FXニュース:日本政府の為替介入準備発言
2024年3月25日東西FXニュース – 2024年3月25日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 円安株高進行後の持ち高調整
- ドル円152円前の上値抵抗線
- 米長期金利先週末終値4.19%
- 四半期末前と五十日輸入実需
- 日経平均株価反落リスク回避
- 米長期金利の低下後の反発も
- 欧ECB高官の利下げ時期発言
- 今週末からのイースター控え
今日2024年3月25日月曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の151円42銭付近から、円の高値でドルの安値の151円5銭付近の値幅約37銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は151円31〜33銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の151円42銭付近の前東京終値比で約9銭の小幅な円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、先週金曜日の朝10時50分頃の日本の東京外国為替市場では一時151円86銭付近の今年最大の円安ドル高を記録した後に、昨年2023年11月13日に記録した一時151円91銭付近や2022年10月21日の一時151円95銭付近がレジスタンスラインとして意識され、152円台手前では日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の為替介入警戒もあって、利益確定や持ち高調整の抵抗が入ったトレンドの影響が続いた。
先週金曜日の夕方の英国冬時間の英国ロンドン外国為替市場では、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会高官のドイツ連邦銀行のヨアヒム・ナーゲル総裁が、「8月の夏季休暇前に、最初の欧州利下げが実施される可能性が高まっている」と発言したこと受けて欧州長期金利が低下し、欧州ユーロが売られていたことや、「ただし、それに続く毎回の会合でも、連続の欧州利下げが起きるとは見なされるべきではない」とのフォローアップはあったものの、マルタ中銀のシクルーナ総裁の「早ければ4月に欧州利下げに踏み切る可能性も排除すべきではない」との発言などもあり、それに対して米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.24%台付近で安定推移していた頃には、欧州や英国の利下げ転換時期の市場予想の影響や、欧州と米国の経済指標の違いによるインフレ圧が意識されていたこともあり、先週金曜日の夜17時53分頃のドルは円相場で一時151円65銭付近まで英国ロンドン外国為替市場では買い戻されていた。
しかし、先週金曜日の夜21時頃から始まった米国夏時間の米国ニューヨーク外国為替市場では、通常の週末を控えた利益確定や持ち高調整に加えて、翌週にあたる今週末に3月末の四半期末決算を控えていることや、3月29日の米国市場と欧州英国市場双方の祝日休場予定の聖金曜日 (Good Friday / グッドフライデー) から、サマータイム (Summertime) 制度のある英国夏時間に時差変更予定の3月31日の日曜日の週末後の4月1日の月曜日も英国市場と欧州市場などは春の復活祭のイースター (Easter) ホリデーのイースターマンデー (Easter Monday) の休暇時期であることもあり、持ち高調整の値動きが強まった。
そのため、先週金曜日の夜21時頃から始まった先週末の米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時151円47銭付近の始値で、先週金曜日21時8分頃に一時151円49銭付近の先週末の米国市場の円の安値でドルの高値を記録したが、米国ニューヨーク債券市場では先週に米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が今月の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) で年内の米国利下げの見通しを3回のままで維持したことを受けた四半期末前の持ち高調整により、今年6月頃からの米国利下げ開始予想が市場で高まり、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が先週金曜日21時前頃までの英国ロンドン外国為替市場での一時4.24%台から、先週金曜日22時過ぎの米国ニューヨーク債券市場では一時4.20%台付近に向けて一時急落したため、債券利回りを受けた日米金利差縮小時の円買いドル売りにより、先週金曜日21時27分にドルは円相場で一時151円0銭付近の先週末の米国市場での円の高値でドルの安値を記録した。
また、先週金曜日の夜22時頃から始まった市場が注目していたジェローム・パウエル議長の発言は、イベントの挨拶程度に留まり、今回は特に金融政策について言及しなかったことも要人発言への警戒緩和による利益確定や持ち高調整につながった。
ただし、午前4時頃からの米国アトランタ連銀のラファエル・ボスティック総裁の発言ではタカ派発言もあり、彼は米国連邦公開指標委員会 (FOMC) メンバーの19人の中で彼を含めて9人が前回考えていたという年内2回の米国利下げが適切との意見に対し、以前と同じ初回は今年夏になる可能性が高い年内3回の米国利下げ見通しの決定は、「ぎりぎりの判断だった」と言い、「向こう数週間でどのような最新データが出てくるかを見守る必要がある」とデータ重視の姿勢も強調した上で、米国インフレ抑制への確認が持てない場合には、米国の利下げ時期が見通しよりも後期にずれる可能性も高く、今年の年内の米国利下げが自身の前回予想の2回どころか1回に留まる可能性もあることも現時点で予想していること明らかにしているという発言は抵抗要因になり、午前4時46分頃にはドルは円相場で一時151円48銭付近に買い戻されていた。
しかし、先行きデータの不透明感もあることに加えて、同時進行していた米国ニューヨーク株式市場でも、前営業日に史上最高値を記録後の米国主要株価三指数にも四半期前の利益確定や持ち高調整の株売りが起きており、米国主要株価三指数が揃って下落の終値に向かったことや、米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) が前営業日比で大幅安になり、米国株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) でも安全資産の米国債が買われたため、米国債券価格上昇に伴う利回り低下の影響で、米国10年債の利回りが指標の米国長期金利が一時4.19%台に向けて低下して債券市場の終値をつけたため、日米金利差縮小時の低リスク通貨の円買いドル売りがあったことでは、ドルの反発幅は限られていた。
このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の151円49銭付近から、円の高値でドルの安値の151円0銭付近の値幅約49銭で、先週土曜日の朝6時頃の先週末の米国夏時間のニューヨーク終値は151円41銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の151円62銭付近と比べて約21銭の円高ドル安をつけていた。
週が明けて、今朝早朝のアジア・オセアニア市場時間の8時50分には日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) 日銀金融政策決定会合議事要旨が発表されたほか、それに先立った今朝早朝8時台には日本政府の神田真人財務官が、最近の為替相場での円安進行に対し、日銀のマイナス金利解除に言及し、「違和感を持っている。日米金利差は明らかに縮小し、今後も縮小が期待される」が、「ファンダメンタルズ(Fundamentals / 経済の基礎的条件) に沿った方向ではなく、明らかに投機が背景にある」と円安を牽制し、為替介入を含めた「あらゆる手段を排除せずに適切に行動する。すでに準備ができている。それは今に限らない」と発言していたため、口先介入と為替介入の示唆を受けた市場では、日本政府と日本銀行の為替介入への警戒感が高まり、円相場は今朝8時台に一時151円8銭付近に上昇していた。
今朝9時頃からの今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時151円31銭付近の始値であったが、今朝9時55分の日本市場の仲値決済に向けては、今日は25日で来週の30日が土曜日にあたるため、今日が実質的な3月末を控えた四半期末の日本の貿易企業の決算日が集中しやすい5と10が付く日の「五十日」(ごとおび / ゴトーび)で、日本企業の輸入実需の円売りドル買いが優勢であったことや、今朝早朝に為替介入警戒域の151円台後半からやや離れた前半から押し目買いが入っていたことでは、ドルは円相場で今朝9時31分頃には一時151円42銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、輸入実需に続いては輸出企業の円買いドル売りも入ったほか、今朝は米国長期金利が低下していた日米金利差縮小時の円買いや、今朝の日本政府の発言のニュースを受けた為替介入警戒感による円売りに加えて、先週末の米国主要株価三指数下落のトレンドの影響を受け、先週には同じく史上最高値を更新した後の今日の日経平均株価も、今日の東京株式市場で下落したことを受けては、日米株価下落時のリスク回避のリスクオフの低リスク通貨の円買いも加わって円相場が再び反発上昇し、午前11時52分頃に対ドル円相場は一時151円5銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
その後には、日本市場時間の時間外の米国債券市場で米国長期金利が4.21%台から4.22%台に向けて反発したほか、午後からの欧州英国市場の参入後の夕方には一時4.23%台に向けて上昇したため、日米金利差拡大時の高値の円の利益確定売りでドルが買い戻される抵抗も入り始めた。
ただし、今日の午後15時台には、先述の今日の日経平均株価は4万414円12銭の終値をつけ、前営業日比で474円31銭安の大幅安で大引けしたことを受けては、国内第一安全資産の低リスク通貨の円買いや、為替介入警戒の持ち高調整の円買いや円の買い戻しの抵抗も混ざっていた。
このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は151円31〜33銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の151円42銭付近の前東京終値比では約9銭の小幅な円高ドル安になっていた。
今夜この後には、最新米国経済指標の発表予定や米国債入札と次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の発言予定があり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時25分頃から米国アトランタ連銀のボスティック総裁の再発言予定、23時に2月の米国新築住宅販売件数、23時30分頃からFRBのクック理事の発言予定、26時に米国2年債入札予定などを控えている。
一方、欧州ユーロの円相場は、今夜17時の今日の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は163円61~63銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の163円87~89銭付近の前東京終値比では約28銭の円高ユーロ安であった。
主な要因は、日本政府の発言を受けた為替介入警戒感による円買いの影響や、日米株価下落時のリスク回避のリスクオフでも低リスク通貨の円に対して欧州ユーロが売られやすかった。
ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0813〜1.0817ドル付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の1.0826〜1.0828ドル付近の前東京終値比では約0.13セントのユーロ安ドル高であった。
主な要因は、先述の通り、欧州中央銀行 (ECB) 理事会の高官達の発言の影響を受けて、早期の欧州利下げ予想による欧州ユーロ売りの影響が見られた。
ただし、今週金曜日からキリスト教のイースターホリデーを米国市場よりも長期で控える市場を含める欧州英国市場では、欧州ユーロの買い戻しの抵抗も入っている。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は190円59〜65銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の190円81〜87銭付近の前東京終値比では約22銭の円高ポンド安であった。
主な要因は、先週の英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) の金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) では英国追加利上げのタカ派投票がなく、地理的に近い欧州やスイスの金融政策の影響もあり、英国利下げ時期に関する市場予想が高まっていた影響が続いた影響に加えて、日米株価下落時のリスク回避や為替介入警戒では欧州ユーロ同様に低リスク通貨の円に対して英国ポンドも一時下げていた。
しかし、今日の日本市場終了後の英国ロンドン外国為替市場では、今週金曜日から英国のイースターホリデーの大型連休を控えているため、ホリデー時期を前にした早期の利益確定や持ち高調整で英国ポンドの買い戻しが始まったことでは英国ポンドは円相場で反発し、今夜20時台には前東京終値比で円安ポンド高に市場反転も見せている。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年3月25日の日本時間(JST)20時58分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の11時58分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、サマータイム制のある英国市場の英国夏時間 (BST / JST-8) への変更は今週末の3月最終日曜日の3月31日からであるが、米国市場では3月第二日曜日の3月10日から既に米国夏時間 (EDT / JST-13) になっており、日本市場や英国市場との時差が1時間変わっていることには注意が必要である。)
通貨ペア | JST 20:58の為替レート | 前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 151.30 〜 151.32 | -0.12 (円高) |
ユーロ/円 | 163.84 〜 163.85 | -0.03 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0827 〜 1.0828 | ±0.0000 (レンジ) |
英ポンド/円 | 191.16 〜 191.22 | +0.35 (円安) |
スイスフラン/円 | 168.47 〜 168.53 | +0.13 (円安) |
豪ドル/円 | 98.80 〜 98.84 | +0.18 (円安) |
注意:
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