FXニュース:米雇用指標が市場予想上回る

2024年2月05日
FXニュース:米雇用指標が市場予想上回る

 

東西FXニュース – 2024年2月5日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米経済堅調で利下げ予想減退
  • パウエル議長データ重視発言
  • 米長期金利受けた日米金利差
  • 株価影響のリスク選好と回避

今日2024年2月5日月曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の148円82銭付近から、円の高値でドルの安値の148円27銭付近の値幅約55銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は148円49~50銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の146円63~64銭付近の前東京終値比では約1円86銭の大幅な円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、先週金曜日の夜22時頃から始まった先週末の米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、最新米国重要経済指標の発表イベントを控えた持ち高調整の影響などで一時146円58銭付近から始まり、先週金曜日22時17分頃に一時146円55銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録したが、先週金曜日22時30分に発表された米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が重視する最新データの今年1月の米国雇用統計が市場予想を大幅に上回ったことで、円相場でドルが大幅な上昇を始めた。

最新米国雇用統計の1月の米国非農業部門雇用者数変化 (NFP / Non-Farm Payrolls) の前月比は前回の21.6万人が前回大幅上方修正で33.3万人になったほか、悪化予想だった市場予想の18.0万人に反して、市場予想を遥かに上回る35.3万人に上昇し、1月の米国失業率も市場予想の3.8%に対し前回と同じ3.7%と堅調さを保ち、1月の米国平均時給も前月比が前回の0.4%と市場予想の0.3%に対し0.6%に上昇し、前年同月比も前回の4.1%が4.3%に上方修正された上に市場予想の0.3%を倍上回る0.6%の上昇率と好調で、「今後のデータ次第」と言われていた次回3月の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) での米国利下げ予想率が大幅に減退し、上昇していた3月の米国金利据え置き予想が確定値の70%を超える80%台の優勢になり、米国政策金利の先高感から米国長期金利が大幅に上昇し、日米金利差拡大による円売りドル買いや、欧州ユーロや英国ポンドなどの主要通貨に対するドル買いが起きて一時ドルが全面高を記録し、ドル円は発表時から147円台に高騰して上昇を続け、先週金曜日23時過ぎには一時148円台に乗せ始めた。

深夜24時に発表された最新米国経済指標の今年1月の米国ミシガン大学消費者態度指数の確報値も、前回の78.8と市場予想の78.9を上回る79.0に上昇し、堅調な米国雇用市場と米国経済を受けて、米国ニューヨーク債券市場では米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が米国政策金利の高止まり感から大幅に上昇しており、米国雇用統計などの発表以前の一時3.88%台付近から発表後の一時4.05%付近に向けて急騰し、先週土曜の午前1時台に米国長期金利は一時4.05%付近に日米金利差が拡大したため、午前1時57分頃にドルは円相場で一時148円59銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

また、米国長期金利の上昇を受けた連れ高で欧州長期金利も一時2.2%台前半付近に上昇したほか、英国長期金利も一時3.9%台前半になっていたため、日米欧英金利差を受けた主要通貨に対する円売りが入っていた影響も対ドル円相場に波及していた。

さらに、堅調な米国雇用市場や米国経済を背景に、同時進行していた米国ニューヨーク株式市場でも米国主要株価三指数が上昇し、安全資産の米国債売りによる利回り上昇でも米国長期金利が上昇していたため、日米金利差拡大の円売りドル買いに加えて、株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) でも低リスク通貨の円が売られたことも影響を及ぼした。

しかし、週末を控えた市場では、一時全面高を記録後のドルの利益確定売りがやや抵抗要因となったほか、米国現地時間の東部標準時 (EST / Eastern Standard Time) で週末日曜日の夜19時 (時差で英国 (GMT / Greenwich Mean Time) は深夜24時で、日本 (JST / Japan Standard Time) では翌日にあたる月曜の朝の今朝9時) に米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長の発言インタビューが米国CBSニュースのテレビ番組の60ミニッツ (60 Minutes) 出演で放映される予定が注目されていたことなどでも、週末を控えた持ち高調整が入っていた。

このため、先週金曜の夜から土曜の朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の146円55銭付近から、円の安値でドルの高値の148円59銭付近の値動きで、先週土曜の朝の先週末のニューヨーク終値は148円38銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の146円43銭付近と比べ約1円95銭の大幅な円安ドル高をつけていた。

週が明けて月曜日になり、先週末の米国雇用統計や経済指標を受けた早朝のアジア・オセアニア市場でのドル買いに続き、今朝9時頃からの今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場が一時148円51銭付近から始まったが、今日の日本市場は5日で、日本の貿易企業の決済日が集中しやすい5と10がつく日の「五十日」 (ごとおび / ゴトーび) であったため、今朝9時55分の仲値決済に向けた日本企業の輸入実需の円売りドル買い需要が先行し、今朝9時38分頃にドルは円相場で一時148円82銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

また、今朝9時頃から先述のパウエル議長のインタビューが放送されており、米国現地時間では先週木曜に録画されたため、先週金曜の最新米国雇用指標発表前の発言であったにも関わらず、それまでの堅調な米国雇用市場や経済を受けたソフトランディング (Soft Landing / 軟着陸) 期待の中でも、「現在は良い状況に進んでいるが、米国のインフレ率が2%の目標に向かって持続的に低下していることを確信するために、さらなる良いデータを確認したい」と最新データを重視する姿勢や、堅調な米国雇用市場と経済指標があれば、昨年の時点での見通しで年内に利下げを開始する見通しがあっても今後のデータ次第で決めるもので、「いつ米国利下げを始めるかという問題には、慎重に取り組むことができると思っている」と、米国利下げを急がない発言があったことでも、今朝9時台には米国長期金利が一時4.09%台付近に上昇し、日米金利差拡大でもドルが買われて上昇していた。

ただし、今月初めの五十日で日本企業の輸入実需の円売りドル買いでドルが日本市場の高値を記録した後には、輸出企業の円買いドル売りや、投資系の高値圏からのドルの利益確定などが抵抗として入り始めたほか、日本時間の時間外の米国債券市場では安値からの米国債買いが入って債券価格上昇に伴う利回り低下が起き始めたことで、米国長期金利が一時4.06%台付近にまで低下したことを受けては、日米金利差縮小時の円買いドル売りもやや入って対ドルの円相場が反発して下げ幅を縮め、午後15時45分頃にドルは円相場で一時148円27銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、15時台には週明けの日本の東京株式市場で日経平均株価 (Nikkei Stock Average) が上昇して3万6354円16銭の終値をつけ、前営業日比で196円14銭高の大幅高で大引けした後であったため、日本株高時のリスクオンで低リスク通貨の円が売られやすくなり、また夕方には英国ロンドン外国為替市場の本格参入により、米国長期金利が再び上昇して夕方17時台の一時4.10%台付近に向けたことでも、ドルが再び買われて反発した。

なお、米国金利先物から米国政策金利誘導目標のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートの市場予想値を示すことで有名なフェドウォッチ (FedWatch) では、次回3月の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) での金利据え置き予想は今日のこの時点でも84.5%の確定値超えであったことに対して、小幅な利下げ予想値は15.5%に減退していた。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の為替相場の対ドル円相場の終値は148円49~50銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜の夜17時の146円63~64銭付近の前東京終値比で約1円86銭の大幅な円安ドル高になった。

今夜この後にも、最新米国重要経済指標の発表予定や米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の発言予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜23時45分に今年 1月の米国総合購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers Index) と 1月の米国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の改定値が発表され、深夜24時には最新重要米国経済指標の 1月の米国サプライマネジメント協会 (ISM / Institute of Supply Management) 非製造業景況指数、その後の28時頃から今年から米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持った米国アトランタ連銀ボスティック総裁の発言予定などを控えている。また、米国主要企業の決算報告後の米国株式市場からの影響にも注意が必要である。

一方、今日の欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は160円5〜10銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の159円53〜58銭付近の前東京終値比で約52銭の円安ユーロ高であった。

主な要因は、先週末の米国長期金利上昇の影響で欧州や英国の長期金利も連れ高になったため、日欧金利差拡大時の円売りユーロ買いが入っていた影響や、主要通貨であるドルに対する大幅な円安の影響もユーロ円に波及していた。

また、今日の午後16時に発表された欧州ユーロ圏主要国のドイツの最新経済指標の昨年12月の独貿易収支が前回の204億ユーロと前回修正の208億ユーロと市場予想の187億ユーロを上回る222億ユーロに上昇した。

今夜17時50分には欧州ユーロ圏のもう一つの主要国のフランスの今年1月の仏サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) 改定値も前回と市場予想の45.0を上回る45.4で、続いての今夜17時55分のドイツの1月の独サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) 改定値も前回と市場予想の47.6をやや上回る47.7であったが、今夜18時に発表された欧州ユーロ圏総合の1月の欧州サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) 改定値は前回と市場予想通りの48.4であったことに加えて、いずれも好景気と不景気を分けるボーダーライン (Borderline / 境界線) の50を下回ったことでは、欧州景気懸念もやや燻っていた。

一方で、今夜19時に発表された欧州ユーロ圏総合の最新欧州経済指標の昨年12月の欧州卸売物価指数 (PPI / Producer Price Index) の前月比は、前回の-0.3%に対し市場予想通りの-0.8%に鈍化し、前年同月比も前回の-8.8%と市場予想の-10.5%よりも鈍化した-10.6%であったことでは、今年早期の欧州利下げ予想もあり、対ドルなどでユーロが売られたため、発表後の今夜20時台には前日比で一時横ばいレンジ圏付近や僅差の小幅域にも転じている。

ユーロドルも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0779〜1.0781ドル付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の1.0880〜1.0881ドル付近の前東京終値比で約1.01セントの大幅なユーロ安ドル高であった。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は187円36〜42銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の186円96銭〜187円2銭付近の前東京終値比で約40銭の円安ポンド高であった。

主な要因は、米国長期金利上昇時に英国長期金利も連れ高になった際の日英金利差の影響や、先週の英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) 金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) の5.25%の高金利維持の一方で、一部の0.25%の追加利上げ支持のタカ派投票があったことから早期の英国利下げ予想が後退していたことも円相場に影響を与えていた。

今夜18時30分に発表された最新英国経済指標の1月の英国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) 改定値も、前回と市場予想の53.8を上回る54.3に上昇した。

しかし、今日の日本市場の後にも続く英国ロンドン外国為替市場では、対ドルで欧州ユーロや英国ポンドも下げたことでは円相場への影響が小幅域になったほか、一部の株価や先物下落を受けたリスク回避のリスクオフ (Risk-off) では、低リスク通貨の円買いとリスク市場に弱い英国ポンドの利益確定売りが入り始めたことでは、今夜20時台には前営業日比で円高ポンド安への市場反転も見せている。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年2月5日の日本時間(JST)20時48分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の11時48分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:48の為替レート 前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 148.36 〜 148.37 +1.73 (円安)
ユーロ/円 159.62 〜 159.63 +0.06 (円安)
ユーロ/ドル 1.0757 〜 1.0759 -0.0123 (ドル高)
英ポンド/円 186.70 〜 186.76 -0.26 (円高)
スイスフラン/円 170.70 〜 170.76 -0.25 (円高)
豪ドル/円 96.49 〜 96.53 -0.11 (円高)


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