FXニュース:145円台の円安で政府と日銀がドル売り円買いの為替介入を実施

2022年9月22日
FXニュース:145円台の円安で政府と日銀がドル売り円買いの為替介入を実施

 

東西FXニュース – 2022年9月22日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米大幅利上げで日米金利差拡大の1998年8月以来の一時145円台の円安
  • 米連邦公開市場委員会(FOMC)は0.75%の大幅利上げ継続で3%超に
  • 米政策金利見通しのドットチャートが年末4.4%と来年末4.6%に
  • 日銀は今日も金利抑制の大規模緩和金融政策継続を決定し円安要因に

今日2022年9月22日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時の外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値が145円90銭前後から高値143円50銭前後の値動き幅約2円40銭で、今夜17時の東京外国為替市場の終値は145円78〜80銭前後で、前日同時刻の143円74〜76銭前後の前東京終値比で約2円4銭の大幅な円安ドル高であった。今日は日米金利差拡大により、1998年8月以来の一時145円90銭付近の円安ドル高を日本市場で記録した。

ただし、その後の欧州英国市場では17時台に、日本政府と日本銀行(日銀)が145円台の為替介入ラインでドル売り円買いの為替介入を17時頃に実施した影響で、対円のドルが一時大きく急落し、対ユーロにもドル売りの勢いが波及した。米債券市場でもリスク回避の安全資産の米国債買いで米10年債利回りが指標となる米長期金利が低下したことに加えて、更なる為替介入への警戒感などから一時140円92銭付近に利益確定のドルがまとめて売られる事件も起きたが、直後に145円台の為替介入ラインから離れたことでは、安値のドルが再び買い戻され始めて18時台には142円台を超えて為替介入での下げ幅を縮め始めた。

市場トレンドの動きと原因はまず、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場で日本時間の今朝3時に、米連邦準備理事会(FRB)が米連邦公開市場委員会(FOMC)で米国のインフレ抑制と物価安定目標のために3会合連続で通常の3倍の0.75%の大幅利上げを決定し、新たな米政策金利指標のフェデラルファンド(FF)金利誘導目標が3.00~3.25%に上昇した。米政策金利指標が3%を超えるのは、リーマンショック以前の2008年1月以来である。

同時発表の米政策金利見通しのドット・チャートは、今年2022末が4.4%と来年2023年末に4.6%へと、前回6月の2022年末の3.4%と2023年末の3.8%から大幅に上方修正され、2024年末には3.9%と2025年末には2.9%と、再来年の2024年までは利下げが想定されていないことで次回も大幅利上げ継続のタカ派の長期化予測が起き、債権市場では米長期金利の指標となる米10年債の利回りが一時3.6243%付近の2011年2月以来の高水準を記録し、日米金利差により円相場でのドル買い円売りで一時144円70銭付近に急騰したほか、ユーロなどの主要通貨に対してもドルが一時全面高になった。

一方で、米景気見通しの米失業率見通しは2023年末が前回の3.9%から4.4%に修正され、また個人消費支出(PCE)物価指数の上昇率も前回の2.6%から2.8%に上方修正されてインフレ長期化の米景気懸念もあることでは、利上げ後の米株式市場が下落し、安全資産の国債が買われて米長期金利が下げに転じたことでは、直後に高値圏のドルの利益確定売りが入った。

また、その直後の定例記者会見では、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の数々の発言があり、「今後の利上げペースは、今後の経済データ次第」や「いつかは、利上げのペースを下げるのが適切になるであろう」というコメントへの市場反応では高値圏になったドルが利益確定売りでまとめて売られ、安全資産の米国債買いも入ったことで抵抗が起き、米10年債利回りの米長期金利指標が一時3.49%台に急落してドル上昇に一時的な大きな抵抗が入り一時143円41銭付近に下げ、ユーロドル等にも買い戻しが入ったが、以前の伝説的なジャクソンホールでのパウエル・スピーチの時と同様のタカ派な姿勢も示した時には、再びドルが買われて上昇した。

米経済指標データでは、これまでにも8月の消費者物価指数(CPI)も前年同月比8.3%上昇し、約40年半ぶりの上昇率だった6月の9.1%からは2カ月連続で鈍化したものの、米インフレ上昇率市場予想を超えており、PCE物価指数も7月に6.3%上昇と高水準のデータもあったことも今後のデータ予測で再注目され、米連邦準備理事会(FRB)が目標とする2%のインフレ率にはまだ遠いことから、大きな流れとしての日米金利差拡大による円安ドル高のトレンドが継続した。

しかし、今朝の米国市場ではその後の今日の日本市場で日本銀行(日銀、BoJ)の新金融政策発表を控えていたため、145円台付近になると為替介入への警戒感からドルが売られて発表前の円の持ち高調整がされていたことなどからまだ上値が抑えられており、今朝6時の米国ニューヨーク外国為替市場の円相場の終値は144円05~15銭付近で、前日同時刻比で約40銭の円安ドル高であった。

その後に始まった今日の日本の東京外国為替市場では、米大幅利上げ継続と長期化予想の今朝のFXニュースを受けて、日米金利差拡大によるドル買い円売りでドルが上昇し、10時頃の仲値決済でも今日は日本の連休前の実質的な五十日にあたるため、日本企業の輸入実需の円売りドル買いも加わった。

今日の正午頃には日本銀行(日銀、BoJ)の新政策金利と声明発表があり、金利抑制の大規模緩和の金融政策の維持が決定されたため、日米金利差拡大の継続で昼頃からは145円台の記録的な円安ドル高になった。

午後になり、日本政府の神田真人財務官は、円相場がおよそ24年ぶりに145円台まで下落したことに関して、「あらゆる手段を排除せず、適切な対応をする用意ができている」、「(為替介入は)ステルスで行う場合もある」と発言した。

また、午後には日本銀行の黒田総裁も発言をしたこともあり、145円台は日本政府と日銀の為替介入ラインで、為替介入準備のレートチェックも行われたことでは、日本株安時もあり、低リスク通貨の円が買い戻される抵抗も入ったが、17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は145円78〜80銭前後で、前日同時刻の前東京終値比で約2円4銭の大幅な円安ドル高であった。

そして、日本企業の取引の集中する日本市場時間の終了とほぼ同時の日本時間の17時過ぎに、日本政府と日本銀行が前述のドル売り円買いの為替介入を行い、欧州英国市場でドルが一時急落し、円相場が上昇した。

今夜この後には日本時間20時に英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)も新政策金利発表を控えていることから、持ち高調整も起きていたところだった。

今夜この後の米国ニューヨーク市場では、最新の米国経済指標の発表も予定されており、21時半に4〜6月期四半期の米経常収支、前週分の米新規失業保険申請件数と米失業保険継続受給者数、23時には8月の米景気先行指標総合指数のスケジュールで、世界のFX投資家達に注目されている。

今日のユーロ円は、昨日はロシアのウクライナ侵攻の長期深刻化の地政学リスクで、欧州景気懸念のユーロ売りで安全資産のドルや低リスク通貨の円が買われていたが、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円の終値は、為替介入前の記録的な円安ドル高時の影響もあり、143円50~53銭付近の前日同時刻比で約1円5銭の円安ユーロ高に転じていた。ただし、その後には日本政府と日銀の為替介入の円相場上昇の影響も波及している。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は0.9845~46ドル付近のパリティ(等価)割れで、前日同時刻比で約0.65セントのユーロ安ドル高であった。一時は0.9807ドル付近の、2002年10月以来のユーロ安ドル高水準も記録した。

原因は、ロシアのプーチン大統領がウクライナ侵攻継続の追加動員令に署名したことで、地理的に近い欧州ユーロ圏の景気懸念が長期深刻化した。

ただし、今夜この後には23時に欧州ユーロ圏の最新経済指標の9月の消費者信頼感の発表も予定されている。

英ポンドは、今夜この後の20時に予定されている新英国政策金利発表では利上げ継続の市場予想が優勢で日英金利差拡大予想があり、17時の今日の東京外国為替市場のポンド円の終値は164円31〜37銭で前日同時刻比では約1円93銭の円安ポンド高であった。ただし、その後の17時過ぎの政府と日銀のドル円の為替介入の影響は、ポンド円などの他の円クロスの主要通貨の為替相場にも波及している。

スイスフランの円相場は、今日はスイス中央銀行も利上げして0.50%の新政策金利になったことから、17時の今日の東京外国為替市場の終値は149円5〜11銭で前日同時刻比で約2銭の円安スイスフラン高であった。

しかし、今日は日本政府と日銀の為替介入が17時過ぎにあった影響で、19時時点では円相場が一時的に全面高に転じており、今後の値動きが注目されている。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年9月22日の日本時間(JST)19時17分(英国夏時間(GMT+1)11時17分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:17の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 142.86 〜 142.87 -0.88(円高)
ユーロ/円 140.90 〜 140.92 -1.55(円高)
ユーロ/ドル 0.9861 〜 0.9863 -0.0049(ドル高)
英ポンド/円 161.50 〜 161.56 -0.88(円高)
スイスフラン/円 145.86 〜 145.92 -3.17(円高)
豪ドル/円 94.73 〜 94.77 -0.77(円高)


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