FXニュース:米国FRB利上げ長期化予想で日米金利差拡大

2022年11月30日
FXニュース:米国FRB利上げ長期化予想で日米金利差拡大

 

東西FXニュース – 2022年11月30日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • パウエル議長発言前の市場予想で米長期金利上昇
  • 独消費者物価指数(CPI)上昇率等が前月比で鈍化
  • 欧州ECBにも利上げ減速予想のドル買いユーロ売りが

今日2022年11月30日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間のドル円相場の為替レートは、円の安値の138円94銭前後から高値の138円34銭前後の値動き幅約60銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は138円52䬻〜53銭付近で、前日同時刻の前東京終値比で約24銭の円安ドル高であった。

今日の値動きの主な原因は、昨日の東西FXニュースでもお伝えした米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の相次ぐタカ派発言を受けて、インフレ目標の2%台を達成するために米国政策金利の利上げが長期化をする市場予想が強まってきており、今夜この後のパウエル議長の発言予定を前にしたタカ派の市場予想で米長期金利が上昇し、かねてからの円安要因であった日米金利差拡大予想による円売りドル買いが優勢になったことで、今日の日本市場で前日比の円安ドル高に転じた。

市場トレンドの変化を追うと、昨夜の欧州英国市場では、欧州ユーロ圏や豪州の主要貿易先である中国でのゼロコロナ政策の行動規制による世界景気懸念と現地反対運動の後に、中国政府が高齢者へのワクチン接種を強化し、国民との問題解決に向かうとの世界ニュースを受けて、市場ではそれまでの世界景気懸念でのリスク回避での安全資産のドル買いや債権高や欧州株安がやや緩和され、世界中で流動性の高い安全資産のドルや米国債も売られたことで、一時137円台後半付近にも達する円高ドル安を記録していた。

しかし、昨夜の欧州英国市場の後半から始まった今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では、前述の米連邦準備理事会 (FRB) 高官の米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁や米セントルイス連銀のブラード総裁がインフレ目標達成のための米利上げ継続と長期化の必要性についてのタカ派発言を連発していたことから、今夜この後の講演で発言が予定されている米連邦準備理事会 (FRB) のパウエル議長も、米国の依然として高いインフレ抑制のための利上げ継続の必要性について発言をする可能性があることから、タカ派の米国市場予想で米長期金利が上昇し、前日終値の3.68%付近から一時3.75%付近の高利回りになったことで、日米金利差拡大と日米金利差拡大予想によるドル買い円売りの円安が再燃し始めた。

ただし、最新米国経済指標では、米調査会社コンファレンス・ボードの11月の米消費者信頼感指数が2カ月連続で悪化しており、また9月のS&Pコア・ロジック・ケース・シラー米住宅価格指数も8月からの上昇率が鈍化するなど、米大幅利上げ抵抗要因の米景気懸念も米国市場にあったことでは、今朝までの米ニューヨーク外国為替市場でのドル円相場の終値時点では、それまでの欧英市場での安全資産のドル売りの下げ幅を縮めた138円65~75銭付近で、前日同時刻の前ニューヨーク終値比では約20銭の円高ドル安の範囲内に留まった。

その海外FX市場のトレンドを引き継いで始まった今朝のアジア・オセアニア市場と今日の日本の東京外国為替市場では、以前にジャクソーンホールでの講演発言でドル円を数円動かした伝説を持つほどの市場影響力がある米連邦準備理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長の発言を今夜に控え、イベント前の警戒感から、投資系では再び持ち高調整の円売りドル買い注文が入り、また輸入実需の先行ドル買いもあり、今朝9時台に138円94銭付近の今日の日本市場での円の安値でドルの高値を記録した。

ただし、米シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME) グループの米FRB利上げ幅市場予測値で有名なフェッド・ウォッチ・ツール (FedWatch Tool) では、今日の時点では次回の12月の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) での0.5%の米利上げ減速予想の方が過半数以上で、0.75%の大幅利上げ予想はまだ30.1%付近であったことからは、市場高値をつけたドルには利益確定売りの円買い抵抗も入った。

今朝は9時からの日本市場開場前に日本の最新経済指標の発表もあり、10月の鉱工業生産の速報値は、前月比で前回の-1.7%と市場予想の-1.8%に対して-2.6%に低下し、前年同月比も前回の9.6%と市場予想の5.1%以下の3.7%であったことも、円売りの一因になったが、日本の景気懸念では同じく直後に低リスク通貨の円買いの抵抗も入っていた。

今朝10時頃の仲値決済では、今日は日本の貿易企業の決算日が集中しやすい5と10のつく日の五十日であることに加えて、今月の月末最終日ということもあり、日本の輸入企業の実需の円売りドル買いに続き、輸出企業のドル売り円買いが入り、円相場は今朝の下げ幅から一時回復したが、11時前に138円台中盤になると、再び日米金利差拡大予想による円売りドル買いが入り、昼頃には再び138円台後半に戻した。

しかし、午後には再び安全資産の米国債が買われたことなどで、米長期金利が一時やや下がった時には再びドルが売られて円が買われる抵抗も入り、138円台中盤付近になった辺りで、今夜17時の今日の日本の東京外国為替市場でのドル円相場の終値を138円52䬻〜53銭付近の前日同時刻比で約24銭の円安ドル高でつけた。

今夜その後の19時台の欧州英国市場では、欧州中央銀行 (ECB) にも大幅利上げ減速予想のユーロ売りドル買いがあり、再び米長期金利も午後の下げ幅を回復してきたことで、日米金利差拡大予想によりドル円は一時139円付近も記録した。

今夜この後には最新米国経済指標の発表や、パウエル議長を含め米連邦準備理事会 (FRB)高官達の発言予定があり、世界のFXトレーダーや投資家達が為替相場の動き予想材料として注目している。

日本時間でのスケジュールは、21時に米MBA住宅ローン申請指数、22時15分に11月の米ADP雇用統計、22時半に7〜9月四半期の米国実質国内総生産 (GDP) と米GDP個人消費、米コアPCE、10月米卸売在庫、22時50分に米FRBのボウマン理事の発言、23時45分に11月の米シカゴ購買部協会景気指数、深夜24時に米JOLTS求人、10月の米住宅販売保留指数と米中古住宅販売保留、24時半に週間の米原油在庫、26時35分に米FRBのクック理事の発言、そして、27時半に米FRBのパウエル議長発言と、28時に通称ベージュブックで知られる米地区連銀経済報告などが発表される予定である。

今日の欧州ユーロは、今夜17時の日本の東京外国為替市場でのユーロ円相場の終値は143円38~40銭付近で、前日同時刻比で約12銭の円高ユーロ安だった。ただし、円に対しては、金利抑制の日本銀行(日銀)に対する日欧金利差拡大予想はあり、その後の欧州英国市場では17時台後半から円安ユーロ高にも転じている。

ユーロドルは、17時の今日の日本の東京外国為替市場での終値は1.0350~1.0351ドル付近で、前日同時刻比で約0.28セントのユーロ安ドル高になった。

主な原因は、昨夜発表された欧州ユーロ圏主要国のドイツとスペインの最新11月の消費者物価指数 (CPI) の上昇率が前月から鈍化しており、欧州中央銀行 (ECB) にも大幅利上げ減速予想のユーロ売りが出たことでユーロ安になっていた。

ただし、中国発の世界景気懸念の緩和では、リスクオンで安全資産のドルが売られてユーロが買われる抵抗も入っていた。

しかし、今夕発表されたフランスの消費者物価指数 (CPI) の前年同月比の速報値と仏GDPは横ばいであったが、仏CPIの前月比では前回の1.0%から市場予想通りの0.4%に鈍化しており、10月の仏卸売物価指数 (PPI) の前月比も前回の1.0%から-0.1%に低下した。また、今夜17時55分に発表された11月のドイツの失業率が前回と市場予想の5.6%から5.6%に増加したことも安全資産のドルに対するユーロ売りの一因となった。

今夜19時に発表された欧州ユーロ圏の11月の欧州消費者物価指数 (HICP) のコア指数)の速報値は、前年同月比で横ばいの5.0%であったが、欧州HICPは前回の10.6%と市場予想の10.4%を下回る10.0%であった。そのため、ドルに対するユーロ安が継続していた。

今日の英国ポンドは、17時の東京外国為替市場でのポンド円相場の終値は165円83〜89銭付近で、前日同時刻比で約5銭の円安ポンド高であった。今夜その後の英国ロンドン市場でも、原因である日英金利差拡大予想や、ドルやユーロなどの他の主要通貨に対する円安が波及しており、20時台には円安が進行していた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年11月30日の日本時間(JST)20時36分(英国時間(GMT)11時36分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:36の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 138.85 〜 138.86 +0.58 (円安)
ユーロ/円 143.84 〜 143.85 +0.34 (円安)
ユーロ/ドル 1.0358 〜 1.0360 -0.0020 (ドル高)
英ポンド/円 166.54 〜 166.60 +0.76 (円安)
スイスフラン/円 146.17 〜 146.23 +0.74 (円安)
豪ドル/円 93.42 〜 93.46 +0.64 (円安)


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