FXニュース:今日149円台の1990年以来の円安ドル高の記録を再び更新

2022年10月19日
FXニュース:今日149円台の1990年以来の円安ドル高の記録を再び更新

 

東西FXニュース – 2022年10月19日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米長期金利が一時4.07%付近で日米金利差拡大予想の円安要因
  • 最新米経済指標の鉱工業生産と設備稼働率も市場予想以上
  • 米連邦準備理事会(FRB)と日銀の金融政策の方向性の違い
  • 日本政府と日銀の再度の為替介入警戒のボラティリティーとは

今日2022年10月19日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時の外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値が149円48銭前後から高値149円10銭前後の値動き幅約38銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は149円36〜38銭前後で、前日同時刻の前東京終値比で約41銭の円安ドル高であった。

今日の日本市場では、16時台後半に一時149円48銭付近の1990年8月以来の約32年ぶりの円安ドル高の記録を更新した。その後の今夜の欧州英国市場でも、19時台に149円54銭付近を超える円安記録を再び更新しようとしている。

原因は、最新の米国経済指標を受けて、堅調な米景気と高インフレ圧で米連邦準備理事会(FRB)が積極的な大幅利上げの継続と長期化予測で、金利抑制の大規模緩和継続の日本銀行(日銀、BoJ)との金融政策の方向性の違いなどから、日米金利差拡大予想が優勢であることに加えて、英国発の金融不安の一時緩和と欧米の主要国際企業の決済報告シーズンの欧米日株高時のリスクオン市場で、低リスク通貨の日本円が売られたことなどが影響した。

市場トレンドの動きとしては、まず前回までの東西FXニュースでもお知らせしていた通り、米国物価指標が高インフレを示す中で、インフレ抑制のために米国連邦準備制度理事会(FRB)が大幅利上げを継続させる市場予想が優勢であったが、その抵抗要因には利上げ継続による米景気への影響の懸念があったために、最新の米国の景気経済指標が今後の値動き予想のために注目されていたのであるが、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場時間に発表された最新の9月の米鉱工業生産と米設備稼働率は市場予想以上であった。

米大幅利上げ継続による米景気懸念が減退し、今後も米連邦準備理事会(FRB)が大幅利上げを継続と長期化させる予想がさらに優勢となり、米長期金利は一時4.06%付近に上昇し、かねてからの円安要因であった日米金利差拡大によるドル買い円売りが強まった。

また、米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの米ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁が、現在3〜3.25%の米政策金利を来年序盤までにインフレ対策で4.5〜5%に利上げする必要性について、「これまでにも私は来年序盤には米政策金利が4%半ばになることは容易に想定可能であると公言してきたが、基調的な米インフレ高進が止まらない場合には、米政策金利を4.75%以上の高金利に利上げする必要が生じるかもしれない」というタカ派(Hawkish)と受け取れる発言をしていた。

今後も積極的な利上げ方向の米連邦準備理事会(FRB)に対して、金利抑制方向の日本銀行(日銀)との金融政策の方向性の違いによる日米金利差拡大予想のドル買い円売りが継続し、ドルが上昇して円相場が下落し、歴史的な円安ドル高が進行した。

昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場と同時進行中であった米国ニューヨーク株式市場でも、主要企業の決算報告期で米株高時のリスク選好(リスクオン)市場になると、低リスク通貨の円が売られた。欧州市場では欧州株高時のリスクオンでもユーロが買われて、低リスク通貨の円と安全資産のドルも一時売られていたが、ドルには投資用の買い戻しも入っていたために、安全資産同士で比較すると、日本円の方がより大きく下げていた。

ドル円が149円台の高値を更新すると、日本政府と日銀による再度の為替介入への警戒での一時的な持ち高調整などの一時抵抗も入ったものの、大きな流れとしての円安ドル高トレンドの継続が優勢で、今朝6時までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場の終値は149円20~30銭付近で、前日同時刻比で約25銭の円安ドル高で、9営業日連続での円相場の続落であった。

その後に始まった今日の日本の東京外国為替市場でも、日米金利差拡大予想の円安ドル高のトレンドを引き継いだ。

ただし、今朝は再び、日本政府の鈴木俊一財務相が、現在進行中の円安ドル高について、「きめ細かく頻度を上げて、常に動きをチェックしている。従来通りの考えで、しっかり対応する」と発言し、急激な市場価格の変動(ボラティリティー)は、日本政府と日銀の為替介入の対象となることを警告し、急激な円安への牽制を行った。

以前に日本政府関係者が「一日で1円や2円も変わる急速な変動(ボラティリティー)」への反応を示していたことがあるために、日本市場では為替介入警戒時のボラティリティー抑制の持ち高調整の抵抗もやや混じる中での、緩やかなドル上昇の動きに転じた。

しかし、日本市場の午後になり時差で朝の欧州英国時市場が参入すると、米長期金利が一時は4.07%に上昇したことなどから、日米金利差で再びドルが買われて上昇し、対ドルの円相場が下落し、一時149円48銭付近の円安ドル高記録の更新継続となった。

その直後には、為替介入警戒から高値のドルの利益確定売りと持ち高調整の抵抗が入ったものの、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は149円36〜38銭付近で、前日17時の前東京終値と比較して約41銭の円安ドル高であった。

今夜この後にも、最新の米国経済指標などの発表予定があり、世界市場が注目している。日本時間での発表予定時間は、今夜20時に米MBA住宅ローン申請指数、21時半に9月の米住宅着工件数と米建設許可件数、23時半に米週間原油在庫、そして、明朝未明の2時には米20年債入札と、米ミネアポリス連銀カシュカリ総裁の発言が再び予定されており、3時には米地区連銀経済報告のベージュブックも発表される。また、米株式市場の決算報告も継続し、米テスラ社などの大企業は明朝5時頃の米市場後半に発表予定である。

今日のユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の円相場の終値は146円92~94銭付近で、前日同時刻比では約10銭の円安ユーロ高の円の続落であった。今朝までには一時147円10銭の2014年12月以来の円安ユーロ高も記録した。

しかし、今夜18時には欧州ユーロ圏の最新経済指標の発表があり、9月の欧消費者物価指数(HICP)の改定値は、前年同月比で前回と市場予想の10%に対して9.9%であったが、欧消費者物価指数(HICP)のコア指数の改定値は、前年同月比で前回と市場予想通りの4.8%の横ばいであった。同時発表の8月の欧建設支出は、前年同月比が前回の1.5%(改定2.1%)に対して2.3%に増加し、前月比では前回の0.3%に対して0.6%に増加しており、欧州中央銀行(ECB)の利上げ予想による日欧金利差拡大予想もある中で、高インフレによる欧州景気減速懸念のユーロ売りと安全資産のドルと低リスクの円買いも入った。そのため、発表後の19時台頃までには、欧州市場では前日比で円高ユーロ安に転じた。

ユーロドルは、昨夜の欧州英国市場では英国金融不安の一時緩和と欧州株高時のリスク選好(リスクオン)のユーロ買いでドルに対しても上昇していたものの、その後の米景気経済指標が市場予想以上であったことなどから米欧金利差拡大予想によるドル買いが入り始め、今日の日本市場の午後の米長期金利の4%台の高止まりと上昇時のドル買いでは、米欧金利差拡大でユーロも売られており、17時の今日の東京外国為替市場の終値は0.9835~0.9837ドル付近で、前日同時刻比で約0.22セントのユーロ安ドル高に転じた。また、前述の欧州経済指標発表後にも、安全資産のユーロ売りのドル買いが入っていた。

一方、今日の英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の円相場の終値は168円41〜47銭付近で、前日同時刻比で約54銭の円高ポンド高であった。

英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)が、昨日の午後に前日までの上昇幅から利益確定売りが優勢で下げていた英ポンドに、一時買いの抵抗が起きた時の原因となった英経済紙フィナンシャル・タイムズ(FT)の英金融市場の安定化のためにイングランド銀行(BoE)が量的引き締め(QT)開始を延期するという報道記事に関して、不正確な情報で、延滞があっても1日程度と否定したことから、再び利益確定や調整のポンド売りが再開した。

また、今日の日本市場の午後15時には、最新の英国経済指標の発表があり、9月の英消費者物価指数(CPI)の前年同月比は、前回の9.9%と市場予想の10%に対し、10.1%に英インフレが進行し、前月比でも増えていた。英消費者物価指数(CPI)のコア指数も、前年同月比で前回の6.3%と市場予想の6.4%を超える6.5%だった。9月の英小売物価指数(RPI)の前月比も市場予想以上に上昇が継続し、英国インフレ対策で英イングランド銀行(BoE)の大幅利上げ継続予想がある一方で、高インフレによる英景気懸念が強く、リスク回避のポンド売りで安全資産のドルと低リスク通貨の円が買われたことも、今日のポンド安に影響を与えた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年10月19日の日本時間(JST)19時20分(英国夏時間(GMT+1)11時20分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:20の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 149.45 〜 149.47 +0.50(円安)
ユーロ/円 146.65 〜 146.70 -0.17(円高)
ユーロ/ドル 0.9808 〜 0.9810 -0.0049(ドル高)
英ポンド/円 168.51 〜 168.57 -0.44(円高)
スイスフラン/円 149.41 〜 149.47 -0.67(円高)
豪ドル/円 94.29 〜 94.33 +0.11(円安)


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