FXニュース:最新米国雇用統計で米連邦準備理事会(FRB)利上げ継続予想

2022年10月10日
FXニュース:最新米国雇用統計で米連邦準備理事会(FRB)利上げ継続予想

 

東西FXニュース – 2022年10月10日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米長期金利が一時3.9%台に上昇し円安要因の日米金利差拡大
  • 145円台後半を目前に日本銀行と日銀の為替介入への警戒も
  • 今日の日本と今夜からの米国市場が祝日休場の世界市場の値動き

今日2022年10月10日月曜日の日本の東京外国為替市場は「スポーツの日」(旧体育の日から2020年に変更)で祝日休場であるが、開場中の世界FX市場では9時から17時の外為取引時間相当の対ドル円相場の為替レートは、円の安値の145円67銭前後から高値の145円17銭前後の値動き幅約50銭で、17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値相当時間は145円43〜44銭前後で、先週金曜の前営業日17時の前東京終値の144円88〜89銭前後と比較すると、約56銭の円安ドル高であった。

原因はまず、先週末の金曜の夜から土曜の朝までの米国ニューヨーク外国為替市場で発表された最新の9月の米国雇用統計が米労働市場の堅調さを示したことなどから、米連邦準備制度理事会(FRB)による積極的な大幅利上げ継続予想が優勢になり、日米金利差拡大予想のドル買い円売りで、発表前に144円台だったドル円が145円台に跳ね上がった。

先週金曜の夜21時半に発表された最新の9月の米雇用統計で特に市場反応が起きた今回特筆すべき点は米失業率の改善で、米国のインフレや大幅利上げ継続にも関わらず、前回と市場予想の3.7%から3.5%に失業率が改善し、一般的に3%付近と考えられている完全雇用へと近づいていた。

最新の9月の米非農業部門雇用者数(NFP)は前月の31.5万人と市場予想の25〜27万人に対して市場予想中間値に近い26.3万人で、平均時給は前月比で前回と市場予想と同じ横ばいの0.3%で、前年同月比では前回の5.2%と市場予想の5.1%に近い5.0%上昇の高い伸び率を維持していたことなどから、米連邦準備理事会(FRB)の今後の大幅利上げ継続への抵抗要因となる米景気懸念が減退した。

続いて同日23時に発表された最新米国経済指標の8月の米卸売売上高の前月比は、前回の-1.4%と市場予想の0.4%に対して0.1%で、市場予想ほどではなかったものの前回のマイナスからプラスに転じたことも米国市場で好感された。

翌日本時間の土曜4時に発表された8月の米国の消費者信用残高の前月比は、前回の238.1億ドル(改定261.0億ドル)と市場予想の245.0億ドルに対して322.4億ドルであった。

米連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げ継続予想や米景気経済指標などから、米長期金利が一時3.9%台に上昇し、かねてからの円安要因であった日米金利差拡大によるドル買い円売りが優勢になり、一時145円台中盤の9月22日以来の円安ドル高を記録した。

しかし、145円台後半が目前になると、前回に145円90銭付近で実施された日本政府と日本銀行(日銀、BoJ)によるドル売り円買いの為替介入への警戒感も高まり、高値のドルの利益確定売りや持ち高調整の安値の円買いの抵抗も入り始めた。

そのため、先週末8日の土曜の朝6時の米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場の終値は145円35~45銭付近で、前日同時刻比で約25銭の円安ドル高であった。

週が明けて始まった今日の世界FX市場では、今日は日本と韓国が祝日休場中ではあるが、日本の為替介入は休日出勤で常に実行可能であることなどから、今朝一時145円67銭付近に円安ドル高が進行したことで、日本市場相当時間には為替介入警戒の高値のドルの利益確定売りと安値の円の持ち高調整買いが強まり、午後には一時145円17銭付近を記録した。

しかし、日本時間の午後に時差で朝の欧州英国市場が参入すると、再びドルが買われて、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値相当時間には145円43〜44銭付近で、前東京終値の144円88〜89銭前後と比較すると、約56銭の円安ドル高だった。

今夜この後の米国市場はコロンブス記念日の祝日で休場予定のため、今夜は米経済指標の発表予定はないのであるが、その分、今夜は欧州英国市場の値動きが出やすくなっている。

また、今週の水曜には最新の米国経済指標の9月の米卸売物価指数(PPI)と米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨、木曜には最新の9月の米消費者物価指数(CPI)など、米連邦準備理事会(FRB)の今後の金融政策に影響を与える重要指標が発表される予定である。

今日のユーロの円相場は、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値相当時間には141円18〜19銭付近で、前営業日同時刻の前東京終値比では約36銭の円高ユーロ安であった。また、今夜17時のユーロドルも0.9707〜0.9708ドル付近で、前営業日同時刻の前東京終値比では約0.28セントのユーロ安ドル高だった。

原因はまず、前述の堅調な米雇用統計を受けて、米連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げ継続予想で米欧金利差拡大予想のユーロ売りドル買いが優勢となったほか、米長期金利の上昇で日欧金利差拡大でもユーロ売りドル買いが起きた。

また先週金曜の欧州市場で発表されていた欧州ユーロ圏の主要国のドイツの最新経済指標で8月の独鉱工業生産や独小売売上高などの経済指標が市場予想以下であったことも欧州ユーロ圏のリセッション(景気後退)懸念によるリスク回避で、堅調な米景気経済市場により比較すると景気懸念が少ない安全資産のドル買いや低リスク通貨の円買いでユーロが売られたことなども、今日のドルや円に対するユーロ安に影響していた。

また、今日に日本市場相当時間の午後で欧州英国市場の朝には、ウクライナ情勢への警戒感を高めるニュースもあり、ユーロは安全資産のドルに対して売られた。

今日の欧州ユーロ圏には政治懸念も浮上し、昨日9日に行われたドイツのニーダーザクセン州議会選挙で、オラフ・ショルツ独首相の社会民主党(SPD)が勝利を収めたものの、連立政権を組んでいた自由民主党(FDP)が落選して議会入りを果たせなかったことから、ショルツ独政権の今後の安定性への疑問などから政治懸念のユーロ売りも加わった。リスクオフのドルに対する欧州通貨のユーロ安につられて、元欧州の英国ポンドも安全資産のドルに対して売られて下げていた。

英国ポンドも、欧州景気懸念につられて英国景気懸念のリスク回避の売りがあり、また欧米株価指数下落時にも堅調な米雇用統計や比較して市場好感のある安全資産のドルや低リスク通貨の円に対して売られたことなどから、今夜17時の今日の日本の東京外国為替市場の終値相当時刻のポンド円相場は160円98銭〜161円4銭前後で、前営業日同時刻の前東京終値比では約22銭の円高ポンド安であった。

最近の傾向として、ドル円が為替介入警戒域で買いにくくなってくると、ポンドドルが代わりに大きな値動きを見せて円相場などの外貨に対するドル高として波及した時があるが、今週この後には明日火曜日に英国の最新重要経済指標の英雇用統計の発表を控えており、その後には英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)のベイリー英中銀総裁の発言や、水曜日にも最新の8月の英国内総生産(GDP)の発表などが予定されており、他の主要通貨にも影響を与える可能性があることから、今後の為替相場の予想材料として市場が注目している。

また、英中銀(BoE)の市場安定のための期限付きの英国債買い入れオペの期限も、今週いっぱいで期限切れを迎える予定である。

今日の世界市場では円安ドル高ではあるが、安全資産のドルと低リスク通貨の円に対して、欧州英国景気懸念などのリスク回避でユーロや英ポンドなどの他の主要通貨が売られるという傾向が観測された。リスク市場に弱い豪ドルも安全資産のドルや円に対して売られた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年10月10日の日本時間(JST)19時16分(英国夏時間(GMT+1)11時16分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:16の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 145.44 〜 144.45 +0.57(円安)
ユーロ/円 141.15 〜 141.17 -0.39(円高)
ユーロ/ドル 0.9704 〜 0.9706 -0.0031(ドル高)
英ポンド/円 160.97 〜 161.03 -0.23(円高)
スイスフラン/円 145.71 〜 145.77 -0.42(円高)
豪ドル/円 91.85 〜 91.89 -0.58(円高)


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