「五十日 (ごとおび / ゴトーび) 」であったことも為替相場に影響を及ぼしており、今朝9時55分の日本市場の仲値決済に向けた輸入企業の円売りドル買いの後には、輸出企業の円買いドル売りが続いたため、今朝10時31分頃には対ドルの円相場は一時142円14銭付近に反発していた。
ただし、今日の東京株式市場では、今朝までの米国主要株価上昇の影響などもあり、米国を主要取引先に持つ日本企業の株価などが上がるなど、日経平均株価が大幅に上昇して推移していたことでは、欧米市場に続くリスク選好のリスクオンでは低リスク通貨の円売りも入っていた。
更に、今日の正午前に発表された今月の日銀金融政策決定会合の結果発表では、日本の政策金利を現状の0.25%程度で維持することを全員一致で決定したことが発表されたことを受けて、午前11時52分頃にドルは円相場で一時142円78銭付近に反発した。
とはいえ、同時発表だった日銀の声明文では、「予想物価上昇率は、緩やかに上昇している」と、今後の日銀の追加利上げ方向の維持が示唆されていたことでは、午後15時半からの植田和男総裁のライブ中継での記者会見のイベントが注目され、持ち高調整と様子見の値動きが入り始めた。
一方、今日の日経平均株価は、午後15時頃に3万7723円91銭付近の終値をつけ、前日比568円58銭高の大幅高で大引けしていた。
今日の午後15時30分頃から始まった日銀金融政策決定会合後の定例記者会見での植田和男総裁の発言では、日本の経済と物価見通しが実現して行く様なら「金融緩和度合いを調整していくことになる」と、今後の日銀の追加利上げ方向の維持が改めて示されたことでは円が買われて上昇し、ライブ中継開始直後の午後15時34分頃に対ドルの円相場は一時141円74銭付近の今日の日本市場および日通しの円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、植田和男総裁は、その一方では海外経済の中でも特に米国市場の不透明感を指摘し、市場の動向などを見極めて金融政策を決めて行くことなどから「すぐ利上げだということにはならない」などと、日銀の今後の追加利上げに慎重さを示したことでは、追加利上げを急いでいないとの市場での受け止め方が強まり、市場高値後の円の利益確定売りや持ち高調整の円売りが入り始めた後に勢いを増し、ドルだけでなく英国ポンドや欧州ユーロなどの主要通貨に対しても円を売る動きが市場で強まったことで、およそ1時間以上に及んだ植田和男総裁の発言終了後には対ドルの円相場は143円台に下落しており、午後からの欧州英国市場でも円が売られていたことから、今夜17時0分の1分間の値動きの中で瞬時記録した一時143円70銭付近が今日の日本市場の円の安値でドルの高値となった。
また、植田和男総裁は、「為替の動向や物価上振れリスクが相応に減少していることで、時間的に余裕がある」としており、「今年2回の利上げの影響を踏まえつつ、徐々に中立金利への認識を深めていく段階」であることにも言及し、「ある程度まとまった情報が得られたと判断した段階で、利上げとならざるを得ない」ことなどにも言及していた。
そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は143円68銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の142円46〜47銭付近の前東京終値と比べると約1円22銭と大幅な円安ドル高になった。
その後の英国ロンドン外国為替市場でも、日銀が今月の追加利上げを見送ったことに加えて、今年年内の追加利上げを特に急いでいないことなどが市場予想に影響を及ぼした円売りが続き、今夜18時2分頃には対ドルの円相場は一時143円95銭付近に続落したほか、今夜19時41分頃にはドルは円相場で一時144円18銭付近に上昇し、その後にも144円台で上昇を続けている。
今夜この後の米国市場では、特に重要度が高い最新米国経済指標の発表予定などはないが、ニュースや債券市場と株式市場の動向や外貨影響などが引き続き注視されている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は160円35〜36銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の158円82〜84銭付近と比較すると約1円53銭の大幅な円安ユーロ高であった。
主な要因は、今日の日銀金融政策決定会合の0.25%程度の日本の政策金利の据え置きと植田和男総裁が今後の追加利上げを急がない慎重な姿勢を示した影響で、ドルだけでなく欧州ユーロや英国ポンドなどの主要通貨に対しても円相場が大幅に下落した。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.1163〜1.1164ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.1147〜1.1148ドル付近と比較すると約0.16セントのユーロ高ドル安であった。
主な要因は、前日に続き、米国大幅利下げ後の影響が見られたほか、金利据え置きの英国ポンドなどの欧州通貨が対ドルで上昇した影響がユーロドルにも波及した。
また、欧米主要株価上昇時のリスク選好のリスクオンでは、低リスク通貨の円だけではなく欧州ユーロに対する安全資産でもあるドルが売られやすかった。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は191円28〜34銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の188円72〜78銭付近と比べると約2円56銭の大幅な円安ポンド高であった。
主な要因は、前述の通り、日銀が0.25%程度の低金利で日本の政策金利を維持したことや、昨夜に英国政策金利は5.0%の高金利で維持された日英金利差が影響を及ぼしたほか、債券利回りを受けた英国長期金利上昇時の英国ポンド買いでは円だけでなくドルに対しても英国ポンドが買われていたことで、大幅な円安ポンド高になっていた。
また、今日の午後15時に発表された最新英国経済指標の8月小売売上高は、前月比が前回の0.5%と前回上方修正の0.7%と市場予想の0.4%を上回る1.0%に上昇し、前年同月比も前回と市場予想の1.4%と前回上方修正の1.5%を上回る2.5%に上振れしたことでも、英国ポンドが主要通貨に対して買われていたこともポンド円に影響を及ぼしていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年9月20日の日本時間(JST)19時50分(チャート画像の時間帯は、3月の最終日曜日から10月の最終日曜日まで英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間の時差変更がされており、今日の日本から時差8時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時50分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月の第2日曜日から11月の第1日曜日までは米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)
通貨ペア | JST 19:50の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 144.11 〜 144.13 | +1.65 (円安) |
ユーロ/円 | 160.83 〜 160.85 | +2.01 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.1158 〜 1.1160 | +0.0011 (ドル安) |
英ポンド/円 | 191.51 〜 191.57 | +2.79 (円安) |
スイスフラン/円 | 169.77 〜 169.83 | +1.34 (円安) |
豪ドル/円 | 98.16 〜 98.20 | +1.02 (円安) |
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