FXニュース:米ISM非製造業景況感が上昇
2023年12月06日東西FXニュース – 2023年12月06日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米JOLTS求人件数が予想以下
- 米利上げ終了予想の低利回り
- 日銀の粘り強い緩和継続予想
- 日経平均株価が大幅反発上昇
- 欧ECB専務理事もハト派発言
今日2023年12月6日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の147円40銭前後から円の高値でドルの安値の146円93銭前後の値幅約47銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は146円93~94銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の146円80~82銭付近の前東京終値比で約13銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨日の東京終値後の昨夕の英国ロンドン外国為替市場では、来週12月14日に次回の欧州中央銀行 (ECB / European Central Board) 理事会を控えているシュナーベル専務理事が、「最近の欧州インフレ指標のデータを考慮すると、欧州追加利上げの可能性は低い」とハト派発言をした影響で、市場では欧州の利下げ転換時期に関する市場予想を受けた欧州ユーロ売りが入っていたが、その後には早期の利益確定や持ち高調整の買い戻しも入るなど、イベント前のイベントリスクを織り込んだ短期トレードの値動きの影響が観測されていた。
昨夜22時頃からの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時147円7銭付近から始まったが、昨夜23時45分に発表された最新米国経済指標の11月の米国総合購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) の改定値は前回と市場予想通りの50.7で、11月の米国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の改定値も前回と市場予想一致の50.8で、いずれも好景気と不景気を分けるボーダーライン (境界線) の50を上回る好景気寄りの米国景気指標であったことではドルが買われて、発表直後の23時46分頃にドルは円相場で一時147円23銭付近に上昇していた。
続いて、深夜24時に発表された最新米国重要経済指標の11月の米国サプライマネジメント協会 (ISM / Institute for Supply Management) 非製造業景況指数の総合も前回の51.8と市場予想の52.0を上回る52.7に上昇したが、同時発表だった10月の米国雇用動態調査 (JOLTS / Job Openings and Labor Turnover Survey) 求人件数が、前回955.3万件が前回935.0万件に下方修正されたほか、市場予想の930.0万件を大幅に下回る873.3万件に低下したことから、米国雇用市場の軟化による賃金インフレ圧の鈍化予測を受けては、来週12月12〜13日に米国の新政策金利と金融政策を決定する次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) を控えている米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) にも米国利上げ終了予想が高まり、4.2%台だった米国長期金利が一時4.17%台に大きく低下したため、日米金利差縮小時の円買いドル売りや主要通貨に対してもドルの一時急落が起き、米JOLTS発表直後の深夜24時1分頃にドルは円相場で一時146円56銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、前述の最新米国重要経済指標の11月の米国ISM非製造業景況指数が市場予想以上の米国好景気を示していたことでは、米国景気減速懸念が緩和され、ソフトランディング (軟着陸 / Soft landing) 期待や景気背景とした米国インフレ圧なども意識され始めて、すぐに安値圏からのドルの買い戻しが始まり、ドルは円相場で一時急落前のレベルに反発後に上昇を続け、午前3時42分頃には一時147円39銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
米国ニューヨーク債券市場の米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は4.19%台付近までの反発であったが、以前に一部のハト派の米国連邦準備制度理事会 (FRB) の高官達が、変動性で不確実性はあるが、もしも米国債利回りが指標になる米国長期金利が安定して高ければ、追加利上げの代わりになるために、米国政策金利の追加利上げの必要がないという意見の言及があったことなども一部のFX投資家達の間で意識されており、最近のドル円は日米の金利差トレードの関係で米国長期金利の上下に連動することが多かったが、来週の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) と再来週の12月18〜19日の日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の日銀金融政策決定会合との日米のビッグイベントの予定を控える中、イベント前の持ち高調整などもあり、しばし債券利回りを離れた値動きも見せ始めた。
しかし、同時進行中だった米国ニューヨーク株式市場では、米国主要株価三指数のうち、米国ダウ工業株30種 (DJI / Dow Jones Industrial Average) と米国S&P500種 (INX / Standard and Poor’s 500) が下落し、国際的な大手ハイテク株比率が多い米国ナズダック (IXIC / NASDAQ composite) のみの上昇となったため、一部の米国株価下落時のリスク回避 (リスクオフ / Risk-off) では低リスク通貨の円買いが円相場の抵抗要因になり、また米国ニューヨーク債券市場でもリスクオフで安全資産の米国10年債が買われて債券価格上昇に伴う利回り低下が起き、米国長期金利が一時4.16%台後半付近に向けて低下したことを受けた日米金利差縮小時の円買いドル売りも円相場をサポートした。
このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の146円56銭前後から円の安値でドルの高値の147円39銭前後の値動きで、今朝7時頃のニューヨーク終値を147円15銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約6銭の小幅な円高ドル安をつけていた。
その後に、今朝9時頃からの今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時147円16銭付近から始まった。
今朝の国内ニュースでは、日本銀行 (日銀 / BoJ) の氷見野良三副総裁が大分県金融経済懇談会に出席し、日銀が目標とする賃金上昇を伴う2%の物価上昇率の達成が見通せるまでは、「粘り強く、金融緩和を継続していく」とハト派の発言をした影響で、日銀の金利抑制の大規模緩和金融政策継続予想が高まり、今朝早朝の日本市場の時間外米国債市場でも米国長期金利は一時4.169%付近に低下していたが、今朝11時38分頃には日米金利差拡大予想の影響もあって米国長期金利が一時4.200%付近に反発上昇し、今朝11時38分頃にドルは円相場で一時147円39〜40銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録し、前東京終値比で円安ドル高に転じた。
また、今日の日経平均株価が大幅な上昇を見せたことでも、リスク選好 (リスクオン / Risk-on) で売られやすい国内第一安全資産の低リスク通貨の円売りが影響を与えていた。
ただし、上昇後の米国長期金利が再び低下したことなどでは上昇後のドルには利益確定売りや持ち高調整が入り始め、来週の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) のビッグイベントを控える中、今週はこの後に金曜日に米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長が毎回重視している最新データの米国雇用統計などの最新米国重要経済指標のビッグデータの発表予定のイベントリスクなどもあり、イベント前のドル円の利益確定や持ち高調整なども入り、夕方からの英国ロンドン外国為替市場の参入もあり、日本市場終盤の午後16時59分頃にドルは円相場で一時146円93銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は146円93~94銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の146円80~82銭付近の前東京終値比では約13銭の円安ドル高になった。
今夜この後にも最新米国経済指標の発表予定があり、日本時間の今夜の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時に米国MBA住宅ローン申請指数、22時15分に11月の米国ADP雇用統計、22時半に 10月の米国貿易収支と、7〜9月の第3四半期の米国非農業部門労働生産性と米国単位労働費用の確報値、そして深夜24時には以前に隣国の米国市場予想に影響を与えたことのある北米カナダのカナダ銀行 (BoC / Bank of Canada) の新政策金利と声明発表、24時半に米国週間原油在庫などが予定されている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は158円53〜54銭付近と、日本市場の前営業日同時刻にあたる昨夜17時の158円67〜68銭付近の前東京終値比で約14銭の円高ユーロ安であった。
主な要因は、先述の欧州中央銀行 (ECB) 理事会メンバーのハト派発言を受けた欧州利上げ終了と利下げ転換時期に関する市場予想の高まりによる欧州ユーロ売りの影響が見られた。
しかし、日本市場終了後の今夜20時台の英国ロンドン外国為替市場では、日銀の金利抑制姿勢の継続予想の影響もあり、最近の円高後の利益確定売りや持ち高調整による欧州ユーロの買い戻しが入っており、前東京終値比で小幅な円安ユーロ高に市場転換も見せている。
ユーロドルも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0788 〜1.0790ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.0807〜1.0809ドル付近の前東京終値で約0.19セントのユーロ安ドル高であった。
主な原因は、欧州利下げ予想に加えて、今日の午後16時に発表された欧州ユーロ圏主要国ドイツの最新経済指標の10月の独製造業新規受注が、前月比は前回の0.2%と前回下方修正の0.7%と市場予想の0.2%に対し-3.7%とプラス圏からマイナス圏への大幅な低下を見せたほか、前年同月比も前回の-4.3%と前回修正の-3.8%と市場予想の-3.9%に対し-7.3%と大幅に悪化し、世界的に流動性が高い安全資産のドルや低リスク通貨の円に対する欧州景気懸念による欧州ユーロ売りも再燃した。
なお、その後の今夜19時に発表された欧州ユーロ圏総合の最新経済指標の10月の欧州小売売上高は、前月比が前回の-0.3%と前回修正の-0.1%と市場予想の0.2%に対し0.1%で、前年同月比も前回の-2.9%と市場予想の-1.1%に対し-1.2%と、前回よりは改善したもののいずれも市場予想を下回った。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンドの円相場の終値は185円18〜24銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の185円13〜19銭付近の前東京終値比で約5銭の円安ポンド高であった。
主な要因は、日銀の金利抑制の大規模緩和金融政策継続予想を受けて、日英金利差予想で円に対して英国ポンドが買われていた。
ただし、今日の日本市場の後の英国ロンドン外国為替市場で今夜18時半に発表された最新英国経済指標の11月の英国建設業購買担当者景気指数 (PMI) は、前回の45.6と市場予想の46.3に対し45.5と前回と市場予想以下の低下を示したことでは、欧州景気懸念の影響を受けやすい英国ポンドにも景気懸念があることは上値の抵抗になっている。
今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年12月6日の日本時間(JST)20時27分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の11時27分頃。なお、サマータイム制のある米国市場も現在冬時間で、日本との時差が14時間遅れのJST-14 / GMT-5になっている) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JJST 20:39の為替レート | 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比 |
ドル/円 | 147.41 〜 147.42 | +0.61 (円安) |
ユーロ/円 | 159.02 〜 159.03 | +0.35 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0786 〜 1.0788 | -0.0021 (ドル高) |
英ポンド/円 | 185.61 〜 185.67 | +0.48 (円安) |
スイスフラン/円 | 168.52 〜 168.58 | +0.62 (円安) |
豪ドル/円 | 96.82 〜 96.86 | +0.28 (円安) |
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