FXニュース:米FRBが重視の最新データ

2023年10月06日
FXニュース:米FRBが重視の最新データ

 

東西FXニュース – 2023年10月06日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米イベント前の持ち高調整
  • 米新規失業保険申請数減少
  • 米長期金利がドル円に影響
  • 米国雇用統計前の様子見も

今日2023年10月6日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の148円46銭前後から円の安値でドルの高値の148円99銭前後の値幅約53銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は148円87~89銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の149円7~8銭付近の前東京終値比では約20銭の円高ドル安であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、前回までの米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 後の記者会見で「今後の利上げはデータ次第」との発言のあったパウエル議長が毎回の様に米国雇用市場について言及している様に、米国連邦準備制度理事会 (FRB / The Federal Reserve Board) が重視する最新データの1つとして有名な今夜の米国雇用統計の発表を控え、昨夜の英国ロンドン外国為替市場ではイベント前のドルの持ち高調整の利益確定売りや買い控えと、対ドルのユーロの買い戻しなどにより、昨夜19時半頃に一時148円81銭付近に円相場でドルが下げていた。

ただし、昨夜20時に発表された最新米国経済指標の9月の米国チャレンジャー人員削減数 (Challenger Job Cuts) の前年比は前回の266.9%から58.2%に大幅に改善されており、昨夜21時頃から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では、昨夜21時半に発表された前週分の米国新規失業保険申請件数も前回の20.4万件と前回修正の20.5万件と市場予想の21.0万件に対して20.7万件と前回よりはやや増えたものの市場予想よりも堅調で、前週分の米国失業保険継続受給者数も前回の167.0万人と前回修正の166.5万人と市場予想の167.5万人に対し166.4万人と好調で、同時発表だった8月の米国貿易収支も前回の-650億ドルと前回修正の-647億ドルと市場予想の-623億ドルに対し-583億ドルと赤字額が改善されたことなどでは、堅調な米国経済を背景とした米国金融引き締め長期化予想の継続により、前日までに2007年以来の一時4.88%台の高利回りを記録後には下げに転じていた米国長期金利が再び一時4.77%台付近に上昇し、日米金利差拡大による円売りドル買いが入り、昨夜21時42分頃に一時149円12銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、同時進行中だった米国ニューヨーク株式市場では、米国政策金利の先高感への企業決算の影響への警戒によるリスク回避の株売りが入り、米国主要株価の一部が下落を始めると、ドルから買える安全資産の米国債買いの影響で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が再び低下し、昨夜22時40分頃に米国長期金利が一時4.70%台付近にまで低下したため、日米金利差縮小時の低リスク通貨の円買いの勢いが増し、今夜の翌米国市場での米国雇用統計発表のイベントを控えたイベントリスクによる米ドルの持ち高調整や買い控えも相まって、再び148円台に円相場が反発した。

昨夜は、米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の発言の影響もあり、深夜24時半頃からの米国リッチモンド連銀のバーキン総裁の発言では、最近の米国債の急上昇について、「堅調な米国経済指標と、大量の米国債供給を反映したもの」であったと説明していた。

続いて、午前1時頃からの米国サンフランシスコ連銀のデイリー総裁の発言は、「いかなる決定も、急ぐ必要はない」「米国の労働市場と物価の減速が続いた場合には、金利据え置きは可能」と、今後の利上げはデータ次第という市場予想に、今後のデータによっては金利据え置きのハト派寄りの可能性を示唆したことでは、タカ派の米国利上げ長期化予想がやや減退し、一時4.73%台まで反発した米国長期金利が午前2時台に再び4.70%台に低下したため、日米金利差縮小時の円買いドル売りで、午前2時27分頃に一時148円30銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

また、米国商品先物取引委員会 (CFTC) の先月末の統計では投機筋によるドル円の売買動向の売越幅が7月以来の規模に拡大していたが、先日の日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ) の為替介入警戒感による円相場でのドルの一時急落後には、ドルの円相場での上値が150円前半を上限に越えるのが難しいのではないかという市場での達成感や限度感もあり、イベント前のドル円の持ち高調整が進むにつれて、イベント後にドルが上がる場合の上値に限度感があることに対して、イベント後にドルが下げる場合の下げ幅の方が大きくなる可能性についての下値リスクへの警戒感によるリスク回避のロングポジションのドルの早期の利益確定売りなども混ざっていた。

ただし、世界的に流動性が高い安全資産でもあるドルは、堅調な米国経済指標を背景に、隣接する米国カリフォルニア州の人気ホリデー地でもあるメキシコで、メキシコ政府が予告なしの空港運営会社のコンセッション契約を変更したことで空港運営会社の株価が大幅に急落し、メキシコの主要株式指数のボルサ指数が4.4%以上の大幅下落を見せたことでは、エキゾチック通貨のメキシコペソに対しドルが買われて一時大幅に上昇し、外貨に対するドル上昇圧の波及は円高ドル安抵抗の一因となったものの、安全資産のドルに続く低リスク通貨の円も買われたことでは、イベントリスクのあったドルの円相場での反発幅は148円台後半付近に留まった。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の149円12銭前後から円の高値でドルの安値の148円30銭前後の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値を148円51銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約61銭の円高ドル安をつけていた。

今朝のアジア・オセアニア市場では、日本市場と時間帯が近い中国が大型連休の休場中で、今日も日本市場の値動きが出やすくなっていた。

今朝8時半に発表された日本の最新経済指標の8月の毎月勤労統計調査の現金給与総額の前年同月比は、前回の1.3%と前回修正の1.1%と市場予想の1.5%に対し1.1%と市場予想を下回り、日本銀行 (日銀 / BoJ) が目標としている賃金上昇を伴った2%の物価上昇には距離があることから、日銀の早期修正期待が減少し、大規模緩和金融政策の継続予想が優勢さを保った。

一方で、同時発表だった日本の最新経済指標の8月の全世帯家計調査の消費支出の前年同月比は、前回の-5.0%と市場予想の-4.3%に対し-2.5%と上昇していた。

今朝9時頃に始まった今日の日本の東京外国為替市場では、今朝9時55分頃の今日の日本市場の仲値決済に向けては日本企業の輸入実需による円売りドル買いが先行したが、その後には輸出企業の円買いドル売りや、今夜の米国雇用統計発表のイベントに向けた持ち高調整の低リスク通貨の円買いドル売りが入り、午前10時55分頃に一時148円46銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、その後の日本市場では、日銀の大規模緩和金融政策の継続予想と米国の金融引き締め長期化による日米金利差拡大予想により、日本政府と日銀の為替介入警戒域から離れた148円台での円売りドル買いが優勢になった。

また、今朝までに低下していた米国長期金利が、今日の午後の欧州市場の参入が始まる頃には一時4.74%台に向けた上昇に転じていた影響で日米金利差拡大による円売りドル買いも入り、今日の午後15時48分頃には一時148円99銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録したが、イベントリスクの持ち高調整もあり、149円台の手前からは早期の利益確定売りが入り始めた。

なお、今日も日本政府の鈴木俊一財務相は、閣議後の記者会見で、日本政府と日銀の為替介入の実施の有無については、「お答えしない」という発言を続けており、実施後の公表の有無についても、「総合的に判断している」としていたことでは、市場では為替介入への警戒感も燻っていた。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は148円87~89銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の149円7~8銭付近の前東京終値比で約20銭の円高ドル安になった。

今夜この後には市場注目度の高い最新米国重要経済指標の発表イベントと、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の要人発言などの予定があり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時半に最新米国重要経済指標の9月の米国雇用統計の米国非農業部門雇用者数 (NFP) 、米国失業率、米国平均時給、米国製造業雇用者数などが発表されるイベントがある。続いて、25時頃から米国連邦準備制度理事会 (FRB) のウォラー理事の発言予定があり、28時に 8月の米国消費者信用残高なども発表される予定である。

また、今夜は米国と隣接する北米カナダの雇用統計も、同時刻頃に発表される予定である。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は157円9~11銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の156円63~64銭付近と比較すると約46銭の円安ユーロ高であった。

主な要因は、欧州ユーロは基軸通貨のドルに対して今夜の米国雇用統計の発表を前にしたポジション調整のユーロ買いドル売りが進んでおり、他の主要通貨である円相場にもユーロの上昇圧の影響が波及したほか、ユーロ円も金利抑制の日銀の大規模緩和金融政策の継続予想による日欧金利差が影響を及ぼしていた。

このため、ユーロドルも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0550~1.0552ドル付近で、前営業日同時刻である昨夜17時の1.0506~1.0508ドル付近の前東京終値比で約0.44セントのユーロ高ドル安だった。

また、今日の午後15時に発表された欧州ユーロ圏の最新経済指標のドイツの8月の独製造業新規受注は、前月比と前年同月比ともに前回と市場予想よりも大幅に改善したことでも、欧州景気懸念がやや緩和されていたが、続いて15時45分に発表されたフランスの8月の仏貿易収支は前回よりも赤字額が増えていた。ただし、フランスの8月の仏経常収支は、前回よりも赤字額が減少して改善していたことでは、強弱入り混じった。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は181円68~74銭付近と、前営業日同時刻である昨夜17時の180円82~89銭付近の前東京終値比では約86銭の円安ポンド高であった。

主な要因は、地理的・経済的に欧州に近く、欧州通貨の影響を受けやすい英国ポンドも、欧州ユーロ円に連動するように、今日は英国ポンドが円相場で前東京終値比の上昇を見せていた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年10月6日の日本時間(JST)19時36分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で8時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の夏時間 (GMT+1 / BST / JST-8) 11時36分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:36の為替レート 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比
ドル/円 149.00 〜 149.01 −0.07 (円高)
ユーロ/円 157.36 〜 157.41 +0.73 (円安)
ユーロ/ドル 1.0560 〜 1.0564 +0.0054 (ドル安)
英ポンド/円 181.97 〜 182.03 +1.14 (円安)
スイスフラン/円 163.38 〜 163.44 +0.91 (円安)
豪ドル/円 94.78 〜 94.82 +0.26 (円安)


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