FXニュース:米連邦準備理事会(FRB)高官達が利上げ継続のタカ派発言

2022年10月07日
FXニュース:米連邦準備理事会(FRB)高官達が利上げ継続のタカ派発言|

 

東西FXニュース – 2022年10月7日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米長期金利が一時3.84%に上昇し日米金利差拡大のドル買い優勢
  • 145円台の日本政府と日本銀行の為替介入警戒域付近での調整も
  • 今夜21時半に発表予定の最新の9月米国雇用統計に市場が注目
  • 欧州中央銀行(ECB)要旨でインフレ対策の大幅利上げ継続予想

今日2022年10月7日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時の外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値が145円10銭前後から高値144円84銭前後の値動き幅約26銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の円相場の終値は144円88〜89銭前後で、前日同時刻の前東京終値比では約31銭の円安ドル高であった。

原因はまず、昨夜の欧州英国市場で欧州中央銀行(ECB)が9月開催分の理事会の議事要旨を発表し、「予想される経済活動の鈍化だけではインフレ率を大幅に減少させるのには不充分」であることや、「金融緩和の縮小をしないとユーロ安でインフレ圧が更に高まる可能性がある」等との議論があり、欧州中央銀行(ECB)がインフレ抑制のための大幅利上げを継続する市場予想が強まり、欧州ユーロ圏の景気懸念のユーロ売りと世界的に流動性の高い安全資産のドル買いが優勢になった。

また、欧州中央銀行(ECB)の大幅利上げ継続では、企業等への貸付ローン金利の上昇などの警戒もあり、欧州株式市場では主要株価が下落し、株安時のリスク回避での安全資産のドル買いと低リスク通貨の円買いも、株売りとユーロ売りやポンド売りからも起きた。

欧州英国市場のトレンドを受けて、米国ニューヨーク株式市場でも株価が続落し、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場もリスク回避の安全資産のドル円買いで始まった。

昨日の東西FXニュースでも予告していた通り、米国ニューヨーク市場では経済指標の発表に加えて米連邦準備理事会(FRB)高官達の発言が相次ぎ、大幅利上げ継続のタカ派発言が継続したことから、欧米の主要中央銀行による大幅利上げ継続予想が優勢になり、米長期金利が一時3.84%付近に上昇し、かねてからの円安要因であった日米金利差拡大によるドル買い円売りが再燃した。

米連邦準備理事会(FRB)高官達の主な発言内容の要約であるが、米ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は、「インフレに関してはまだやるべきことがあり、積極的な利上げを一時停止するのはかなり先になる」と発言し、「投資家達が高金利環境に適応するプロセスで金融市場に亀裂(Cracks)が起きる可能性はあるが、米連邦準備理事会が金融政策のスタンスを転換するハードルは非常に高い」と、利上げ警戒の株価下落などの懸念があっても、米インフレ抑制のための積極的な大幅利上げ継続姿勢を当面は優先することも示唆しており、強気のタカ派(Hawkish)の発言と受け止められた。

同じく、米連邦準備理事会(FRB)高官の米シカゴ地区連銀のエバンス総裁も、「まだ一段と利上げの余地がある。現在の3.00〜3.25%の政策金利は、来春までには4.5〜4.75%に向かうであろう」、「現在のインフレ率は高すぎるために、より制約的な金融政策が必要」であると、タカ派発言をした。

同様に、米クリーブランド連銀のメスター総裁も、「現在の最優先の課題は、インフレ抑制」であると発言し、「まだ利上げ減速を正当化する根拠はなく、インフレが減速するまでは、利上げを止めることは難しい」等と、タカ派発言が継続した。

米連邦準備理事会(FRB)のウォラー理事も、「来年の序盤に向けた追加利上げを想定している」、「根強いインフレを抑制するまでは、来年初めに向けても利上げを継続する必要があり、利上げを停止すべきではない」と発言した。また、大幅利上げ継続での米景気懸念や金融市場に亀裂の起きる可能性についても、「その可能性は低いと考えている」という持論についても言及した。

米連邦準備理事会(FRB)のクック理事も、就任後初の発言で、「インフレ圧が受け入れがたいほど高い」と、他の主要メンバー達の利上げ継続の意見に賛同し、利下げを否定した。

米連邦準備理事会(FRB)高官達のタカ派発言の連続コンボで、米長期金利の指標となる米10年債の利回りは一時3.84%付近に上昇し、日米金利差拡大予想のドル買い円売りに加えて、欧州トレンドからも下げて始まった米株三指数は続落し、株安時のリスク回避でもユーロやポンド売りで安全資産のドルや円が買われた。

そのため、ドルに続く安全資産の低リスク通貨の円は、円安ドル高の中でも、欧州英国通貨のユーロやポンドに対しては円高傾向を見せていた。

しかし、多通貨に対するドル買いの影響の方が強く、日本政府と日本銀行(日銀、BoJ)の為替介入警戒域の145円台に突入すると、高値のドルの利益確定売りや持ち高調整の円買いの抵抗も入り、前回の介入が145円90銭付近の145円台後半であったことから、145円台前半で推移した。

また、今夜この後には21時半に最新の9月の米雇用統計の発表を控えており、米連邦準備理事会(FRB)が注視するデータであることから、米国の更なる高インフレにつながる労働需給の引き締まりがあるかどうかなどの結果待ちのイベント前のドルの買い控えや、持ち高調整なども入り始めた。

そのため、今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドルの円相場は、144円57銭前後から145円14銭前後の値動きで、今朝6時のニューヨーク外国為替市場の終値は145円10~20銭付近で前日同時刻比では約45銭の円安ドル高であった。

続いて始まった今日の日本の東京外国為替市場でも、前述の米連邦準備理事会(FRB)の高官達の大幅利上げ継続のタカ派発言の連続を受けた米長期金利の上昇から、日米金利差拡大と拡大予想による円売りドル買いが優勢であった。

今朝は市場開始前に日本の最新経済指標などの発表もあり、8月の全世帯家計調査・消費支出の前年同月比は前回と3.4%と市場予想の6.7%に対して5.1%増であった。また、8月の毎月勤労統計調査・現金給与総額の前年同月比は、前回の1.8%(改定1.3%)と市場予想の1.4%に対し1.7%だった。

9月の財務省の外貨準備高は、前回の1兆2921億ドルから約540億ドルの2000年4月以降で減少幅の1兆2381億ドルではあったが、日本政府と日本銀行(日銀)が為替介入にすぐに使える外貨預金額はほぼ横ばいであったために、145円台付近では再度のドル売り円買いの為替介入への警戒から、利益確定売りや持ち高調整などが入った。

岸田文雄首相も、今朝の参院本会議で円安に関して、「最近みられた様な急速で一方的な進行は望ましくない」と発言していた。

今朝10時前の仲値決済では、日本の輸出企業によるドル売り円買いが入った。

また、日本市場でも昼頃までには、今夜この後に発表予定の最新の重要米国経済指標の9月の米雇用統計の発表イベント前のドルの買い控えや持ち高調整や様子見などが入り、比較的小幅な値動きになった。時間帯の近いアジア市場の中国の連日休場もやや影響していた。

14時に発表された日本の最新経済指標の8月の景気先行指数(CI)の速報値は前回の100.1に対して101.7に向上し、景気一致指数の速報値も前回の98.9に対して100.9であった。

午後になり、時差で朝の欧州英国市場が参入すると、今朝までに上昇した米長期金利が3.8%台で高止まりをしていたことで、日米金利差拡大でのドル買い円売りが入ったが、再び145円台になると、日本政府と日銀の為替介入警戒のドル売り円買いの抵抗で144円台後半に下げたあたりで、今夜17時の今日の日本の東京外国市場の対ドルの円相場の終値を、144円88〜89銭付近の前日同時刻の前東京終値比で約31銭の円安ドル高でつけた。

今夜の後には最新の米国経済指標の発表も相次ぎ、市場が注目している。21時半に最新米雇用統計の9月の米非農業部門雇用者数変化、米失業率、米平均時給が発表され、23時に8月の米卸売売上高、明朝未明4時に8月の米消費者信用残高などがスケジュールで予定されており、為替相場の値動きへの影響の可能性がある。

今日のユーロは、昨夜の欧州英国市場から欧州中央銀行(ECB)大幅利上げ継続で、欧州景気懸念のユーロ売りの安全資産のドルや円買いが優勢となった影響があり、また今日のニュースではロシアの核使用への懸念増加に関する米大統領の発言などもあり、地政学的リスクでもユーロが売られて、今夜17時の今日の日本の東京外国市場の終値のユーロ円は141円97銭~142円00銭付近で、前日同時刻比では約1円31銭の大幅な円高ユーロ安だった。

ユーロドルも、ユーロが第一安全資産のドルに対して続落し、今夜17時の今日の日本の東京外国市場の終値は0.9799~0.9800ドル付近で、前日同時刻比では約1.11セントの大幅なユーロ安ドル高であった。

今日の午後に発表された欧州ユーロ圏のドイツの最新経済指標の8月の独輸入物価指数は、前年同月比で前回と市場予想以上に上昇し、またインフレの影響で同月の独小売売上高の同月比は前回の1.9%(改定0.7%)と市場予想の-1.1%に対して-1.3%に悪化していたことなども影響した。フランスの貿易収支も、前回と市場予想以上に赤字額が増えていた。

今日の英国ポンドの円相場も、欧州中央銀行(ECB)大幅利上げ継続の景気懸念で、地理的にも近く元欧州連合(EU)の英国は欧州経済の影響を受けやすいことなどから、ユーロ同様に売られており、また今日は英国債市場が不安定になったことで週前半の上昇分の反発もあり、安全資産のドルや円に対しての英ポンド売りがリスク回避で優勢だった。

そのため、今夜17時の今日の日本の東京外国市場のポンド円の終値は161円80〜86銭付近で、前日同時刻比で約21銭の円高ポンド安であった。

昨夜の英国ロンドン市場では、英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)のカンリフ副総裁が、市場安定性のために実施している一時的な期限付きの国債買い入れ措置に関して、「リスクが減ったと判断した時点で、円滑かつ秩序だった方法で購入を終了する」との考えを示したことも、今日の英国債市場の不安定さに影響していた。

しかし、今夜その後の英国ロンドン市場では、時間外の米株先物が下落幅を縮小したことの影響などで、ユーロとポンドのリスク回避の売りが弱まり、日英金利差拡大などでも安値のポンド買い投資が起きたことなどで、19時台には前日比で円安ポンド高にも転じた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年10月7日の日本時間(JST)19時21分(英国夏時間(GMT+1)11時21分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:21の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 144.92 〜 144.93 +0.35(円安)
ユーロ/円 142.00 〜 142.01 -1.28(円高)
ユーロ/ドル 0.9796 〜 0.9798 -0.0114(ドル高)
英ポンド/円 162.32 〜 162.38 +0.31(円安)
スイスフラン/円 146.19 〜 146.25 -0.29(円高)
豪ドル/円 93.04 〜 93.08 +0.02(円安)


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