FXニュース:米国債買いで米長期金利低下

2024年2月07日
FXニュース:米国債買いで米長期金利低下

 

東西FXニュース – 2024年2月7日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 堅調な米国債入札で価格上昇
  • 米地銀不透明感のリスクオフ
  • 年内ドル高後の利益確定売り
  • 米FRB高官発言利下げ急がず
  • 欧ECB専務理事インフレ警戒
  • 英経済懸念が利下げ支持要因

今日2024年2月7日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の147円71銭付近から、円の安値でドルの高値の148円6銭付近の値幅約35銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は147円84~85銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の148円51~52銭付近の前東京終値比では約33銭の円高ドル安であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨夜20時1分頃の英国ロンドン外国為替市場では、米国長期金利が一時4.16%台に上昇したことを受けた日米金利差拡大により、ドルは円相場で一時148円79銭付近に上昇して高値圏で推移していたが、昨夜22時頃からの米国ニューヨーク外国為替市場に向けて、安値圏からの米国債買いや高値後のドルの利益確定売りが混ざり始めたことでは、対ドル円相場のニューヨーク始値は一時148円59銭付近で、昨夜22時46分頃の一時148円65銭付近が米国市場の円の安値でドルの高値となり、その後は円相場でのドルの市場高値後の利益確定売りや安値後の低リスク通貨の円買いの影響もあって、円相場が反発上昇を始めた。

昨夜の米国市場では、米国債入札を控えた米国債券買いも堅調で、米国債券価格上昇に伴う利回り低下の影響で、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が上昇後の低下に転じたため、円相場で前日に今年のドルの最高値を記録後の高値圏のドルには、日米金利差縮小もあって利益確定売りが入りやすくなった。

また、同時進行中だった米国ニューヨーク株式市場では、先日の決算報告後に株価が大幅下落した米国地方銀行のニューヨーク・コミュニティ・バンコープ (New York Community Bancorp / NYCB) の株価が続落し、原因となった商業用不動産市場について、米国政府のイエレン財務長官が米国連邦下院公聴会で「制御可能だが、警戒している」と発言したことで、米国金融機関の先行き不透明感によるリスク回避のリスクオフ (Risk-off) でも安全資産の米国債が買われて米国長期金利が低下を続けたため、日米金利差縮小時による円買いドル売りで、低リスク通貨の円が買われやすくなり、対ドルの円相場が反発上昇した。

米国ニューヨーク債券市場では午前3時に米国3年債の入札が行われて、堅調な入札結果を受けた債券価格上昇に伴う利回り低下の影響が他の種類の米国債にも波及したことで、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は一時4.08%台付近まで大幅に低下したことから、日米金利差縮小による円買いドル売りに加えて、他の主要通貨に対してもドルが売られたため、午前3時2分頃にドルは円相場で一時147円82銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

ただし、米国ニューヨーク株式市場では、先述の一部の地方銀行株の続落以外では、最近の堅調な米国雇用市場や経済指標を受けて全般的な米国主要株価三指数は前日比で揃って上昇の終値に向かったことでは、リスク選好のリスクオン (Risk-on) で市場高値後の低リスク通貨の円の利益確定売りでドルが買い戻されて抵抗になったほか、米国長期金利も債券価格上昇後の利益確定売りの影響が始めて、4.10%台の米国債券市場の終値になっていた。

また、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の発言の影響もあり、米国クリーブランド連銀のメスター総裁は午前2時頃から始まった講演で、今年の利下げ開始時期について、「米国のインフレが、持続的かつ適宜に2%の目標に向かうという十分な確証が持てない中での早急な米国利下げは、間違いとなり得る」と発言していたことがニュースで流れ始めて、先日のパウエル議長同様に今年の米国の利下げ開始を急がない姿勢を見せたことで、次回3月の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) での米国利下げ予想が減退を続け、金利先物市場の動向から市場予想値を示すことで有名なフェドウォッチ (FedWatch) でも、次回3月の米国政策金利の金利据え置き予想値が確定値の70%を超える78.5%付近の優勢さを保っていることも、米国長期金利の反発や、円相場や主要通貨に対するドルの買い戻しの抵抗の一因になっていた。

しかし、昨夜は米国長期金利の低下に連動するように、欧州や英国の国債利回りも低下したため、日米欧英金利差縮小時にはドルだけでなく主要通貨に対する円買いも入っていた影響は残っていた。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の148円65銭付近から、円の高値でドルの安値の147円82銭付近の値動きで、今朝7時前頃のニューヨーク終値は147円94銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の148円68銭付近と比べて約74銭の円高ドル安をつけていた。

今朝早朝のアジア・オセアニア市場では、祝日休場明けのオセアニアのニュージーランドの前四半期の最新雇用統計が市場予想を上回り、世界的に流動性の高い安全資産でもあるドルがやや売られた影響などもあり、今朝9時頃からの日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時147円82銭付近から始まった。

今朝9時55分頃の日本市場の仲値決済に向けた円売りドル買い需要があったことや、今朝の日本市場の時間外の米国債券市場では、米国長期金利が一時4.10%台後半に上昇していた時には日米金利差拡大時の円売りドル買いも入り、ドルは今朝までの下げ幅を縮め始めたが、仲値決済後に米国長期金利が米国債買いの影響で一時4.08%台に再び低下した時間には日米金利差縮小時の円買いドル売りや、日経平均株価の一部下落を受けた持ち高調整の低リスク通貨の円の買い戻しが入り、午前10時49分頃にドルは円相場で一時147円71銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、米国長期金利は低下後に反発を見せ始めたことでは市場高値後の円売りドル買いも入ったほか、午後15時頃からの欧州市場の参入もあって米国長期金利が一時4.10%台付近に再び上昇すると、日米金利差拡大時の円売りドル買いが続き、午後15時49分頃にドルは円相場で一時148円6銭付近の円の安値でドルの高値を記録し、今朝までの下げ幅を縮めていた。

ただし、今日の午後15時台には東京株式市場で日経平均株価が3万6119円92銭の終値をつけて前日比で40円74銭安の小幅安で大引けしたことでは、日本株価下落時のリスク回避のリスクオフで低リスク通貨の円買い需要もあったことや、欧州市場のドイツやフランスから時差で1時間遅れの英国ロンドン外国為替市場が午後16時頃から本格参入すると、米国債買いで米国長期金利が再び一時4.08%台付近に低下したため、日米金利差縮小時の円買いドル売りと、現地実需も相まって対ドルで欧州や英国通貨が買い戻されたため、午後16時39分頃にドルは円相場で一時147円75銭付近に再び低下した。

この安全資産の米国債買いによる利回り低下で米国長期金利が一時低下した一因は、今日の午後16時に発表された欧州ユーロ圏の主要国ドイツの最新経済指標の昨年12月の独鉱工業生産が、前月比は前回の-0.7%と前回修正の-0.2%と市場予想の-0.4%に対し-1.6%に大幅に低下したことや、前年同月比では前回の-4.8%と前回修正の-4.3%よりはやや改善されたものの市場予想の-2.4%を下回る-3.0%であった欧州景気懸念による安全資産の国債買いの影響も見られた。

しかし、午後16時45分に発表された欧州ユーロ圏のフランスの最新経済指標の昨年12月の仏貿易収支は、前回の-59.43億ユーロと前回修正の-59.39億ユーロに対し-68.29億ユーロに悪化したが、同12月の仏経常収支は、前回の-28億ユーロと前回修正の-29億ユーロに対しマイナス圏ながらも-7億ユーロに改善されており、強弱入り混じっていた。

一時低下後の米国長期金利が債券価格上昇後の利益確定売りの影響もあって、今夜19時台の英国ロンドン外国為替市場での一時4.12%台付近に向けた反発上昇を始めたことでは、ドルは反発を始めて円相場で下げ幅を縮め始めたが、その途中で今夜17時の東京終値を迎えた。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は147円84~85銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の148円51~52銭付近の前東京終値比では約33銭の円高ドル安になっており、3営業日ぶりの対ドルの円相場が反発していた。

今夜この後にも、最新米国経済指標の発表予定や、米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の発言予定と米国債の入札予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時に米国MBA住宅ローン申請指数、22時30分に12月の米国貿易収支、深夜24時30分に週間の米国原油在庫、25時頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つFRBのクーグラー理事の発言予定、25時30分頃から米国ボストン連銀のコリンズ総裁の発言予定、26時30分頃から次回FOMC投票権を持つ米国リッチモンド連銀のバーキン総裁の発言予定、27時に債券利回りが米国長期金利の指標となる米国10年債の入札予定、28時頃から次回FOMC投票権を持つFRBのボウマン理事の発言予定、29時に12月の米国消費者信用残高の発表などが予定されている。

一方、今日の欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は159円28〜29銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の159円69〜71銭付近の前東京終値比で約41銭の円高ユーロ安であった。

主な要因は、欧州ユーロ圏の景気懸念は早期の欧州利下げ開始につながる可能性があることなどから、安全資産の米国債買いに連れるように欧州債も買われて欧州長期金利が低下したため、日欧金利差縮小時の円買いユーロ売りや、低リスク通貨の円買いがあったことに加えて、対ドルでの円相場の上昇の影響が他の主要通貨である欧州ユーロにも円高圧として波及したが、今日の夕方のニュースでは欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会のシュナーベル専務理事の欧州の根強いサービス・インフレ警戒発言などもあったため、日欧金利差もあり小幅域に留まった。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0772〜1.0774ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0752〜1.0754ドル付近の前東京終値比で約0.20セントのユーロ高ドル安であった。

主な要因は、先述の米国長期金利低下時の主要通貨に対するドル売りは、前日の対円や対ユーロでも今年の高値圏を記録後のドルの利益確定売りと持ち高調整と相まったため、円相場だけでなく、欧州ユーロも今日の東京終値では対ドルで反発上昇した。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は186円70〜76銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の186円45〜51銭付近の前東京終値比で約25銭の円安ポンド高であった。

主な要因は、前日までに年内高値圏を記録後のドルの利益確定売りで、今日は英国ポンドに対しても売られて英国ポンドが上昇した影響が、日英金利差のあるポンド円にも波及した。

ただし、昨夜の英国ロンドン外国為替市場では、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoJ / Bank of England) 金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) のメンバーで、前回の英国政策金利の据え置き決定に反対票を投じて今年早期の英国利下げを支持したディングラ氏が、英国経済紙のインタビューで、今年早期の英国利下げ支持の投票理由として、英国経済の景気懸念を挙げており、金融政策の高金利維持の決定について、「英国経済の下振れのリスクを、過小評価しているのではないかと、むしろ懸念している」と発言した報道を受けては、英国景気懸念が原因となって今年早期の英国利下げ開始の可能性もあり得ることから、昨夜は英国債も買われて利回りが指標となる英国長期金利も一時低下していたが、他のメンバーに英国のインフレ警戒で英国利上げ支持の票もあったことでは反発も見せた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年2月7日の日本時間(JST)20時28分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の11時28分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:28の為替レート 前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 147.98 〜 147.99 -0.53 (円高)
ユーロ/円 159.35 〜 159.37 -0.34 (円高)
ユーロ/ドル 1.0767 〜 1.0769 +0.0015 (ドル安)
英ポンド/円 186.89 〜 186.95 +0.44 (円安)
スイスフラン/円 169.53 〜 169.59 -1.18 (円高)
豪ドル/円 96.59 〜 96.63 -0.03 (円高)


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