FXニュース:今夜から2日間の米FOMC
2024年6月11日東西FXニュース – 2024年6月11日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米長期金利上昇の影響続く
- 明日の米CPIを控え調整も
- 日米株価上昇のリスクオン
- 欧ECB追加利下げ慎重姿勢
- 欧EU政治リスクと買い戻し
- 英失業保険申請数大幅増加
今日2024年6月11日火曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の157円3銭付近から、円の安値でドルの高値の157円36銭付近の値幅約33銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は157円31〜33銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の157円0〜2銭付近の前東京終値比で約31銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と市場時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) 市場のトレンド動向の分析はまず、昨日の日本市場終了後の英国ロンドン外国為替市場では、今月6月6〜9日に実施された欧州議会選挙で、欧州連合 (EU / European Union) に懐疑的な極右の国民連合 (RN / フランス語:Rassemblement National / 英語:National Rally) や右派勢力が得票数を増やし、マクロン仏大統領の敗北によりフランス国民議会の下院解散と総選挙が決まり、欧州ユーロ圏の政治的リスクが高まったことでは、世界的に流動性が高い安全資産でもあるドルや低リスク通貨の円に対して欧州ユーロが売られていたが、減税などの主張によるフランスの財政再建の難しさなどが指摘されたことを受けては、欧州ユーロ安に加えた欧州株価下落やフランス国債安の一時トリプル安になり、債券価格低下に伴う利回り上昇で仏10年債の利回りが一時3.2%台の2023年11月以来の約7カ月ぶりの今年最大の高利回りに向かった影響では、欧州長期金利の指標銘柄であるドイツ連邦債10年物にも影響が波及して利回りが上昇し、欧州長期金利上昇を受けた日欧金利差では、低金利通貨の円に対しては欧州ユーロの買い戻しが入り始めていた。
英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時156円88銭付近の始値であったが、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 高官のドイツ連邦銀行のヨアヒム・ナーゲル総裁が、「今後の金利軌道については、なお慎重である必要」であることや、「欧州利下げサイクルは、必ずしも始まっていない」とタカ派の発言をしたことや、欧州中央銀行 (ECB) のクリスティーヌ・ラガルド総裁も、「欧州金利は、必ずしも直線的に低下する訳ではない」ことや、「まだ欧州インフレ退治の勝利宣言はしない」などと、欧州の追加利下げに慎重な発言をしたことが話題になり始めていたことでは、今夜6月11日から米国現地時間で12日 (日本時間では時差で翌日13日未明) までの2日間開催予定の米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) を控えた持ち高調整でも、同時進行する欧州市場で欧州ユーロを買い戻す値動きが入り始めた影響が対ドルにも波及したことを受けては、昨夜21時20〜21分頃にドルは円相場で一時156円80銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、米国ニューヨーク債券市場では、米国政策金利の先高観を受けては米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利も一時4.482%付近に向けて上昇していたため、日米金利差拡大による円売りドル買いが続いたことでは、ドルは円相場で反発後に上昇を続けた。
また、米国ニューヨーク株式市場でも、明日の最新米国重要経済指標の米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) と米国連邦公開市場委員会 (FOMC) のイベントを前にしたトレードでは、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) が続落後の反発上昇を見せたほか、国際的なハイテク株比率が多い米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) は史上最高値を更新するなど堅調で、米国S&P500種株価指数 (Standard and Poor’s 500) も小幅高の終値へと、三指数が揃って前営業日比小幅高に向かったことを受けては、前日までの株価下落時のリスク回避で買われていた低リスク通貨の円売りでドルが買い戻されて円相場で上昇し、午前4時0〜1分頃にドルは円相場で一時157円10銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録していた。
ただし、市場終盤には、今週の日米のイベントリスクを前にした持ち高調整や様子見の買い控えの抵抗も入ったことでは、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の156円80銭付近から、円の安値でドルの高値の157円10銭付近の値幅約30銭の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値は157円4銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の156円75銭付近と比べて約29銭の円安ドル高をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場に続き、今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時157円3〜4銭付近の始値であったが、日本市場では先週末の米国雇用統計の上振れを受けて米国高金利長期化予想が高まっていた影響が残っており、債券利回りを受けた米国長期金利上昇による日米金利差拡大の影響もあり、今朝の始値が今日の日本市場の円の高値でドルの安値となり、ドルは円相場で再び上昇を始めた。
また、日本市場の今朝の仲値決済に向けても、日本企業の輸入実需の円売りドル買い需要が見られたため、対ドルの円相場が下落した。
今朝早朝の米国主要株価三指数が揃って前日比高で終値をつけていた影響もあり、今朝の東京株式市場では米国を主要取引先に持つ日本企業の株価も堅調に始まり、上場企業の自社株買いなども相まって、今日の日経平均株価は一時前日比で200円超高の大幅高になったため、日米株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) でも国内第一安全資産の低リスク通貨の円が売られてドルが上昇したほか、リスク市場に弱い欧州ユーロの安値買いや英国ポンド買いなども入り始めていた。
日本株高を受けた利益確定売りや持ち高調整の抵抗も今週の日米イベントリスクを意識して早期から入り始めたことでは、今日の日経平均株価は午後までに上昇幅を縮めていたが、午後15時台の日経平均の終値は3万9,134円79銭と、前営業日比96円63銭高で大引けしたことでは、日米金利差も意識されて低リスク通貨の円の買い戻し需要は弱かった。
欧州市場が参入を始めていた午後15時には、最新英国経済指標の5月の英国失業保険申請件数が前回の0.89万件と前回修正の0.84万件から5.04万件へと大幅に悪化したほか、5月の英国失業率も前回の4.1%から4.3%に増加し、国際労働機関 (ILO / 英語:International Labour Organisation / 米語:International Labor Organization) 基準のILO方式の4月の英国失業率も前回と市場予想の4.3%に対し4.4%に悪化したことでは、欧州本土からやや時差遅れで夕方から本格参入した英国ロンドン外国為替市場では、世界的に流動性が高い安全資産でもあるドルに対して英国ポンドが一時急落したため、他の主要通貨に対するドル上昇圧が対ドル円相場に波及し、午後16時30分頃にドルは円相場で一時157円36銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
ただし、イベントリスクによるドルの様子見の買い控えや早期の利益確定の抵抗が入り始めていたことや、日本市場終了後には日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) によるドル売りの為替介入警戒感も高まることは、やや円相場の抵抗要因になっていた。
このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は157円31〜33銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の157円0〜2銭付近の前東京終値比では約31銭の円安ドル高になった。
今夜この後の米国市場の経済指標カレンダーのスケジュールには特に重要度の高い最新米国重要経済指標の発表予定はないものの、今夜の米国ニューヨーク債券市場では26時0分には米国10年債の入札予定を控えており、利回りが米国長期金利の指標となるため、債券利回りを受けた金利差トレードに影響を与える可能性がある。
なお、明日6月12日の夜には最新米国重要インフレ指標の米国消費者物価指数の発表イベントを控えるほか、今夜この後の6月11日から米国現地時間の12日 (日本時間では13日未明) には、2日間の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) のビッグイベントが予定されており、FOMC後の米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長の定例記者会見の要人発言予定や、米国政策金利の今後の見通しのドット・チャートなどが世界市場の注目を集めているため、持ち高調整や様子見の買い控えなども入り始めており、イベント時の値動きには注意が必要である。また、今週は6月13〜14日に日銀金融政策決定会合のイベントも予定されている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は169円31〜33銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の169円3〜4銭付近と比較すると約28銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、先述の通り、欧州中央銀行 (ECB) 総裁や高官が欧州追加利上げに慎重な姿勢を示したことや、債券利回りを受けた日欧金利差による円売りユーロ買いが入ったほか、日米株高を受けたリスク選好市場では、低リスク通貨の円が対ユーロで売られていた。
ただし、今夜その後の英国ロンドン外国為替市場では、英国株価下落などを受けたリスク回避で低リスク通貨の円が買われてリスク市場に弱い欧州ユーロが再び売られた影響もあり、今夜18時台には前東京終値比で円高ユーロ安に市場転換も見せている。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0761〜1.0763ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の1.0764〜1.0766ドル付近と比べると約0.03セントのユーロ安ドル高だった。
主な要因は、欧州ユーロ圏の政治懸念では、世界的に流動性が高い安全資産のドルが買われて欧州ユーロに対して上昇したが、今週のドルのイベントリスクもあり、欧州ユーロの買い戻しも入ったことではドルは上昇幅を一時縮小していた。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は200円10〜16銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の199円75〜81銭付近と比べて約35銭の円安ポンド高であった。
主な要因は、今日の午後の英国雇用指標は弱かったものの、英国総選挙を前に英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) が急な英国利下げ転換をしにくいという市場予想は優勢さを保っており、また英国インフレの根強さも相まって欧米長期金利上昇に連れる様に英国長期金利も一時上昇したため日英金利差の影響もあり、また今日の日本市場の日米株価上昇時のリスクオン市場では低リスク通貨の円に対して英国ポンドが買われやすかったほか、今日の夕方に英国の一部銀行株などの下落時には、株売りで自国通貨の英国ポンドの買い戻しなども入っていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年6月11日の日本時間(JST)18時40分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の10時40分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から、米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)
通貨ペア | JST 18:40の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 157.22 〜 157.23 | +0.22 (円安) |
ユーロ/円 | 168.98 〜 168.99 | -0.05 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0746 〜 1.0748 | -0.0018 (ドル高) |
英ポンド/円 | 200.17 〜 200.23 | +0.42 (円安) |
スイスフラン/円 | 175.25 〜 175.31 | +0.25 (円安) |
豪ドル/円 | 103.70 〜 103.74 | +0.17 (円安) |
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