FXニュース:米雇用統計雇用者数上振れ

2024年6月10日
FXニュース:米雇用統計雇用者数上振れ

 

東西FXニュース – 2024年6月10日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米平均賃金も市場予想以上
  • 年内の米利下げ予想が後退
  • 日本市場五十日の輸入実需
  • 今週の米CPIとFOMCを控え
  • 欧議会戦政治懸念ユーロ安

今日2024年6月10日月曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の156円72銭付近から、円の安値でドルの高値の157円19銭付近の値幅約47銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は157円0〜2銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の155円43〜44銭付近の前東京終値比では約1円57銭の大幅な円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と市場時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) 市場のトレンド動向の分析はまず、先週の日本市場終了後の先週金曜日の夜18時の英国ロンドン外国為替市場で発表された欧州ユーロ圏総合の最新重要経済指標の1〜3月四半期の欧州域内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) の確定値は、前期比が前回と市場予想通りの0.3%で、前年同期比も前回と市場予想通りの0.4%の横ばいであったが、英国市場後半の先週金曜日21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場では、対ドル円相場は一時155円59銭付近の始値だったものの先週金曜日21時30分の最新米国重要経済指標の5月の米国雇用統計発表時にイベントリスクなどもあり瞬時に155円36銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録したとほぼ同時に発表された5月の米国雇用統計の米国非農業部門雇用者数と米国平均時給が市場予想を上振れしたことで、21時30分の値動きの中で瞬時に156円44銭付近に大きく反発して上昇を始めた。

先週金曜日21時30分に発表された米国雇用統計の内容は、5月の米国非農業部門雇用者数変化 (NFP / Non-Farm Payrolls) の前月比は前回の17.5万人と前回修正の16.5万人と市場予想の18.5万人を大幅に上振れする27.2万人に上昇し、5月の米国平均時給も、前月比が前回の0.2%と市場予想の0.3%を上回る0.4%で、前年同月比も前回と市場予想の3.9%と前回上方修正の4.0%を上回る4.1%に上振れした。

ただし、インフレで追加の仕事を探していた人が正社員雇用よりも非正規やパートタイム雇用で雇用された雇用者数変化が影響を及ぼしたのではないかと一部の専門家達が指摘する様に、5月の米国失業率は前回と市場予想の3.9%に対し4.0%とやや増えていたが、米国では歴史的に失業率が4~5%でも完全雇用状態に近いと考えられる文化であるために、今回の米国雇用統計は全体的には市場予想以上に堅調であったと市場で受け止められて、賃金インフレ圧などが意識されて年内2回以上の米国利下げ予想が後退し、米国債券市場では米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が上昇し、日米金利差拡大による円売りドル買いや、欧州ユーロなどの主要通貨に対してもドル上昇が続いたことで、先週金曜日の夜23時14〜15分頃にドルは円相場で一時157円7銭付近と、先週末の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

今週6月11〜12日とその次の7月30〜31日予定されている米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) では米国政策金利の据え置き予想が確定値超えの優勢であるが、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が米国連邦公開市場委員会 (FOMC) で米国政策金利と金融政策を決める上で重視していることが知られている最新米国重要経済指標の5月の米国雇用統計の上振れを受けて、米国金利先物市場の値動きから米国政策金利の市場予想値を算出することで有名な米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) のフェドウオッチ (FedWatch) では、今年後半の9月17〜18日開催分の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) でも現在の高金利を維持する予想値が52.9%付近に大きく上昇したため、米国高金利長期化予想の再燃により、米国ニューヨーク債券市場では米国長期金利は4.435%の終値と前営業日比0.148%高に上昇しており、債券利回りを受けた金利差トレードでは、低金利主要通貨の円にとっては高金利主要通貨のドルに対する日米金利差拡大による円売りドル買いが円安要因になっていた。

今年2024年の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) は、9月17〜18日以降には11月6 〜7日と12月17〜18日の2回しか予定されていないため、今週のFOMCでは以前の今年年内に2回以上の3回の見通しであった米国利下げ予定の見通しのドットチャート (Dot Chart / Dot Plot=ドットプロットともいう) が、どう変化するのかが市場では注目されている。

一方、同時進行していた先週末の米国ニューヨーク株式市場では、米国政策金利が高金利で高止まりすることへの企業への貸付ローン金利の決算影響などへの警戒感があり、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) と米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) と米国S&P500種株価指数 (Standard and Poor’s 500) が揃って前営業比で下落の終値に向かったため、米国主要株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) ではドルからでも買える低リスク通貨の円買いがやや円安抵抗になっていたが、週末を控えた米国市場では利益確定売りや持ち高調整によるドルの買い戻しも入っていたことでは、米国雇用統計発表後の円相場の抵抗幅は小幅域になっていた。

このため、先週金曜日の夜から土曜の朝までの先週末の米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の155円36銭付近から、円の安値でドルの高値の157円7銭付近の値幅約1円71銭の値動きで、先週土曜日の朝6時頃のニューヨーク終値は156円75銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の155円61銭付近と比べて約1円14銭の大幅な円安ドル高をつけ、日本・英国・米国の世界三大FX市場の週末を迎えていた。

週明けの今朝早朝のアジア・オセアニア市場ではオーストラリア・香港・中国が祝日休場であったが、今朝8時50分に発表された4月の日本の国際収支は、季調前の経常収支は前回の3兆3988億円と市場予想の1兆7376億円に対し2兆505億円で、季調済の経常収支は前回の2兆106億円と市場予想の2兆817億円に対し2兆5241億円、そして貿易収支は円安ドル高で米国に対する輸出系の貿易黒字が一時拡大した影響もあった前回の4910億円の黒字に対し市場予想の-3478億円を下振れする-6615億円の赤字であった。

ただし、ほぼ同時発表だった日本の最新重要経済指標の内閣府の1〜3月四半期の日本実質国内総生産 (GDP) の改定値は、前期比は前回と市場予想通りの-0.5%の横ばいであったものの、物価変動の影響を除いた実質前期比年率の年率換算では前回の-2.0%と市場予想の-1.9%に対し-1.8%に上方修正されていたことを受けては、今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時156円82銭付近の始値だったが、今朝9時9分頃に対ドルの円相場は一時156円72銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、今日は10日で、日本の貿易企業の決算日が集中しやすい5と10が付く日の「五十日 (ごとおび / ゴトーび) 」であったため、今朝9時55分の日本市場の仲値決済に向けては、日本企業の輸入実需の円売りドル買いが優勢になったほか、投資系などからも前述の先週末の最新米国雇用統計を受けた米国高金利長期化予想や米国長期金利上昇による日米金利差拡大の円売りドル買いが続いたため、今日の昼の正午12時51分頃にドルは円相場で一時157円19銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

先週末の米国市場で記録した157円台の市場高値を日本市場で上抜けしたことを受けては、日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の為替介入警戒感が燻っていたことでは、市場高値後の早期の利益確定売りや持ち高調整の抵抗が入ったが、今週6月13〜14日に次回の日銀金融政策決定会合を控える日銀が、先日の一部報道で拡散した金利抑制のための公開市場操作の指し値オペの日本国債買い入れ額の減額予想の影響も残り、新発10年物の日本国債の利回りが指標となる国内長期金利も1.039%付近に向けて上昇しており、対する米国長期金利は午後からの欧州英国市場の参入もあり夕方には一時4.471%付近に向けて更に上昇を続けていたため、対ドルの円相場の反発幅は限られていた。

しかし、その一部報道後の先週に日銀の植田和男総裁が、予想インフレ率2%には「少し距離がある」とハト派寄りの発言をしたことや、中村豊明審議議員も、「当面は現状の政策の維持が妥当と考えている」とハト派発言をしていたため、今週6月13〜14日の日銀金融政策決定会合が注目されており、様子見の雰囲気になっている。

また、今日の東京株式市場では、今日の日本市場で157円台の円安ドル高が進んだ影響があり、円安による割安感で海外投資資金が流入しやすかったことや、円安で輸出製品が格安になり売りやすくなり海外競合性が強まる大手日本車などの輸出関連株が買われて株価が上昇し、日米長期金利上昇で銀行株や金融株も上がったため、午後15時台の日経平均株価の終値は3万9038円16銭付近と前営業日比354円23銭高の大幅高で、今年5月23日以来の終値ベースの高値を記録し、日本株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) でも先述の円相場が一時反発後に低リスク通貨の円が利益確定売りされたため、午後15時44分頃にもドルは円相場で一時157円17銭付近に再上昇していた。

ただし、夕方からの英国ロンドン外国為替市場の参入では、日本市場が終盤に向かうにつれて157円台の為替介入警戒感などにより、ドルの利益確定売りの抵抗も入ったため、円相場は157円付近や一時156円台後半に向けて小反発する抵抗も交えていたが、前東京終値比では、先週末の米国雇用統計上振れの影響で大幅な円安ドル高になっていた。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は157円0〜2銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の155円43〜44銭付近の前東京終値比では約1円57銭の大幅な円安ドル高になった。

今夜この後の米国市場の経済指標カレンダーのスケジュールには特に重要度の高い最新米国重要経済指標の発表予定はないものの、26時0分には債券利回りを受けた金利差トレードに影響を与える可能性のある米国3年債の入札が予定されている。

なお、米国現地時刻の明日の6月11日から12日にかけて米国連邦公開市場委員会 (FOMC) のイベントが予定されており、明後日の6月12日には最新米国重要経済指標のインフレ関連の5月の米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の発表とFOMCの結果発表と米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長の記者会見での発言予定や今後の米国政策金利の見通しのドット・チャートなどが注目を集めており、すでに持ち高調整などが入り始めているが。イベント時の大きな値動きには注意が必要である。

その米国イベント予定に続き、今週の6月13〜14日には日本の日銀金融政策決定会合のイベントも世界市場で注目されている。

欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は169円3〜4銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の169円29〜31銭付近と比較すると約26銭の円高ユーロ安であった。

主な要因は、先週末の昨日6月9日まで実施された欧州議会選では、欧州連合 (EU / European Union) に懐疑的とされる極右や右派などの議席数が増えたことや、欧州ユーロ圏のフランスやベルギーでも政治問題が浮上したため、欧州ユーロ圏の政治情勢の不透明性や警戒感などから、政治リスク回避で欧州ユーロに対して世界的に流動性が高い安全資産でもあるドルや低リスク通貨の円が買われて上昇した。また欧州株価下落も影響を与えた。

そのため、ユーロドルも、先週末の米国雇用統計上振れによる米欧金利差予想のドル買いに加えて、前述の欧州政治懸念のユーロ売りで上昇し、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0764〜1.0766ドル付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の1.0891〜1.0892ドル付近と比べると約1.27セントの大幅なユーロ安ドル高になっていた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は199円75〜81銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の198円95銭〜199円1銭付近と比べて約80銭の円安ポンド高であった。

主な要因は、欧州連合 (EU) をすでに離脱後の独自通貨を持つ英国ポンドは今回の欧州議会の政治懸念では特にドルや円に対して日本市場では売られていなかったため、英国総選挙を前にして英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) が急に利下げ転換をしにくいという市場予想や英国インフレの根強さもあり、米国長期金利上昇につられる様に一時は英国長期金利も上昇していたため、今日の円相場では高金利通貨の英国ポンドに対する日英金利差の影響の方が大きかった。

ただし、今夜その後の英国ロンドン外国為替市場では、欧州離脱後も英国は欧州ユーロ圏と地理的・経済圏が近いため、リスク市場に弱い英国ポンドも、欧州市場での一部株価の下落を受けて低リスク通貨の円に対しての上昇幅を縮めている。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年6月10日の日本時間(JST)19時27分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時27分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から、米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)

通貨ペア JST 19:27の為替レート 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 156.78 〜 156.79 +1.35 (円安)
ユーロ/円 168.31 〜 168.33 -0.98 (円高)
ユーロ/ドル 1.0734 〜 1.0736 -0.0157 (ドル高)
英ポンド/円 198.96 〜 199.02 +0.01 (円安)
スイスフラン/円 174.81 〜 174.87 +0.12 (円安)
豪ドル/円 103.27 〜 103.31 -0.41 (円高)


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