FXニュース:明日の日銀発表イベント前の持ち高調整

2023年1月17日
FXニュース:明日の日銀発表イベント前の持ち高調整

 

東西FXニュース – 2023年01月17日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米長期金利上昇時の日米金利差ドル買い
  • 米利上げ幅予想0.25%優勢で一部0.5%
  • 今年4月任期満了の黒田総裁の後任人事
  • 日経株価上昇時のリスクオンの円売りも

今日2023年1月17日火曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間のドル円相場の為替レートは、円の安値129円16銭前後から高値128円30銭前後の値幅約86銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は128円67~69銭付近で、昨日17時の前東京終値比で約70銭の円安ドル高であった。

今日の値動きの主な原因は、今日から明日にかけて開催される日本銀行 (日銀 / BoJ) の日銀金融政策決定会合が意識され、明日の発表イベント前の持ち高調整が優勢になった。

昨日の日本市場では日銀の長短金利操作のイールドカーブ・コントロール (YCC) の再修正予想による円買いドル売りが進み、一時127円22銭付近の2022年5月30日以来の円高ドル安を記録した後であったため、今日の世界市場では日銀のイベント前リスクの円は、高値後の利益確定売りや、明日の日銀発表結果が分かるまでの買い控えと日銀が大規模緩和金融政策を据え置いた場合に備えての持ち高調整などの反動が起きやすくなっていた。

ただし、日銀が金融政策会合の後に公表する「経済・物価情勢の展望」では、2023~2024年度の物価見通しを引き上げるとの市場予想が出ており、再修正圧はあるために、大幅な円高の反動でも大幅な円安にはならずに、イベント前の持ち高調整の範囲に留まった。

時間に沿った市場トレンドの動きでは、昨夜の日本市場が終了した後の欧州英国市場から、高値になった円やユーロの利益確定売りによる安値のドル買いや持ち高調整が始まった。

昨夜の欧州英国市場でも、米国インフレ鈍化を受けて米国連邦準備理事会 (FRB) が米利上げペースを0.25%に減速させるという市場予想が約91%の優勢で、続いての0.5%の米利上げ継続予想は約9%に低下していたことで一時急速に円買いやユーロ買いでドル売りが進んだ後であったが、昨夕発表された経済指標では欧州インフレも鈍化傾向を示すデータが出てきたため、高値圏だったユーロの利益確定売りと安値のドル買いが入り、日銀の発表イベント前の持ち高調整でも高値圏だった円の利益確定売りと安値のドル買いが入り始め、一時128円87銭付近にドルが反発した。

昨夜の欧州英国市場時間後半から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場は、キング牧師生誕記念日の祝日休場中で、米国経済指標などの発表がなかったことでは、横ばいに近い動きに転じたが、今朝7時頃の米国ニューヨーク外国為替市場終値相当時間の世界市場でドルは円相場で3営業日ぶりに反発した128円58銭付近で、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値と比較すると、約71銭の円安ドル高になっていた。

今朝早朝8時台のアジア・オセアニア市場では、128円22銭付近まで円買いも入ったものの、そこからは再び持ち高調整のドル買いが入り始めた。

今朝9時からの今日の日本の東京外国為替市場でも、今日から明日の日銀金融政策決定会合で、金利抑制で円安要因になってきた大規模緩和の金融政策の再修正予想による昨日までの円高の後の安値のドル買いが入った。

また昨日の円高ドル安のニュースの後で、今夜から連休明けの米国市場が再開するため、今朝9時55分の仲値決済に向けても、日本企業の輸入実需や円高時購入の輸入準備資金などの円売りドル買いオーダーが活発になってドルが上昇し、11時台には一時129円16銭付近の今日の日本市場での円の安値でドルの高値を記録した。

円高要因となり得る日銀の大規模緩和の金融政策の再修正予想がある中でも、その一方では明日の発表では日銀が円安要因の金利抑制の大規模緩和金融政策を据え置く可能性もあり、また米利上げには減速があったとしても次回も0.25%の利上げ幅の市場予想が9割超えの優勢で、市場の一部では0.5%のタカ派の利上げ継続予想などもあるために、今日の時間外の米債権市場では米長期金利が再上昇時の実質的な日米金利差による円売りドル買いと、明日の日銀発表イベントリスクでの円の利益確定売りなどの持ち高調整や買い控えがあり、今日は日経平均株価上昇時のリスクオンの低リスク通貨の円売りもあった。

ただし、一時129円台の高値圏からはドルの利益確定売りと円買いの抵抗が入り、今日の市場トレンドのイベント前の持ち高調整や明日の結果が分かるまでの様子見と揉み合うような形で、横ばいや反発を交えた128円台中盤から後半付近で推移した。

今日の日本のニュースでは、今年4月に任期満了予定の日銀の黒田東彦総裁の後任人事案に関して、日本政府が2月に国会へ提示する方向で検討していると一部メディアが報道した。

鈴木俊一財務相は、黒田総裁の後任人事に関して「一般論として、その時点に於いて様々な状況を総合的に検討して、最もふさわしい方を任命するのが基本だ」と発言しており、異次元とも呼ばれた大規模緩和金融政策を推進してきた黒田総裁の引退は、大規模緩和金融政策の修正時期が近いのではという市場予想と重なる部分があり、円買いの抵抗も入った。

午後13時半には日本の最新経済指標の前年11月分の第三次産業活動指数が発表され、前月の0.2%と前回修正の0.5%と市場予想の0.1%に対して-0.2%であったことでは、円買い抵抗の勢いが弱まり、やや横ばいに近い動きになった。

15時15分には、今朝から上昇していた日経株価が26,138円68銭の前日比316円36銭髙で大引けしたことも、リスクオン市場の低リスク通貨の円売りの一因だった。

午後からの欧州英国市場の参入では、再び円の利益確定売りでドルが買われて上昇した。16時に発表された欧州ユーロ圏主要国ドイツの先月分の独消費者物価指数 (CPI) が市場予想通りの前回と横ばいの高止まりで、昨夕のデータと合わせて考えると欧州中央銀行 (ECB) も欧州インフレ高止まりでは積極的な追加利上げが鈍化する可能性もあるために、ドル買いで一時ドルが上昇すると利益確定売りが入るが、再び安値圏からはドルが買い戻された。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は128円67~69銭付近で、昨夜17時の前東京終値比では約70銭の円安ドル高になった。

今夜この後には、連休明けの米国ニューヨーク外国為替市場が再開するため、米国経済指標の発表予定などがある。日本時間でのスケジュールは、22時半に1月の米ニューヨーク連銀製造業景気指数が発表予定で、29時には米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁の発言予定もあり、世界が注目している明日の日銀金融政策会合の結果発表前のドル円の値動き予想材料としてFXトレーダー達に注目されている。

また、今夜の米国ニューヨーク株式市場に向けて、今夜21時頃にはゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーなどを含めた米国の主要企業決算発表予定もあり、株高時のリスクオンや株安時のリスクオフは安全資産のドル円や債権の値動きの影響を与える可能性もあることにも注意が必要である。

一方、欧州ユーロにも、今日はドル同様に日銀イベント前の持ち高調整が入っており、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は139円36~37銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約75銭の円安ユーロ高になった。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0829~1.0831ドル付近で、昨夜17時の前東京終値比では約0.01セントの横ばいレンジに近い僅差のユーロ安ドル高であった。

ただし、今夜その後の欧州英国市場では、19時に発表された最新経済指標の欧州ユーロ圏の1月の欧ZEW景況感調査が前回の-23.6に対して16.7に大幅上昇し、またドイツの1月独ZEW景況感調査の期待指数も前回の-23.3と市場予想の-15.0に対して16.9のプラス圏に上昇したことでは再びユーロが買われて上昇し、一時ユーロ高ドル安に転じた時間もあった。

しかし、20時頃には再び今夜の米国市場再開に向けた持ち高調整などで、横ばいレンジ圏に近い僅差のユーロ安ドル高にも転じている。

英国ポンドに対しても、今日は持ち高調整のトレンドによる円の利益確定売りなどが入っており、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は157円20~26銭付近で、前日17時の前東京終値比では約47銭の円安ポンド高であった。

また、今日の午後16時に発表された英国の最新経済指標の前年11月の英国平均賃金が6.4%上昇し、11月の失業率は3.7%の完全雇用に近い状態が継続し、12月の失業保険件申請件数も前回の3.05万件から1.97万件に減少したことで英国景気好感によるポンド買いが主要通貨に対して入っていた。

ただし、同時発表だった英国の失業率は、11月のILO方式では前回と市場予想と同じ3.7%の横ばいで堅調推移していたが、12月の失業率が前回の3.9%から4.0%にやや増加したことでは、円相場でも大幅なポンド高にはならなかった。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年1月17日の日本時間(JST)20時16分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間 (GMT) 11時16分)付近の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:16の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 128.85 〜 128.87 +0.88 (円安)
ユーロ/円 139.39 〜 139.41 +0.78 (円安)
ユーロ/ドル 1.0816 〜 1.0818 -0.0014 (ドル高)
英ポンド/円 157.41 〜 157.47 +0.68 (円安)
スイスフラン/円 139.82 〜 139.88 +1.09 (円安)
豪ドル/円 89.36 〜 89.40 +0.02 (円安)


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